第十四章

 

3-211:全開〔13歳:LEVEL30〕
ホントは俺がやるつもりだったが、少々疲れたので副長とやらと代わることにした。
商南「で?何者やねんアイツ?任せれるほど強い奴なんやろなぁ?」
勇者「知らん。ただあの帝都の軍で副長と呼ばれる奴だ、それなりにやるだろうさ。」
暗殺美「でも「二番隊隊長」とか言ってた奴はアッサリやられたさ。だから微妙さ。」
副長「それは少々誤解がある。昭二さんは女性に甘い…相手が悪かったのです。」
姫「おかしい人を亡くしちゃったね。」
副長「言葉は間違っているのですが、否定しきれないのが悲しいところです。」
暗黒神「俺の質問にも答えてくれよ。さっきは一捻りだったお前が今は…なぜだ?」
副長「…私の能力は、相手の魔力を読み切るのに…少々時間が必要でしてね。」
暗殺美「じゃあ今からパワー全開ってわけかさ。」
姫「全開なら勇者君も負けてないよね。」
勇者「うわぉ!いつの間にかチャックが!?」
商南「ブチ壊すなや緊迫感を!クライマックスくらい大人しくしとらんかい!」
暗黒神「今のうちに、名を聞いておこうか。死んでからじゃ答えられまい?」
副長「私は「反魔導士:副楼(フクロウ)」…私にはもう、アナタの魔法は通じない。」
宿敵とカブッた感が。

 

3-212:合図〔13歳:LEVEL30〕
副長改め「副楼」は、「反魔導士」とかいう職業らしい。なんとなく想像がつく職だ。
暗殺美「反魔導士…聞いたことがあるさ。確か敵の反対の性質の魔法を使うさ。」
勇者「それは宿敵の「好敵手」とどう違うんだ?使えんニオイがせんでもないが。」
副長「大丈夫。確かに「好敵手」ほど万能で完全防御とはいきませんが、逆に…」
勇者「勝つこともできる力…というわけだな?要は貴様の力量次第、ということか。」
副長「ご理解が早くて助かります。では、私に一任していただけると思っても?」
勇者「フッ、いいだろう。だが5分だ、それ以上は待たん。手助けも一切しないぞ。」
副長「5分ですか…十分ですね。どのみち全力では、そう長くはもちませんから。」
暗黒神「じゃあ続きといこうか。安心しな、5分も無理はさせねぇさ。」
勇者「面白い、時間勝負か。ならば俺が合図を出してやろう。 位置についてー!」
暗黒神「さぁ逝くがいい反魔導士、二度と戻れぬ闇の世界へ。」
勇者「よぉーい!」
副長「その薄汚い闇…我が光魔法で、打ち砕いてみせましょう。」

ズドォン!(撃)
暗黒神に100のダメージ。

 

3-213:漆黒〔13歳:LEVEL30〕
そして二人のケンカはまた始まった。よし、面倒だししばらく放っておくことにしよう。
暗殺美「反魔導士ねぇ…やっぱな〜んか信用できないさ。意外とすぐ負けそうさ。」
勇者「まぁ、どうでもいいさ。俺は少しでも休めればそれでいい…んだ…うぐっ…!」
商南「えっ!アンタもしかして傷を…って、なんやねんその…ドス黒い左腕は…?」
勇者「ん?あぁ、少し…油断してな。 だが問題ない、剣が握れん程じゃないさ。」
姫「日焼けしたねぇ勇者君。」
勇者「ああ、豪快にな。」
商南「どう焼けたらそない消し炭みたいなれんねん!いつまでフザける気や!?」
勇者「まぁそう騒ぐな商南、あまり騒ぐと賢二が起きる。」
商南「あ…チッ、なんやアンタに言われるとごっつ腹立つわ。いつもなら真っ先に…」
ガンッ(蹴)
勇者「起きろ賢二。」
商南「ってやっぱ起こすんかい!!」
そういや誰も盗子に触れない。

 

3-214:亜空〔13歳:LEVEL30〕
商南にはああ言ったが、腕の調子は結構悪い。早く回復しないとヤバそうな感じだ。
賢二「んっ…う゛ぅ…ハッ!ここは!?」
勇者「地獄だ。」
賢二「あぁ…やっぱり…。」
商南「ってその諦めの早さはどないやねん!?抵抗するなり驚くなりせーや!」
暗殺美「で、でもまぁコイツが起きたなら希望度は上がったさ。また大魔法連発さ。」
賢二「う゛、あ〜…ゴメン、無理なんだ。頼りだった「魔道石」も割れちゃったし…。」
〔魔道石〕
MPを溜め込んでおける魔法の石。とっても希少で簡単には手に入らない。
100万分の1の確率で突然変異した「尿道結石」だという噂も…。
暗殺美「チッ、まったく頼りにならない奴さ。少しでも期待した自分が恥ずかしいさ。」
賢二「ゴメンなさい…あ!そうだ、盗子さんは?さっきから姿が見えないけど…?」
勇者「ッ!!! …奴は、もう戻らない。恐らく、二度と会うことはできまい…。」
暗殺美「ど、どういうことさ!?あのボケに一体何があったのさ!?」
勇者「盗子は…盗子は、奴が創り出した「暗黒亜空間」に…」
賢二「えっ!亜空間って…それじゃあ…!」

勇者「叩き込んだ。」
勇者の功績だった。

 

3-215:鮮血〔13歳:LEVEL30〕
そんなこんなで時は過ぎ、約束の5分まであと少し。まだ回復できてないんだが…。
見れば副楼とやらももう限界が近いらしく、多分次が最後の攻撃っぽい感じだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォ…!(轟)
勇者「ぼちぼち終焉か。さーて今回の前座の散り際はどんな…って、なにぃ!?」
暗殺美「あの帝都の奴、タダ者じゃなさすぎるさ!人間のオーラじゃないさ!」
賢二「そういえば前に、命を燃やして魔力に変える禁術があるとお師匠様が…!」
暗黒神「ハハハッ!面白ぇ、まさに命懸けってやつか!いいだろう、やってみな!」
副長「ここまで互角の相手によくもまぁ…アナタの敗因は、その過剰な自信です!」
両者、必殺の攻撃!!
ズガァアアアアアアアアン!!(爆音)

暗黒神「・・・・・・・・。」
副長「・・・・・・・・。」

ブバッ!(鮮血)


余一「ぐはぁ!!(吐血)」
オチ泥棒が現れた。

 

3-216:模倣〔13歳:LEVEL30〕
肝心な所を余一に濁された感はあるが、結論から言うと決闘は相打ちで決着した。
暗黒神は黒煙と化し消えてなくなり、副長も動かなくなったので窓から捨てた。
勇者「終わったな…。大変な戦いだった…だが、俺は勝ったんだ俺は!俺が!」
商南「ってなに勝手に自分の手柄っぽくしてんねん!アンタ見てただけやんか!」
暗殺美「というか最大の功労者をゴミのように放るってやっぱアンタは大悪党さ!」
勇者「フッ、照れるぜ。」
暗殺美「今のどこにそんな要素があったのさ!?」
商南「はぁ〜〜…まぁええわ。終わったんやしさっさと帰ってのんびりしようや。」
賢二「そだね、先生の傷も心配だし…って先生どこ?あの柱の陰にいるんだっけ?」
勇者「む…?お、オイ賢二ちょっと待て。そんな漆黒の柱…最初からあったか?」
賢二「へ…?」
黒柱(ニヤリ)
勇者「ッ!!! そういうことか!避けろ、賢二ぃーー!!」
黒柱の攻撃!

ミス!間一髪、勇者が賢二を蹴り飛ばした。
ズガァアアアアアン!!
賢二「ぎゃああああ!!
暗殺美「け、賢二くぅーーーん!!」
だが結果は同じだった。

 

3-217:納得〔13歳:LEVEL30〕
死んだと思われた暗黒神だったが、どうやら本体は柱に化けて逃れていたらしい。
勇者「やれやれ…やけにアッサリだとは思っていたが、まさか分身だったとはな。」
暗黒神「ったくいい勘してやがるぜ。邪魔な賢者は今ので死んでたはずなんだが。」
勇者「フッ、安心しろ。代わりにやっといた。」
暗殺美「賢二くん!賢二君っ! け…賢二きゅん!?」
勇者「にしても、神と呼ばれる男が賢二の真似とは情けない。プライド無いのか?」
暗黒神「勝つためならば何でもやるさ。手段を選ばねぇのが俺のいい所でなぁ。」
勇者「ほぉ、なんだ気が合うじゃないか。」
商南「ってアホか!悪の神と分かり合う勇者がどこにおんねん!?」
勇者「ここにいるだろうがっ!!」
商南「なっ…なんで逆ギレやねん!?ナメたことぬかしよってシバくぞボケェ!」
勇者「む…?なんだ貴様、この俺とヤル気か?いいだろう表へ出ろ!」
商南「あ?おぅおぅええやろ出たろやないか!城の外で白黒ハッキリつけたるわ!」
勇者「いや、島の外に。」
商南「落ちてまうがな!先に出た方が確実に負けやんか!」
勇者「ちなみに俺の趣味はレディーファーストだ。」
商南「初耳やわそんなん!ちゅーかそれが趣味てなんやねん!?」
勇者「ボンッ!…とな。」
商南「「バースト」やん!そない極悪な趣味持ってる輩がどこにおんねん!?」
勇者「だからここにいるだろうがっ!!」
商南「あ…うん…。」
なんかもう納得できた。

 

3-218:代償〔13歳:LEVEL30〕
せっかくのチャンスだというのに、商南との言い争いで無駄な時間を使ってしまった。
先公と副長…あんなのと戦った後だ、今の奴は相当消耗してるに違いない。だが…
暗殺美「アンタらー!何くだらないことやってるさ!さっさと本気出して片付けろさ!」
商南「そんなん言われ…あっ、せや勇者!風神やりよったあの技出せやまた!」
勇者「…フン、無論そのつもりだ。俺が本気を出せばこんな奴はイチコロなんだよ。」
暗黒神「ハハッ、やめとけ小僧。次に使えばその左腕、その目と同じ道を辿るぜ?」
商南「へ…?って、うわっ!なんやその左目!?蒼かった瞳が…真っ黒に…!?」
勇者「フッ、「オシャレ眼球」だ。」
商南「どんだけオシャレなら眼球ごと換えんねん!ボケとらんと答えんかい!」
勇者「…それ程ヤバい戦ってことだ。もはや代償無しに勝利は勝ち取れん。」
暗殺美「ま、まさかアンタ…あの風神使いみたく、武器に身を売ったのかさ…!?」
勇者「まずはこの暗黒野郎をブッた斬る。俺は先のことと盗子のことは考えん男だ。」
暗黒神「デカい口でほざくな小僧。視界を半分奪われた状態でこの俺を倒すだと?」
勇者「視界なんぞ必要ない。要はここら一帯を…消せばいいんだ!」
一同「!!?」
仲間のことも考えてなかった。

 

3-219:剣闘〔13歳:LEVEL30〕
秘密にしてたつもりだったのだが、俺の奥の手は既に暗黒神にバレていたようだ。
まぁこうなったら仕方ない、栄光のために左手の一本くらい諦めようじゃないか。
勇者「というわけで、これから必殺の一撃で周辺を吹き飛ばす!覚悟しろ商南!」
商南「なんでウチに宣言すんねん!?それにアンタ、姫はどーでもええんか!?」
暗殺美「いや、姫なら星が消えても生き残る気がするのは私だけじゃないはずさ。」
商南「せ、せや!前みたくその兜取ったらどうや?それやったらまた被せれば…」
暗殺美「マオに主導権を渡すのは危険さ。アイツと戦うかどうかも怪しいもんさ。」
勇者「とにかく!この戦いにもいい加減飽きてきた。遊びの時間はもう終わりだ。」
暗黒神「ああ、さすがの俺も少々疲れた。次で決めよう…この「暗黒破人剣」でな。」
〔暗黒破人剣〕
あらゆるモノをスリ抜け、人体のみを破壊する魔法の剣。
だが相手の剣撃も受けられないため、先手必勝の勝負となる。
勇者「魔導士風情がこの俺に剣で挑むか。面白い、身の程ってのを教えてやろう。」
暗黒神「敵の力量も計れんとは…死んで後悔しろクソガキが!唸れ、破人剣…!」
勇者「食らえ!必殺…」

勇者「…魔法、〔爆裂殺〕!!」
身の程はどうした。

 

3-220:会心〔13歳:LEVEL30〕
剣と見せかけての魔法は、思ったより見事にキマった。フッ、意外と素直な奴め。
暗黒神「ぐはっ…!魔法…だと!?偉そうに吠えといて貴様、ナメやがって…!」
勇者「オールマイティ…それこそが「勇者」。俺が剣のみの雑魚とでも思ったか?」
暗黒神「…チッ、その相手を煙に撒く戦法は親父ゆずりか?とことん相性悪ぃぜ。」
勇者「相性?面白い言い訳をするじゃないか。だが違うな、これが「実力の差」だ。」
暗黒神「ブッ殺す…!もういい、もう俺も先なんぞ考えねぇで動くことに決めたぜ!」
勇者「フッ、いいのか?俺を殺しちゃマズいんだろ?お前は魔神を恐れている。」
暗殺美「そ、そうさ!コイツが死んだら中のマオが出てきて大変なことになるさ!」
暗黒神「フン、まぁその時はその時だ。俺が先に本体を見つけ、叩けば済む話さ。」
勇者「その考えに至るのが遅すぎたな。あの時俺を殺さず生かしておいたこと…」
暗黒神「真正面からだと?バカが!この刃を防ぐ手立てなど無いと言ったはず!」
勇者「後悔するがいい、暗黒神!!」

ズバシュッ!(斬)
暗黒神、会心の一撃!
余一「うぎゃあああああああ!!」
暗黒神「なっ!?」
勇者「悪いな、盾は豊富にあるんだ!」
謝る相手が違う。

 

3-221:引導〔13歳:LEVEL30〕
余一を盾に攻撃をかわし、そして俺は例の必殺技「魔神一刀両断剣」を叩き込んだ。
暗黒神も派手にブッ倒れたし、これで勝利と思っていいだろう。まったく疲れたぜ。
余一「ぐふっ…ぐはぁ…!!(吐血)」
商南「お、オイ!アンタ大丈夫か!?気ぃをしっかり持つんやで!寝たらアカン!」
姫「あ〜ゴメン、ちょっと寝てたよ。」
商南「アンタにゃ言うてへんけど確かにアンタもしっかりせーや!」
余一「ゆ、勇者君…僕は、勝ったんだね…ガンには負けずに逝け(ザシュッ!)」
勇者「安らかに眠れ余一。お前のことは、あと2・3日は忘れまい…。」
商南「って一体どこまで鬼やねんアンタは!?明日は我が身や思えて怖いわ!」
勇者「チッ、今ので完全に左腕も飲まれたか…。 まぁいい、なんとかな…にぃ!?
知らぬ間の一撃!
勇者の腹には剣が刺さっている。
暗殺美「なっ、何さその剣!?一体何が…!?」
勇者「フッ、「へそピアス」だ…うぐっ!」
商南「無理して言う程おもろないで!?そこは普通に痛がっとけや!」
暗黒神「こ…小僧…!随分と、常識外れのことばかり…してくれるじゃねぇか…!」
勇者「き、貴様も…あの魔法に魔神剣、まともに食らってまだ生きてるとはな…。」
暗黒神「テメェは楽には殺さねぇ。たっぷりと絶望を味わって…そして死ね!」
勇者「ッ!!! いかん!逃げろ雑魚どもーー!!」
とばっちりがみんなを襲う。

 

3-222:結集〔13歳:LEVEL30〕
倒したと油断してたらまだしぶとく生きていた暗黒神。迂闊にも俺は腹をやられた。
そんな状況で、奴はまず俺じゃなく他の奴らをシメる気らしい。なんて汚い野郎だ。
暗黒神「さぁまずはお前だ、クソやかましいメガネ小娘ぇーー!!」
商南「ってウチィ!? ひぃいいい!ちょ、ちょい待ちや、今メガネ外すさかい!」
暗殺美「そういう意味じゃないさ!ボケてる暇があったら逃げ…早くするさっ!」

ビシュウウウウウウ〜!(煙)
商南「へ…?こ、この煙は「煙幕符」の…じゃあまさか…!」
暗黒神「貴様…どういうつもりだ!?この俺に逆らうつもりか、冥符!」
冥符「あぁ〜、悪いな大将。やっぱ俺は、破壊よりも愛に生きるさだめらしい。」
暗黒神「チッ…!ならば次はそこの、起きたらウザそうな小娘を…!」
宿敵「おっと、寝てる女子を攻撃だなんて見過ごせないな。弓絵君は僕が守ろう。」
暗黒神「好敵手の小僧!?目覚めやがったか!」
賢二「う゛っ…ぼ、僕だって…!暗殺美さんは、僕が守るよ!」
暗殺美「うっきゅーーーん!!」
勇者「フッ、どうやら完全に形勢逆転のようだな。もはや手詰まりだ、諦めろ。」
暗黒神「…どうかな?まだ一匹、お前の特別が残ってるように見えるが?」
姫「ほぇ…?」
勇者「ハッ、姫ちゃん!?ヤバい、この俺としたことが…!間に合わな…」
暗黒神の攻撃!

ミス!なぜか姫はポヒュッと消えた。
勇者「き、消えた…!?今の感じは幻術…ってことは…!」
暗黒神「…やれやれ、一番厄介な奴までお目覚めとはな。どうだ、よく眠れたか?」
教師「ええ、おかげ様で。次はアナタが眠ってくださいな、永遠に…ね。」
集団リンチの始まりか。

 

3-223:約束〔13歳:LEVEL30〕
寝てた奴らも起きだして、ますます俺達の有利な状況になってきた。もはや楽勝か。
勇者「もういい加減これ系のセリフにも飽きてきたが…今度こそ終わりだ暗黒神。」
暗黒神「フッ…フハハハ!まったくホントにナメられたもんだなぁ俺も。笑えるぜ。」
勇者「何を笑っている?この人数でかかれば貴様とてひとたまりもあるまい?」
暗黒神「見せてやろう。「神」と呼ばれる者と、そうでない雑魚の違いをなぁ!」
暗黒神は力を搾り出した。
これまでに無いほど邪悪なオーラが周囲を包む!
暗&商「きゃ…きゃああああああああ!」
教師「くっ、やはりさすがですね…。みなさん大丈夫です?気を抜くと死にますよ?」
冥符「なんて、強大なオーラだ…!それにこの邪悪な感じ…心が、乱される…!」
賢二「も、もう防御するので精一杯で…!」
宿敵「とてもじゃないが、反撃どころじゃない…!(←元からできない)」
暗黒神「フッ、残念だったな。この領域には邪悪な者しか入れな…」
勇者「ふむ。なかなか心地よい空気だ。」
暗黒神「入ってるぅーーーー!!」
勇者は癒されている。

 

3-224:幻術〔13歳:LEVEL30〕
奴のオーラにより、心なしか腹の傷まで癒えた感じだ。よし、今のうちに決めよう。
教師「さぁ勇者君、頑張りましょうか。あまり近づけませんが私もサポートしますよ。」
勇者「あん?邪魔するな先公、最後の手柄は「勇者」が独り占めと決まってるんだ。」
姫「えぇ〜、ズルいよ勇者君ばっかり。みんなで独り占めしたいよ。」
勇者「悪いな姫ちゃん、独り占めは二人じゃできないんだ。一人の特権なんだよ。」
姫「じゃあ間をとって「三本締め」でいいよ。」
勇者「よーし野郎ども、お手を拝借ぅ!!」
商南「って真面目にやれや!ちゅーか何と何の間をとったらそうなんねん姫!?」
暗黒神「やめとけ死神。もはや貴様には、幻術を現実化できる程の力はあるまい。」
教師「お見通しですか…でも今のアナタになら、ただの幻術があれば十分ですよ。」
暗黒神「ほぉ、いいだろう。俺がかつて否定したその力、最期に見せてみろよ。」
教師「いいですか?よく見ていてください。これが高位の束縛魔法…「監禁」です!」
教師は〔監禁〕を唱えた。
ミス!暗黒神は余裕で避けた。
暗黒神「…オイオイ失望させるな死神。幻術はどうした?お前はその程度の男か?」
勇者「おっと、よそ見とは余裕だな暗黒神!この俺がいることを忘れたか!?」
暗黒神「邪魔だクソガキ下がってろ! 吹き荒れろ暗黒の砂風、「暗黒砂漠風」!」
勇者「ぐっ…!距離をとられちゃこっちが不利だ、なんとか接近戦に持ち込むぞ!」
教師「了解です勇者君。ではもう一度いきましょう、束縛魔法…!」
暗黒神「だから、そんなモロバレ魔法なんぞ…」


盗子「えぇ〜い!「監禁」!!」
まさかの伏兵が現れた。

 

3-225:恒例〔13歳:LEVEL30〕
亜空間に叩き込んだはずなのに、なぜかいきなり現れた盗子。一体なぜに…?
それになぜ盗子が魔法を使えたのかも気に…いや、盗子なんぞ全く気にならない。
勇者「な、なんで盗子がここに…?ハッ、そうか幻術か!ったく悪趣味な先公め!」
盗子「悪趣味とか言わないでよ!なんかアタシがそう言われてるみたいで」
勇者「そうに決まってるだろうがっ!!」
盗子「うわーん!優しく「おかえり」って言ってほしいよぉ〜!」
暗黒神「そうか、亜空間に飲まれたように…その時から既に、始まっていたのか。」
教師「フフフ、そういうことです。アナタは最初から、私の術中にいたのですよ。」
盗子「なにさ偉そうに!アタシの手柄じゃん!黙って寂しく隠れてたアタシの!」
勇者「…フッ、俺は気づいてたがな。」
盗子「絶対嘘だよ!アタシを始末した的な感じで喜んでたし! もうアンタなんて…」
勇者「おかえり、盗子。」
盗子「えっ…ゆ、勇者…☆」
勇者「土に。」
盗子「還らないよ!なんでイチイチ死なせたがるのか未だにわっかんないよ!」
勇者「わかれよっ!!」
盗子「わ…わかりたくないよぉー!うわーん!!」
勇者は活き活きしている。

 

第十五章