第四章

 

3-61:決勝〔13歳:LEVEL26〕
ついに決勝の時が訪れた。さすが最後の試合だけあって会場も盛り上がっている。
芋子「よく勝ち残ったわね二人とも。この決勝戦も正々堂々…芋、食いたい。」
勇者「食えよ勝手に!今までも堂々と食ってたじゃねーか好き勝手に!」
苦怨「はじめまして皇女様。ところで決勝のルールについては、いかがお考えで?」
芋子「んー、じゃあ「なんでもアリ」で。もう色々となんでもアリでいいわ。ビバ適当。」
勇者「適当過ぎるぞお前。まぁ俺的には好都合だが、そっちのボンボンが…なぁ?」
苦怨「フフ…僕もそれでいいですよ。後で後悔するのは、キミの方になるでしょう。」
勇者「ほぉ、言うじゃないか。ここまで勝ち上がってきたのもダテじゃないってか?」
苦怨「まぁ一戦しかしてませんが。」
勇者「責任者ぁーー!!」
勇者は責任者を呼んだ。
責任者Aは逃げ出した。
責任者Bは逃げ出した。
責任者Cは芋を食った。

 

3-62:開戦〔13歳:LEVEL26〕
そして決勝戦開始。また若干眠くなってきたのが心配だが、もうやるしかない。
司会「それでは頃合いを見て決勝戦を始めればいいと思いますが何か?」
ザシュッ!(斬)
勇者「…さて、じゃあ早速やろうじゃないか。悪いが遊んでやれる余裕は無くてな。」
苦怨「それは残念ですね。僕はたくさん遊んであげるつもりだったんですが、ね。」
勇者「な…にぃ…!?」
忍美「ハイ苦怨様!オモチャならたくさん用意してあるのだ!コレとか!コレとか!」
苦怨「…忍美、わかったから向こうで遊んでなさい。」
忍美「一人遊びはイヤなのだぁー!」
勇者「とりあえず決勝の緊迫感を返してくれ。」
苦怨「部下が失礼しました。お詫びに、いい物をお見せしましょう。 「霊樹の杖」!」
〔霊樹の杖〕
その名の通り霊樹から切り出した杖。
そこらに漂う浮遊霊を取り込み攻撃力に変えるとか違うとか。
勇者「フン、趣味の悪い武器だ。それに比べて俺の…今のは聞かなかったことに。」
苦怨「さーて、じゃあまずは打撃勝負といきましょうか。」
勇者「まず…? フッ、終わりだよそれで。」
忍美は姫と遊んでいる。

 

3-63:挑発〔13歳:LEVEL26〕
ヒョロくて弱そうな分際で、生意気にも打撃勝負を挑んできた苦怨。ナメやがって。
勇者「フン、そんな枯れ木のような腕で力勝負を挑むとは笑止!死ぬがいい!」
苦怨「大気にうごめく半端な霊達よ…我が杖の糧となるがいい。」
勇者の攻撃。
苦怨は攻撃をはじき返した。
勇者は120のダメージを受けた。
勇者「うぐっ…!な、なにぃ…!?」
苦怨「フフ、さすがは帝都ですねぇ。人が多いだけあって浮遊霊も多いらしい。」
勇者「チッ、厄介だなその杖…。(しかもまた眠気が…こりゃ急がんとマズいな。)」
苦怨「その魔剣も相当ヤバそうな代物ですね。邪悪なオーラが漏れ出している。」
勇者「まあな。兄丸戦で開放を途中でヤメたせいか、さっきから疼いて困っている。」
苦怨「いいんですよ?自信が無いなら開放してもらっても。フフフ…。」
商南「うまいやっちゃなアイツ。そー言われちゃ勇者も簡単には動かれへんやん。」
暗殺美「くだらないプライドをいつ捨てられるかが勝負の鍵さ。」

勇者「じゃあお言葉に甘えて。」
睡魔、会心の一撃!
プライドを撃破した。

 

3-64:自由〔13歳:LEVEL26〕
睡魔の攻撃がまた勢いを増してきた。もうなりふり構ってられる状況じゃない。
勇者「見るがいい、そして悔いるがいい。地獄の淵で色々とアレを、こう…むにゅ…」
商南(アイツ…また眠いんやな…。)
勇者は力を込めた。
魔剣から邪悪なオーラが噴き出した。
苦怨「ぬっ…す、少し予想以上でしたね…。思ったより受けるのはキツそうです。」
勇者「むんっ!!」
ボキン!(折)
苦怨「ええぇっ!?」
勇者「甘いな苦怨…そんじょそこらの武器で防げる攻撃じゃないんだ、よっ!」
勇者の攻撃

…の前に誰かが勇者を攻撃。
勇者「いててっ! な、なんだぁ!?なんで場外から攻撃が…!?」
忍美「ヤメるのだバカ勇者ー!苦怨様を攻撃するなんて許せないのだー!」
勇者「ちょっ、待てコラ!神聖な決勝戦に助っ人とは何事だよ!失格だ失格ー!」
忍美「ルールは「なんでもアリ」って言ってたのだ!だからなんでもアリなのだっ!」
勇者「なんでもアリにも程があるだろ!なぁ芋子!?」

芋子「セーフ。」
ホントになんでもアリだった。

 

3-65:伝統〔13歳:LEVEL26〕
なんと外野の参戦すらアリらしい決勝戦。真面目にやるのがアホらしくなってきた。
苦怨「ふぅ、参りましたね…まさかこれ程までに力の差があるとは。」
勇者「次でトドメだ。死にたくなくば、とっとと「偽魂」を出すがいい。後悔するぞ?」
苦怨「!!? ど、どこで僕の情報を…?」
勇者「やはりそうか。額のやつの紋章が、知った霊媒師のと同じだったんでな。」
苦怨「…なるほど、「霊魅様」とねぇ。それは調べが足りませんでしたよ。」
勇者「様…?なにやらわけありっぽいが、気にしてる余裕は無いんでな。 いくぞ!」
苦怨「キミの流派は確か…「刀神流」でしたね。ならば、“彼”でいきましょう。」
苦怨は偽魂を手に呪文を唱えた。
ピカッと光って爺さんがこんにちは。
老人「…やれやれ、霊媒師か。面倒だからもう呼ぶなと言ったはずだが…?」
勇者「なんだこの爺さんは?コレが俺と何の関係があるんだ?」
苦怨「彼こそが「刀神流」の始祖たる人物…「剣聖:那金(ナキム)」、その人です。」
勇者「なっ、こんなしょぼくれたジジイが俺の流派の開祖だってのか!?」
那金「なぬ? ほぉ、そういうことか…おもしろい。」

那金「ならば貴様のミカン…我がミカンが砕いてくれる!」
勇者「伝統なのか!!?」
伝統は麗華が止めた。

 

3-66:半端〔13歳:LEVEL26〕
俺の鋭い読みの通り、やはり苦怨は霊媒師だった。俺を騙せると思ってか雑魚が。
そんな苦怨が呼び出したのは、我が「刀神流」の創始者という妙なジジイだった。
真偽のほどは定かではないが、スイカ野郎とキャラがかぶってるのでマジっぽい。
今思えば、眠いんだからわざわざ煽らず、とっととブッた斬っておけばよかった…。
那金「さぁ来いミカン!見せてみろ、拙者の弟子どもより受け継ぎしそのミカンを!」
勇者「チッ、俺もまだ免許皆伝ってわけじゃないしなぁ…技勝負じゃキツそうだぜ。」
那金「なにぃ?ということは貴様、半端も…半端ミカンかぁ?」
勇者「言い直すなよ。なんなんだその一夜漬けみたいなキャラ設定は。」
那金「ぶっちゃけ弟子に仕込んですぐに飽きたもんでなぁ。」
勇者「お前のその気まぐれに、今なお振り回されてる変態を俺は知ってるぞ。」
那金「まぁええわい、とっととかかってこんかい。チョイと手ほどきしてやろう。」
勇者「フン。気に食わんな、その上から目線。」
那金「ハハッ!だったら這いつくばらせてみぃ!」
勇者は小銭をバラ撒いた。
爺さんは這いつくばった。

 

3-67:手立〔13歳:LEVEL26〕
苦怨の奴は大人しく座禅を組んでいる。どうやら召喚中は派手には動けんらしい。
敵はジジイだが、さすがに達人らしく攻撃はことごとく効かん。厄介な野郎だぜ。
勇者「老人介護は面倒だ、とっとと黄泉の国へ帰るがいい!百の秘剣…!」
二人「百刀霧散剣!!」
ガキィイン!
勇者「チッ、全部相打ちかよ…!死にかけのジジイの分際でやるじゃないか!」
那金「ところがどっこい、とっくに死んどるわい!ハッハー!」
勇者「いや、得意げになられてもリアクションに困るんだが。」
那金「ふ〜む、一刀十刀百刀…大技はまあまあだが技数は圧倒的に少ないのぉ。」
勇者「フッ、そうでもないぜ?随分見せてもらったしな、今日だけでかなり覚えた。」
那金「ほぉ、それは頼もしい。じゃあ拙者をブッ倒す手立てはもう見つかったか?」
勇者「苦怨をブッた斬る。」
那金「お前に剣士のプライドは無いのか。」
勇者「偽魂は体の中心にあると聞く。ならば使うは「突きの秘剣」…それしかない。」
那金「な、なぬ!?あまりに危険ゆえ封印したあの技を、なぜお前が…!?」
勇者「フッ…。」

ホントにあったとは。
勇者も驚いている。

 

3-68:伝授〔13歳:LEVEL26〕
冗談で振ってみたら、ホントにあるらしい「突きの秘剣」。麗華も知らん技だろう。
これは是非とも覚えて帰って、あのクソ女にブチかましてやろうと思う。
勇者「というわけで、さっさとその秘剣とやらを教えるがいい。」
那金「うむ!…って、なんだと!?お前知っとったんじゃないのか!?」
勇者「カマ掛けは得意でな。口を滑らせた貴様の負けだ、素直に教えるがいい。」
那金「ふっ…フハハハ!いいぞ覚えろ!これを教えるのは貴様が初めてだ!」
勇者「言っとくが俺は天才だ、無駄に長い講釈は必要ないぞ。コツだけ教えろよ。」
那金「ならば構えろ!切っ先に全ての運を…「ツキ」を詰め込むイメージで!」
勇者「なるほど、全てのツキを…って、まさか…!」
那金「フッ、そうだ。勘はなかなか鋭いようだな。」
勇者「ダジャレか!」
那金「ダジャレだ。ナイスなセンスだろう?」
勇者「受け継がせないで正解だったと思うぞ、その技。」
那金「名に騙されるな?運を使い切り、その日一日散々な目に遭う「呪剣」だぞ。」
勇者「呪剣…?呪いと引き換えに威力を発揮するという必殺技か…面白い!」
那金「では「せーの」でいくぞ!技の名は、「運の突き」だ! せーー…」
勇者「運の突きぃーー!!」
ジイさんの命運は尽きた。

 

3-69:切札〔13歳:LEVEL26〕
放った突きの秘剣は、なかなかの手応えだった。いい技が手に入って良かった。
勇者「偽魂は砕いた、最期に何かあるか?不意打ちだから負けたとか言うなよ?」
那金(フン、雑魚の不意打ちにやられるほど老いとらんわい…。)
勇者「ん?なんだって?」
那金「…短い間だったが、随分と生意気な弟子だったと言っぐぇっ!!
那金は黄泉の国へと帰った。
勇者「さて…次はお前の番だ苦怨。貴様の切り札は倒した、もう終わりだな。」
苦怨「切り札…? フフッ、イヤだなぁ。僕の切り札は彼じゃないですよ。」
勇者「あん?なんだその妙な模様の偽魂は…?まぁいい、じゃあ使ってみろよ。」
声「だ、ダメだ勇者ー!それを使わせちゃいかんぜよー!」
客席から包帯グルグルの誰かが現れた。
勇者「で、出たな妖怪「猫息子」!もしや貴様が切り札なのか!?」
包帯「戦仕ぜよ!!」
せめて包帯に触れろ。

 

3-70:一撃〔13歳:LEVEL26〕
重傷の体を引きずり、わざわざやってきた戦仕。おかげで事情は大体わかった。
勇者「なるほど、戦仕はそれにやられたってわけだな?面白いじゃないか使えよ。」
戦仕「だ、だから聞けってよ勇者!変な強がりは捨てた方が利口ぜよ!」
勇者「黙れ雑魚が!俺は弱気と盗子が大っ…」
戦仕「そうかやっぱオメェも大好きかよ!」
勇者「最後まで聞け!会話の流れを読め!俺の全身の鳥肌をなんとかしてくれ!」
苦怨「ふぅ、随分余裕ですね。でも“彼”を見ても、そのままでいられますか…ねぇ?」
苦怨は偽魂を手に呪文を唱えた。
ピカッと光ってすんごいのが出てきた。
勇者「なっ、なんだこの巨大な奴は…!?どう見ても人間じゃないだろ!?」
苦怨「さぁ「ヤナグ」さん、この彼に…力の差というものを見せてあげてくださいな。」
ヤナグ「グルァアアアアア!」
勇者「ふ、フン!パワーはありそうだがスピードはカスだな、止まって見えるぜ!」
ヤナグはパンチを繰り出した。
勇者は右へ跳んだ。
なぜかバナナの皮が落ちていた。
勇者は滑りつつも踏ん張った。
勇者は眠気でフラついた。
なぜか上からタライが落ちてきた。
勇者は左へ跳んだ。

ヤナグのパンチが直撃した。

 

3-71:窮地〔13歳:LEVEL26〕
な、なんてこった…!あんなヤバそうな攻撃に…自分から飛び込む…結果に…!
ドゴォオオオオオオオン!!(壁に激突)
勇者「ぐっはぁあああああああ!!
苦怨「フハハハ!どうやら本当に、先程の戦いでツキを使い果たしたようですね!」
商南「あ、アカンやん!勇者の奴、完全にノビてもうてるやんか!ピクリとも…」
暗殺美「まぁアイツが負けるだけさ。私らが困ることは別に無いからいいのさ。」
商南「あ…せ、せやな…。」
苦怨「仕上げですヤナグさん。息の根を止めて、盾を奪って来てください。」
商南「!!!」
ヤナグは渾身の一撃を勇者に放った。

ミス!間一髪誰かが勇者を抱えて逃げた。
苦怨「…どういうつもりですか?彼の仲間ではなかったはずでは…?」
商南「あ〜、やっぱ後ろめたいことあると後味悪いねん。助太刀、させてもらうわ。」
忍美「は、反則なのだー!助太刀なんて卑怯なのだー!」
商南「あ?なんでやねん?「なんでもアリ」や言うてたやろ?アンタもしてたし!」
芋子「オッケーオッケー。みんな好きに出ればいいわ。」
決勝までの意味は一体。

 

3-72:正体〔13歳:LEVEL26〕
勇者がやられ、決着がついたかに見えた決勝戦。
だが芋子の気まぐれで、誰でも参加自由なルールに変更されたのだった。
果たしてどう収拾をつけるつもりなのか。
商南(ちっ、「瞬速符」もあと2枚…商人は戦闘向きやないっちゅーにまったく…!)
苦怨「なるほど、「術符」を駆使する戦闘スタイル…「商人」にしては羽振りがいい。」
商南「あぁ安心せーや、後でアンタに諸経費全額請求したるさかい覚えときや?」
苦怨「やれやれ、商人ごときが一人で勝てると思っているとは笑わせる。」
暗殺美「フン、一人で無理なら二人でやるまでさ。調子乗んなさボケめ。」
商南「あ、暗殺美!?アンタまでなんで…!?」
暗殺美「べ、別にアイツのためじゃないさ。奴が死んだら泣く、優しい男がいるのさ。」
商南「ほな行くで!?そないなわけわからんガタイだけの雑魚には負けへんでぇ!」
苦怨「彼が雑魚?フッ、彼の名はヤナグ…「鬼神の金棒」より偽魂を練成した…」

苦怨「「鬼神」ですが?」
暗&商「Σ( ̄□ ̄;)!?」
二人は死ぬほど後悔した。

 

3-73:陽動〔13歳:LEVEL26〕
苦怨が召喚したヤナグはなんと、その昔の神の一人、「鬼神」だという。
かつてのシジャン城の跡地より、苦怨はこっそり金棒を持ち去ったとか。
はてさて商南と暗殺美、どうなることやら。
商南(しゃーない、ウチが陽動するさかいアンタ勇者を叩き起こしたってくれるか?)
暗殺美(待つさ。スピード勝負の陽動は私の方が向いてるさ。アンタ行ってこいさ。)
商南「了解、ほな任したわ。行くでっ!」
二人は左右に散った。
苦怨「へぇ、アナタが相手なんですか。まぁ誰がきても結果は変わりませんがね。」
暗殺美「フン、騙されてんじゃないさ!私はただの陽動役さ!」
商南「なっ…なんで言うねんアホーー!!」
暗殺美「あ゛…い、今のは違うさ間違いさ。ちょっとウッカリしちゃっただけなのさ。」
商南「なんのフォローにもなっとらんわボケー!」
苦怨「なるほど、そういうことですか…。ヤナグさん!」
鬼神「ガルゥアアアアア!!」
商南「わっ!ちょっ、待っ…!」
ピカァアア…!(光)
ズゴォオオオオオン!!(轟音)
ヤナグは口から閃光を放った。
客席の1/4ほどが消し飛んだ。

 

3-74:監禁〔13歳:LEVEL26〕
ヤナグさん大暴れ。もう会場は大変なことになっていた。
パニックになった観客は逃げ出そうとしたが、出口が塞がれていてビックリ。
さらにパニックに陥っていった。
苦怨「へぇ、みんな逃げられないんですか。そうですか…フフフ…。」
暗殺美「アンタがやったのかさ?最低な奴さ、目撃者はみんな消すって感じかさ?」
苦怨「は…?」
姫「ゴメンね、さっき壊しちゃったよ。」
商南「ってお前かーーーい!!」
商南は生きていた。
勇者も近くに転がっている。
苦怨「今の攻撃で傷一つ無しですか…。意外に侮れないですねぇ商人さんも。」
商南「フン!まぁおかげさんで貴重な「魔防符」2枚も消えてもうたがな大損やわ。」
暗殺美「まったく困ったもんさ。」
商南「アンタのおかげでもあんねんけどな。」
苦怨「仕方ない…少し霊力が心配ですが、もっと馬力を上げてもらいますかねぇ。」
商南(は、早よ起きんかい勇者!ウチもう限界やで!?実はメッチャ怖いねん!)
勇者「・・・・・・・・。」
商南「おぉーきぃーろぉーやぁーボケェーー!!なにグッタリしとんねんコラァー!!」
暗殺美「まぁ待つさ商南、こういう時には”鉄板”と言えるほどのお約束があるのさ。」
姫「おはよう勇者君。」

勇者「・・・・・・・・。」
返事が無い。まるで屍のようだ。

 

3-75:注文〔13歳:LEVEL26〕
なんと、姫の言葉にも反応しないという意外な反応を見せた勇者。
どうやら今回はかなりマズい状況らしい。
勇者「・・・・・・・・。」
商南「…なぁコイツ…マジでヤバいんとちゃうか…?ちっとも動かへんし…。」
暗殺美「と、とりあえず息してるかどうか確認してみたらいいさ。生死の確認さ。」
商南「せやな。もしもん時は試合どころやあらへんで。」
勇者「スピーー…」
商南「って寝とったんかい!!今までのこのシリアスな感じを返せやお前!」
勇者「オイオイ、俺は今熟睡してるんだぜ?」
商南「そないハッキリした寝言があるかっ!文字通り寝言は寝てから言えや!」
暗殺美「いや、ホントに寝てるみたいさ。顔に落書きしても怒らないしさ。」
苦怨「寝て…る? 随分ナメられたものですね、こう腹が立ったのは初めてですよ。」
勇者「くるならこいやー!どデカいのこいやーー!!」
商南「な、なに煽ってんねん!?「寝てるから」で許される状況やないで!?」
勇者「俺は、食えるぜぇ〜?」
商南「何を注文した気になっとんねん!?どデカい何を平らげるつもりやねん!?」
鬼神「ブォアアアアアアアアアアア!!
ヤナグはどデカいのをブッ放した。
商南は魔防符で身を守った。
暗殺美はなんとか身をかわした。
姫は気づいたらいなかった。
勇者は見捨てられた。

 

第五章