第八章

 

106:進級〔6歳:LEVEL2〕
春…。 6歳になった俺は、今日から三号生として学校に通うことになる。
これから始業式…なのだが、三年目ともなると大体言われることの予想はつく。

校長「みなさん進級おめでとう。早速みなさんを殺します。」
勇者「そうきたかー!!」

勇者は意表を突かれた。

 

107:暗殺〔6歳:LEVEL2〕
昨年度は結局2クラスにまで減ったのだが、今年も転入生で補ったようだ。
俺は今年もA組。他の奴らも大体一緒だが、中には去年B組だった奴もいた。
勇者「オリジナルもだいぶ減ったな…。一体最後には何人残…ぬおっ!

画鋲の攻撃。
勇者はお尻に2のダメージ。

勇者「くっ、誰だ!?一見地味だが、なにげに痛いこの攻撃の主は!?」
少女「私は「暗殺者」の「暗殺美(あさみ)」。アンタだけは絶対に許さないのさ!」
勇者「ほぉ…この俺を敵に回すと?上等だ!かかって来やがれこの「鉄砲玉」!」
暗殺美「死ねやぁ!おらぁ!!…って違うさ!私は華麗な「暗殺者」なのさ!」
勇者「ふむふむ。じゃあ、一体誰の依頼なんだ?お前と一緒にそいつもブッた斬る。」
暗殺美「フン!依頼者なんていないさ。た、ただ私は…賢二君のカタキを…。」
勇者「…む?なんだお前、賢二ごときに惚れてたのか?」
暗殺美「べ、べべべ別にそんなんじゃないさ!あんな男はミジンコ以下さ!」
勇者「で、どこら辺が好きなんだ?」
暗殺美「んとね、優しいところかな…って、何言わせるさ!!」
勇者「(面白い生き物だな…。)フゥ、まぁ座れ。賢二の好みのタイプを教えてやる。」
暗殺美「え、ホントに!?って、べべ別にそんなの聞きたくな…はうっ!

画鋲(×5)の攻撃。
暗殺美はお尻に痛恨の一撃。

 

108:挨拶〔6歳:LEVEL2〕
春…言わずと知れた遠足の時期。だが今年のは、今までとは少し違うらしい。
というのも、今年は学年ごとではなく、全学年を混ぜて班分けするようなのだ。
そういったわけで、放課後は各班ごとの作戦会議ということになった。
勇者「ウチのクラスからは俺とお前だけか…。ま、よかったよ。」
盗子「え、ホントに!?ホントに良かった!?わーい☆」
勇者「ああ。心底どうでもよかった。」
盗子「そっちかよ!死ね!」
少年「ベベンベン♪我が名は「邦壱(ほういち)」〜いぃ〜。よろしく願うぅ〜。」
盗子「アンタは隣の…B組の「琵琶法師」だよね?よ、よろしく。」
邦壱「耳の一つや二つは〜、いらんぜよ〜。ベベンベン♪」
勇者「いや、大事にしろよ。」
少女「私はC組の「巫女」、「巫菜子(みなこ)」。よろしくね☆(あ〜、挨拶ダリィ〜。)」
勇者「巫女?なんか「霊媒師」とカブッてないか?」
巫菜子「え?そ、そんなことないよー。(んだこの野郎…私に喧嘩売ろうっての?)」
盗子「う〜ん、確か霊媒師が操るのは「死霊」で、巫女は「精霊」…じゃなかった?」
巫菜子「ピンポーン!説明ありがと☆(私のセリフ盗るんじゃねーよこのブスが!)」
少年「俺は四号B組、「魔銃士」の「銃志(じゅうし)」。俺に近づくと…死ヌぜ?」
盗子(あ、聞いたことある。極度の神経過敏で、人が近づくだけで発砲するとか…。)
銃志「おっとそこ!勝手に動くな!俺に近づくな!近づくと撃つzバキューン!!
勇者「って言い終える前に撃つなよ!つーか近づいてきたのはそっちだろ!」
少年「えっと、僕は二号C組の…」
銃志「ハイそこ動いたー!バキューン!バキュバキューン!!
少年「ぎゃーーー!!
勇者「くっ、誰かそいつを止めろ!誰か流れ弾とか当たってねーか!?」
盗子「アタシは平気、この人が助けてくれたから…。」
銃志「邪魔するなー!テメェも撃…ぐはっ!
少年「峰打ちだ。 俺は六号A組、「武士」の「武史(たけし)」…盗子は俺が守る!」
盗子「…へ? えええええええっ!?」
勇者「変わった趣味だな…同情するよ。」
盗子「どういう意味さ!?」
武史「盗子、いい女になったな…。母さんの若い頃(写真で見た)に、よく似てる。」
盗子「え!もしかしてお兄ちゃんとか!?し、知らないよ?聞いてないよー!?」
勇者「あー、そういやお前って…盗まれっ子じゃん?」
盗子「そういえば!!」
少女「ワタイは一号B組の「皇女(こうじょ)」、「芋子(いもこ)」。みんな敬うべき。」
勇者「皇女?ありえんな、オーラが無い。お前のような奴は芋でも食ってろ。」
芋子「くぅ、人が気にしていることを…。」
少年「ぼ、僕は五号A組の「白(ハク)」。職業は「もやし」です。」
盗子「もやして!そんな職業聞いたこと無いよ!てゆーか肌…白っ!」
白「頑張って四年間生き抜いてきました。ちなみに太陽が苦手です。」
勇者「なっ!?お、オリジナルなのか!?一体どうやって…。」
盗子「ところで、さっき撃たれた二号C組の子って…結局誰だったんだろうね?」
少年「その謎は、「探偵士」であるこの私が解明してみせようじゃないか!」
武史「お前はB組の…確か「峰夢's(ホームズ)」。お手並み拝見ってやつだな。」
峰夢's「そもそもこの事件は、10年前のあの日まで遡ります。」
盗子「遡らせないよ!何時間語る気だよ!」
武史「さすがは盗子!ナイスツッコミ!」
峰夢's「ズバリ犯人は、そこでノビてる魔銃士の少年だー!!」
盗子「知ってるよ!みんな見てたし!てゆーかアタシの疑問はそこじゃないし!」
武史「いいぞ盗子!的確な指摘だぜ!」
勇者「ウザいくらいにシスコンだな…。」
芋子「芋、食いたい…。」
盗子「やっぱ食いたいのかよ!」
誰かしら黙れ。

 

109:帳尻〔6歳:LEVEL2〕
とっても不安なメンバーと行くことになった今回の遠足。内戦で死ぬかもしれない。
盗子「あのさ、そういえば今回の遠足の目的って…何だっけ?敵は誰?」
勇者「む?そういや聞いてないなー…誰なんだろな?」
巫菜子「あ、今年は敵とかじゃなくて「宝探し」らしいよ☆(ったくウゼーよな〜。)」
武史「そう。各班対抗の宝探しで、見つけられなかった班員は…ま、わかるだろ?」
勇者「フッ、やれやれ。「命懸け」って意味では例年通りか。」
峰夢's「遠足の目的?その謎は、この私が解明してみせようじゃないか!」
盗子「ワンテンポ遅いよ!もうわかった後だよ!」
白「晴れなきゃいいな…死んじゃうし。」
盗子「今までどうやって生きてきたんだよ!」
芋子「芋、食いたい…。」
盗子「もういいから食ってきなよ!」
勇者「俺、盗子、邦壱、巫菜子、武史、芋子、白、峰夢's…8人か。まぁ頑張るか!」
盗子「…あれ?確かもう一人…」
銃志「ん、うぅん…ハッ!て、テメェらよくも俺を…!全員ブッ殺(ザシュッ!

勇者「8人だ。」

勇者は帳尻を合わせた。

 

110:減人〔6歳:LEVEL2〕
そしていよいよ遠足当日。今回の目的は宝探しらしいが、宝が何かは知らない。
探索の舞台はここ、ゴップリン島。この地なら他の敵はもういないので気は楽だ。
教師「ではみなさん、これから36チーム対抗の宝探し合戦を始めてもらいます。」
勇者「36チーム…なるほど、各組10人だな。ウチは8人だが…まぁ問題無いか。」
盗子「ゆ、勇者…白は晴れたから休むって…。」
勇者「7人か…。」
盗子「ゆ、勇者…邦壱は行水修行で中耳炎になったから休むって…。」
勇者「耳なんかいらねーって言ってたくせに…。」
武史「残るは6人…となると、リーダーでも決めて団結していくべきじゃないか?」
芋子「リーダーなんて、「皇女」であるワタイ以外にはいないと思うわ。」
勇者「黙れ芋っ子。お前は芋でも食ってろ。」
芋子「…もぐもぐ。」
盗子「今日は持参かよ!」
峰夢's「リーダー選びですか。それならばこの私にお任せあれ!」
巫菜子「んじゃ、峰夢'sさんヨロシク〜☆(んなの誰だっていいよ、ったく。)」
峰夢's「みんなをまとめられるようなリーダー格の人間…それは…」
勇者(フン、そんなの俺に決まってんだろが。)
盗子(なんだかんだで今までは勇者だったよね…。)
武史(盗子以外に考えられねぇ。そしてその盗子は俺が守る!)
巫菜子(早く決めやがれこの探偵気取りめが。ウゼー!)
芋子(芋、うまい…。)
峰夢's「リーダーは…」

峰夢's「この中にいる!!」
一同「早く選べよ!!」

そしてまた一人減った。

 

111:武装〔6歳:LEVEL2〕
まだ何も始めてないのに、5人になっちまった我がチーム。これ以上は減らせない。
探すべき宝は校章付きの「武具玉」。島のどこかに30個隠されているらしい。

〔武具玉(ぶぐだま)〕
「変化(へんげ)」と唱えると、何かの武器に変わる魔法の玉。
どんな武器に変わるかは使うまでわからない。
色は赤色で、他にも青色の「防具玉」、黄色の「道具玉」などがある。
一度変化させてしまったら、もう玉には戻せない。

勇者「ま、とりあえず最初は島民に聞き込みでもして回るか。」
盗子「だね。冒険の基本だね☆」
島民「おぉ、これはこれは…!我が島の英雄、勇者殿ではありませんか!」
勇者「オイ島民、実は今、学校指定の武具玉を探してるんだが…」
島民「おや、これですか?ハイどうぞ。」
盗子「早っ!もう終わり!?こんなんでいいの!?」
巫菜子「やったー☆(んだよこの展開…。バカにしてんのかよコラ?)」
武史「そういやこの玉って…どんな玉なんだっけか?」
芋子「「変身」って言えば武器になるって、爺やが言ってた。」
勇者「爺や?芋っ子のクセに生意気な!」
芋子「ワタイは皇女だもの。爺やくらいいるわよ…女だけど。」
盗子「婆やじゃん!」
勇者「ん…あれ?「変化」じゃなかったか?」

武具玉は槍に変化した。

 

112:卑怯〔6歳:LEVEL2〕
うっかり唱えてしまった「変化」。もう玉には戻らないので、一からやり直しになった。
だがその後は全く見つからず、気づけばもう夕方近くになっていた。 ヤバい!
勇者「仕方ない、作戦変更だ。港付近に陣を張り、宝を持ってきたチームを討つ!」
盗子「えっ、そんな卑怯な!アンタ一応「勇者」なんだからもっと正々堂々と…」
勇者「俺は「次世代型勇者」だ。そんな古臭い定義を俺に押し付けるな。」
芋子「ワタイは「次世代型皇女」。芋がとことん好き。」
盗子「アンタにゃ聞いてないよ!」
巫菜子「あ、誰か来たよ!しかも武具玉も持ってる!(よっしゃカモだぜ!)」
勇者「よーし、オイ貴様らちょっと待て!その武具玉は俺達がいただく!」
武史「そうはさせねぇ!お前なんかに盗子は渡さない!」
盗子「今はそんな話してないよ!てゆーか貰ってほしいよ!」
少年「くっ、まさかこんな展開になるとは…!!」
勇者「死ぬ前に一つだけ言わせてやる。その武具玉…どこで手に入れた?」

少年「ど、道具屋で買った。」
勇者「走れぇーーーー!!」

勇者は道具屋へと急いだ。

 

113:同志〔6歳:LEVEL2〕
結局道具屋で購入できた武具玉。売ってたり島民が持ってたり…わけわからん。
勇者「まったく…。あの先公、宝探しの定義を根本から間違えてやがるぜ。」
盗子「まぁ、ある意味盲点ではあったけどね。」
巫菜子「さ、それじゃ早いとこ港に戻ろっか☆(早く帰りてーよ、ったく。)」
盗子「そだね。集合時間守らないと、あの先生何するかわかんないしね。」
武史「俺は集合時間よりも盗子を守る。」
芋子「そしてワタイは芋を食う。」
勇者「戦闘があったらヤバかったな、このメンバー…むっ!?ま、まさか…」

眼前に敵(4グループ)が現れた。
明らかに武具玉を狙っている。

勇者「フッ、やはり考えることは皆おなじか…。いいだろう、かかって来い!」
巫菜子「よ、よーし!みんな頑張ろ☆(マジで?めんどくせーよコンチクショー!)」
盗子「わーん!やっぱ結局は戦うんだー!」
武史「みんな任せろ!盗子は俺が守る!」
芋子「そしてワタイは芋を食う。」

戦力外が多すぎる。

 

114:武士〔6歳:LEVEL2〕
武具玉を狙って現れた敵…しかも4チーム。この戦力じゃかなりキツそうだ。
勇者「一組ずつブッ潰すにしても、四組となると…ちっ、間に合うか微妙だぜ。」
武史「いや、ここは俺一人でいい。盗子を集合に遅れさせるわけにはいかねぇ。」
勇者「む?お前一人で戦うっつーのか?しかし…」
盗子「無茶だよお兄ちゃん!ただでさえポッと出のキャラは死にやすいのに!」
武史「これでも俺は六号生…お前らより3年も長く生きてる。信用しやがれ。」
勇者「…わかった、お前に任せよう。」
盗子「ゆ、勇者!?ちょっ…止めてよ勇者ー!」
武史「だが勘違いするなよ?お前のような奴に盗子は…盗子だけは絶対に…」
敵組A「かかれー!!」
武史「やらん!!」
勇者「いらん。」
盗子「即答すなー!」
勇者「よしお前ら、ここはシスコンに任せて港へ急ぐぞ!」

勇者は先を急いだ。

敵組B「くっ!逃がすかーー!!」
武史「おっと待ちな!安心しろよ、お前らは俺がまとめて相手してやるぜ。」
敵組C「邪魔しないで!さっさとどかないとリンチよ!?」
武史「ここから先は絶対に通さねぇ!逆らう奴は我が「武士道」の前に華と散れ!」
敵組D「武士道だと?そんなカビ臭ぇモンに誰が負けるかよー!」
武史「フン!武士道をナメんなよガキども!盗子は俺が幸せにする!」

武史はマシンガンを構えた。
武士道はどうした。

 

115:思違〔6歳:LEVEL2〕
敵は武史に任せ、ダッシュで港に向かっている俺達。
なんとか時間には間に合いそうなのだが、盗子が取り乱してやかましい。
盗子「うぐっ、お兄ちゃん…まだ会ったばっかなのに…。死んじゃイヤだよー!!」
勇者「大丈夫だ盗子、心配するな。アイツならきっと立派に…」
ダダダダダダダーーーーン!! ダーン…ダーン……(銃声)
勇者「立派に散ったさ…。」
盗子「お兄ちゃーーーーん!!」

今のは武史の仕業だ。

武史「妹を助けるために、一人残った兄…。うん、いい話だ。絶対ポイントアップだ。」
残兵「くっ、卑怯者…!な、なにが…武士道…だ…(ガクッ)」
武史「きっと盗子は「お兄ちゃん素敵☆」と思っているに…違いない!」

盗子は「死んだ」と思っている。

 

116:後付〔6歳:LEVEL2〕
今年の遠足では、全校生徒の約6分の1が消え去った。なかなかのハイペースだ。
一応これで春の行事は終わったので、あとは夏休みを待つだけなのだが…。
盗子「でもさ、確か四号生からは春の「文化祭」に参加するんじゃなかったっけ?」
勇者「なんだ、その取って付けたような後付けの行事は?初めて聞いたぞ。」
盗子「う、うん。アタシもそう思ったんだけど、なんか触れちゃいけない気がして…。」
姫「まさに「学園七転び」だね。」
勇者「姫ちゃん、それを言うなら「七曲り」だ。」
盗子「違うよ「七不思議」だよ!」
勇者「まぁいいや。ところで、そいつは一体どんな行事なんだ?」
姫「多分…燃えるね。」
盗子「えっ、火災的な!?じゃあ「ぶん」はどこへ!?」
勇者「黙れよぶん殴るぞ。」
盗子「ここへ!!?」

果たして真相やいかに。

 

117:頭下〔6歳:LEVEL2〕
今年の夏休みの宿題は、「地域の歴史調べ」。いつになく真面目な題材だ。
命懸けじゃないので一安心ではあるのだが、なんだか少しつまらない。
だがまぁ、将来歴史に名を刻む者として、歴史を知っておくのも悪くはないだろう。
勇者「う〜む…。やはり俺は、こんな小島の歴史には興味が無い。他を探す!」
盗子「はぁ?アンタまさか、大陸の歴史とか調べる気?大変だよ?正気?」
勇者「俺は「まさか」とお前が大っ嫌いだ。」
盗子「もうホント死ね!!…って、今まで何度も言ってんじゃん「まさか」って!」
というわけで俺は、泣き叫ぶ盗子の首根っこを掴んで図書館へと向かった。
だがしかし、なぜか大陸の歴史にまつわる本は一切置かれていなかったのだ。
仕方なく俺は、図書委員に頭を下げ、「極秘書」の保管庫に入れてもらうことにした。

図書委員「だ、誰だ!?この先は誰も…グエッ!

勇者は頭の下げ方を知らない。

 

118:歴史〔6歳:LEVEL2〕
優しい警備員の親切のおかげで、俺達は極秘書庫に侵入することができた。
勇者「厳重な警備ではなかったにしろ、この重苦しい雰囲気…やはり何かあるな。」
盗子「ね、ねぇ?もしかしてアタシも…「共犯」ってことになるのかなぁ…?」
勇者「バーカ、安心しろ。俺もそこまで鬼じゃねーよ。 お前は「主犯」だ。」
盗子「鬼ぃーー!!」
そんなこんなで早速歴史書を探し始めた俺達。しかしなかなか見つからない。
だが諦めかけたその時、転んだ拍子に偶然それらしい本を見つけたのである。
勇者「う〜む、「歴史全書」か…知らん名だな。 まぁいい、読めよ盗子。」
盗子「あ、うん。えっとねぇ〜…新星歴523年、突如現れた…えっ!?」

新星暦523年、突如現れた「魔王」により、世界は絶望の闇に包まれた。

勇者「なっ、魔王!?魔王がいたってのか!?初めて知ったぞ!」
盗子「523年っていうと…今から18年前だね。」

大陸は瞬く間に魔物に支配された。
破壊、殺人、ピンポンダッシュ…。
人々は皆絶望し、そして死を覚悟した。

勇者「今、明らかに場違いなのが一つ混じってたよな…?」
盗子「う、うん…。」

しかし、希望の灯はまだ消えてはいなかった。
その三年後、世界を救う者…そう、「勇者」が現れたのである。

勇者「キター!」
盗子「やっぱ「勇者」がキター!」

その者の名は、「勇者:凱空(ガイク)」。
凱空は、後に「四勇将(しゆうしょう)」と呼ばれる四人の戦士達と共に…

教師「・・・・・・・・。(拳をポキポキ鳴らせながら)」

二人「悪魔がキターーー!!!」

勇者はつまみ出された。

 

119:若頃〔6歳:LEVEL2〕
先公に邪魔されたため、一旦引き下がることにした俺達。まぁ命には代えられん。
しかし、どうにも気になって仕方がなかった俺は、家に帰って親父に聞いてみた。
勇者「オイ親父、ちょっと聞きたいことがある。」
父「ん? あぁ、サイズは上から…」
勇者「誰がテメェのスリーサイズを聞いたよ!?」
父「父さん結構巨乳だぞ?」
勇者「知るか!つーか嘘つくな!!」
父「3番、父さん。頑張って絞ります!」
勇者「一体何のコンテストだよ!?絞るな!そもそも何を出す気だ!」
父「お前は私の父乳で育ったのだ。」
勇者「…ハァ。 最後に、息子に遺す言葉はあるか?(抜刀しながら)」
父「じょ、冗談だ冗談!お前はその手を血…いや、父乳に染める気か!?」
勇者「いい加減「乳」から離れやがれ!俺は「歴史全書」のことが知りたいんだよ!」
父「なっ!歴史全書!? お、お前その本…どこで見つけたんだ!?」
勇者「学校の極秘書庫で見た。まぁ途中までしか読んでないが…知ってるのか?」
父「歴史全書か…懐かしいな。あの本は私が若い頃…」
勇者「親父も読んだことあるのか!?じゃ、じゃあ続きを教えてくれよ!頼む!!」

父「頑張って書いた。」
勇者「小説だったのかよ!!」

宿題はフリダシに戻った。

 

120:海開〔6歳:LEVEL2〕
「歴史全書」が的外れだったため、結局大陸の歴史調べは諦めた俺。
仕方なく皆と同じ課題にしたら早く片付いたため、今日はみんなと海へと来てみた。
勇者「海か…。普段がアレだと、イマイチこういう平和は退屈だなぁ…。」
盗子「勇者ぁ〜ん☆ どう?どう?アタシの悩殺水着姿にメロメロ〜??」
勇者「失せろ6歳児め。目が萎える。」
盗子「うわーん!ひどすぎるよー!」
勇者「そんなことより姫ちゃ…あ、いた。 なんだ、随分沖にいるなぁ…心配だ。」
盗子「い、いいんだ…。どうせアタシなんて「そんなこと」扱い…うぐっ。」
姫「勇者くーん、大変だよ〜。」
勇者「ど、どうした姫ちゃん!?まさか足でもつったのか!?」
盗子「あ、あれ?なんか沖が大騒ぎだよ?」
姫「すごいよー、フカヒレが浮いてるよー。」
勇者「姫ちゃん、それは食材名だ!つまり今はサメの恐怖におののくべき状況だ!」
盗子「姫ぇー!逃げてー!食べられちゃうよー!」
姫「やったね。食べられるんだね。」
勇者「ち、違うぞ姫ちゃん!今のは「可能」じゃなくて「受動」の意味だ!」
姫「・・・・・・・・あ〜、あれは美味しいよね、「ジュドン」。」
盗子「だ、ダメだよ勇者!全然通じてないよ!適当に誤魔化そうとしてるよー!」
勇者「くっ、ダメだ!この距離じゃ……姫ちゃーーーーん!!」


ドゴッ!(殴)
サメ「キッ、キェエエエエエエッ!!
勇者「なっ、あの巨大サメを一撃で…!? だ、誰だ!?水しぶきで見えんぞ!」
?「フッ、久しいな小僧ども。」
盗子「えっ、誰!?アタシらの知ってる人!?」

スイカ「ヌシらのスイカは壮健か?」
勇&盗「微妙なのがキター!!」

スイカ割り魔人が現れた。

 

第九章