外伝(肆)

 

外伝:盗子が行くU〔1〕
アタシは永遠のヒロイン盗子ちゃん♪そう、ここからはしばらくアタシのターン!
今はね、なんか知んないけどソボーが修行つけてくれる話になって…うん、死ねる。
想像はしてたけど、想像を遥かに超えた鬼のシゴキにもう死ぬ!絶対死んじゃうっ!
盗子「ゼェ、ゼェ、ね、ねぇソボー、お願い!休憩!ちょっとでいいから、休憩を…!」
ソボー「あ゛ぁ? じゃあ「死刑」。」
盗子「いや、「求刑」じゃなしに!」
ソボー「ったくなんて根性の無ぇジャリだ。まだ「初級技盗」しか覚えてねぇだろぉ?」
盗子「そ、そんなこと言ったってしょーがないじゃん!どうせセンス無いよアタシは!」
ソボー「アホか。俺様ぁこれでも、テメェを買ってんだぜぇ?」
盗子「え…ほ、ホントに…?」
ソボー「二束三文で。」
盗子「誰から!?ねぇ誰から買ったの!?それどこの勇者!?」
ソボー「嘘に決まってんだろうがぁ!高ぇじゃねぇか!!」
盗子「む、ムッキィー!死ねぇーーー!!」
こんなのが連日続いた。

 

外伝:盗子が行くU〔2〕
夏。 どうにかこうにか、今日まで生き抜いてこれたアタシ。うん、頑張ったアタシ!
でも…無理!もう無理!これ以上アイツと一緒にいたら、絶対秋までには死ぬっ!
盗子「てなわけで、記念すべき100回目の脱走を敢行するよ!今日こそは…!」
ソボー「今日こそはぁ?」
盗子「ひぃいいいいい!! えっ、えっ、なんで!?なんでアンタがいんの!?」
ソボー「あぁ〜、ちょいとゴミ出しになぁ。」
盗子「いやいやいや!全然そんなキャラじゃな…ハッ!もしやゴミってアタシ!?」
ソボー「ったく…手間ぁかけさせんじゃねぇクソジャリ。強くなるまで逃がさねぇよぉ。」
盗子「い、イヤだよもう限界だよ!アタシもう帰りたいんだよっ!」
ソボー「帰るだぁ?無理だなぁ、もはやテメェにゃ帰る場所なんざぁねぇんだよ。」
盗子「だから何度も言ってんじゃん!アタシはホントは「皇女」なの!お姫様なん…」
ソボー「帝城は大魔王の奇襲を受けて崩壊…今や帝都は、奴らの本拠地だぁ。」
盗子「そ、そんな…! じゃ、じゃあ尚更、帝都戻ってなんとかしないと…!」
ソボー「無駄だなぁ。今のテメェじゃ犬死にだ、まぁ死ぬのが趣味なら止めねぇが。」
盗子「こんな時にも、なんにもできない…。アタシ…やっぱダメな子なんだ…。」

声「そーゆーことならノープロブレム!」

盗子「ええっ!?だ、誰!?」
声「アナタには、アナタだけが得られる力があるわ。 その力とは、そう…」
盗子「その声は…!で、でもアンタ死んじゃったんじゃ…!?」

芋子「「天帝の試練」…それを乗り越えられれば、芋食いたい。」
なんと!芋子は生きていた。

 

外伝:盗子が行くU〔3〕

帝都と一緒に死んじゃったかと思ったのに生きてた芋子。でも「試練」って…何?
盗子「あ、あのさ、色々と聞きたいことが…。アンタが生きてることとか試練とか…」
芋子「死んだのは「そっくりさん」の「ポテ子」よ。他の細かい話は後回し。行くわよ。」
盗子「えっと、行きたいのは山々なんだけど…簡単に出て行ける状況じゃなくて…」
ソボー「…いやぁ、俺様は構わねぇぜぇ?それでテメェが強くなるんならなぁ。」
盗子「えっ、なにその物分りの良さ!?何かおっかないこと企んでる!?」
芋子「決まりね。 ホントは試練は15歳で挑むんだけど…この際芋食いたい。」
盗子「どの際も食ってんじゃん! って、アタシってばどこ連れてかれちゃうわけ?」
案奈「それはワタクシにィ〜お任せ〜いただきまァす。」

案奈が現れた。
盗子「うげっ!なんか超イヤな予感が…!」
案奈「古来より〜「案内人」は〜、天帝を死…試練へと導く〜者なのでェす。」
盗子「今さりげなく「死」とか言わなかった!?噛んだだけだと思って大丈夫!?」
案奈「…目的地はァ〜、「試練のほこら」で〜ございまァす。」
盗子は一瞬の間が気になった。

 

外伝:盗子が行くU〔4〕
芋子の誘いのおかげで、なんとかソボーの魔の手から逃れられたアタシ。
でも…なんかこの先の試練ってのの方がおっかない気がして…気が抜けない…。
〜メジ大陸:試練のほこら〜
案奈「え〜、無事に着いたコチラがその〜、「試練のほこら」で〜、ございまァす。」
盗子「ちっとも無事じゃなかったよ!もう試練は始まってるのかってほどに!」
芋子「まぁ敵対するもんじゃないわ。彼女も大事な「3人の従者」の1人なんだし。」
盗子「へ?3人の従者って…? それに1人足りないような…痛い゛っ!!
盗子の尻に矢が突き刺さった。
盗子「い゛ったたた…って、弓絵!?アンタが最後の1人なわけ!?」
弓絵「納得いかないですぅー!私が盗子先輩の従者とか、ありえないですぅー!」
盗子「ホントありえないよ!ご主人様のお尻を射抜くとかアンタ何様!?」
弓絵「はぁ?先輩こそ何様ですかぁ?弓絵のご主人様は勇者先輩だけでーす!」
盗子「アタシとしても大反対だよ!なんでこんな奴…!」
芋子「どうにも使えない雑魚揃えるよりはマシでしょ?諦めて芋食いねぇ。」
盗子「食えるかー!!」
だが食糧は芋しか無い。

 

外伝:盗子が行くU〔5〕
芋子が揃えた「3人の従者」ってのは、芋子と案奈と弓絵みたい。みんな弱そう…。
自慢じゃないけどアタシも弱いし、とてもじゃないけど試練とか無理な気が…。
盗子「てなわけで、やっぱヤメようかと思うんだけど…ダメ?」
芋子「却下ね。この先に待つ大戦に、希望を見出すには絶対に芋、それ以外無い。」
盗子「芋に希望を見出すのはアンタだけで十分だよ!」
弓絵「なんですかぁあの4つの扉〜?見るからに邪魔臭いです盗子先輩は〜。」
盗子「言い方おかしいよ!なんかアタシが邪魔臭いみたく聞こえるし!」
弓絵「そーゆー意味で言ったんですぅー!」
盗子「だよね!やっぱりね!ムッキィー!!」
案奈「あ、みなさまァ〜、アチラに見えますのが〜、「試練の扉」で〜ございまァす。」
盗子「う゛っ、なんか早速イヤな感じのモノが…。今度こそ…死んじゃうのかなぁ…。」
芋子「安心していいわ。今までこの試練で皇女が死んだことはな芋、食いたい…。」
盗子「そ、そだよね。もし死んでたら天帝の血は途絶えてるはずだし…うん。」
芋子「そう、今までは…ね。」
盗子ならやらかしかねない。

 

外伝:盗子が行くU〔6〕
試練のほこらにまずあったのは、「試練の扉」とかいう見るからに怪しい4つの扉。
これまでの人生経験から考えると、最低1つ…最悪4つがハズレって展開かなぁ?
案奈「ハズレは1つで〜ございまァす。」
盗子「やっぱりね!やっぱりそうなるよね!イヤだぁ〜アタシ絶対それ引くー!」
弓絵「弓絵だってイヤですぅー!弓絵には勇者先輩との幸せな結婚生活がぁ〜!」
芋子「とか言いながら律儀に扉の前に行くとは、大した芸人魂だわ二人とも。」
盗子「ど、どーせ逃げ切れないしねいつも!もうヤケだよぉー!」
芋子「4人が同時に開けなきゃ開かないわ。「いーも」で開けるわよ、いーもっ!!」
案奈「あ、ちなみに〜ハズレの扉はァ〜…」
盗子「えっ、知ってんの!?じゃあ早く言っ…」

案奈「…この扉で〜…ございまァす♪」
盗子「え…!?」
ドガァアアアアアアアアアン!!(爆発)
案奈の一帯は跡形も無く消し飛んだ。

 

外伝:盗子が行くU〔7〕
ハズレの扉は案奈ので、案奈は爆発して消えちゃった。でも案奈、それ知ってた…。
盗子「ど…どーゆーこと!?なんで…なんで案奈は…!?」
芋子「さすがは「案内人」…見事役目を果たしたわね。アッパレだわ。」
盗子「アンタも知ってたの!?知ってて犠牲に…い、イヤだよ!こんなのもう…!」
芋子「ナメてんじゃないわ。上に立つ者は、時として民の屍の上に立つものなのよ。」
盗子「そんなっ…!!」
弓絵「悲しいんですかぁ先輩〜?弓絵は盗子先輩が死んだら嬉しいですよぉ〜?」
盗子「アタシもアンタの時だけは高笑いできそうな気がするよっ!」
芋子「強大な力を得るためだもの、ある程度の犠牲はやむなしよ。」
盗子「じゃ、じゃあもしアンタだったら、芋を犠牲に先に進める!?」
芋子「それは死んでもノー。でもワタイは皇女じゃないから関係無いわ。」
盗子「なにその自分勝手な回答!?」
芋子「自分勝手はどっち!?」
盗子「ッ!!!」
芋子「ワタイだって…ワタイだってねぇ! 芋、食いたいっ!!」
芋子の激情は芋に食われた。

 

外伝:盗子が行くU〔8〕
年下の芋子に怒られて、さすがに懲りたアタシ。そうだよね…強く、ならなきゃね!
てゆーわけで先へ進んだアタシ達。ほこらは地下に続いてて、とっても…深かった。
〜試練のほこら:地下10階〜
盗子「ゼェ、ゼェ、一体、どんだけ、下行けば、終着地点なわけ…?」
弓絵「もう息切れたんですかぁ?いっそそのまま止まっちゃえばいいのにぃ〜。」
盗子「なんで隙あらば死を望むの!?息より何よりキレるよアタシ!?」
芋子「もうここは地下10階…ってことは、ぼちぼちあるわね、第二の試練。」
盗子「あっ…!なにアレ!?なんか道の奥にでっかい天秤みたいのが…!」
盗子は謎の巨大天秤を見つけた。
芋子「これは「試練の天秤」…。分かれて乗って、重い方だけが下に行けるのよ。」
盗子「へ…?なにそれ、そんな簡単なの?試練ってくらいだから、もっと悩むかと…」
弓絵「じゃあここから先は先輩一人ですね〜。頑張ってくださぁーい!」
盗子「どんだけデブなんだよアタシ!?どー考えても二人の方が沈むでしょ!」
芋子「芋、食いたい…。」
盗子「フォローしてよ!!」
それは無理な相談だった。

 

外伝:盗子が行くU〔9〕
地下10階にあったのは第二の試練「試練の天秤」。内容は単純だけど、でも…。
芋子「さて、と。ここはワタイが残るわ、お二人はさっさとあっちに乗ってちょうだい。」
盗子「えっ!な、なんでアンタが!?この中で一番要らないのは弓絵じゃん!」
弓絵「え〜?弓絵が一番って、勇者先輩からの伝言ですかぁ〜?照れますぅ〜☆」
盗子「言ってないよそんなこと!なにその無理矢理なポジティブシンキング!?」
芋子「ま、ワタイは戦闘力無いからこの先で役に立てる保証無いし。妥当でしょ?」
盗子「あ…アタシが残るよイヤだけど!超イヤだけど、でもアンタの方が向いて…」
芋子「悔しいけどワタイじゃ意味無いのよね。アナタなのよ、選ばれたのは。」
盗子「で、でも死んじゃうんでしょ!?どうせ残った方がドカーンな流れでしょ!?」
芋子「いいから乗って。ガタガタ言ってると芋食うわよ?」
3人は同時に天秤に乗った。
天秤は次第に傾いていく…。
芋子「ハァ、まったく…。一人でいいとこ取りとか困っちゃうわよね、権力も…恋も…」
盗子「え…アンタ今なんて…?」
芋子「フンッ、芋って言ったのよ! あ〜あ、芋…食いた」

ズッガァアアアアアアアアン!!(爆発)
芋子は石焼き(以下略)

 

外伝:盗子が行くU〔10〕
今度は芋子が犠牲になって、残るは2人。しかも弓絵とだなんて…なんかキツい…。
〜試練のほこら:地下15階〜
タッタッタッタ…(走)
盗子「ところでさぁ弓絵、アンタさ…なんで来たの?アンタってばアタシ嫌いでしょ?」
弓絵「別に盗子先輩のためじゃないですよぉ〜。勇者先輩のためですぅー☆」
盗子「いや、勇者関係無いし!何が勇者のためになるってのさ!?」
弓絵「だって邪魔なストーカーを排除する、絶好のチャンスじゃないですかぁ〜♪」
盗子「それアンタの望みじゃん!しかもストーカーってのもアンタの方だし!」
弓絵「弓絵はストーカーなんかじゃありませーん!相思相愛の恋人ですぅー!」
盗子「それこそ末期の発想じゃん!」
弓絵「盗子先輩こそストーカーじゃないですかぁ!一緒に旅とかしてますぅー!」
盗子「べ、別にわざとじゃないもん!たまたまそーゆー流れになっただけだもん!」
弓絵「ですよねぇ〜☆」
盗子「あっ、違っ…!」
盗子は口論じゃ勝てない。

 

外伝:盗子が行くU〔11〕
それからずっと言い争いしながら、なんとか辿り着いた地下20階。色々疲れた…。
〜試練のほこら:地下20階〜
盗子「てゆーかさ、アンタ憎む相手間違ってるって!姫の方が邪魔でしょ!?」
弓絵「あの人はいいんですぅー。姫ちゃん先輩なんか敵じゃないですぅ〜。」
盗子「いや、最大の敵じゃん!勇者本人があんだけ好きだって公言してんだから!」
弓絵「…ハァ、やっぱりおバカな人の相手はできませーん。もういいでーす。」
盗子「な、なんだよ!言いたいことがあるならハッキリ言いなよ!」
弓絵「じゃあ死んでくださーい!」
盗子「だからってそれは言い過ぎだよ!」
弓絵「…姫ちゃん先輩と話す時の勇者先輩って…勇者先輩らしく見えますかぁ?」
盗子「え…?ま、まぁ確かに、普段邪悪な勇者がデレッデレでなんか違うけど…」
弓絵「盗子先輩はズルいですぅ!勇者先輩らしい勇者先輩に、イッパイ構われて!」
盗子「そうくるの!?でもいっつも死と隣り合わせだよ!?絶対そこに好意は…」
弓絵「先輩は…なんで勇者先輩が、暗黒神の城に乗り込んだか知ってますかぁ?」
盗子「へ…?」
弓絵「暗黒神が狙うシジャンに、盗子先輩が向かうって知ったからですぅー!」
盗子「えぇっ!?いやいや、無いし!なんで勇者がそんなこと知りえたのさ!?」
弓絵「盗聴してたからですぅ!勇者先輩が!」
盗子「盗聴!?そ、そーいえば前に聞い…って、でもなんでアンタまで知って…?」
弓絵「盗聴してたからですぅ!勇者先輩をっ!」
盗子「なんて大それたことを…!!」
弓絵「他にも盗子先輩は、イッパイイッパイ構われて…!弓絵と…違って…。」
盗子「ゆ、弓絵…。」
弓絵「弓絵は、そんな盗子先輩が憎いです…。だから、死んでください。」
結局死んでください。

 

外伝:盗子が行くU〔12〕
なんか弓絵にはアタシの立ち位置が羨ましいみたいで、とっても恨まれてるっぽい。
そりゃ弓絵よりは近くにいるけどさ、誰よりも辛い目に遭わされてるわけで…。
盗子「ちょっ、待っ、ヤメてってば!そんな矢が当たったらシャレになんないよ!」
弓絵「ここで闘う運命なんですぅー!あっちの看板に書いてありますぅー!」
盗子「し、「試練の決闘」!?なんで皇女が手下と決闘しなきゃなんないの!?」
弓絵「弓絵は手下じゃありませーん!先輩を殺して勇者先輩の目を覚ましまーす!」
盗子「アンタこそ目ぇ覚ませよ!勇者はアタシを嫌っ…自分で言うと泣けるよ!」
弓絵「ハァ…鈍すぎとか最悪ですぅ〜。目障りなんで一瞬で消えてもらいますぅー!」
盗子「も…もういいよやってやるよ!これ以上話しても無駄みたいだしね!」
弓絵「食らっちゃってくださーい!必殺、「十連魔弓」!!」
盗子「フッ…今までのアタシと思ってもらっちゃあ、困るよっ!!」
盗子は全部食らった。

 

外伝:盗子が行くU〔13〕
修行で強くなったはずが、運の問題か全弾食らっちゃったアタシ。い、痛い…。
盗子「うわーん痛いよー!全身にまんべんなく打ち込まれたよぉー!」
弓絵「ハァ、もう…矢が…。こんなことなら…もっと持ってくるべきでしたぁ〜…。」
盗子「あ、あれ…?なんかアンタ…疲れてない?どしたの…?」
弓絵「ハァ、ハァ…気づかないとか…やっぱ鈍すぎて…ヤんなっちゃいますぅ〜…。」
盗子「へ…? ひ、ヒィイイイイイイイイ!!」
盗子の全身には無数のヒルが引っ付いていた。
盗子「な、なんなのさコイツら!?いつの間にっ!? って、アンタにも…!」
弓絵「さぁ?試練の演出…とかじゃないですかぁ? 「毒」とか…ウザいですぅ…。」
盗子「ど、毒!?で、でもアタシには効いてな…ハッ!まさかこの矢で解毒を!?」
弓絵「…弓絵にここまでさせといて…この先で死ぬとか無しですよぉ雑魚先輩…?」
盗子「な、なんで…?なんでアンタがアタシを助けんのさ!?アンタは勇者のこと…」
弓絵「ハァ、ハァ、ゆ、勇者先輩…弓絵…先輩が幸せになるなら…弓絵…」
盗子「あっ、落ちちゃうよそっちには裂け目が…!」
弓絵「ねぇ…盗子…先輩…?」
盗子「弓絵ぇーーー!!」

弓絵「死ね…。」
盗子「弓絵ぇーーー!?」
弓絵の恋は儚く散った。

 

外伝:盗子が行くU〔14〕
変なヤキモチを妬いたまま、弓絵が落ちちゃって…そしたら後ろで物音がしたの。
振り返ったら変な扉が開いてて…。これは、行くしかないよね…みんなのためにも!
〜試練のほこら:伝承の間〜
盗子「お、おじゃましまーす…。できれば誰も出て来ないでほし…」
声「…「導く者」、「血縁の者」、「相対する者」…その屍を越え、よく来ましたの。」
盗子「やっぱ…そうくるよね…。」

皇子「さすがは私の娘、「塔子」ですの。」
なんと!皇子が現れた。
盗子「え!娘って…じゃあアンタがアタシのホントの…?で、でも死んだはずじゃ…」
皇子「私が試練を越えて得た特殊能力「降臨」…1日だけこの世に戻ってきたの。」
盗子「う、ウソだよ!死んだ人間が生き返るとか、そんなのあるわけが…!」
皇子「それが「天帝」ですの。アナタには、それだけの可能性が眠っていますの。」
盗子「あ、アタシに…眠る力…!」
それはもうグッスリと。

 

外伝:盗子が行くU〔15〕
変な部屋の中にいたのは、なんかアタシのホントのお母ちゃんみたい。マジで…?
でも顔とかも似てるっぽいし、アタシと同じ高貴なオーラが漂ってるし…マジっぽい。
今ってばホントなら感動の再会って状況なんだろうけど、記憶とか無いし微妙。
今日しか話せないんなら色々聞きたいこととかあるんだけど、邪魔な試練が…。
よーし!こーなったらチャッチャと試練をやっつけて、親子の語らいをしてやるっ!
盗子「さぁ始めよっかマジお母ちゃん!試練って3時間くらい?それとも3日?」

皇子「3年なの。」
盗子のリタイヤが決まった。

 

第九章