序章

 

13:一蹴〔3歳:LEVEL1〕
偉そうに現れた、「獄長」とかいうオッサン…名前も見た目もとにかく強そうで怖い。
トナリ「チッ、マジィな…どう考えても勝てねぇって風を感じる。どうするタマ?」 
タマ「自慢じゃないけどノープラン! だけど…」
パイオツ「ここで死ぬのか…。外のバラ色の世界を見ることも叶わずに…。」
マジデ「諦めちゃダメだしマジで!それに、いくらなんでも殺されは…」 
獄長「残念だが、それは」
タマ「甘い考えだよ、マジデ!!」
タマはマジデを蹴り飛ばした。
マジデ「マジでっ!?ぐふっ!
獄長「…ほぉ、なかなかに良い勘をしている。さすがは”奴”の子というべきか。」
タマ「私には仲間が必要なんだよ!だから…絶対殺させない!」
マジデはピクピクしている。

 

14:不意〔3歳:LEVEL1〕
なんかよくわかんないけど、ここで手駒が減るのはヤバい気がしたの。
タマ「てなわけで、ちょっと全力で抵抗してみようかと思うよ。やっちゃえトナリ!」
トナリ「ああやってやんよ!だがテメェもな!?実力見せろよぉ!?」
タマ「見せるよ!パイオツもね!?」
パイオツ「なんですって!? あぁ…そういう意味かっ…!」
タマ「んで、マジデ…は今アレだから、じゃあ助っ人の人!」
獄長「なっ!?」
土男流「えっ!?」
土男流は不意を突かれた。

 

15:対面〔3歳:LEVEL1〕
特に根拠も無かったけどとりあえず振ってみたら、ホントにいたっぽい助っ人の人。
タマ「なんかゴメン…勢いで登場シーン潰しちゃったけど、アンタ誰さ?」
土男流「おっ、私か?私は」
獄長「なるほど、わざと捕まっていたというわけか…「奴隷解放軍総長:土男流」よ。」
タマ「オーケーわかったからもう黙って良し!」
土男流「くっ…!」
獄長「やれやれ、まさか貴様まで出てきていたとは…」
タマ「貴様まで…?どーゆー意味なの怖いオッサン?」
獄長「ハッ!そ、それは」
土男流「この機に乗じて、他の”王”の使者達が大勢乗り込ん」
タマ「いや、アンタじゃなくて。」
土男流「うぉー!なぜなんだー!?」
一応初対面だ。

 

16:関係〔3歳:LEVEL1〕
土男流とかいう女の人が言うには、他にも何人か来て暴れてるみたい。
どうりでちょっと警備が緩いと思ったよ。じゃあ逃げ切る隙もあるかもだよね!
タマ「だから、逃げる!!」
獄長「逃がすくらいなら殺す。外の世界に出せば、いずれ大きな脅威となるだろう。」
パイオツ「きょ、胸囲!?ななな何カップなんだい!?」
トナリ「オメェは脅威になりそうだがな…性犯罪的な意味で。」
兵士B「しかし獄長、殺してしまっては今後の”研究”に支障が…!」
獄長「問題無い。最も素養のある…”星”を持つ者達さえいれば、まだ続行可能だ。」
トナリ「け、研究?星…?一体何の話だよテメェ!?」
獄長「フン、貴様らには関係の無い話だ。」
土男流「いや、関係無くはないだろ?むしろ思いっきり関係してるじゃないか。」
タマ「それは私らが「天力」持ってるから?」
土男流「失われし古代の…えぇっ!?あ…うん…。」
土男流は帰りたくなった。

 

17:手帳〔3歳:LEVEL1〕
ん?天力…?自分で言っといて何のことかよくわかんない。
でもまぁ、こーゆー既視感的なのってよくあるよね。気にしない気にしない。
獄長「さて…では早急に死んでもらうとしよう。他にも倒すべき敵は多いようだしな。」
土男流「おっと、そうはいかないぜ。私は使命を持ってここにいるんだ。」
トナリ「や、やれんのかよ!?アンタならこの化け物に、勝てるってのかよ!?」 
土男流「フッ…大丈夫、秘策はあるんだ。」
タマ「んじゃ、あとよろしく〜。」
土男流「ちょっ…ま、待ってくれ!お前の力も当てにしてるだけに困るんだー!」
タマ「え…つまりアンタは、私にこんな危険な場所に残れと…?鬼っ!」
土男流「くっ…!わ、わかったんだ!じゃあ…せめて”これ”を持っていくんだー!」
タマは「手帳のようなもの」を手に入れた。
タマ「こ、これは…!」
土男流「そう…それには、お前の出生の秘密が記されてるんだー!」

読めない。
タマは教養が足りない。

 

18:逃亡〔3歳:LEVEL1〕
話の流れで、あとは土男流って人が頑張ってくれるっぽい感じになった。
なにかとわかんないことだらけだけど、気にしてる暇があったらとりあえず逃げよう。
タマ「そんじゃ逃げるよトナリ、パイオツ!あ、マジデも忘れずに!」
パイオツ「任せてくれタマちゃん、いろんな所をがっしり掴んで僕が運ぶ!」
トナリ「お前はすぐ帰ってくる気がするがな、別の罪で…。」
獄長「そうはいかぬ!貴様らを解き放つわけには、いかぬのだーー!!」
獄長の攻撃。

兵士Bが攻撃を食らった。
兵士B「ぐへぇええええええ!!
兵士C「す、すみません獄長…!私は…私は…!」
獄長「…くっ、おのれ「人間師」…!敵をも統率するか…!」
土男流「さぁ行くんだ、勇姫!今のうちに逃げ…いないっ!?」
とっくにいなかった。

 

19:静走〔3歳:LEVEL1〕
逃走すること数分。聞いてた通り他でも誰かが暴れてるらしく、警備は手薄っぽい。
これ以上何かあったらたまんないし、静かに且つ猛ダッシュで逃げよう。
タッタッタ…(走)
マジデ「…むにゅ…ハッ!こ、ここは!?」
タマ「あ、おはようマジデ。ようこそ地獄へ。」
マジデ「えっ、マジで!?」
トナリ「ま、あながち間違っちゃねぇがな。どこへ行っても地獄しか無ぇ気がするぜ。」
パイオツ「いいや、天国さ。この感触…間違いない。」
マジデ「って人の尻揉みながら何言ってんの!?もういいから降ろしてマジで!」
タマ「え…業者に?」
マジデ「”卸す”のはヤメて!」
タマ「三枚に…?」
マジデ「それはもっとヤメて!!」
全然静かじゃなかった。

 

20:位置〔3歳:LEVEL1〕
マジデが起きて騒がしくなると、敵もなんとなく増えてきた。
兵士D「逃がさんぞクソガキどもー!うぉおおおおお!!」
タマ「フン、返り討ちだよっ! トナリは”前”にダッシュ!」
トナリ「おぅ了解だ、やってやんよ!」
タマ「パイオツは”左右”にプルプルと!」
パイオツ「その表現ナイスだよタマちゃん!みなぎってきたー!」
タマ「あ、マジデは”後ろ”見ててね。」
マジデ「いいけど…じゃあタマっちはどこ担当?」
タマ「私は”上”に立つ者。」
マジデ「マジで言ってそうなのがこわい!」
少女「じゃあボキュは”下”なの?」
タマ「あ、うんそうだね。ちょうど足下にいるし。」
少女「おけー。」

誰だろう?
じゃあ聞けよ。

 

21:要人〔3歳:LEVEL1〕
前後左右でも上でもなく、なんと下から変なのが現れた。なに、この子モグラ?
タマ「だからアンタは「モグラ」ね?」
モグラ「わーい、やたー。」
トナリ「いや、二人とも適応力ありすぎだろ!なにかと気にするだろ普通!?」
パイオツ「おっと、それはスリーサイズのことかな?」
マジデ「3歳児のそれ聞いてマジどうしたいの!?」
兵士E「そ、その子は”土”の…!いかん、絶対に逃がすな!」
トナリ「なんか要人っぽいな…。どうするよタマ?下手すりゃもっと面倒なことに…」
タマ「かといって置いてけないよ!さ、いきなよモグラ!」
モグラ「え…いいの?」
タマ「うん、やっておしまい!」
噛み合ってない。

 

22:能力〔3歳:LEVEL1〕
なんかモグラは重要人物っぽいから、多分強いに違いない。任せちゃおっと。
タマ「ちなみにさ、”土”の子って具体的にどんな能力があんの?」
モグラ「えとねー、とりあえず力が強いぽいよ?」
兵士F「フン、小娘が!ならば我がはちきれんばかりの筋肉で」
モグラは片手で放り投げた。
兵士F「ぎゃーーーーーー!!
マジデ「マジで!?」
タマ「な、なんか凄いね…。例えるなら”お嫁に行けないレベル”で。」
モグラ「なにそれ死にたい…。」

〜その頃〜
兵士G「よ、よろしいのですか獄長?あの女を追わなくて…」
獄長「気にするな、あの傷ではどのみち長くはもつまい。それより問題は…”奴”だ。」
兵士G「え…?」
老人「…ほぉ、このワシに気づくとは…さすがは「大監獄:ワノルヨ」の、獄長よのぉ。」
獄長「やはり貴様も動いていたか…。「音無き金色の禿げ:暴愚(ボウグ)」よ。」
暴愚「フッ、そうそう金色の…って誰が”禿げ”じゃい!”影”じゃ!!」
だが禿げてる。

 

23:世常〔3歳:LEVEL1〕
5人になった私達は、死に物狂いで駆け抜けて、なんとか出口付近に到着したの。
でも、ここからどうすればいいのかはさっぱりわかんない。行くあて無いし…。
マジデ「ぃやっほー!マジ逃げ切れたし!これで自由だぁー!」
トナリ「油断すんなよマジデ、出口にゃまだどんな敵がいるかもわかんねぇしよぉ。」
タマ「大丈夫!私達の戦いはこれからだよ!」
パイオツ「いやタマちゃん、それ「打ち切りフラグ」…。」
兵士H「き、来たぞー!ここだけは絶対に通すなよ、野郎どもぉー!」
兵士達「おぉおおおおおお!!」
兵士が20人くらい現れた。
タマ「フン、大量に現れる奴らは大抵みんなして雑魚なのが世の常なんだよ!」
兵士H「生まれてずっと牢獄にいた分際で世の何を知ってんだよクソガキがぁ!」
タマ「フッ、返す言葉も無いね。」
兵士I「おりゃああああ!死ねぇええええええ!!」
マジデ「ま、マシンガン!?」
タマ「フン、甘いね!その手の連射は、なぜか当たらないのが世の常なんだよ!」
ズダダダダダダン!!
何発か食らった。

 

24:巨壁〔3歳:LEVEL1〕
おかしい。この私がこんな所でこんな無名な奴らに追い詰められるとかありえない。
〜シイの森〜
マジデ「ゼェ、ゼェ、マジなんで!?なんで外出てからの方が追っ手多いのよ!?」
タマ「参ったなぁ〜…これだから人気者は困る。」
マジデ「ファン的な!?マジでどうなってんのアンタの思考回路!?」
モグラ「ボキュ、ちょち疲れたかも…。」
パイオツ「ならば僕が抱き」
トナリ「チッ、行き止まりだ!ヤベェぞ…もう逃げ場が」
巨人「壁扱いされた…。」
謎の巨人が現れた。
一同「…デケェ!!!」
トナリ「えっ、人かよっ!?これで人とか…マジで!?」
マジデ「ウチのセリフ盗んないでくれる!?」
兵士J「そ、その巨体…まさか、「猛き褐色の大巨人:呉隷武(ゴレイブ)」…!?」
タマ「いや、壁じゃない?」
呉隷武「壁扱いされた…。」
ハートは繊細だった。

 

25:暴露〔3歳:LEVEL1〕
その後、壁のオッサンは豪快に大暴れ。人ってあんなに簡単にああなるんだ…。
タマ「なんだろ…アニメ化の際には全編モザイクかかりそうなこの光景…。」
呉隷武「ふむぅ、やれやれ。準備運動にもならなかったわねぇ。」
マジデ「そのガタイでおネェ言葉とかマジで!?」
呉隷武「危ないところだったわねぇおチビちゃん達。無事だったかしらん?」
トナリ「チッ、どうするよ…?コイツのヤバさは、あの兵士どもの比じゃねぇぜ?」
タマ「だね…。確かにヤバいキャラだよ。」
トナリ「いや、そんな意味じゃな…くもねぇが、それどころじゃねぇよ!?」
呉隷武「ところで、この中に”星”を持つ子がいると見たんだけど…どうかしらん?」
タマ「ねぇオッサン?」
呉隷武「誰がオッサンじゃボケェ!?あごヒゲで頬ジョリジョリするぞゴルァ!?」
タマ「その”星”…ってのを持つ子がいたら、どうする気なのおネェさん?」
呉隷武「ん?もち連れてくわよぉ。アタシには野望があるんだもの〜♪」
タマ「んで、残った人間はどうする感じ?」
呉隷武「そうねぇ〜…ま、アンタは気に入ったから生かしておいてもいいかな♪」
タマ「いってらっしゃいモグラ。」
モグラ「なんと!?」
モグラは連れて行かれた。

 

26:救手〔3歳:LEVEL1〕
モグラを生け贄に、なんとかゴツいオッサンの魔の手から逃れられた私達。
かわいそうに、モグラ…いい子だっ…たのかもわからないけども。
タマ「さ、んじゃ行こっか!」
トナリ「って、何事も無かったかのように…。ま、確かにのんびりはしてらんねぇが。」
パイオツ「でも、恐らくここは隔離された星…どうやって逃げるつもりだい?」
タマ「勢いで。」
マジデ「全然答えになってないしマジで!」
タマ「今いっぱい乗り込んで来てるんでしょ?なら宇宙船の一つや二つあるって。」
トナリ「幼児4人で奪うってか?世の中そんなに甘かねぇだろ?」
声「そーゆーことなら問題無いよっ!」
メカ盗子DXが現れた。
だがタマは華麗に無視した。

 

27:脱出〔3歳:LEVEL1〕
どう逃げようか困ってるとこに現れたのは、どっかで見た気がする女の子だった。
思いっきり無視してやったのに、めげずに話しかけてくるし…なにこの鉄のハート?
DX「あっちに宇宙船があるから、さっさと行くよ!囲まれちゃう!」
タマ「いきなりなんなのさアンタ?フザけるのは顔だけにしてもらえる?」
トナリ「いや、どことなくオメェに似てる気がするが…。」
DX「土男流に全部託されてきたよ!あっ、アタシのことは「トーコちゃん」でいいよ♪」
パイオツ「土男流…さっきの上から82・60・86さんか。」
マジデ「なにその下劣極まりない命名と無駄な眼力!?」
DX「自分にもしものことがあったら、アンタらを無事に逃がしてって…さ…。」
タマ「ふーん。」
DX「軽っ!えっ、鬼!?まったく変なとこだけ父親似で困っちゃうね勇姫は!」
トナリ「ユウキ…あのネェちゃんもそう呼んでたな。オメェら、タマの何を知ってる?」
DX「ん〜…ま、その辺はこれから知ることになるよ!これから…嫌でも、ね。」
こうしてタマ達は、とりあえず無事に逃げ延びた。

そう…とりあえずは。

 

第一章