第二十四章

 

4-361:本人〔14歳:LEVEL45〕
俺のピンチに現れたのは、なんと死んだはずの悪魔…先公だった。まさに悪夢だ。
勇者「ハッ、そうか!幻術だな!?これは先公の幻術に違いない!」
絞死「いや、それは矛盾した発想のような…。」
教師「久しぶりですねぇ勇者君。相変わらずダークな感じで先生嬉しいですよ。」
暗黒神「チッ、あんだけ積んどいた爆薬でも死ななかったとは…化け物かよ…!」
教師「化け物とか失礼ですねぇ。 まぁ確かに大変でしたよ、肉片かき集めるの。」
勇者「化け物じゃないか!「死ななかった」よりもより化け物じゃないか!」
絞死「本当に…父上…なんですか?」
教師「…よく、ここまで頑張りましたね。偉いですよ、絞死。花丸あげちゃいます。」
勇者「彫刻刀でか?」
教師「ハイ、背中に。」
絞死「帰ってください。」
間違いなく本人だった。

 

4-362:二人〔14歳:LEVEL45〕
本物かどうか確認するまでもなく、先公は本物っぽい。なるほどそういうことか。
勇者「さて…不利かと思われたが、先公が来て状況は変わった。ここからは」
教師「勇者君、ここは私に」
勇者「任せて先に行くとしようか。」
教師「話が早くて助かりますが、少し寂しいですね…。」
絞死「勇者さん、ここは一応皆で力を合わせて…」
勇者「コイツにそんなのは要らん。むしろ邪魔者扱いされて殺されかねん。行くぞ。」
絞死「いや、しか(ゴスッ!ぐぇ!
勇者「安心しろ、多分死なん。」
教師「実の親の前で…いい度胸ですねぇ。」
勇者「さーて、ここはお前らに任せるぞ!絶対になんとかしろよな!」
勇者は絞死を担いで立ち去った。
暗黒神「フン…ったくナメられたもんだぜ。邪神を取り込んだこの俺を一人で…」
教師「おや、聞いてなかったんですか?彼は言いましたよ…「お前ら」と。」

霊魅「ウフフ…。やっぱり彼は…いい勘してます…。」
そういうカラクリだった。

 

4-363:霊魅〔14歳:LEVEL45〕
死んだ奴が理由も無く蘇るとかありえない。となると、恐らくは霊魅の仕業だろう。
あの先公が「偽魂」の元になるものを遺して死んだとは思えんが、霊魅ならやれる。
確か噂では、命と引き換えに霊を呼べる奥義があるとか聞いた。多分それだろう。
普通の奴なら死を恐れてためらうだろうが、あの女なら特に気にもしない気がする。
いやむしろ、アイツの場合は死んだ方が自由に動けるようになるんじゃなかろうか。
生きてる今でさえ、知らぬ間に背後にいたり電話に割り込んだりできるのに…。

死んでほしくない…そう思う人間が、姫ちゃん以外にいるとは思わなかった。
勇者は怯えている。

 

4-364:出番〔14歳:LEVEL45〕
絞死を担いで上を目指そう…と思った俺だったが、今の体調じゃろくに戦えん。
土男流らの生死を確認し、生きてたら連れてくことにしよう。盾くらいにはなるだろう。
〜3階:未来の間〜
勇者「む?この部屋は…なんだ?まるで屍の展示会場じゃないか。これは一体…」
戦士A「くっ、バカな…我ら、「帝都突撃隊」が…壊滅だなんて…。」
勇者「帝都の…そうか、「咬ませ犬」として出てきたわけか。じゃあお役目ご苦労。」
ゴキュッ!(折)
戦士A「ぐぇっ!
勇者「てことは、ここには土男流も無職もいなかっ…ハッ、あれは…!」
勇者は無職を発見した。
無職「・・・・・・・・。」
勇者「返事が無い。ただの屍のようだ。」

え〜ーーー…。
生涯幸が無かった。

 

4-365:縮図〔14歳:LEVEL45〕
なにかと冴えない無職だったが、いつか何かをやってくれると思っていた。
本人もきっとそのつもりだっただろう。物語的にもそうなるのがお約束ってやつだ。
なのに奴は、特に何かを成した痕跡も無く屍と化していた。なんとも非情な結末だ。
奴が悩み、努力してたのは知っている。だが全ての努力が報われるわけじゃない。

これが…世の中の縮図か…。
みんなは頑張れ!

 

4-366:正当〔14歳:LEVEL45〕
無職のことはもう忘れよう。こうなったら土男流が生きていることを願うしかない。
まぁ生きてたところで使えるかどうかは微妙だが、この際いないよりはマシだ。
〜3階:女帝の間〜
勇者「むっ、この部屋は…おぉ土男流、生きてたか!なんだよオイ生きてたのか!」
土男流「う…うぉー師匠ー!って、私は生きてちゃダメだった感じなのか!?」
鰤子「あれぇ〜?アナタは誰かニャン?もしかしてまた私のファンの人ぉ?」
勇者「…よく頑張ったな土男流。換えの眼球を買ってくるからちょっと待ってろ。」
土男流「だ、大丈夫なんだー!だから一人にしないでほしいんだいろんな意味で!」
鰤子「キャハハ☆よくわかんないけど超ウケるぅ〜♪」
勇者「貴様…何者だ?まさか…いや、そんなありえない展開は無いとは思うが…」
鰤子「私ぃ?えっとね〜、私は…め・が・み・さ・ま☆」
勇者「ブッ殺す!!」
正当なリアクションだった。

 

4-367:告知〔14歳:LEVEL45〕
無事に土男流と合流できたのだが、その隣にはとても人とは思えん何かがいた。
最初は変わった置物だと思ったのだが、それどころか自称「女神」…よし、殺そう。
勇者「…人間、何か一つくらいは一番になりたいものだ。でなければ悲惨すぎる。」
土男流「し、師匠…?」
勇者「盗子を脅かす存在は、この俺が排除する!!」
土男流「セリフだけならともかく意味を考えるとあんまりな気配りなんだー!」
鰤子「ちょっとちょっと〜、ぜ〜んぜん意味わかんないんだけど、な〜にぃ〜?」
勇者「黙れブサイク!その身の程わきまえんキャラは何様だ!ツッコミ待ちか!?」
鰤子「そんなこと全然ないよ〜。この子結構可愛いじゃん?ひっど〜。」
勇者「お前だよお前!途中で進化を断念した猿人みたいな顔しやがってテメェ!」
鰤子「…は?」
勇者「気づけ!鏡を見ろ!現実を見ろ!そして両親の遺伝子を恨むがいい!!」

鰤子「キャハハ☆元気だね〜♪」
勇者「う…うぉああああああああああ!!」
勇者は発狂した。

 

4-368:指輪〔14歳:LEVEL45〕
だ、ダメだ。ウザい、ウザすぎる。ブサイクだけならまだしも、このキャラかよ…。
14年生きてきたが、まさか盗子に匹敵する存在に出会うことになろ…うぇっぷ!
勇者「くっ…!ま、まさかこの俺の「口撃」で、何のダメージも与えられんとは…!」
土男流「そ、そうなんだ!この人さっきからこの調子で私はもう心が折れたんだ!」
鰤子「ハァ〜、それにしてもガッカリだな〜。戦仕様かも☆って思ったのになぁ〜。」
勇者「ん、戦仕…?奴なら死んだが。」
鰤子「…え?」
勇者「(☆▽☆ )キラーン」
勇者にスイッチが入った。
勇者「いや〜あの死に方は酷かったな。もうグッチャグチャで大変だったぞ。」
鰤子「う、ウソだもん!ウッソだもんもんっ!あの…あの強くて優しい戦仕様が…!」
勇者「敵の攻撃から…子犬をかばってな…。」
鰤子「ありそう…!!」
勇者「実はアイツから、預かっているものがあるんだ。最愛のお前に…とな。」
鰤子「え…こ、この箱は…?」
勇者「自分の手で渡したかっただろうな…。開けて、ハメてみてやれよ…薬指に。」
鰤子「せ、戦仕様ぁ…!」

ドッカーーーン!(爆発)
何に備えて持ってたのか。

 

4-369:泣様〔14歳:LEVEL45〕
俺のナイスな作戦が炸裂し、謎のブサイクはドッカーンと砕け…散らなかった。
鰤子「う゛…う゛お゛お゛お゛お゛ん!戦仕様ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
勇者「くっ…!あの爆発で、死なないどころか変化無しとは…恐ろしい奴め…!」
土男流「あんなに涼しげな顔で人を爆破しちゃう師匠も負けてないんだー!」
鰤子「お゛っ、お゛っ、お゛っ!」
勇者「ひ、酷ぇな…。これほど可哀相に見えん泣き様は初めて見るぜ…。」
土男流「で、どうするんだ師匠?いつも通り始末しちゃう感じか?」
勇者「ふむ…いや、これ以上は見るに堪えんから放っておこう。どうせ敵としては…」
鰤子「お゛ぉっ、お゛っ…お゛…ぶふぉお゛お゛お゛お゛お゛!!」

勇者「…やはり斬るっ!!」
見るに堪えなかった。

 

4-370:勘違〔14歳:LEVEL45〕
面倒だから放置しようとも思ったが、やっぱりウザすぎだから俺はブサイクを斬る!
勇者「さらばだブス。次に生まれてくる時は、目に優しい顔で生まれてくるがいい。」
鰤子「う゛お゛お゛ん!う゛お゛お゛お゛お゛ん!」
勇者「死ねぇえええええええええ!!」
ピカァアアアアア…!(光)
勇者は魔剣を振りかぶった。
だが鰤子は斬る前に割れた。
土男流「うわー!いつもながらえげつないんだー!キレイに真っ二つなんだー!」
勇者「いや、違う!お、俺はまだ何も…一体何が…!?」
影「…やはり、この姿のままではダメでしたか。このような醜い「外殻」では…。」
勇者「割れた死骸から…!そうかそういうことか、俺としたことが勘違いしてたぜ!」
土男流「なんか出てきたんだー!師匠にはわかるのか!?何太郎なんだ!?」
勇者「かつて聞いたことがある。蝶のごとく“変態する能力者”…そんな話をなぁ。」

女神「ワタクシの名は「アゲハ」。アナタ…頭が高くいらしてよ?」

 

4-371:女神〔14歳:LEVEL45〕
ブッサイクがパカッと割れて中から出てきた謎の女。コイツが「女神」の真の姿か。
土男流「う、うぉー!すんごいベッピンさんが出てきたんだー!驚いたぜー!」
女神「うふふ、ありがとうお嬢ちゃん。でも見飽きた反応ですわ…死んでおしまい。」
土男流「キャラまで変わるとかすぐには対応しきれないんだ!少し待ってくれー!」
女神「あぁ…ごめんなさい、ワタクシが悪いのはわかっていますわ。美しさは罪…」
勇者「めんどくさいことに変わりないんだな。」
女神「なのに、なぜアナタは平然としていますの!?目が腐っていらして!?」
勇者「フン。俺の女神は後にも先にも姫ちゃん一人…貴様など眼中に無い、死ね。」
女神「そう、同性愛者なのね…。大丈夫、ワタクシ理解はある方でしてよ?」
土男流「凄まじくポジティブな人なんだー!そこはさっきまでと同じ人なんだー!」
勇者「フッ、顔が良くても中身で台無し…面白いサンプルだな。是非死んでくれ。」
女神「殺したいほど美しい…やはりワタクシは、罪な女ですわ。」
やっぱりめんどくさい。

 

4-372:質疑〔14歳:LEVEL45〕
見た目は劇的に変わった女神だったが、ウザいのに変わりは無かった。斬ろう。
勇者「ところで、戦闘の前に少し聞きたいことがあるんだ。」
女神「よろしくてよ。ワタクシ逃げも隠れもしませんわ。スリーサイズは上から…」
勇者「聞いてねーよ!なんだよその無駄な自信は!?あの抜け殻のことだよ!」
女神「アレは、この美しすぎる姿を世の狼達から隠すために五百年前…」
勇者「オーケーわかった。イライラするからそれ以上喋るな。」
土男流「でもキャラまで変わっちゃってるのが謎なんだ!なんでなんだ?」
女神「「サナギ」の時代は過去のこと…もはや別人と思ってよろしくてよ?」
勇者「なるほど、要は封印したい「黒歴史」と。」
女神「違いますわ!「生まれ変わった」と言いたいわけですの!」
勇者「フッ、そうか…だが悪いな、すぐに戻してやるよ…あの酷い顔になぁ!」
相当殴らなきゃ厳しい。

 

4-373:虎馬〔14歳:LEVEL45〕
そんなこんなで女神との戦闘が始まりそうだが、正直今の戦力じゃキツそうだ。
勇者「オイ土男流、お前どこまでやれる?俺が回復するまで粘れるか?」
土男流「す、すまない師匠!トーコちゃんも失って、今の私は戦力ゼロなんだー!」
勇者「そんなんでよくここまで来たなオイ!ある意味尊敬するぞ!」
女神「諦めて、素直に死んでみてはいかが?まず勝負になりませんわよ?」
勇者「フン。確かに凄まじいオーラは感じるが、そんな細腕でこの俺をぶべらっ!
女神「あら、隙だらけでしてよ?」
土男流「ひ、卑怯なんだー!セリフの最中は待つのがお約束なんだぜー!?」
勇者「チッ、俺の専売特許を…!」
土男流「今のは聞かなかったことにしてくれー!」
勇者「先のことは考えずに全力で仕留めにかかれば、まぁ2対1ならどうにか…」
声「おっと、そうはさせませんよ。」
ナンダの立体映像が現れた。
そして大勢のロボットが現れた。

土男流はトラウマが蘇った。

 

4-374:次元〔14歳:LEVEL45〕
さぁこれからだって時に空中に現れたのは、なんと殺したはずのロリコン男だった。
土男流「う、うわー!いつかの変態の人なんだー!また尻を揉まれちゃうんだー!」
勇者「バカな!貴様はあの時、肉塊にしてやったはず…!」
ナンダ「今の僕は電脳世界の住人…「死」という概念を超越した存在なのだよ。」
土男流「それを聞いてちょっとだけ安心したんだー!不死なのは怖いけども!」
勇者「やれやれ、一気に形勢逆転か…こりゃ死んだなぁオイ。」
女神「ちょっとアナタ、余計なことしないでくださる?ワタクシの美しい活躍の場が…」
ナンダ「黙れこのビッチめ。」
勇者「ロリってない奴にはそんななのか。凄まじくわかりやすいなお前。」
ナンダ「当然じゃないか。そんな糞ビッチ、僕の求める幼女とは…次元が違う!」
女神「な、なんて無礼な…!」
ナンダ「ビバ☆二次元!」
ホントに次元が違った。

 

4-375:圧倒〔14歳:LEVEL45〕
どうやらロリコンは、女神を助けに出てきたわけじゃない模様。むしろ嫌っている…?
そうとわかればやることは一つだ。同士討ちさせてこちらに有利な状況にしよう。
勇者「オイどうだロリコン、まずは共闘してこの目障りな年増を片付けんか?」
ナンダ「む…?なんだね、もしやキミも…?」
勇者「ああ。実は俺も、「ロリータ・コンテスト」の受賞歴があってな。」
土男流「嘘だとは思うけど聞きたくなかった逸話なんだー!」
ナンダ「そうかね…それならば話に乗ろうか。まずは先に、その老婆を…やれぇ!」
ロボット群は女神に襲い掛かった。

だが儚く散った。
ナンダ「なっ!?バカな、最新の「ロリータ・コンセプト」に基づき強化した彼らが…」
女神「あら、ワタクシを誰だと思っていらして?」
勇者「お、オイオイ聞いてないぞ…こんなに強い奴がなぜ先の大戦で負けた…?」
女神「負けた…?眠っていただけでしてよ?寝不足は、美容の大敵ですもの。」
強いがバカだった。

 

第二十五章