外伝(漆) |
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外伝:勇者凱空X〔1〕 | |
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俺の名は凱空。イケメン真っ盛り15歳の「勇者」。今は「メジ大陸」に来ている。 基本的にやる気は無いのだが、今回ばかりは仕方ない。「魔王」を…討つのだ! 〜メジ大陸:魔王城〜 凱空「よし、じゃあ入るぞみんな。敵は顔すら知られていない猛者だ、油断するな?」 スイカ「フッ、何のスイカも無い。我がスイカの前ではな。」 凱空「そうか、ならば行くぞ!なるべく死なずに…ついて来い!」 ガチャッ(開) 魔王「…お?」 |
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外伝:勇者凱空X〔2〕 | |
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最初の扉を開けると、そこには一人の女が立っていた。見た感じ年上の女だ。 正直女に手を上げるのは本意ではないが、敵であるなら仕方ない諦めよう。 凱空「ふむ、敵は一人…まずは俺が行く。皆はネットリと見ていてくれ。」 ポチッ(踏) |
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ビリビリビリビリッ!(電) 凱空「なっ…ぐわぁああああああああ!!」 魔王「ん…?アハハハ!おやおや、まさかこんな簡単に引っ掛かるとはねぇ!」 凱空「こ、この痺れるような感覚…まさか、これが…!」 これが、恋!? |
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外伝:勇者凱空X〔3〕 | |
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一目見た瞬間…の、ちょっと後に走った電流のような感覚…間違いない、恋だ。 よく見ればかなり好みな顔立ちのような気もする。後は少々気が強ければ満点だ。 魔王「やれやれ、なんだいアンタら?ここらじゃ見ない顔だねぇ…名乗りな。」 凱空「フッ、俺か?よくぞ聞いてくれた。俺の名は」 魔王「ゴチャゴチャ言ってると指とツメの間に爪楊枝差し込むよ?」 亀「自分で聞いといてそれかよ!?酷ぇ…!」 凱空「ほ…惚れたっ!!」 妃后「えっ…?」 無印「え゛えぇっ!?」 魔王「…へ?」 凱空「俺の名は、「勇者:凱空」。お前を…嫁にもらいに来た男だ!!」 |
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外伝:勇者凱空X〔4〕 | |
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魔王城で出会った運命の女。どこの誰かは知らないが、もらって帰ろうホトトギス。 凱空「というわけで、一目惚れした。嫁入りの準備をしてきてくれ。」 魔王「なっ…ちょ、ちょっと待ちな。アンタ、自分が何言ってるかわかってるかい?」 凱空「…プロ坊主?」 魔王「寺に帰れ!!」 凱空「フッ、今のは冗談だがさっきのは違う。俺はお前に想い想われ振り振られ。」 魔王「アタイはニキビか!って、アンタさっき「勇者」って言ったかい?アンタが…?」 凱空「そう、何を隠そう…いや、隠すまい!俺の全てを見てくれ!なんなら脱ごう!」 魔王「脱ぐなっ!!」 |
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外伝:勇者凱空X〔5〕 | |
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俺の豪快なアタックに、女の表情もだいぶ和らいできた。畳み掛けるなら今だ。 凱空「俺はとてもワクワクしている。もはや当初の目的も思い出せん。」 魔王「ハァ、なんてこったい…。こんなのが、アタイが待ち焦がれた「勇者」とは…」 凱空「なっ…ま、待ち焦がれた!?まさか既に両想いフラグが立っていたとは!」 魔王「いや、立ってないから! くっ、あんのクソ占い師…今度会ったらシバく…!」 凱空「よし、では次はお前の番だな。まずはスリーサイズを真ん中から教えてくれ。」 魔王「上から聞けっ!いや、教えないけどね! なんで「魔王」であるアタイが…」 凱空「ま、魔王…だとぉ!?」 魔王「ホッ…どうやらやっと、わかってくれたようだねぇ。安心したよ。」 愛に障害は付き物だ。 |
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外伝:勇者凱空X〔6〕 | |
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俺の運命の女は、なんと「魔王」らしい。なんで1階にいたのかはまぁ気にすまい。 凱空「というわけで、結婚してくれ。絶対に、一生をかけて幸せにしてくれ!」 魔王「いや、アンタがしろや!」 凱空「ああ任せてくれっ!!」 魔王「あ、違っ、ちょっ…!」 声「…おっと待ちたまえ。我が主にこれ以上チョッカイを出すのはヤメてもらおうか。」 |
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凱空「なっ…ま、待ってくれハニー!」 帝雅「どうやらキミが「勇者」のようだな。悪いがここで、死んでもらうとしよう。」 凱空「フッ、それはありえん。俺は今、人生稀に見る程に…やる気に満ちている。」 |
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外伝:勇者凱空X〔7〕 | |
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妙な奴が出てきたおかげで、ハニーに逃げられてしまった俺。とんだ失態だ。 …ところで、他の皆はどこだろう?気づけば誰もいないようだが…まぁいいか。 凱空「オイ、すまんがどいてもらおうか。お前とイチャイチャしている暇は無いんだ。」 帝雅「それは断る。私はあの方に忠誠を誓うと決めたのだ。通すわけにはいかん。」 凱空「ふむ、まともにやったら手こずりそうだな…仕方ない、奥の手を使うか。」 帝雅「奥の手…だと?」 凱空「あーーーっ!あんな所に…」 帝雅「フン、何をするかと思えば子供騙しな…」 凱空「そう、もうあんな所に…。幼少時代の思い出は、もう手を伸ばしても届かな」 帝雅「って長いわっ!!」 凱空「隙アリィーーー!!」 |
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外伝:勇者凱空X〔8〕 | |
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名も知らぬ強者をなんとか気絶させ、俺は上の階へと急いだ。 途中、多くの兵と遭遇したが軽く蹴散らした。最上階にももうじき着きそうな感じだ。 凱空「ふむ、やっとここまで来たか…。もうこれ以上敵とは会いたくないもの…む?」 声「ちょっとぉ〜、勝手に入られたら超困るってゆーかぁ〜?」 |
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凱空「…む?お前は確かオカマバーの…。随分印象が変わったが、何があった?」 男似「説明とか超ダルいんですけどぉ〜。」 凱空「なんだオイ、そんなこと言うと泣くぞオイ。」 男似「じゃあ死ねばぁ〜?」 凱空「前は握るのも躊躇していたその鎌…それのせいか?どんな心境の変化だ?」 男似「…ま、事情が変わったってゆーかぁ?なりふり構ってらんない〜みたいな?」 凱空「フッ…面白い。枷が外れた貴様の実力…見せてもらおうか。」 男似「ハァ〜?超ウザ〜。」 フッ、意外と辛い。 |
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外伝:勇者凱空X〔9〕 | |
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最上階近くで会ったのは、前に会ったことのあるオカマな奴だった。 随分腕を上げているようなので戦闘は避けたいが、聞いてくれない気がするな…。 凱空「なぁどうだろう?悪いようにはしない、俺を先に行かせてはくれないか?」 男似「それはできないってゆーかぁ〜?姉さんの邪魔は絶対させないしぃ〜。」 凱空「邪魔なんてしない、むしろ幸せにする。永遠に…!」 男似「それ超邪魔だしぃ〜。」 凱空「い、一刀両断か…! しかし…むっ、なんだ!?」 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ…!(大揺) |
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凱空「この揺れ…上かっ!?そうか、拳造達が彼女と戦ってるのか…!」 男似「チッ…なんかぁ〜、こんな所で遊んでる場合じゃない〜みたいなぁ〜?」 凱空「おいオカマちゃん、ここは一時休戦ってことにしないか?」 男似「ハァ〜?何言ってるか全然わかんなぶっ!!」 ドサッ(倒) 凱空「…ふむ、いい子だ。少しだけ、休んでいるがいい。」 |
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外伝:勇者凱空X〔10〕 | |
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謎のオカマちゃんに一発お見舞いし、その隙に俺は最上階へと急いだのだった。 〜魔王城最上階:終焉の間〜 バァン!(扉) 凱空「さぁやって来たぞこの俺が!何をしにって?それはもちろんお迎えにっ!」 魔王「ん…?おや、やっと来たのかい。でも…少しばかり遅かったねぇ。」 |
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凱空「お、遅かった…? おぉ!そんなにも待ってくれていたのか!」 魔王「いや、少しは仲間を案じてやりなよ!アンタ目ぇ付いてないのかい!?」 凱空「心配したって傷は治らない。まぁ生きてるようだし、問題は無いさ。」 魔王「で、これからアンタはどうする気だい?まだ同じ茶番を続ける気かい?」 凱空「…聞くが、お前の好みの男とはどんな奴だ?」 魔王「残念だけど、それは存在しないんだよ。アタイより…強い男なんてのはね。」 凱空「フッ…いやいや、俺は一人だけ知っているぞ? それを今から、見せてやる。」 |
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外伝:勇者凱空X〔11〕 | |
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そして、未来の妻との戦闘が始まった。だがさすがは「魔王」…クソ強い。最強だ。 凱空「ハァ、ハァ、まさかこの俺に、片ヒザをつかせる人間が、存在しようとはな。」 魔王「ハァ、ハァ、アタイも、驚きだよ。アンタ…ホントに人間なのかい?」 凱空「どうだ、惚れたか?」 魔王「フン、気の早い男だねぇ。この程度でアタイに勝った気に…ぐっ!う゛ぅ…!?」 凱空「むっ、どうした!?まさか…「つわり」か!?お前の方こそなんて気の早い…」 魔王「ぐふっ、ま、待ちな…!アンタは…引っ込んで…うわぁああああああああ!!」 |
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凱空「…どうやら、噂の「魔神」がお出ましのようだな。無粋なマネをしやがる。」 魔王「なぜか彼女は戸惑っていてねぇ。そんなハンパな闘いじゃ、興ざめだろう?」 凱空「ま、構わんよ。愛する女に手を上げるのは、俺としても抵抗があったしなぁ。」 無事に救い出せば、株もあがるし。 |
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外伝:勇者凱空X〔12〕 | |
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ハニーを乗っ取るように現れたのは、古き神「魔神:マオ」の化身のようだった。 闘えば倒せる可能性はあるかもしれんが、それじゃ彼女の体まで破壊しかねん。 凱空「さぁみんな、そろそろお目覚めの時間だ!拳造、秋臼、奴の動きを止めろ!」 拳造「ぐっ…お、おぅ!任せろや!」 スイカ「意味がわかりかねる。」 凱空「スイカをスイカするんだ!」 スイカ「ふむ、任された。」 凱空「妃后、「退魔封印」の準備に入ってくれ!無印は援護を!」 妃后「うん、オッケー凱空君!」 無印「任せんしゃい! して、ダーリンは?」 凱空「俺には探し物があるんだ。絶対に見つけ出すよ…「四つ葉のクローバー」!」 亀「何のために!?」 |
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外伝:勇者凱空X〔13〕 | |
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彼女に余計な負担をかけぬよう、よってたかってマオを封印することにした。 拳造「ゼェ、ゼェ、どうよ凱空そっちは!?こっちは結構かったりぃぞオイ!?」 スイカ「ふむ、スイカの分際で、なかなかのスイカよ…!」 凱空「準備はどうだ妃后!?いけそうか!?」 妃后「いけるよっ!体に入れるのはかなり抵抗あるけど、考えたら負けだよね!」 凱空「お前は純血の退魔導士だから、多分耐えられる!つーか耐えてくれ!」 妃后「あ、うん!任せてよ凱空君!」 ピカァアアアアアア!!(光) 魔王「むぐっ!?な、なんだいこの光は…!?力が…失われていく…!」 |
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妃后「…ギブ。」 凱空「なんですと!? チッ、やはり無理があったか…!仕方ない、任せた無印!」 無印「えっ!家庭を!?」 凱空「すまんが生涯独身を貫いてくれ!今はなんとか魔王を封印するんだっ!」 亀「き、気持ちはわかるが前半のは要らねぇ気が…!」 無印「グスン…い、いいぢゃろう!永久に氷漬けにしてくれるっ、「絶・対・零・度」!」 ヒュオォオオオオオオオオオ!!(吹雪) |
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外伝:勇者凱空X〔14〕 | |
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稀に見る見事な連携で、なんとか魔王を封印することに成功した俺達。 本当はマオだけ封印できれば良かったのだが、この際仕方ない。良しとしよう。 凱空「厳しい…戦いだったな…。」 亀「お前なんもしてねぇけどな。」 凱空「フッ、オイオイ見くびらないでくれ。ちゃんと見つけたぞ?」 亀「いや、クローバーはどうでもいいよ!戦えってんだよ!」 凱空「安心しろ。順番は変わったが、それはそれで…ちゃんとやるさ。なぁオイ?」 |
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帝雅「き、貴様ら…よくも我が主を…! 許せん!許せぇええええええん!!」 男似「ちょぉ〜〜〜、ムカつくってゆーかぁ〜?」 凱空「さ〜て、じゃあ後片付けといくか。 ゴミ掃除は…嫌いじゃないんだ。」 |
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外伝:勇者凱空X〔15〕
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嫁の入った氷柱を担ぎ、俺は知り合いのいる島「カクリ島」へと移り住むことにした。 ペルペロスを貸し出す約束もしていたし、魔王戦も終わったし、まぁ頃合いだろう。 凱空「お前達にも、随分と世話になったな。皆はこれからどうするんだ?」 拳造「俺は宇宙に出るぜ。男なら、でっけぇ夢を語らねぇとなぁ。」 無印「じゃあワシもついていこうかねぇ。次の恋を宇宙に求めるもまた一興ぢゃて。」 亀「ま、まだ諦めねぇんだな…。」 スイカ「ワシはまた、新たなスイカを求めさすらおう。それがスイカのさだめだ。」 妃后「私もしばらくフラフラするよ。素敵な出会いとか落ちてないかな〜。」 凱空「そうか…ならば、しばしの別れだな。 まぁ、いずれ会うこともあるだろう。」 無印「その時は、戦いぢゃなくのんびり茶でも飲みたいもんだのぉ。」 拳造「ヘッ、まったくだな。」 妃后「美味しいお菓子があるなら来るよ♪」 スイカ「ワシもスイカを持参しよう。」 凱空「フッ…そうだな。世界が真の平和を手に入れた時…その時に、また会おう!」 |
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