第十三章

 

3-196:再会〔13歳:LEVEL30〕
キザな呪文を唱えつつ、偉そうに賢二が登場した。やっぱ居たんじゃねーかクソが。
勇者「フン、やっと来やがったか雑魚めが。この俺を待たすとはいい度胸だよなぁ。」
賢二「久しぶりだね勇者君。とりあえず覚えててもらえたみたいで一安心だよ。」
暗殺美「けっ、け、けけけ、けっ…!」
姫「結婚したいの?」
暗殺美「けはぁっ!な、ななな何言ってるさこの天然爆弾娘がっ!誰が、そんな…」
Y窃「だ、ダレ姫ちゃん!?ダレ姫ちゃんじゃないか!会いたかったよ!」
姫「はじめまして姫だよ。」
賢二「なんか大変なことになってるみたいだね…。嗟嘆さんって暗黒神だよね…?」
盗子「え、なんでアンタがコイツの名前知ってんの?たった今きたばっかなのに…」
賢二「いや、なんかどっかからこっちの音声が聞こえてきて…なんでかなぁ?」
勇者「あぁ、盗聴器を「無線モード」に切り替えたんだ。お前に情報をやりたくてな。」
賢二「うん…おかげで心の準備ができたよ。」
盗子「おっ、ヤル気マンマン!?ちょっと期待できそうじゃん賢二のくせに!」
賢二「一度でいいからお姉ちゃんに…会いたかったなぁ…。」
盗子「ってそっちの準備!?」
ホントは年中できてる。

 

3-197:本気〔13歳:LEVEL30〕
相変わらずの雰囲気の賢二だが、なんとなく強くなった感じが見えなくもない。
過剰な期待をする気は一切無いが、とりあえず冥符の野郎はコイツに任せよう。
暗黒神「で、再会の挨拶は済んだか?ぼちぼち本題に戻ってもらいたいんだが。」
勇者「フン、意外と律儀な奴だな貴様も。悪役のお約束はわかってると見える。」
暗黒神「まあな。再会と変身シーンは邪魔すんなってのは、暗黙のルールだろ?」
商南「な、なんか調子狂う悪役やなぁ…。誰に悪を教わってん?」
暗黒神「にしても…まぁなんだ、結局2対2になっちまったな。いい展開じゃねぇか。」
勇者「これで心置きなくサシでやれるな、暗黒神。 オイ賢二、そっちは任せたぞ。」
賢二「…うん、やるよ。お師匠様の遺志…今回は僕も、逃げるわけにはいかない。」
暗殺美「待てさ!あ、アンタみたいな雑魚にそんな危険な…大役なんて無茶さ!」
賢二「いいんだ暗殺美さん。心配はありがたいけど、今回は僕に任せてほしい。」
暗殺美「べ、別にアンタのためとかじゃないさ調子乗んなさボケが!別に私は…」
賢二「いいから。」
暗殺美「あ、うん…☆」
冥符「ヒュ〜♪カッコいいね。じゃあキミは俺が引き受けよう。この愛の戦士が、ね。」
賢二「本気でいくよ。僕の持てる、全ての…防御魔法で!」
戦え賢二。

 

3-198:強敵〔13歳:LEVEL30〕
作業分担ができた。俺は暗黒神で、賢二は冥符。少しは希望が見えてきた感じだ。
勇者「さて、ようやく落ち着いてやり合えそうだな。今度こそ決着をつけてやる。」
暗黒神「うぬぼれるなよ小僧。確かに親父は強かったが、お前はただのガキだ。」
勇者「フン、せいぜいナメておけ。負けた時の言い訳くらいにはなろう。 来い!!」
死闘の火ぶたが切って落とされた。
冥符「あっちは始まったようだ…じゃあこっちもやろうか。俺も負けられん身でね。」
賢二「えっと商南さん、この人はやっぱり…強い人?そうだよね絶対そうだよね…。」
商南「ん?んー…とりあえず「個性」は。」
賢二「いや、そんな情報は特に…というか、弱い人の方が周りに少ないというか。」
冥符「オイオイちょっと待てよ。なんだアンタ、まさか俺のハニーと親密な仲か…?」
賢二「え゛、いや、そんなことはまったく…!」
暗殺美「そうさ何言ってるさクソが!なんで賢…こ、こんな甲斐性なしに限って!」
冥符「ふ〜ん、そうかなぁ?ちょっと頼りないけど、キリッとすりゃ男前だと思うが。」
暗殺美「え、あ、うん、いやっ!そ…そんなこ…あ、うっ、ば、バカ言うなさっ!」
暗殺美の敵は自分だ。

 

3-199:効果〔13歳:LEVEL30〕
そしてついに最終決戦が始まったのだった。
冥符「さて、ハニーの友達なら無駄に痛めつけたくはない。楽に死なせてあげよう。」
賢二「そ、そう簡単にはいかないよ。僕には太郎さん直伝の「逃げ足」が…」
商南「んなモン誇るなや!アテにしたってんからキバらんかいボケェ!」
冥符「アテにって…こんなピンチに…?や、やっぱりコイツ、ハニーの…!?」
賢二「いやいやいや!だから勝手に目のカタキにされるのとかホント勘弁で…」
商南「…あーそーや!せやねん、コイツがウチの彼やねん。な?ダーリン♪」
冥&暗「なっ、ぬぁにぃいいいいい!?」
賢二「や、ちょっ…困るよ商南さん!そんな根も葉もない…」
商南(アンタ自信無いんやろ?やったら心理戦や、これでアイツ動揺しまくりやで。)

冥符「こ、殺すっ…!!」
見事に逆効果だった。

 

3-200:過去〔13歳:LEVEL30〕
商南が無駄に煽ったおかげで、動揺を通り越して殺意が芽生えた冥符。
とばっちりを受けた賢二の運命やいかに。
冥符「愛とは奪い、奪われるもの…。この俺の愛のため、悪いが死んでもらおう。」
賢二「いや、だからそれは誤解で…!」
冥符「いや、いい。過去に誰を愛そうが…そんなのにこだわるのは、愛じゃないし。」
賢二「その目はメチャメチャこだわってる目に見えるんですが!?」
冥符「さぁ死ね!死んで彼女の「過去」となれ! 乱れ飛べ、「爆撃符」!」
冥符はありえない数の術符を繰り出した。
商南「チッ、何枚も軽々と…!やっぱホンマもんの「符術士」は格がちゃうわ!」
賢二「はわわ!た、助けて〔絶壁〕!ついでに〔鉄壁〕!あと、あと…うわぁああ!
ちゅどおおおおおおおおおおおん!(大爆発)
賢二らしさ全開。

 

3-201:親愛〔13歳:LEVEL30〕
やっぱりというかなんというか、賢二はアッサリやられたのだった。
冥符「フッ、他愛もない。この程度の実力で、この嗟嘆四天王に楯突こうとは…」
商南「くぅ〜!やっぱあの数はかわしきれんかったか。ま、間に合ったしええけど。」
冥符「なにっ、背後!?ま、まさかハニー、「瞬速符」で彼を…!?なぜ!?」
商南「なぜってアンタら世界滅ぼす気やろ?それ防ぐためならそら頑張るわ。」
冥符「こんな愛の無い世界、滅んで当然なのさ。大丈夫、キミは死なせないから。」
商南「あーもーウザいウザい!だから何が愛やねん!どういう定義やねん一体!」
冥符「基本的に自分勝手…それが愛。」
商南「真理っぽい!真理っぽいけどもっ!でも想い想われてこそ愛ちゃうん!?」
冥符「そう…まるで俺達のように。」
商南「アンタの発想はストーカーのそれやねん!親にどんな教育されてきてん!?」
冥符「親、か…。俺は親を知らないんだ、まるでみんなに嫌われる奥歯の如く。」
商南「妙な例えは要らん!ま、まぁ同情はせんでもないけど…。」
冥符「おぉ!じゃあついに俺の想いに!?そうと決まれば今すぐ挙式…ハッ!」
賢二「油断したね。さっきの攻撃でちょっと痺れてたけど、十分に回復できたよ。」
冥符「くっ、いつの間に!?しまった、この俺としたことが…!」
商南「やったれぇタレ目ーー!!」

賢二「〔超防御〕!!」
攻撃ちゃうんかい。

 

3-202:素敵〔13歳:LEVEL30〕
ここぞという見せ場にも、防御魔法を唱えちゃう程ビビッている賢二。
そんな超後ろ向きな態度に、商南の怒りはピークに達していた。
商南「なんやねん!なんやねんその腰抜け具合!?今のタイミングは攻撃やろ!」
賢二「い、いや、やっぱり争いは良くないというかなんというか…ねぇ?」
商南「ねぇ?ちゃうわボケェ!んなこと言うてる場合ちゃうやろ!死んでも行けや!」
暗殺美「べ、別に無理しなくていいのさ。雑魚は雑魚なりに分をわきまえて、その…」
商南「甘やかすなや!コイツも一応男やねんで?それが争いはイヤて軟弱な…!」
暗殺美「それが彼のいい…い…い、いくじなしっ!バカッ!バカバカ死ねさ犬がっ!」
賢二「孤独だなぁ…。」
冥符「諦めな。愛はいつでも命がけ…もはや死をもってしか決着はつけられない。」
賢二「ちょ、ちょっと待って!話し合おうよ!話せばわか…るとも思えないけど…。」
商南「一体どこまで弱気やねん!その死んだ魚より死んだ目はなんやねん!?」
冥符「ハァ…もういいよアンタ、死んでくれ。これ以上、愛を侮辱するんじゃない。」
賢二「き、金城守りし剛の森、柔の川…」
商南「ってこの期に及んで防御魔法!?アンタいっぺん生まれ変わってこいや!」
姫「だったら私の出番だね。ここは私に任せれば素敵だよ。」
暗殺美「姫!?フッと湧いて出ていきなり何する気さ!?危険だからヤメ…」
姫「むぅ〜〜〜!みんな揃って、「反転」!!」
姫は〔反転〕を唱えた。
そして事態は面白いことに。

 

3-203:混沌〔13歳:LEVEL30〕
姫が唱えた魔法により、何がどうなるかは大体想像がついた。
冥符「愛なんていらねぇ…。愛なんて…そんなの所詮、ただの幻想なんだよ…。」
商南「あんなぁ〜?ウチはなぁ〜、そうは思わへんのやんかぁ〜?」
暗殺美「あ、あのねあのね?私、前から賢二君に言いたかったことが…えっと…。」
賢二「あん?ウゼェよメス豚が。ブヒブヒ言ってっと油で香ばしく揚げんぞコラ?」
暗殺美「賢二きゅん、素敵…☆」
姫「あ〜、みんな元気だね。」
商南「なんでなぁ〜、アンタだけなぁ〜、なんも変わらへんのかなぁ〜?」

〜その頃〜
勇者「す、すみません殴ったりとか、その…!」
暗黒神「あっ、いやいや、お構いなくホントに!」
平和っぽいが台無しだ。

 

3-204:究極〔13歳:LEVEL30〕
予想通りとなったその状況は、そのまましばらく続いたのだった。
賢二「さっきまでは随分と世話になったなぁ。今度は俺の番…全員、皆殺しだ!」
商南「あんなぁ〜?皆殺しは困るんやんかぁ〜?」
暗殺美「賢二きゅん、ガンバッ!」
賢二「防御なんぞ雑魚の所業…攻撃こそ最大の防御なり!食らえ〔炎陣〕!!」
冥符「チッ、マズい…!我を守る四壁となれ、「盾道符(じゅんどうふ)」!」
暗殺美「あっちゅい!あちゅいよ賢二きゅん!で、でもでも私の想いの方が…」
賢二「だからウゼェよこのメス犬が!テメェがフンしても拾って帰らねぇぞコラ!?」
冥符「もういいよ、人は皆いつでも孤独…こんな世界、この俺が終わりにする!」
賢二「終わるのは貴様だけだ。悪いが俺は、手加減ってのを知らんのでな。」
冥符「それは俺とて同じこと!さぁ四地を這え「地道符」!四天を覆え、「天道符」!」
賢二「フッ、ならば俺様も見せてやろう。今まで貴様が見たこともないような究極の」

賢二「土下座を…。」

それはもう究極だったとか。

 

3-205:決意〔13歳:LEVEL30〕
ちょうどいい所で夢は覚め、最悪の状況に追い込まれた賢二。
だが、彼は意外にも冷静だった。
賢二「みんな…落ち着いてよく聞いて。ここは僕が食い止める、だからみんなは…」
暗殺美「け、賢二きゅん!?ダメダメそん…ハッ!な、なに言ってんのさカスがっ!」
賢二「今のうちに遺書を…」
商南「って守れる自信は皆無かい!しかもカッコ良さげな前振りからそれてオイ!」
冥符「ふぅ…やっと覚めたか、酷い目に遭った。この俺が愛を否定するなんて…!」
姫「謝ろうよ賢二君。」
賢二「えっ!僕なの!?いつの間に僕!?」
冥符「これはもう…死で償ってもらおうか。 四歯を剥け、「蛇道符」!奴を殺せ!」
賢二「ひゃああっ!お、お助けぇ〜〜!!」

冥符の攻撃!

ミス!暗殺美が賢二をかばった。

賢二「えっ…あ…暗殺美さん!?そんなっ…!」
暗殺美「チッ、とんだ…とばっちりさ…。こうなったら私の分まで…生きろさボケ…。」
冥符「あ〜らら、まさか女に…。 その子、死んだよ?この毒じゃ5分ともつまい。」
賢二「う、あ…ど、どうすれば!?僕のせいで…僕のせいで暗殺美さんが…!」
商南「うろたえるなやヘタレが!多分、符術士なら「解毒符」は持っとるはずや!」
冥符「おっ、察しがいいねぇさすがマイハニー。いいよ、俺を倒せたらくれてやろう。」
賢二「…ホントだね?ホントに僕が勝ったら、解毒剤くれるんだよね…?」
冥符「男に二言は無いさ。男にはただ一つ…愛を伝えるその一言があればいい。」
賢二「だったら5分も、要らない!3分で…4分で、ケリをつける!5分で!」
結局どうなんだ。

 

3-206:禁断〔13歳:LEVEL30〕
強気だか弱気だかわからないタンカを火ぶたに、戦いは始まった。
状況が状況だけにもう逃げられない。

冥符「さぁ来るがいい臆病者よ。この俺が、愛の力の素晴らしさを教えてやろう。」
賢二「じゃ、じゃあいくよ!避けれるものなら避けてみなよ! いでよ、「鉄柱」!」

賢二は〔鉄柱〕を唱えた。
ミス!冥符は「瞬速符」で華麗に避けた。
冥符「ハハッ!やっぱ甘いよアンタ、そんなノロい攻撃がこの俺に当たるとでも?」
賢二「くっ、やっぱり並の魔法じゃ…だったらやっぱり…! 全てを燃やす灼熱の…」
冥符「おっと、詠唱なんてさせないぜ?そんな時間くれてやるほど俺は…」
賢二B「全てを焦がす漆黒の炎!」
冥符「なっ!?いつの間に後ろに…違う!これは…!」
賢二C「全てを無に帰す煉獄の炎…!」
冥符「三人いるだと!?そ、その魔法は禁断の…!貴様、正気かっ!?」

賢二は〔分身〕で勝負に出た。

 

3-207:掛算〔13歳:LEVEL30〕

将来大変な目に遭う危険をもかえりみず、賢二は三体に分かれた。

商南「おぉ…!おっしゃ、やれるんちゃう!?いくらあの半人前でも3人おれば…!」
姫「そだね。3人いれば掛け算だよ。半分かける半分かける半分だよ。」
商南「って0.125やんか!さらに減ってもうてるし!そら「累乗」言うねん!」
冥符「なるほどな。三人に分かれて詠唱すれば、誰かが間に合うと踏んだわけね。」
賢二A「あらゆる景色が塵と化す、赤く渦巻く風陣の中で!もがき!苦しぶふっ!
ボシュウウウウ〜…(消滅)
冥符「だが、やはり甘い…。そんなんじゃただの時間稼ぎにすぎないことくらい…」
賢二B「ぶわふっ!!
シュウウウ…(消滅)
冥符「…わかるだろう?」
商南「あ、アカン!一瞬で一人に戻ってもうた! 急ぐんやタレ目ぇー!!」
暗殺美「け、賢二…くん…!」
冥符「残念だが間に合わないね! 四空を穿て、「矛道符(むどうふ)」!」

冥符、必殺の攻撃!

賢二は全身を貫かれた。

 

3-208:決着〔13歳:LEVEL30〕
やっぱり賢二はダメだった。

賢二C「ぐふっ…!うぅ…儚く、揺れる…陽炎の中で…!」
冥符「無理はヤメときな。一応急所ははずした、動かなけりゃまだ死なずに済む。」
姫「動かないで賢二君!私が代わりに二倍動くよ!」
商南「それに何の意味があんねん!?」
賢二C「お、終わり無き…ぐふっ!絶望の…中で…う゛っ……ぐはっ!(ガクッ)」
冥符「大人しく眠れ。目が覚めたら、世界は色を変えているだろう。」

賢二は動かなくなった。

フシュウウウウ〜…(消滅)
冥符「って、なぁっ!?なにぃいいい!?」
商南「き、消えた…やとぉ!?んなアホな!なんで全員消え…」

「…右手に炎を…」

冥符「!!?」
商南「な、なんやこの声…一体どこから…!?」

「左手に、守るべき者を!」

冥符「ま、まさか…!」

「我、全ての闇を!赤炎に染める者なり!!」

冥符「まさか…あの分身は、三人ともフェイクで…!? 狙いは、最初から…!」


鉄柱⇒賢二「燃え上がれ!〔火炎地獄〕!!」

冥符「ぐっ、ぐわぁああああああああああ!!

「解毒符」を忘れちゃいないか。

 

3-209:束間〔13歳:LEVEL30〕
意外な頭脳プレーで、賢二は冥符を撃破した。
幸運にも解毒符は無事だったため、暗殺美は死なずに済んだのだった。

暗殺美「ふぅ〜…おかげで助か…お、おかげでえらい目に遭ったさ!いい迷惑さ!」
賢二「ご、ゴメンね暗殺美さん…僕の…せいで…(バタッ)」

賢二は意識を失った。
暗殺美「えっ!?け、賢二君!?だいじょ…気絶してるかさ?」
商南「ん?ああ、気絶しとるな。」
暗殺美「大丈夫!?ねぇ大丈夫!?死んじゃイヤさ賢二きゅーーん!!」
冥符「ぐっ…う゛っ……。」
商南「にしても敵も大したやっちゃで。とっさに「冷却符」出して致命傷は避けとる。」
姫「厳しい…戦いだったね…。」
商南「アンタがおらな途中のドタバタは無かったけどな。」
姫「でも大丈夫、まだまだやれるよ!」
商南「やらんでええ!」
言って聞いたら姫じゃない。

 

3-210:敵討〔13歳:LEVEL30〕
そんなこんなで賢二の方は一段落ついた。
あとは―――。
姫「あ、そうだ商南ちゃん。今度は勇者君を応援しようよ。」
商南「あっ、せや!勇者のこと忘れてたわ! アイツ、死んでへんやろな…?」
勇者「勝手に殺すな雑魚商人が。俺は殺されても死なん不死身の男だぞ。」
商南「えぇっ!?ゆ、勇者!?なんでアンタがそないのんびりしてんねん!?」
勇者「あ〜、ちょっくら休憩中だ。さすがは伝説の三悪神…休み無しじゃキツいわ。」
姫「勇者君、お茶飲む?」
勇者「…悪いが姫ちゃん、今はそんな気分じゃないんだ。」
商南「せ、せやで!そんな場合ちゃうねん!はよ暗黒神ブッ倒してこんかいボケ!」
勇者「ミルクがいいな。」
商南「そーゆー意味やったんかい!」
姫「ちょっと待っててね、絞ってくるよ。」
商南「何をどっからやねん!?って、そうやなくて…!」
勇者「ま、今は“奴”に任せるさ。主人公は切り札と…昔から決まってるんでな。」
商南「へ?奴…?」

暗黒神「チッ…やるじゃねぇか。最初は油断でもしてたってのかオイ?」
副長「随分と…休ませていただきました。部下のカタキ、とらせてもらいますよ。」
そういやいたっけ。

 

第十四章