〔TOP〕 | 2 | 〔LOG〕 |
---|
【No.8:ポイント】 | 【Side:快人】 |
---|---|
なぜだろう、胸が苦しい…。 いつだ、いつからだ?そうだ…昨日の電車の子に会ってからだ。 この胸の高鳴り…これは恋だ、間違いない。いや、電車の中で既に気づいてたけども。 快人「というわけで、もう一度彼女に会いたいと思う。」 僕がそう言うと、健二は「OK…わかってた」とばかりに深い溜め息をつき、こう言った。 健二「諦めろ。」 フッ…いつもながら厳しいな、親友…。 学校への道すがら、僕はいかにして彼女とお近づきになるかを必死に考えていた。 快人「あれからさ…色々考えたんだ。あんまり打算的な考えは好きじゃないけど、痴漢から助けようとした僕のプラスポイントは、少なからぬものだと思うんだ。」 |
|
付いたあだ名は『ストーカー』。 |
【No.9:大きな壁】 | 【Side:快人】 |
---|---|
その後、相変わらず冷めた男健二のお説教が数分間続いた。コイツといると、ホント変わった考えの奴っているんだなぁとつくづく思う。
健二「…てな感じに、もう少し考えて動くべきだと思うんだよ。確かに一瞬で落ちるのが恋かもしんないけどさ、行動はもっと慎重に…な?」 驚愕する健二を引きずり、僕は走った。 愛桜学園…いや、『明日』に向かって。 |
|
健二は明日が見えない。 |
【No.10:未来の母校】 | 【Side:快人】 |
---|---|
登校を諦めてダッシュで向かったのは、名門私立高校『愛桜学園』。いわゆるお嬢様学校として全国的にも有名らしい。相手にとって不足は無い感じだ。
快人「ここが愛桜学園…僕の未来の母校か。」 先手必勝…勝負とはそういうものだと、僕のバイブル『勝ち逃げ全力疾走』にも書いてあった。 警備員「・・・・・・・・。」 |
|
捕まったが無理もなかった。 |
【No.11:お説教の果てに】 | 【Side:快人】 |
---|---|
警備員「…というのが動機ですか?」 快人「はい…今は反省してます。なぁ健二?」 健二「いや、俺は無実で…。」 正門前で興奮してたら警備員に肩を叩かれ、そして今に至る。 警備員「…プッ、ブハハハッ!まったく…俺もこの仕事始めて長いが、お前らみてぇなのは初めてだわ。ブハハハハ!」 ひとしきり説教を終えると、急に態度を変え、豪快に笑い出した警備の人。 快人「そうですか僕らが初めてですか、それはそれは…。あ、ところで…長いって、どのくらいここに勤めてるんですか?」 |
|
ダメな方面の人だった。 |
【No.12:信用】 | 【Side:快人】 |
---|---|
話してみたら意外といい人そうな感じがした警備員の人。でも三ヶ月の職歴を長いとか言っちゃう時点で、きっと残念な人生の人だ。 となると…うん、付け入る隙はありそうだ。
健二「な、なぁ快人、もう帰してもらおうぜ。俺ら一応まだ何にもしてないわけだし…」 自分をジロさんと言ったその人は想像以上に気さくな人で、僕と健二はすぐに打ち解けてしまった。最初の一時間とはえらい違い…そう考えると、意外と真面目に仕事する人なのかもしれない。 この人なら、信用できるかもしれない。 快人「ねぇジロさん、僕らに…協力してほしい。来年二人でこの学校に、入りたいんだ!」 |
|
健二は「ら」が気になった。 |
【No.13:またもや大きな壁】 | 【Side:快人】 |
---|---|
僕は目的と想いを伝え、そしてそれはジロさんにも確かに伝わった。よし、好感触…! と思ったのも束の間。次の瞬間、ジロさんは急に真剣な顔になっていた。 ジロ「…だが無理だ、やめとけ。」 そう言ってお茶を一気に飲み干し、そして僕の目をジッと見つめながらジロさんは続けた。 ジロ「ここは究極の男子禁制空間…中にいるのは教師を含めてみ〜〜〜んな女だ。警備の俺らでさえ、事件でも起きなきゃ中には入れねぇ。そんな学校を共学に?フッ、バカげてらぁ。冷静に考えりゃお前もそう思うだろ?」 |
|
もっともなご意見だった。 |
【No.14:そしてスタート】 | 【Side:快人】 |
---|---|
ジロ「ブッ…ブハハハハハ!やっぱ最高だわお前、惚れちまったよ!」
しばらく考えた後、急にまた豪快に笑い出したジロさんは、僕の両肩をがっしり掴んでそう言った。そしてさらに、また真面目な顔に戻って言葉を続けた。 ジロ「何があっても、後悔…しねぇな?」 念を押すように言うジロさん。けど僕の辞書に、『後悔』って文字は無いんだ。 快人「振り返ることに意味なんて無い。 人の目が前だけについてるのが、その証拠なのさ。」
こうして新たな仲間を加え、動き出した『愛桜学園
共学化計画』。 |
|