第十二章

 

166:進級〔7歳:LEVEL3〕
春…。 7歳になった俺は、今日から四号生として学校に通うことになる。
今年はとりあえず始業式はパス。どうせろくなことは起こるまい。行くだけ無駄だ。
てなわけで俺は始業式の間中、屋上で適当に暇を潰しておくことにしたのだが…
ズダダダダダダダン!!(銃声))
(「うわああああ!!」)
勇者「フッ、やはり始まりやがったか。懲りない奴らだぜ…。」
(「や、やめてー!」)
勇者「まぁ俺には関係ない。せいぜい先公どもを恨むがいいさ雑魚どもめが。」
(「やめてくれぇーー!!」)
(「ポピュッパー!!」)
ドガーーン!!(ロケットランチャー))
勇者「ッ!!?」
(「うっぎゃああああ!!」)
勇者「ポ…ポピュ?」
(「ぎゃー!や、やめてください校長先生ー!!」)
勇者「…ま、気のせいだろ。」
(「ポピュパッププー!!」)
(「勇者ー!勇者はどこだー!?父さんPTA代表で頑張ってるぞー!?」)
(「ぎょえぇえええええ!!」)
勇者「・・・・・・・・。」

うん、いい天気だ。

勇者は青空が目に染みた。

 

167:謝罪〔7歳:LEVEL3〕
始業式翌日。明らかにみんなの俺を見る目が殺意に満ちている。やれやれだ。
「勇者」たる者、やはり簡単に人に頭を下げるようなことがあってはならない。
だが、今回ばかりはちとマズい。 さすがの俺も腹を決めねばならん状況だと思う。
気は進まんが…仕方あるまい…。


全員、ブッた斬る。

勇者は友の屍を乗り越えた。

 

168:学校〔7歳:LEVEL3〕
入学して三年…。 振り返る意味も含め、学校について詳しく書いてみようかと思う。
俺達の通う学校の名は「学園校」。「学園」なのか「学校」なのかハッキリしない。
六年制の学校で、入学時に「冒険科」「駐屯科」「村人科」のどれかを選択する。
その後の行事は全て各科ごとに分けて行われるため、関わりはほとんど無い。
〔冒険科〕
冒険の知識と、戦闘能力を磨くことだけを目的としたクラス。俺達のいる科だ。
毎日が命懸けであるため、卒業するのは非常に困難。スパルタにも程がある。
〔駐屯科〕
冒険はしないが村人じゃ物足りないという奴らが通うクラス。中途半端な奴らめ。
「兵士」や「護衛人」のように、一箇所に留まる職を希望する奴が多くいる科だ。
〔村人科〕
いつか名を馳せてやろうという野望の無い奴らが通うクラス。フン、雑魚どもめが。
命を大事にしたい気持ちはわからんでもないが、そんな人生じゃ死んだも同じだ。

ちなみに各科とも、一学年は20人×3クラス。よって全校生徒は千人強で始まる。
だが冒険科は毎年人数が激減するため、年度始めに転入生で補うことになる。
したがって、今年も360人前後でスタートした我らが冒険科…


残り、80名。

勇者ファミリーの功績が大きい。

 

169:隔離〔7歳:LEVEL3〕
どういうわけか、どういうわけか記録的に人数が減った今年度。どういうわけか。
そのため今年は例外的に、全校生徒を学年ゴッチャ混ぜで4クラスに分けるらしい。
勇者「混合クラスか…ややこしいな。今からまた転入生の補給はできないのか?」
教師「行きたいのは山々ですが、これから大陸に行くのは少々面倒なのですよ。」
盗子「大陸!?転入生って大陸から来てるの!?」
姫「輸入雑貨だね。」
賢二「あぁ…言われてみれば、あの数をこの島だけで確保するのは無理だもんね。」
教師「ええ。毎年大陸の方から拉致って…あ、攫ってくるのです。」
賢二「先生、言い換えても同じ意味ですよ…。」
暗殺美「私ら転入生はみんな寮に入ってるのさ。親は大陸に置き去りさ。」
勇者「まぁ二度と生きて大陸の地は踏めんだろうがな。」
教師「いやいや。正式な手続きさえすれば、ちゃんと大陸に帰ることもできますよ。」
盗子「ふ〜ん、そうなんだ〜。 んじゃさ、もし無断で出ようとしたらどうなんの?」
教師「無断で?そうですねぇ〜。 ちょっとだけ…お仕置きしますかね。」

勇者はあの日のことを思い出した。

 

170:遠足〔7歳:LEVEL3〕
今年は学年混合のA〜Dクラス(各20名)により構成されることになった我が学校。
俺のクラスはA組。盗子、賢二、姫ちゃん、暗殺美も同じのようだ。
そしてこのメンバーで、恒例の行事「春の遠足」を迎えることになる。
教師「今回の遠足の舞台は、南の小島「コミナ島」になります。」
賢二「コミナ島といえば、双子の…通称「筋肉兄弟」が支配してる島ですよね?」
勇者「確か名前は「化院(ケイン)」と「斜院(シャイン)」…。それが今回の敵か。」
教師「そうです。「奴らを追い出せガキども!」が、今回島民より受けた依頼です。」
暗殺美「…まずは島民を先にシメる必要がありそうさ。」
勇者「オイ先公、「拷問大全集」を貸してくれ。」
賢二「えっ、ダメだよ!仮にも僕ら正義の味方なんだし!」
教師「勇者君、暗殺美さん…」
盗子「そうだよ先生!先生からも何か言ってやってよ!」
教師「「列島破壊書」も要りますか?」
盗子「煽るんかい!!」

惨劇のニオイがする。

 

171:凍死〔7歳:LEVEL3〕
今年の春の遠足…我らA組は「コミナ島」へと赴くことになった。
だが、20人の大所帯では目立つ上に戦闘効率も悪い。やはり組分けが必要だ。
というわけで俺達は、各10人の二組に分けて乗り込むことにしたのである。
勇者「盗子、賢二、姫ちゃん、暗殺美…とりあえずお前らは俺の組だ。いいな?」
賢二「覚えるのが面倒なんだね。」
盗子「んじゃさ、残りの五人はどうする?」
暗殺美「んなの適当に選べばいいのさ。名簿の上から五人とか…」
少年「あいや待たれい! それならば、某(それがし)を選んではもらえんか?」
勇者「む?また随分と古臭い一人称だな…まぁいい、名を名乗れ!」
少年「某は「侍」の「寒来(サライ)」。五号生だけにGo!Go!っと行くぞー!」
賢二「・・・・・・・・え゛?」
寒来「ハッハッハ!こりゃ傑作だ!「五号」と「Go」を掛けたナイスギャグ!」
一同(う、うわー…寒ぅ〜…。)
姫「ふわわ〜。(あくび)」
勇者「寝るな姫ちゃん!寝たら死ぬぞ!」
寒来「ワッハッハ!なんてこった!思いっきりスベッ…介錯を頼む!!」
盗子「わー!し、死ななくていいよ!ギャグがスベッたくらいで死なれちゃ困るよ!」
勇者「嘘に決まってる。あくまで「振り」だけさ。仮にやっても途中でやめるだろう。」
暗殺美「そうさ。こういう奴は誰かが止めてくれるのを待ってるのさ。」
寒来「なっ、なな何を言う!某はいつだって本気なモンキーだぞ!!」
賢二「ま、まぁ落ち着いて!僕は結構面白かっ…たですよ! だ、だから…ね?」
寒来「くっ、かたじけない。その優しさ…全身の「ためらい傷」に染みおるわ…。」

ためらってんじゃねーよ。

 

172:弟子〔7歳:LEVEL3〕
寒来も加わり、仲間は六人となった。 あとは四人…できれば有望な奴がいい。
そう考えていると、なにやら暑苦しそうなのが寄ってきた。男か女かはわからない。
少女「わ、私は一号…「人形師」の「土男流(どおる)」!弟子にしてくれ勇者先輩!」
勇者「その声…女か。悪いが俺にママゴトの趣味は無い。人形遊びなら他でやれ。」
土男流「そんなことは言わないでくれ!頼む!私はアンタの男気に惚れたんだ!」
勇者「…ふぅ。ならば何か特技を見せてみろ。もし光るものがあれば考えてやる。」
土男流「よ、よし!よーし!やったぜー!じゃあ…腹話術!腹話術をやるぜ!」
勇者「はぁ?腹話術だぁ? …まぁいっか。とりあえずやってみろ。」
土男流「ゴ、ゴホン。あー。あー…。 あれ? 声が 遅れて 聞こえたらなぁ…。」
勇者「願望かよ!しかも人形も使ってないし! ま、失格だな当然のごとく。」
土男流「い、いや!実は腹話術は苦手なんだ!ホントは人形使った戦闘が…」
勇者「言い訳は男らしくないぞ!前言を簡単に覆すようなマネはやめろ!!」
土男流「くっ…!」

土男流「これ、姫先輩のフィギュアなんだ!」
勇者「俺について来い!!」

勇者はアッサリ覆した。

 

173:出発〔7歳:LEVEL3〕
そして翌日、俺達は中獣車(水陸両用)でコミナ島へと向かうこととなった。
結局残りの三人は適当に選抜。よくは知らんのだが簡単に言えば以下の通りだ。
・三号生(女):名前「歌憐(カレン)」:職業「歌姫」
・四号生(男):名前「博打(バクチ)」:職業「勝負師(ギャンブラー)」
・六号生(女):名前「美風(みか)」:職業「風読師(かぜよみし)」
どいつもこいつも非戦闘員のニオイがするが…まぁいい。俺がいれば十分だ。
そんな俺達を乗せた獣車は、気づけば陸地を離れ海上をひた走っていた。
少女「あ、皆様ァ〜。本日は当車をご利用いただき〜誠にありがとうございまァす。」
勇者「む?なんだ、今回はガイドまで乗っているのか。 オイお前、名を名乗れ!」
少女「ハイ〜。ワタクシはァ〜「案内人」の「案奈(アンナ)」と〜申しまァす。」
盗子「あれぇ?てゆーかそのバッヂ…ウチの六号生のじゃない?」
案奈「ハイ〜。本日はァ〜学校サボッてバイト〜でございまァす。」
暗殺美「あ、あの学校をサボれる度胸は買ってやるさ。」
盗子「ガイドがバイトってどうかと思うけど…別にいいのかな、あくまでガイドだし。」

運転手「私は無免です。」
一同「降ろしてー!!」

勇者は「地獄への片道切符」を手に入れた。

 

174:再現〔7歳:LEVEL3〕
運転手が無免と判明して一同大慌て。状況は、三年前の秋遠足と似ている。
勇者「貴様…無免の分際で運転手を気取るとはいい度胸だ!ブッた斬る!!」
運転手「だ、大丈夫ですよ!できますって!お箸を持つ方が右ですよね!」
盗子「そんなの運転以前の常識だから!」
運転手「ま、まぁ運転なんて簡単ですよ。左利きだからちょっと難儀だけども。」
盗子「じゃあお箸は左じゃん!!」
勇者「どけ盗子!コイツを斬る!こんな奴よりは俺が運転した方がまだマシだ!」
賢二「い、いや、それはどうかと…。」
案奈「あ、皆様ァ〜。右手に見えますのがァ〜…」
盗子「ちょっと黙ってて!今は観光どころじゃないから!」
案奈「あ、じゃあ右手の「凶悪海竜」は無視する方向でェ〜いっちゃいまァす。」
盗子「わー!いっちゃわないでー!!」
勇者「つーか運転手!テメェまで脇見…だからそっちは左だっつってんだろうが!」
案内「えェ〜、この海竜はァ〜筋肉兄弟のペットとしてこの海域周辺を〜…」
盗子「だからって冷静に説明しないでー!!」
賢二「と、とりあえず僕が先に行って、魔法で時間を稼いでくるよ!」
暗殺美「なら私も行くさ!(訳:賢二君が心配だし☆)雑魚一匹じゃ心もとないさ!」

賢二と暗殺美は甲板へと躍り出た。

賢二は一瞬で食べられた。

盗子「ど、どうする勇者!?賢二と暗殺美じゃそんなにもたないよ!?」
勇者「わかってる!だがコイツの運転じゃ戦ってる間に転覆しかねんし…!」
姫「ゆ、勇者君…。」
勇者「姫ちゃん…。 大丈夫だ心配するな!俺に任せろ!」
姫「バナナはオヤツに入るのかなぁ?」
勇者「悪いがその話は後だ!」
謎「ハッハッハ!案ずるな少年、運転はこの私に任せて行きたまえ!」
勇者「おぉ、心強い!…って、またついて来たのかよクソ親父!?」
謎「な、何を言う!私は謎のお助け仮面「父さん」だ!一瞬で見破るな!!」

状況は、三年前の秋遠足と似ている。

気づけば出発地点かもしれない。

 

175:出陣〔7歳:LEVEL3〕
今回も今回で、呼んでもないのに勝手に現れた親父。
だが一応コイツなら事故ることはなさそうだ。戦いに出られる!
勇者「よし、じゃあ行くぞ盗子!ついて来い!」
盗子「うん!」

勇者と盗子は甲板へと躍り出た。

盗子は一瞬で食べられた。

勇者「なっ!?と、盗子ー!!」
暗殺美「げんぢぐぅぅぅん!!びぇぇえええん!!」
勇者「け、賢二もか!?奴め…糞の役にも立たんどころか自らが糞になる気か!」
暗殺美「うぇっぐ、げんぢぐんが…げんぢぐんが死んぢゃったよー!」
博打「いや、そんなことはない…きっと生きてるさ。だから泣くなよベイベー!」
勇者「フン!「勝負師」のようなヤクザな野郎が言っても説得力は無いわ!」
博打「ほぉ…。なら、賭けるかい?」
勇者「いいだろう。俺は死んでる方に500銅(約500円)だ。」
博打「同じく。」
暗殺美「逆に賭けろや!!」
美風「まぁいいじゃん、一人や二人。 それよりボーヤ、オネーサンと遊ばな〜い?」
勇者「ぬぉっ!さ、触るなこのアマァ!ブッた斬るぞ!!」
美風「あっ、風が…」
勇者「むっ!どうした「風読師」、何か読めたのか!?」

美風「吹いてる。」

空気も読めてない。

 

176:奥義〔7歳:LEVEL3〕
どうやら今回も人選を誤ったらしく、使えそうな奴が一人もいない。
やはり俺が一人で殺るしかないようだ。 こうなったら…あの技を使うしかない!
勇者「いくぜ海竜!虚空に鮮血をブチ撒けろー!「血染十字(ブラッディクロス)」!」

勇者はどこかで聞いたような技を繰り出した。
だが攻撃は強靭なウロコに阻まれた。

勇者「くっ、硬い! それに…やはりこの大剣じゃ思ったように振るえん!!」
海竜「グガガガ!グガゴグガガー!グガッグガッグガー!」
勇者「野郎…いかにも勝ち誇ったような表情しやがって…!」
姫「甘いな小僧。その程度の攻撃が効くかー。わっはっはー。」
勇者「わ、わかるのか姫ちゃん!?」
姫「ぜんぜん。」
土男流「し、師匠!ここは私とこの人形「婆Bちゃん」に任せてくれ!」

〔婆B(バァビー)〕
戦闘用に作られた、音声認識で動作可能な小型人形。
だが何故か婆さんタイプなため、人形遊びには適さない。
ほのかに線香の香りがする。

〜その頃、海竜の胃の中では〜
盗子「うぅ〜ん…ハッ!こ、ここは!?」
賢二「あ、盗子さんオハヨウ。ここは海竜の…」
謎「胃の中ですよ。」
盗子「出ぇーたぁーーーー!!!」

「入ってた」が正しい。

 

177:全滅〔7歳:LEVEL3〕
二人が海竜に飲まれてから結構経った。早く助けねば溶けてしまうかもしれない。
ちなみに婆Bは、「腰痛」などと人形にあるまじきことをぬかしたのでブチ壊した。
勇者「くっ、俺の斬撃は効かん…一体どうすれば…!!」
土男流「酷いぜ師匠ー!私のお人形さんを返してくれー!!」
歌憐「うっわ〜♪甲板は風がきっもちいいのね〜♪」
勇者「…む?確か貴様は「歌姫」だったか?」
歌憐「そ☆みんなのアイドル「カレンちゃん」って呼んでね♪」
勇者「悪いが貴様と遊んでいる暇は無い。急がねば賢二と盗子がウンコに化ける。」
歌憐「アハ☆照れちゃってる♪ でもゴメンね、カレンちゃんはみんなのモノなの♪」
勇者「いや、俺は照れても狙ってもないぞ!?弓絵よりタチが悪いなオイ!」
歌憐「みんなー!今日はカレンちゃんに会いに来てくれてありがとー♪」
勇者「って、おもむろにコンサートを始めるなよ!自己陶酔にも程があるぞ!」
歌憐「とっても楽しかったけど、悲しいけど、次がラストナンバーなの…。」
勇者「しかも早速終わるのかよ!!」
歌憐「それでは聞いてください…「恋の湯煙殺人事件」♪」
勇者「それになんてタイトルなんだ…。」
ズンチャチャ♪ズンチャチャ♪(前奏)
歌憐「ときめきミラクルバズーカ♪アナタのハートにズッキュンバッキュン♪(音痴)」

勇者「ぐっ、ぐおぁっ!!
一同「うぎゃあああああ!!(絶叫)」

歌憐は破壊電波を撒き散らした。

勇者は気絶しかけた。
暗殺美は気絶した。
寒来は気絶した。
土男流は気絶した。
博打は気絶した。
美風は気絶した。

海竜は耐え切れず嘔吐した。

賢二が出てきた。
盗子が出てきた。
なぜか姫まで出てきた。

 

178:犠牲〔7歳:LEVEL3〕
歌憐の歌声によりなんとか二人は救出できた。だがコチラの被害も尋常じゃない。
最初は気持ち悪そうにしていた海竜だったが、しばらくすると回復したようだ。
それに引き換えコチラは気絶者多数…俺もまだ体が麻痺して動かない。ヤバい!
海竜「グガガー!ゴグゴガガーー!!」
勇者「チッ、回復しやがったか!」
姫「カキ氷がー。食べたいぞー。」
勇者「いや、それは絶対違うだろ姫ちゃん!つーかなぜキミまで胃の中に!?」
姫「あ〜、物件探しだよ。」
盗子「住めないから!!」
海竜「グゴガアアアアアアア!!」
勇者「なに!?住めるって言うのか!?」
盗子「違うよ!何か撃つ気なんだよー!!」
勇者「チッ、しまった!まだ避けられ…」

海竜は「水流弾」を放った。
勇者は体が麻痺して避けられない。

勇者は寒来を盾にした。

寒来「うぼあっ!?
勇者「さ、寒来!お前…俺達のために自ら盾に…! なんて男なんだ!!」
盗子「アンタこそなんて男なんだ!!」
寒来「うぅ…い、痛い…一体何が…。」
賢二「大丈夫ですか寒来さん!?傷は浅…くないけど、大丈夫ですよきっと!」
寒来「い、いや…今のは…「痛い」と「一体」を掛けたナイスギャーーー!!

勇者は介錯を買って出た。

 

179:操縦〔7歳:LEVEL3〕
一撃目はなんとか寒来で防げたが、次を防げるアテは無い。チッ、どうするか…
と考えていたのだが、なぜか急に攻撃が止まった。一体どうしたのだろうか?
勇者「む?どうしたんだ…? ゼンマイでも切れたか??」
謎「彼は今、私の支配下にあります。だから大丈夫。」
盗子「わー!出たー!!ささささっき胃の中にいた…」
勇者「き、貴様は…黄錬邪!?」

黄錬邪が現れた。

勇者「お前…何故ここに!?」
黄錬邪「まあまあ。別にいいじゃないですか。」
勇者「う〜む…まぁいっか。 安心しろ盗子、コイツは五錬邪だが敵じゃない。」
盗子「ほ、ホント?」
黄錬邪「アナタを殺します。」
盗子「嘘つきーー!!」
父「ハッハッハ。少しは冗談がうまくなったなぁ黄錬邪。」
勇者「なぜここにいるんだ運転手!?」
父「まあまあ。別に…」
勇者「よくねーよ!!」
父「見ろ勇者、星空があんまり綺麗じゃない。」
勇者「だったら言うなよ!ムリヤリ話を逸らすな!そしてなにより今はまだ朝だ!」
賢二「あの〜、ところで…なんで海竜は急に大人しくなっちゃったんですか?」
黄錬邪「私の真の職業は「操縦士」。熟練すれば、なんでも操縦できるのです。」
勇者「ほ、ホントか!?だったらこの船も…いや、やっぱいいや…。」

見慣れた港が見えた。

 

180:弱音〔7歳:LEVEL3〕
気づいた時にはもう帰港していたため、仕方なく諦めることにした春の遠足。
状況が三年前に似てるとは感じていたが、まさかオチまで同じとは思わなんだ。
だが正直、今回はこれで良かったのかもしれない。明らかに力不足だった。
ペットである海竜に勝てないようでは、恐らく「筋肉兄弟」にも負けていただろう。
再戦となる秋遠足に向け、更に血の滲むような修行を積む必要がありそうだ。
俺はまだ、弱い…弱すぎる…とでも言うと思ったか雑魚どもめが!?俺をナメるな!

勇者は強がった。

勇者「というわけで、貴様を倒す!!」
オナラ「ウサ晴らし!?」

勇者はスッキリした。

オナラ魔人はグッタリした。

 

第十三章