第九章

 

121:西瓜〔6歳:LEVEL2〕
どういうわけか、投身自殺したはずのスイカ割り魔人が現れた夏の昼下がり。
勇者「い、生きていたのか貴様!あの高さから落ちて…!」
スイカ「フッ、ワシのスイカを並のスイカと一緒にするな!強度はなんと0.5倍!」
勇者「半分じゃねーか!」
盗子「え、えっとぉ〜…せっかくのお休みだし、今回は仲良くしちゃったりしない??」
スイカ「ナメるな!一度狙った標的を見逃すほど、ワシは甘くないわ!」
姫「塩をかければ甘くなるよ。」
盗子「なるかー!」
スイカ「喧嘩は嫌い。」
盗子「なっちゃったー!!」
スイカ「…とまぁ冗談はさておき、早速勝負に入ろうか。互いのスイカに懸けて!」
勇者「ケッ、相変わらず勝手な奴…って、だからスイカなんて持ってねーっての!」
スイカ「隠すな、ワシには聞こえるぞ?ヌシが内に秘めし…熱きスイカの鼓動が!」
勇者「…フゥ、もういいよ。やるならとっととやろうぜ。 さぁ、何やるんだ?」

スイカ「ビーチバレーだ。」
勇&盗「スイカは!?」

スイカは売り切れだった。

 

122:大会〔6歳:LEVEL2〕
こうして行うこととなったビーチバレー決戦。
しかし、ただやってもつまらんということで、他の参加者も募り大会にすることに。
結局8チームが集まったので、三回勝てば優勝のトーナメント戦となったのである。
勇者「くっ!いくらチーム分けはクジ引きとはいえ、まさかお前とはな…。」
弓絵「頑張りましょうね勇者先輩!夫婦初の共同作業ですねー☆」
勇者「(放っておこう…)さて、一回戦目は貴様らか。 まずは名を名乗れ!!」
芋子「ワタイは芋子。今日も元気に芋を食う。」
老婆「私は芋子様専属の執事「洗馬巣(セバス)」。「セバスちゃん」で結構ですぞ。」
勇者「フンッ、誰がババアに「ちゃん」付けなんかしてやるかよ。このシワの塊め!」
洗馬巣「ひ、ひどい…。 執事洗馬巣、250年ぶりに痛んだ乙女心…。」
勇者「にひゃっ…化け物かよ!」
芋子「任せて爺や。お前のカタキはこのワタイが…ワタイが芋を食う!!」
父「あ、ども。私がこの大会の審判を務めます、勇者の父です。みなさんヨロシク。」
弓絵「あっ、初めましてお義父様ぁー!未来の嫁でーっす☆」
勇者「誰がお前なんかを嫁に…! オイ親父、貴様からも何か言ってやってくれ。」
父「孫の名前は「英雄」がいいです。」
勇者「乗っかるなよ!」
芋子「芋、食いたい…。」
父「では早速始めましょう。 両チーム、試合前にグローブを合わせて!」
勇者「グローブなんかしてねーよ!何の試合だよ!」
芋子「ねぇ爺や、ところで…芋は?」
洗馬巣「芋ですか?それなら試合に勝った後たんまりと…。」
芋子「試合に負けたらダメなの?」
洗馬巣「いえいえ、仮に負けてもたんまりと!」

芋子「じゃあワタイは負けでいい。」
一同「…え゛?」

勇者は不戦勝で勝った。

 

123:敗北〔6歳:LEVEL2〕
戦わずして勝ち上がった一回戦。結局奴らは何の為に参加したのだろうか。
勇者「次の相手は…貴様か盗子!今回ばかりは手加減せんぞ!」
盗子「なにさ!いつも決まってこっぴどいじゃん!」
弓絵「あ、盗子先輩だー。いい加減、勇者先輩に付きまとうのやめませんかぁ〜?」
盗子「アンタにゃ言われたかないよ!」
武史「安心しろ、盗子は俺が守る!そのためだけに俺はいる!」
盗子「今日はゲームに集中してよ!アタシのことはどうでもいいから!」
勇者「あぁ、確かにどうでもいいな。」
盗子「はみゅーん!!」
父「それでは両チーム、準備はいいかな?」
弓絵「大丈夫でーす!お嫁にはいつでも行けますぅー!」
盗子「そんな準備は今いらないよ!」
武史(よし盗子、サーブにはこのボールを使え。これで奴らは一撃KOだぜ!)
盗子(えっ、なにこのボール?魔球でも打てるとか??)
武史(打った瞬間爆発する。)
盗子「アタシがヤバいじゃん!!」

〜その頃、第二コートでは〜
審判「試合終了ー!!」
スイカ「ノォーーーーーッ!!」

スイカは負けちゃってた。

 

124:先取〔6歳:LEVEL2〕
そして始まった準決勝。勇者として、こんな奴らに負けるわけにはいかない。
盗子「食らえー!超高速盗っ人サーブ!!」
武史「いいぞ盗子!名前の割にまったくもって速くないあたりが逆にナイスだ!」
勇者「行ったぞ弓絵、レシーブだ!」
弓絵「ハーイ勇者先輩!うまく受けれたら付き合ってくださーい☆」
勇者「(スルーして…っと。)よっ、トスッ!ナイスアシスト俺!」
武史「よし、ここは俺に任せろ盗子!お前の操は俺が守る!」
盗子「そんなピンチは今きてないよ!」
勇者「さぁいけ!アターーック!!」

弓絵「勇者先輩、ずっと好きでした☆」
勇者「そのアタックじゃねーよ!!」

スイカは帰り支度をしている。

 

125:花火〔6歳:LEVEL2〕
気づけば負けていたスイカ割り魔人。言い出しっぺとしての自覚が足りなすぎだ。
というわけで、もはや続ける理由の無くなった大会は途中で切り上げることにした。
そして俺達は、夜になるのを待って花火大会へと向かったのである。
勇者「花火か…なかなか綺麗なもんじゃねーか。」
盗子「(チャーンス!このロマンチックに便乗して素敵な告白を…!)あ、あのさ…」
勇者「お前も見習え、この潰れ顔め。」
盗子「うっさいわ!死ねっ!!」
少年「ダメだよキミ、簡単に「死ね」とか言っちゃ。」
勇者「む?なんだ貴様…名を名乗れ!」
少年「僕の名は「余命一年之助」、略して「余一(よいち)」。職業は「闘癌士」だ。」
勇者「まったくもって幸の無い名前だな。とりあえず親は悪ふざけが過ぎるぞ。」
盗子「それに「トウガンシ」って…何? 聞いたこと無い職業だけど…。」
余一「主に「胃ガン」などと闘っている。」
盗子「ただの病人じゃん!」
余一「もう…長くないかも…しれない…」
盗子「あ、そっ、そうなんだ…。」
余一「…と言われ続けて十余年。」
盗子「大健闘じゃん!!」
余一「ちなみに唯一の、オリジナル六号生。」

大健闘だった。

 

126:遠足〔6歳:LEVEL2〕
あっという間に夏は過ぎ去り、そして学園生活における3度目の秋がやってきた。
クラスの奴らの瞳は皆、綺麗な「諦めの色」をしている。もはや見慣れた色だ。
その原因となる秋の遠足なのだが、どうやらまた例年とは違った形になるらしい。
教師「えー。実は、大陸の留置所から囚人4名が脱獄したという情報が入りました。」
盗子「ま、まさかそいつらを捕まえろとか…」
勇者「言うんだろうな。」
教師「囚人、ゲットだぜ!」
盗子「言い方変えても同じだよ!」
教師「大丈夫です。この島に上陸したのは、そのうち2名だけという話ですし。」
盗子「う〜ん、まぁ少しはいっか。 んで、ちなみにその人達は何した人なの?」
教師「ちょっとした大量殺人です。」
盗子「大事件じゃん!」
教師「というわけで、今回の遠足は「近所で囚人探し」です。みなさん頑張って!」

もはや「遠足」ではない。

 

127:前夜〔6歳:LEVEL2〕
明日の遠足は、この島での囚人探し。なんだ、俺達は「なんでも屋」か。
聞くところによると、敵は「五錬邪(ごれんじゃ)」という悪党集団のメンバーらしい。
五錬邪は各人、赤・黒・黄・桃・群青色(一人だけ微妙)の仮面を纏っているそうだ。
今のところ知っているのはこれだけ。だが明日までにはもう少し調べておきたい。
そう思った俺は、例の如く家に帰って親父に聞いてみることにした。
勇者「ただいまー。」
黄錬邪「おかえりー。」
勇者「出たぁーーー!!」

「黄錬邪」が現れた。

だが何故かエプロン姿だ。

 

128:過去〔6歳:LEVEL2〕
どういうわけか我が家にいた黄色仮面の女。コイツが「黄錬邪」に違いない。
しかし何故こんな所に…。 やはり俺に安息の地は無いのだろうか。
勇者「き、貴様…なぜここにいる!?それに親父…親父は!?親父ぃー!」
黄錬邪「フフッ、叫んでも無駄よ。 今の彼に、キミの声など届かない。」
勇者「くっ、親父はどこだ!」
黄錬邪「お風呂。」
勇者「バスタイムかよ!!」
父「ふぃ〜、いい湯だっ…おぉ勇者、帰ったか。 見ろ、父さん湯上りタマゴ肌だぞ。」
勇者「コラ親父、これは一体どういうこった!?」
父「なんだ、わからんのか? つまりお肌がまるでタマ…」
勇者「そこに抱いた疑問じゃねーよ!なぜ脱獄囚がここにいるかって聞いてんだ!」

父「だって父さん、初代「赤錬邪」だし。」
勇者「マジで!?」

親父は意外な過去を持っていた。

 

129:正義〔6歳:LEVEL2〕
親父によると、「五錬邪」はそもそも親父が10歳の頃に作った組織なのだそうだ。
どう見ても悪党のような名なのだが、一応正義の味方として活躍していたらしい。
勇者「ふーん、そうなのか。 で、ちなみにどんな正義の活動してたんだ?」
父「あー、主に「ゴミ掃除」とか?」
勇者「ショボッ!そりゃ「正義」じゃなくて「善意」のレベルだろ!」
黄錬邪「時給とか結構渋かったですよね。」
勇者「金は取るなよ!バイト感覚か!」
そんなふざけた活動をしていたという、「自称:正義の味方」だったっぽい五錬邪。
だが親父の脱退と共に、組織は悪の道へと走り始めたのだと黄錬邪は言った。
勇者「なるほどな。「五錬邪」なのに脱獄囚は四人というのが気になっていたが…。」
父「うむ。黄錬邪はむしろ彼らの悪事を止めようとしていた側だからな。」
黄錬邪「では挨拶も済みましたし、私はそろそろ彼らを探しに…」
父「まぁ待つんだ黄錬邪、私も行こう。時は一刻を争う。」
勇者「へぇ〜、ヤル時はヤルんだな親父も…」

父「明日はゴミの日だし。」
勇者「そっちの活動かよ!!」

時給は出ない。

 

130:出直〔6歳:LEVEL2〕
黄錬邪は一応敵じゃないようなので、まぁとりあえず一安心。
彼女の調べによると、敵は東の「六つ子洞窟」付近にいる可能性が高いそうだ。
というわけで俺は、仲間を募り黄錬邪とは違う角度から敵を追い詰めることにした。
俺達はまずクジ引きで組分けをし、手分けして敵を探すことにしたのである。
勇者「ふぅ〜、やれやれ。まさか貴様らなんぞとチームになるとはな…。」
暗殺美「愚痴りたいのはこっちの方さ!アンタは私の敵なのにさ!」
巫菜子「ま、まあまあ!仲良くしよーよ☆(ったくウゼー奴らと当たっちまったよ。)」
勇者「…ところで、そろそろ出てきたらどうなんだ?そこにいるんだろ五錬邪?」
巫菜子「えっ!敵はもう側にいるの!?(なんでわかんだよコイツ!?)」
勇者「パターンを読んでみた。」
暗殺美「んなもん読むなや!! 常識外れにも程があるさ!」
勇者「さぁ、とにかく出て来い!とっととブッた斬ってくれるわ!!」

・・・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・。

勇者「ふぅ〜、やれやれ。まさか貴様らなんぞとチー…」
暗殺美「無かったことにすんなや!!」

勇者は勝手にTake2に入った。

 

131:危機〔6歳:LEVEL2〕
毎度の展開を考えると敵はすぐに現れると思ったのだが、今回は違ったようだ。
だがまぁ他の五つの穴のうちのどれかでは、恐らくもう戦闘は始まっているだろう。
う〜む…ハズレを引いたと言うべきか、アタリを引いたと言うべきか。
勇者「行き止まりか…。どうやらここにはいなかったようだな。戻って他の穴に…」
声「うっぎゃあああああああああ!!
暗殺美「悲鳴!?壁の向こうから聞こえるさ!きっと隣の穴に敵がいるのさ!」
勇者「この色気もへったくれも無い叫び声は…盗子か!!」

〜その時、隣の洞窟では〜
群青錬邪「ケッ、逃げ足だきゃ一人前な小娘だぜ…。いい加減諦めやがれ!」
盗子「い、イヤだー!死にたくないよー!!」
少年「大丈夫でござる!悪党の好きにはさせないでござるよ!」
盗子「えっ!?やった、もう一人生きてたー! …って、誰だっけ??」
少年「拙者は二号A組の「法足(ハッタリ)」。歴代最強と呼ばれし「忍者」でござる!」
群青「さ、最強…!? そうか、歯ごたえのある奴もいやがったのか!」
法足「伝説の秘奥義、「忍法:木の葉乱舞」を食らうがいいでござる!」
盗子「わーい、いいぞー!やっちゃえマッタリー!」
法足「ハッタリでござる!」
盗子「あ、ご、ゴメン!やっちゃってよハッタリ君!」

法足「ハッタリでござる!(すべてが)」
盗子「アタシ、死ぬかも!!」

盗子は大ピンチだ。

 

132:精霊〔6歳:LEVEL2〕
隣の穴から盗子の絶叫が聞こえた。どうやらあっちは相当の修羅場らしい。
面倒は面倒だが、「勇者」として手柄を上げるためには行かねばなるまい。
勇者「くっ!助けに行こうにも、今から入り口まで戻ってちゃ間に合わん!」
暗殺美「でもこの岩壁は砕けそうにないさ。やっぱり戻らないと…。」
巫菜子「(チッ、しゃーねーなー。) ううん、大丈夫!私に任せて!」
勇者「む?何か妙案でもあるのか!?」
巫菜子「(いいから黙って見てろやボケが!) さぁ、いでよ「大地の精霊」!!」

巫菜子は「大地の精霊」を呼び出した。
精霊の力により、岩壁はまるで扉のように開いた。

暗殺美「ワオ!スゴいさ!アッと言う間に繋がっちゃったさ!」
勇者「ほぉ、精霊ごときがなかなかヤルじゃねーか。」

岩壁は閉じた。

暗殺美「どわっ!閉じた!閉じちゃったさ!」
巫菜子「だ、大地の精霊は神経質なんだよー!(チッ、余計なこと言いやがって!)」
勇者「くっ! わ、わかったよ…。もう一度呼んでくれ巫菜子。」
巫菜子「う、うん!わかったからちゃんと謝ってね!(ったく、めんどクセーなー。)」
暗殺美「よーし、キチンと謝るさ勇者!事態は切迫してるのさ!」

巫菜子は「大地の精霊」を呼び出した。
精霊は勇者に土下座を求めた。

勇者「勝負だこの野郎!!」
暗&巫「挑むなー!!」

盗子よりもプライドが大事だ。

 

133:既遅〔6歳:LEVEL2〕
結局なんとか精霊を言いくるめ、再び岩壁を開かせた俺達。これで助けに行ける!
ということで早速助太刀に向かったのだが、どうやら少しばかり遅かったようだ。
辺りを見回すと、既に息絶えたような奴らが4人ほど転がっていた。
勇者「お…オイ、盗子…盗子ぉーー!! 死んだのか!?生きてないのか!?」
暗殺美「どっちも同じ意味さ!」
巫菜子「ひ、酷い…こんなのって…。(ったく、ザコどもめが。)」
暗殺美「あっ!大丈夫、盗子は気を失ってるだけさ!」
勇者「なにっ!?おぉ、そうか!無事だったのか!!             …チッ。」
盗子(な、なんだろう今の舌打ちは…)
群青「おっと、まだ仲間がいやがったのか。そのガキはひとまず命拾いしたな。」
勇者「貴様…許さんぞ!貴様の首を盗子の墓前に捧げてやる!!」
暗殺美「違うさ勇者!盗子はまだ生きてるさ!」
勇者「くっ、かわいそうに…こんな顔にされちまって…。 なんて酷い奴なんだ!!」
群青「いや…お前の方が酷いよ。」

顔だけは無傷だ。

 

134:開戦〔6歳:LEVEL2〕
盗子ネタでの一人遊びにもいい加減飽きてきたので、ぼちぼち戦い始めることに。
勇者「さぁ、お遊びもここまでだ!この勇者が今から貴様を倒す!」
群青「!! そうか、テメェはあの人の…。おもしれぇ!来いやぁあああ!!」
勇者「いいだろう!その群青の仮面を赤に染めてくれるわ!!」
暗殺美「待つさ勇者!こういう暗闇は「暗殺者」のテリトリーさ!」
勇者「む? よし、ならば任せてやる!行けぇーーー!!」
暗殺美「私は華麗な暗殺者…闇に紛れて敵を討つさ!」

暗殺美の攻撃。

勇者に20のダメージ。

 

135:瀕死〔6歳:LEVEL2〕
いきなり不意打ちをかましてきやがった暗殺美。この期に及んでなんて奴だ。
勇者「ぐっ、テメェ…この俺を攻撃するとはどういう了見だコラ!?」
暗殺美「ちょっとどさくさに紛れてみただけさ。」
勇者「言い訳になってねーよ!」
群青「じゃれあってるんじゃねーよガキども!さっさと死にやがれ!!」
勇者「なっ!速っ…ぐわっ!

群青錬邪の攻撃。
勇者は瀕死のダメージを受けた。

結構大ピンチだ。

勇者「ぐはあああっ!! (ヤベェ…死ぬ…!)」
姫「大丈夫だよ勇者君、私が傷を治すよ。」
勇者「ひ、姫…ちゃん?一体どうやって…ここに…?」
姫「送料は着払いだよ。」
勇者「郵送で!?」
姫「早速治すよ。 むー、「治療」!」

姫は〔治療〕を唱えた。
盗子の傷が治った。

姫「やった、大成功。」
勇者「い、いや、俺を…俺を…。」
盗子「う、う〜ん…ハッ!勇者!?大丈夫!?」
勇者「それにしても…姫ちゃん、知らぬ間に回復魔法…覚えたん…だな…。」
姫「こんな日もあるんだね。」
盗子「えっ、マグレ!?」
姫「当たらぬも八卦、当たれば儲けだよ。」
盗子「そりゃ占い…てゆーか「儲け」て!回復ってそれ程ギャンブルじゃないよ!」
姫「じゃ、いくよー。 むー!死め」
勇者「ちょ、ちょっと待て!今、明らかに間違ってたぞ!」
姫「あ〜、ウッカリしちゃってたよ。えへへ。」
盗子「笑って許される問題じゃないよ!」
勇者「許しちゃう。」
盗子「命懸けで!?」
姫「じゃ、今度こそいくよー。」
勇者(6年か…短い人生だったな…。)

姫は〔治療〕を唱えた。
勇者は傷が治った。

だが寿命は縮んだ気がした。

 

第十章