第一章

 

28:特訓〔4歳:LEVEL2〕
3年に渡る囚人生活を卒業し、やっと人並みの人生が始まった私の名前は「勇姫」。
トナリ達と変なロボと人里離れた山奥に逃げ込んでから、気づけば1年経ってたよ。
勇姫「お〜いトナリ〜!ひっさしぶりー!」
トナリ「おぉタマ…じゃねぇ、勇姫か。未だに慣れねぇや。」
勇姫「だからタマでいいってば。ところで修行は順調?あぁそうそれは良かった。」
トナリ「聞く気がねぇなら疑問符付けんなよ、ったく…。ま、程ほどに順調だよ。」
勇姫「マジデは?」
トナリ「相変わらずギャーギャーうるせぇが、それなりにはやってると思うぜ?」
勇姫「そっか良かった。パイオツは?」
トナリ「相変わらず変態だ。」
勇姫「そっか死ねばいいのに。」
トナリ「ところでオメェの方はどうよ?ロボとの特訓…って、アイツはどうした?」
勇姫「え?あ、うん…もげた。」
トナリ「もげ…何が!?」
勇姫は遠くを見た。

 

29:噂話〔4歳:LEVEL2〕
なんでかわかんないけど、とっても嫌な予感がしてこの1年間特訓しまくった私達。
追っ手とか来たし対戦相手には事欠かなかったけど、もうじき違う何かが…来る。
マジデ「おっ、タマちんじゃーん!どうなの修行はどうなったのよ?」
勇姫「ん?もいだ。」
マジデ「もい…何を!?」
パイオツ「やぁタマちゃん。ちょっと見ない間にまた少し美人になっちゃった?」
勇姫「ハァ…?何言ってんのアンタ?”少し”じゃないし!」
トナリ「論点そこかよ…まぁいい。それより聞いてくれ、気になる噂を聞いたんだ。」
勇姫「気になる噂…?」
トナリ「この辺にいるらしいぜ、「氷の王」…その素質を持つ、悪魔の子供がよぉ。」
要は同類だった。

 

30:選択〔4歳:LEVEL2〕
トナリの話によると、近くにおっかない何かが来てるとか違うとか。
パイオツ「もしかしたら、その子がタマちゃんの…”嫌な予感”の正体かもね。」
勇姫「アンタって線も捨て切れないけどね。」
パイオツ「殺したいほど嫌われてるとか…。」
男「捜しましたよ〜、呪われし子供達よ〜。」
謎の男が現れた。
マジデ「た、タマちん!もしかして、この人が…!?」
勇姫「…うん。多分だけど…そうだと思う。もしくはパイオツ。」
トナリ「お、俺も感じるぜ…。確かにこいつぁ…とんでもねぇ、脅威だ。」
男「選択の機会を与えましょ〜。僕と共に来るか〜、それとも…この場で死ぬか。」
どうしますか?

たたかう
にげる

 

31:決断〔4歳:LEVEL2〕

たたかう
にげる
うん、やっぱ逃げよう。なんかコイツどうしようもなくおっかない。絶対殺されちゃうよ。
トナリ「アンタ…何者だよ?」
男「我が名は「禍護(カゴ)」。縁あって、キミ達を預かりに来たのですよ〜。」
トナリ「フン、”殺しに”の間違いじゃねぇの?なぁタマ…はもういねぇがな!くそっ!」
マジデ「え、マジで!?早っ!そして外道!」
禍護「やれやれ〜…。では仕方ない…鬼ごっこといきましょ〜。」
パイオツ「おっと、そうはさせないよ。ここでポイント稼いで好感度上げないとね。」
禍護「ほぉ、”氷”の…。資質無き者にしては〜、なかなかに良い冷気ですね〜。」
パイオツ「予想以上だよ?例えるなら、タマちゃんの僕への態度と…同じくらいに。」
パイオツは言いすぎた。

 

32:滑走〔4歳:LEVEL2〕
風のような速さで消えた勇姫の代わりに、頑張れパイオツ。
たまには頑張れ。
パイオツ「アナタの狙いがタマちゃんなら、全力で止めるよ。」
禍護「僕も暇ではないのですが〜、ま、研究の一環と考えることにしましょ〜。」
パイオツ「その油断が命取りさ!いくよ、必殺「銀盤スケーター」!」
大地が凍った。
パイオツ「この超高速の突進…果たしてかわせるかな!?」
トナリ「おぉ!やるじゃねぇかパイオツ、見事な滑りっぷり!」
マジデ「さっすが滑り慣れてるー!」
パイオツ「いや、ちょ、誤解を生む表現は…」
禍護「…おっと。」

ドゴン!!
パイオツは壁に突き刺さった。

 

33:恐怖〔4歳:LEVEL2〕
パイオツは自滅し、そして次はマジデの番になった。
禍護「さて…次はどちらでしょ〜?」
マジデ「う、ウチがやるよ!アンタなんかにタマちんは…」
禍護「あ〜、少し待ってくださいね〜。」
ゴキュ!
パイオツは大変なことに。
マジデ「ちょ、マジで!?パイオツーーー!!」
トナリ「やっぱ女が絶叫する単語じゃねぇよな…。」
禍護「血抜きしないと臭いですからね〜。」
マジデ「なにその食べる前提!?」
禍護「キミの属性は何ですか〜?少しは…楽しませてくださいね〜。」
マジデ「や…やっぱ超こわいんですけどマジで!!」
マジデは震えあがった。

 

34:余裕〔4歳:LEVEL2〕
パイオツの最期が最期だけに、プレッシャーがハンパ無いマジデ。
はてさてマジデはどのように死ぬのか。
マジデ「ふんぬぅうううううううう!!」
トナリ「で、でけぇ…!そんな岩を持てるとか怪力女にも程があるぜオイ!」
マジデ「い…言わないでマジで…!傷つくしぃ…!」
禍護「ほぉ、”土”の子ですか〜。がに股とは恥ずかしいですね〜。」
マジデ「だからマジ言わないで…よっ!!」
マジデは大岩を投げた。
禍護は片手で止めた。
マジデ「ってマジで!?」
禍護「所詮はお子様ですね〜。その程度で僕を倒そうとは笑えもしません〜。」
マジデ「ちょ、無理!無理だしトナ」
ぐしゃっ!
禍護「さて…残るは一匹〜。」
トナリ「ま…マジで…?」
トナリも震えあがった。

 

35:私怨〔4歳:LEVEL2〕
マジデも去り、あとはトナリだけとなったのだった。
トナリ「…チッ、どうやら俺がどうあがいても無駄みてぇだなぁオイ。」
禍護「まぁそうなりますね〜。理解の早い子は嫌いじゃないですよ〜。」
トナリ「だが、理解は早ぇが…諦めは、遅い方でねぇ。」
禍護「なぜ彼女に〜、それほど執着するのですか〜?」
トナリ「フン、それはこっちのセリフだよ。アイツに一体、何があるってんだ?」
禍護「フフ…”血”ですよ。彼女の父親には、随分と煮え湯を飲まされましてね〜。」
トナリ「そうか、やっぱタマの親父ってのは強ぇ奴だったんだな…。」
禍護「焼けた臓器を癒すのは、骨でしたね〜…。」
トナリ「性格も父親譲りかよ…リアル煮え湯とは…。」
禍護「とはいえ〜、彼女を狙う理由は私怨ではないのですよ〜。」
トナリ「私怨じゃない…となるとやっぱ、利用して世界征服でもしようってのか?」
禍護「ご名答〜。そしてその後、ズタズタに切り裂いてあげるのですよ〜。」
私怨だった。

 

36:土産〔4歳:LEVEL2〕
どうやら親のせいで恨まれているらしい勇姫。
なんの関係も無いトナリ…の闘いは、面倒なので省略。
全力疾走で森を駆け抜けること何分か。みんなどうなったかな…大体わかるけども。
〜森のはずれ〜
勇姫「ふぅ〜…ここまで逃げればもう大丈」
禍護「そうですか〜?」
勇姫「うぎゃーー!出たぁーーー!!」
禍護「キミにはガッカリですね〜。とても彼の子とは思えません〜。」
勇姫「う、うっさいな!怖いもんはしょうがないじゃん…って彼って誰さ!?」
禍護「フッ、「狂乱の蒼き魔王」…お父上のことですよ〜。」
勇姫「そんな物騒な父親持った覚えはないよ!むしろ似なくて良かったよ!」
禍護「そうですか〜…ところで、どうしましょ〜?死にますか?生きたいですか〜?」
勇姫「そりゃ生きたいよ!でも…アンタと行くのはイヤ!どうせ死んじゃうし!」
禍護「ホホホ〜。ま、そうでしょうね〜。 ならば…」
勇姫「ちょちょちょい待ち!ど、どうせ殺すなら…ちょうだいよ、「冥土の土産」!」
禍護「イヤですよ〜。」
勇姫「そこをなんとか!!」
華麗な土下座が炸裂した。

 

37:昔話〔4歳:LEVEL2〕
全力で逃げた甲斐もなく、あっさり捕まって殺される寸前な私。
こうなったら、何か話させて逃げる隙をうかがうしか手は無いと思うわけで。
勇姫「てなわけで、お願い!と…とりあえずは父!お父さんのことについて何か!」
禍護「実は昔…真っ二つに斬られましてね〜。」
勇姫「話題を変えよう!え、えっと、じゃあ私達!「天道虫」ってなんなのさ!?」
禍護「聞いてませんか〜?強大な”天力”を持つ、7人の変異種の異名ですよ〜。」
勇姫「そこは一応知ってるけど、なんでそんなのが生まれたのかな…ってさ。」
禍護「封印された天力の源…それが解き放たれた時、全てが始まったのです〜。」
勇姫「つまりどういうことかを一行で。」
禍護「要は、その力に耐えうる乳幼児に、天力が吸い寄せられたわけですね〜。」
勇姫「んで、その量が多い7人の中に私が…。やっぱ他の子達も親が強いとか?」
禍護「それはもう尋常じゃなく〜。ま、全員死んだと聞きますがね〜。」
勇姫「そ、そっか…死んじゃったんだ…。」
禍護「会いたいでしょ〜?」
勇姫「いやお構いなく!!」

どうしよ…もうネタが無い。
勇姫は後が無くなった。

 

38:口撃〔4歳:LEVEL2〕
勇姫が無い頭を必死に絞っている頃───
〜同じ森の中〜
暴愚「ヒッヒッヒ。まさかおヌシまで来ておったとはのぉ〜。豊作な星じゃて。」
少女「アナタは…確か「音無き金色の禿げ」…」
暴愚「だから”影”じゃ言うておろうに!まったくどいつもこいつも…」
少女「私に何か?あ…毛根なら差し上げませんよ?」
暴愚「要らんがな!いや要るけども!そうでなく…目的はおヌシじゃ、「氷の王」。」
少女「…なぜ私がそうだと?」
暴愚「ヒッヒッヒ!「大科学者」を舐めんでほしいのぉ。「天力探知機」じゃわい。」
少女「なるほど…。さすがは自身を改造するほどのマッド・サイエンティストですね。」
暴愚「ほほぉ、ワシを知るとは博識な小娘じゃ。どこで聞いた?」
少女「ま、かつて色々ありましてねぇ。」
暴愚「フッ…ワシと来い、娘よ。誰よりも輝かしい未来が待っておるぞ?」
少女「いや〜勝てませんよ。」
暴愚「デコを見るなデコを!」
暴愚はちょっと泣いた。

 

39:探合〔4歳:LEVEL2〕
謎の少女と謎の老人暴愚の怪しいひと時。
少女がまったく動じなくて爺さんちょっと困った。
暴愚「できればワシも手荒な真似はしたくない。大人しく来てはもらえんかのぅ?」
少女「しかし…真の標的は、私じゃなく”闇”の彼女でしょう?」
暴愚「確かにそうじゃったが、ちぃとばかし面倒な奴までおってのぉ。」
少女「妥協とか情けない人ですねぇ。」
暴愚「まぁいいんじゃよ。誰であれ、”王”が手に入ればそれだけで御の字じゃい。」
少女「力を集めてアナタは…アナタ方は、何をするつもりなんですか?」
暴愚「ヒッヒッヒ!敵になるやもわからん輩には、何も教えてやれんのぉ。」
少女「なるほど、育毛的な…」
暴愚「関係無いわ!いいからついて来るんじゃこの辛口小娘め!」
少女「お断りします。どうにも私は、人に従うのが苦手でしてねぇ。」
暴愚「…殺すぞ?」
少女「むしりますよ?」
暴愚は泣きながら帰った。

 

40:風向〔4歳:LEVEL2〕
ちょっとは話聞けたけど、なんかもう限界な感じな今日この頃。絶対魂胆バレてる。
勇姫「はぁ〜…うん!もう、無理!諦めたよもう!好きにしちゃってよ!」
禍護「やれやれ〜、諦めとはまた彼の子らしくない……いいでしょ〜、八つ裂きに」
勇姫「なるべく苦しくない感じで!」
声「なに言ってんだ!諦めんじゃねぇよタマ!!」
なんと!トナリが現れた。
勇姫「と、トナリ!?生き延びてたんだね、おめおめと!」
トナリ「おめおめて!なんつー言い方だよ泣くぞちくしょうめ!」
禍護「ほほ〜、あれだけ縛っておいたのに抜けますか〜、面白い。」
トナリ「フン、甘ぇんだよあんな縛り方じゃなぁ!」
勇姫「なるほど、もっとマニアックな緊縛の方が燃えると。」
トナリ「いや、そうじゃねぇよ!風の刃を操る俺は」
勇姫「とにかくこれで…風向きは、変わったね。」
トナリ「おう!やっちまおうぜ、タマ!」

また逃げるチャンスが。
トナリはやっちまった。

 

41:本気〔4歳:LEVEL2〕
トナリが来たおかげで、なんとかもう少し時間が稼げそうな感じに。
勇姫「ありがとねトナリ、アンタの犠牲は忘れない!」
トナリ「って待てよ!この期に及んでまだ逃げる気か!?パイオツとマジデは…」
勇姫「一番大事なのは自分…それが唯一の真理!」
トナリ「それ本気で言ってんのかよ!?見損なっ…元からか!元からだけども!」
禍護「本気かどうか聞きたいのは〜、僕の方ですがね〜。」
トナリ「なっ…!?」
二人は岩壁に叩きつけられた。
勇姫「くはっ!!
トナリ「ぶほっ…!や、やっぱハンパ無ぇ…!」
禍護「時間切れですね〜。選択肢は消えました〜…死にましょ〜。」
完全に詰んだ。

 

42:最後〔4歳:LEVEL2〕
前言撤回。やっぱもう逃げることすら無理っぽい。
勇姫「ぐふっ…お、お願いトナリ…是非とも私の墓標には「美人」と…」
トナリ「懐かしいネタだが、そりゃ無理だぜタマ…俺も死ぬしな…がはっ!
禍護「やれやれ、キミには本当に失望です〜…もはや、殺すにも値しませんね〜。」
勇姫「殺す気マンマンな表情でそう言われましても!」
禍護「ま、今死ぬのは正解かもしれませんよ〜?いずれこの世は〜、地獄と化す。」
勇姫「そっか…なら良かったかも…。」
トナリ「いや、オメェはどのみち…」
禍護「さ〜、トドメですよ〜。」
勇姫「くっ、ここまでか…!」

声「待てぇええええええい!!」

禍護「…みたいな展開は無いですよ〜?」
勇姫「ってアンタが言ったんかい!!」

ザシュッ!!
勇姫は死んでしまった。

 




GAME OVER



 

コンティニューは3回までです。

次がラストですが、どうしやがりますか?