第二十章

 

3-301:傑作〔13歳:LEVEL33〕
校長から明かされた衝撃の真実。なんとあのカクリ島が、魔神の本体なのだという。
だがそういえば、錬樹の記憶でチラッと見た魔神の真の姿…確かに島ほどあった。
まぁいい、詳しくは帰ってからだ。とりあえず賢二達のいる場所まで戻るとしよう。
〜ギマイ大陸:クミルシティ〜
勇者「というわけで、俺は行こうと思う。色々世話になったし礼は言っとくぞ。死ね。」
解樹「いやいや、こちらこそ。おかげで先祖の無念も晴れた、もうホント死ねよ。」
勇者「まぁもう会うことも…いや、金に困ったら首を獲りにくる。覚悟しとけ賞金首。」
解樹「フッ…そうだ、コレ持ってけ。ウチの古い納屋にあった、多分錬樹の作品だ。」
勇者は「錬樹のグローブ」を手に入れた。
勇者「なんだこの凄まじく胡散臭いのは?悪いが要らん、勝手に捨てといてくれ。」
解樹「あ〜、でも一応傑作らしいぜ? なんでも、凄まじくモテるとか。」
勇者「OKわかった、俺が責任もって処分しとこう。」

フッ、姫ちゃん…早く会いたいぜ。
解樹は独身だ。

 

3-302:惨状〔13歳:LEVEL33〕
その後、行きと同じく最強線を乗り継ぎ、賢二らのいる相原の病院へと俺は戻った。
だが何か、様子がおかしい。人っ子一人いない…医師がアレにしても、これは妙だ。
勇者「オーイ、誰かいないのかー?オーイ賢二〜、いるなら早くワンと鳴…け…。」
勇者は血まみれの相原を見つけた。
勇者「お、オイどうしたヤブ医者!?血だらけじゃないか!それに二人は…!?」
相原「ぐふっ!ふ、二人は…さらわれた…。すまない、私にヤル気があれば…!」
勇者「頑張れよ!ヤル気でなんとかなるレベルならなんとかしとけよ!」
相原「ど…どうやらキミ達の敵は、思いのほか強大らしい。油断…しないことだ…。」
勇者「ま、待てまだ死ぬな!死ぬなら知ってることを全て話してから死ね!」
相原「…わかった。では監督と役者、配給会社の手配を…」
勇者「映画化するな!死にそうなほど血まみれでなぜそんなに余裕がある!?」
相原「いや…これは患者の血だが?」
勇者「だったら逆にもう少し取り乱せよ!」
相原「急ぎなさい、少年…。もはや一刻の猶予も…無い…くはっ!」
勇者「誰のせいで手間取ってるかをよく考えた上で発言してくれ!俺も急ぎたい!」
相原「早く、彼女を…。敵は、魔神を…「聖なる血」により…復活させると…。」
勇者「な、なにっ!?それじゃあ…!」

姫ちゃんが…!?
姫ならきっとどこかで元気だ。

 

3-303:不動〔13歳:LEVEL33〕
なにやら敵に襲われたらしい相原病院。二人はさらわれたらしい。だが敵って…?
相原「ハァ、ハァ…ふぅ〜〜…ふむ。さすがは私の薬だ、凄まじい効き目。」
勇者「どうだ、少しは落ち着いたか?」
相原「フッ…いや、残念ながらこの歳で嫁は」
勇者「そっちの意味で落ち着けとは言ってねーよ!俺はお前の親か何かか!?」
相原「すまないな少年。残念ながら今の私の力では、何の役に立てそうもない。」
勇者「貴様なんぞハナからアテにしとらん。ま、確かに味方は欲しい状況だがな。」
相原「…おぉそうだ、なら“彼”を連れて行けばいい。まだ隣の病室にいるはずだ。」
勇者「ほぉ、この大荒れの状況で逃げんとは…。頼りになりそうな奴じゃないか。」
声「おっと、買いかぶってもらっちゃ困るべ。チビッて動けなかっただけだべさ。」
勇者「弱っ!買いかぶって困るのはむしろこっちじゃないか!…って、お前は…!」

奮虎「フッ、久しぶりだべな…勇者!」

誰だっ…!?
薄情だが無理も無かった。

 

3-304:召集〔13歳:LEVEL33〕
隣の病室にいたのは…うーむ、会った記憶は無いでもないんだが、思い出せん奴。
だがもうその時点で、少なくとも雑魚なのは確定なんだ。期待外れにも程がある。
勇者「というわけで、俺は何も見なかったことにして立ち去ろうと思う。」
奮虎「ってオイオイオイ!触れてくれよ!2年ぶりくれぇの再会でねぇか!」
勇者「つーか見るからに「村人」だろ?こんな戦力外を薦めるとはどういうことだ?」
相原「いや〜、風邪の治療は終わったのに、宿が無いしと居座られてしまってね。」
勇者「面倒を押し付けるな!こっちはこれでも急いでんだぞ!?」
相原「わかっている。「魔神復活の地に集え」…さっきの彼らもそう言っていた。」
勇者「そこまでわかっててなぜ無駄に邪魔する!?」
相原「凶死君に…頼まれていてね。」
勇者「何をだっ!!」
奮虎「まぁ落ちつくべ勇者、焦っちゃ危険だっぺ。敵の正体もわからねんだべ?」
勇者「俺はお前もわからんがな!」
相原「少しでいい、事情を説明してくれんかね。何か…力になれるやもしれん。」
勇者「フン、時間の無駄だ。貴様がどれだけ使えん奴かってのは既に…むっ!?」
勇者は上を見上げた。
〔生中継〕に校長が映っている。
勇者「…そうか、そう出やがったか。それ程の状況ってことか…まぁわかるがな。」
奮虎「な、なんだべ!?暗黒神と同じ魔法…まさかコイツが噂の魔神だべか!?」
勇者「ふむ、あながち間違っちゃいない。」
校長「さぁ教え子達よ…時は来た、再び我らが学び舎に集うのだ。 さもなくば…」
聞くまでもなかった。

 

3-305:劇薬〔13歳:LEVEL33〕
校長により、学園校出身者に半強制的な召集がかかった。いや、もはや強制か。
相原「なるほど、ついに解き放たれたか…。タイムリミットはどのくらいと読むかね?」
勇者「前にツレから出たマオは大陸の魔王に入れたし、数日は消えんだろうが…」
相原「それをのんびり待つ敵でもない…か。ふむ、やはり急がねばならんようだな。」
勇者「だからさっきからそう言ってんじゃねーか!」
相原「フフ…安心しなさい、そういうことなら力になれる。 さぁこの薬を飲みなさい。」
勇者「神速で断る。」
相原「そうそう神速で…って、えぇっ!?なぜかねこの一大事に!?」
勇者「もっと一大事になるからだよ!そんな得体の知れんモノが飲めるか!」
相原「これは〔帰郷〕の能力を込めた魔法薬だ。大丈夫、今回のは実験済みだよ。」
勇者「いや、その魔法自体が結構なバクチじゃねーか!」
相原「だがいいのかね?今のカクリに、大層な戦力があるとも思えんがねぇ。」
勇者「…フン、ナメるなよヤブ?さっきの校長ので集まるさ、屈強な卒業生どもが…」

いれば…。
基本的に卒業できてない。

 

3-306:決断〔13歳:LEVEL33〕
冷静に考えて気づいた。あんな学校…卒業できた奴なんて絶対大していやしない。
仮にいたとしても、こんな急に呼び出されて間に合う奴が果たして何人いるだろう。
勇者「チッ、そうなるとやはり俺が行くしか…こんなのを、飲むしかないのか…!」
相原「飲みづらいならシロップもあるが?」
勇者「そういう問題じゃねーよ!味でそこまでゴネるって何歳児だよ俺は!?」
奮虎「すまねぇが飲んどくれよ勇者。でも安心するべ、島にはオラも付き合うべさ。」
勇者「あん?村人風情が何を言う?お前は村の入り口で村の名前だけ言ってろ。」
奮虎「そうはいかねんだべ。男には…行かなきゃなんねぇ時があるんだべさ!」
勇者「ほぉ…それはアレか?俺に粉微塵になるまで切り刻まれるとしてもか?」
奮虎「そ、そこまでされる筋合いはわかんねぇけど…それでもだっ!」
勇者「…ふぅやれやれ。まぁ試し斬りくらいにはなるか…いいだろう、ついて来い。」
奮虎「いや、せめて「オトリ」とか「盾」とか言ってもらえねぇべか!?怖いんだが!」
勇者「よし、飲むぞっ!!」
勇者はシロップを飲み干した。

 

3-307:無駄〔13歳:LEVEL33〕
激しい吐き気で目を覚ますと、なんとなく覚えある空気を感じた。ここはどこだろう?
勇者「げふぅ…こ、ここはどこだ…?少なくとも場所は移動したように見えるが…。」
奮虎「おぉ勇者、起きたべか。随分ぐったりしてたで心配してたべさ。」
勇者「つーかお前は誰だっけ?いい加減答えやがれ。」
奮虎「オメェこそいい加減思い出すべよ!奮虎だべさ!エリンのウシロシ村の!」
勇者「こんな林の中じゃわからんな…まずは平地に出るか。」
奮虎「反応しとくれよ!聞いといてスルーってそりゃあんまりだべ!」
勇者「安心しろ、思い出したからもう黙れ。これ以上思い出すと飯が食えなくなる。」
奮虎「人との思い出を汚ぇモンみたく言わねぇでくれるか!?心当たりは多いが!」
勇者「おっ、見ろよ奮虎、道っぽいのがあったぞ。これを辿ればどこかに出そうだ。」
奮虎「あぁ〜ヤメとけ。さっき見てきたら村はあっただが…行っても無駄だべよ。」
勇者「無駄だと?なぜ貴様ごとき雑魚がそんなこと言えるんだ?」
奮虎「もう滅んでたべよ、壊滅的に…。まるで、戦争でもあったみてぇに…な…。」
勇者「・・・・・・・・。」

そうか、「ニシコ村」か…。
単独犯の犯行だった。

 

3-308:再来〔13歳:LEVEL33〕
林を抜けた先には、予想通りニシコ村があった。そうか、枯れた大地は変わらずか。
ここからならカクリ島はそう遠くない。ヤブの薬にしてはまずまずの効果と言えよう。
勇者「つーわけで俺の故郷はすぐ近くだ。この吊り橋越えて川沿いに下りゃ海が…」
奮虎「海ったって…船もねぇのにどうすんだ?まさか泳ぐとか言わねぇよなオイ?」
勇者「考えちゃいないが気にするな。基本的に俺に不可能は無い。」
奮虎「ふぅ…まぁいいべ。 あぁそうだ!まだ聞いてねかったが、敵の心当たりは?」
勇者「フッ、多すぎてわからん。」
奮虎「聞いたオラが間違ってたべ…。」
勇者「まぁ気にすべきは魔神だけさ。バックの組織なんぞどうせ大した奴らじゃ…」
声「…フフッ、言ってくれるぜ。」
背後からいきなりの攻撃!
勇者は咄嗟に魔剣で受けた

…が、折れた。
勇者「なにぃいいいいいいい!?」
ズバシュッ!(斬)
勇者「ぐぉあっ!!
奮虎「ゆ、勇者ぁ!?」
勇者「チッ、この俺の背後を取るとは何者だ貴様ぁああぁぁ…(谷底に落ちながら)」
奮虎「勇者ぁーーーー!!」

ドボォン!(沈)


赤錬邪「フッ…まずは一人。」
また懐かしいのが。

 

3-309:正体〔13歳:LEVEL33〕
勇者が谷底に落とされる数時間前…。
盗子は拉致られて宇宙船的な乗り物に連れ込まれていた。
盗子「うぅううにゅああああっ!はぁーなぁーーそぇいっ!(バキッ!)」
兵士「ぶへっ! も、桃錬邪様!なんとかしてくださいこの小娘…イタタタタッ!
桃錬邪「えぇ〜めんどっちぃ〜。そんなんが桃さんの仕事とは聞いてないれすよ?」
盗子「はぁ?フンだ何が桃錬邪だよ!ニセモノでしょアンタ!? だって本物は…」
桃錬邪「な…なぜわかったれすかっ!?もしやエスパー!?もしくは…エスパー?」
盗子「思いつかないんなら「もしくは」とか言うなよ!エスパーとか全然違うし!」
桃錬邪「…どーやらバレちゃってるようれすね。だったらこんなん要らんれすよっ!」
桃錬邪は覆面を脱いだ。
観理「そう!何を隠そう…?」
盗子「聞くなよっ!そっから先はアンタが衝撃の事実を告げるとこだよ!」
観理「な、何かを隠そう!観理さんは「時魔導士」の、その名も…!」
盗子「「カンリ」だよね!?先に言っちゃったの気づいてる!?それに「何かを」て!」

観理「…もーいいれす。」
盗子「えっ!?ゴメッ、待って…!?」
盗子は混乱している。

 

3-310:相変〔13歳:LEVEL33〕
盗子をさらったのは、なんと桃錬邪に扮した観理だった。
だが敵の割に威圧感が無さすぎで、盗子はどうしていいかわからなかった。
盗子「ふ〜ん、なるほどね。つまりアンタは新しい五錬邪の一味ってわけなんだ?」
観理「そーなのれすよ。あ、他にもいるれすよ?6人揃って…五錬邪ぁ!」
盗子「多いし!! あー…でもまぁ確かに全色揃ったら6色かぁ。ややこしいな〜。」
観理「けど観理さん正直好きくないからもう着ないれす。さよなら桃ちゃんれすよ。」
盗子「んで?これからアタシらはどこに連れてかれんの?」
観理「魔神復活の地とかなんとか聞いたれす。お名前は確か…「パクリ島」?」
盗子「えっ、も、もしかしてカクリ島のこと!?なんでカクリ島が関係してんの!?」
観理「難しいことは知らんれす。」
盗子「アンタ幹部なんじゃないの!?」
観理「う〜ん…でも黄色い人はあんま教えてくれな(ガンッ!)」
タライが炸裂した。
観理「ふみゅぅ〜…。」
賢二「ふぅ、相変わらずな人で助かったよ。そうか敵は…黄錬邪さん達なんだね。」
盗子「け、賢二!無事だったんだね! さっきの話聞いてた?カクリ島が…!」
賢二「うん…わかってる。」

賢二「逃げよう、大陸に。」
賢二は賢二だった。

 

3-311:戦力〔13歳:LEVEL33〕
赤錬邪らしき奴に襲われ、川に落とされた俺。 あの野郎生きて…いや、別人か。
俺の勘が確かなら、新たに動き出した「新五錬邪」が今回の黒幕と見ていいだろう。
勇者「ゲホッゲホッ! チッ、となると首領は黄錬邪か…奴の能力は侮れんなぁ。」
声「オーイ勇者ぁー!大丈夫だべかー!?」
勇者「むっ、奮虎か…?なんだお前、あの状況で無事とは何がどうなった?」
奮虎「あぁ、なんでか知らねぇけども見逃されただ。舌打ちして帰ってっただよ。」
勇者「なるほど、相手にするだけ面倒だと。」
奮虎「反論できないだけに傷つくべよ…。と、ところでどーすんだべさこれから?」
勇者「かつてベビルは学校に忍び込んだ。何かの鍵がある可能性は高いだろう。」
奮虎「ん〜よくわかんねぇけども、とにかくその学校さあるとこを目指すんだべな?」
勇者「ああ。だがまぁ今のカクリ島の戦力で、守りきれていればの…話だがな。」

〜その頃〜
兵士「撃てぇー!撃って撃って撃ちまくれぇー!!」
ズドンッ!ズドォオオオオン!(爆発)
美盗「チッ、マズいね…まだ応援は来ないのかい!?ぼちぼち結界も限界だよ!」
女医「困ったものね。冬休み中で帰省中の先生も多いし…いっそ死んでみちゃう?」
美盗「んな気軽に死ねるかっ!アタシの人生まだまだこれからだっつーの!」
女医「あら、じゃあどうするの?今ここにいるのは非戦闘員ばかりだけど?」
美盗「フン、やったるさ。元帝都隠密部隊長の逃げ足…侮ってもらっちゃ困るよ!」
逃げられても困るが。

 

3-312:誤解〔13歳:LEVEL33〕
急いでカクリ島へ向かうべく海岸へ出た俺達だったが、船の一隻も見当たらない。
どうやら以前の事件で村が廃村になって以来、島の機能も停止してるっぽい。
勇者「つーわけで、船に乗ってもないのに事態は暗礁に乗り上げたわけだが。」
奮虎「いや、無駄にうめぇこと言ってん場合じゃねぇべさ!とっとと何か考えねぇと!」
勇者「何かって言われてもなぁ。今からイカダ作るとか勘弁…むっ、なんだアレ…?」
勇者は沖合いを見た。
なんと!海竜らしき生き物が見えた。
勇者「いいもの発見!よし、捕らえるぞ。まずは攻撃で気絶させ、泳いで乗り込む。」
奮虎「と、捕らえるったってよ、あんな遠くの奴にゃ攻撃のしようもねぇべ?」
勇者「フッやれやれ、これだから田舎者は困る。 ホレ、そこに岩が見えるだろ?」
奮虎「ん?あの小屋みてぇにでっけぇ大岩のことだべか?あれがどうしただ?」
勇者「投げろ。」
奮虎「無茶言うなっぺ!まず持てもしねぇべよ!…つか田舎者関係無くねぇか!?」
勇者「フッ、甘いぜ。実はこの「錬樹のグローブ」…とってもモテる魔法の手袋でな。」
奮虎「そのモテるとは意味が違ぇ気がすんだけども!?」
岩は軽々持ち上がった。
勇者「・・・・・・・・。」

えっ!そういう意味!?
そういう意味だった。

 

3-313:砲撃〔13歳:LEVEL33〕
その頃、観理から宇宙船的な乗り物を奪った盗子と賢二は…。
賢二「み、見えてきちゃったねカクリ島…。でも校長先生にああ言われちゃね…。」
盗子「魔神復活の地…か。意味わかんないけど校長先生のことじゃないよね…?」
賢二「だったらだったで驚かない自信はあるけどね…。」
盗子「タイミング的に、新五錬邪が何かやらかしてると思っていい感じだよね…。」
賢二「全然いい感じの話ではないけどね…。」
盗子「で、でもホラ!あの放送聞いたんなら勇者や他の仲間とかもイッパイ集結し」
ズガァアアアアアン!!(衝撃)
凄まじい衝撃が船内を駆け抜けた。
盗子「うわわわわっ!?えっ!ど、どーしたの何があったの!?」
兵士「た、大変ですこの敵野郎ども!」
盗子「なんちゅー口の利き方だよ!いや確かに敵なんだけどもさ!」
賢二「で、一体何があったんですか!?船尾の方に何かあったみたいだけど…!」

兵士「巨大な岩が…!」
身内の攻撃だった。

 

3-314:呼掛〔13歳:LEVEL33〕
海竜に向かって岩を投げたら、勢い余って飛んでた船っぽいのを打ち落とした。
状況的に味方って線も考えられるが、やっちまったことは深くは考えない主義だ。
勇者「チッ、失敗した。次はもっとこう、直線的に破壊力のある感じで…。」
奮虎「ま、待つべ勇者!今の勢いで当たったら捕らえるどころか死んじまうべ!」
勇者「それはそれで面白い。」
奮虎「面白さは二の次で頼むべ!も、もっと他に何かいい案は無ぇもんだべか?」
勇者「呼ぶ。」
奮虎「そんなんで済んだら世話ねぇべよ!そもそも言葉とか通じんもんだべか!?」
勇者「フッ、安心しろ。俺と奴は戦いに無理矢理巻き込んでやった程の仲だ。」
奮虎「それのどこに安心できる要素さあんのか教えてほしいくれぇだが!?」
勇者「今まで俺の思い通りにならなかったことなど…ないっ!オォ〜〜〜〜イ!!」
勇者はとりあえず呼んだ。
姫「なぁーーにぃーー?(海竜の頭上から)」
勇者「えぇっ!?」
呼んでないのが答えた。

 

3-315:暗躍〔13歳:LEVEL33〕
海竜を呼んだら姫ちゃんが出た。まったくもって登場の読めない彼女…素敵だっ!
しかも、なにやら普通に海竜を従えている模様。おかげで足も確保できそうだ。
勇者「姫ちゃん、無事だったんだな!一体今まで…とかは聞くだけヤボだと理解。」
姫「ちょこっとぶりだね勇者君。背ぇ伸びた?」
勇者「すまない姫ちゃん、俺の成長期にも限界はあるんだ。」
奮虎(あ、あの勇者がこったら顔するとは…。この娘っこ、タダ者じゃねぇべ…!)
勇者「ところで姫ちゃん、これからカクリ島に行くんだが、その海竜借りていいか?」
姫「ん〜、いいよね?」
海竜(ビクッ!!)
奮虎「やっぱしタダ者じゃねぇべ…!」
勇者「よーし、じゃあ行くぞ!まぁ行ってからのことは、何も考えてないがなっ!」
勇者一向は海に出た。
〜その頃〜
男A「…どうやら行ったようですね。でも良かったのですか?我々も行かなくて…。」
校長「フッ、行っても力にはなれまい。我々は我々の…できることをするまでだ。」
男B「校長、「魔法陣」の準備整いました。ですが術士の卒業生はまだ半分も…」
校長「構わん、すぐに始めるぞ。急がねばこの数年の研究が全て、徒労に終わる。」
また何か怪しい企みが。

 

第二十一章