外伝(参)

 

外伝:凶死が行く〔1〕
その昔―――
氷の大陸「ナシ大陸」、その地を治める「魔国(まこく)」に…事件が起きた。
バンッ!(扉)
王「う、生まれたか!?生まれたのか我が子は!?男か!?それとも女か!?」
赤子A「オギャー!オギャー!」
看護婦「おめでとうございます国王様。元気な女の子ですよ。」
王「うぉー!なんて可愛い子なんだ!女じゃ世継ぎにはなれんが、元気なら良し!」
王妃「違うわアナタ、もう一人、双子の男の子が…でも…。」
看護婦「ですが、先ほどから全く泣いてくれないのです。このままでは…」
赤子B「・・・・・・・・。」
王「なんてこった!あっ、こ、こういう場合は確か尻を叩くんだったよな!?よーし!」
パン!パンッ!(叩)
赤子B「……オ…オギャ…」
王「お?おぉ、そうだ!いいぞ泣け!泣くんだ!ホラ!ホラホラ!」
パンパンパン!(連打)
赤子B「オ…ギャ……」
王「そうだ!」
赤子B「オ…オギャレス!!」
オギャレス「グァオオオオ!!」
王「なにぃーー!?」
看護婦「ぎゃー!王子が魔獣を召喚したー!!」
赤子B「ばいばい。」
王「おぉ!?しゃ、喋ったぞ!?なんて賢い子なんぎゃーー!!
王妃「あ、アナターー!!」
悪魔が誕生した。

 

外伝:凶死が行く〔2〕
私の名前は「凶死」。なんとも怖ろしげな名にされてしまい、とても迷惑しています。
待望の男児である私の誕生は大いに喜ばれ、国を挙げての祝典が行われました。
国民A「うぉおおおお!王子様ー!王女様ー!バンザーイ!」
国民達「バンザーイ!!」
王「どうだ凶死、「凶優(きょうゆ)」、みんな喜んでるぞお前達の誕生を!どうだ!」
凶死「うるしゃいです。」
凶優「オギャー!オギャー!」
国民B「キャー!王子ー!こっち向いてー!」
凶死「だまらせましゅ。」
ズガァーーン!(魔法弾)
国民B「うぎゃーー!!」
国民C「えぇーーーっ!?」
国民D「こ、こっち向かないでー!!」
城下は半焼した。

 

外伝:凶死が行く〔3〕
2歳になりました。2歳といえばもういい歳なので、将来について考えてみました。
争いが嫌いな私は、人を傷つけない「幻魔導士」を職業に選んだのですが…。
王「なぜだ凶死!?次期国王たるものが、なぜ幻魔導士なんぞ…!フザけるな!」
凶死「父上こそフザけないでください。自分の人生くらい自分で決めますよ。」
王「ならんならん!王家の者がそんな職に就くなんて前代未聞だ!許さんぞ!」
少女「お、おとぅさん…」
王「「凶優(きょうゆ)」は黙っていろ!これは女にはわからん、男の世界の話だ!」
凶優「お、おにぃちゃん…」
凶死「凶優は下に降りていなさい。わからず屋には、こっぴどい教育が必要です。」
凶優「うぅ…わかったの…。」
王「ほぉ…父であり王であるこのワシに、教育だと?分不相応も甚だしいぞ凶死!」
凶死「争いは嫌いですが…私の前に立ちはだかる者は、徹底的に排除しますよ。」
王「フッ、さすがは我が子だ。それでこそ「悪魔王」の名を継ぐにふさわしい!」
凶死「私はそんな禍々しい称号は要りません。父上の代で勝手に滅んでください。」
王「やれやれ…どうやらワシは、少々お前を甘やかし過ぎたようだ。 改めようか!」
凶死「ッ!!」
ドガァアアアアアン!!(直撃)
魔国王の攻撃。
ゴゴゴゴゴ…(響)
王妃「あらあら、何かしらこの音?またお父さんが暴れてるのかしらねぇ、凶死?」
凶死「…さぁ?自分の尾でも追い回しているのでは? フフフ…。」
ミス!攻撃はとっくにかわされてた。

 

外伝:凶死が行く〔4〕

気づけば3歳。イヤだと言っているのに、父上は王を継げと相変わらずしつこいです。
でもまともに戦うにはさすがにキツい敵なので、こっそり国を出ることに決めました。
凶優「ねぇ、ホントに行っちゃうのお兄ちゃん…?イヤだよ行かないでよ。」
凶死「さよならです凶優。縛られた人生はごめんです、私は私の道を行きます。」
凶優「行っちゃうなら殺します…。」
凶死「久々に血の繋がりを感じました。きっと一人でもたくましく生きてい…なっ!?」

凶優は鎖を放った。
凶死は一瞬で縛られてしまった。

凶死「ふぅ、さすがは我が妹…「鎖使い」としての実力は、早くも一流ですねぇ。」
凶優「かんきんするの。」
凶死「妙な考えはヤメなさい凶優。この程度の力で私を監禁なんて…」
凶優「200銅…。」
凶死「か、「換金」…!?」

しかも格安だった。

 

外伝:凶死が行く〔5〕
家を出ようとしたら不覚にも妹に捕まり、監禁されてしまいました。私としたことが…。
それにしても、城の地下にこんな洞窟があったとは知りませんでした。一体何の…?
凶死「ここはどこです?随分古い…そして何かが隠されていそうな造りですが。」
凶優「私の秘密基地なの。この場所は私しか知りません。 今は、もう…。」
凶死「かつて知っていた人をどうしたのか教えてください。まぁ想像はつきますが。」
凶優「お兄ちゃんは私のお兄ちゃんです。行っちゃイヤなの。ダメダメなの。」
凶死「…はぁ、わかりましたよ。逃げないので鎖をほどいてください。」
凶優「え、ホント…?ホントに逃げない?絶対絶対逃げない?」
凶死「私は安い嘘はつかない主義ですよ。」
凶優「嘘じゃないよね?嘘ついても針千本飲ませますよ?」
凶死「つかなくても飲ませる気ですか。いいから早くほどきなさい、怒りますよ?」
凶優は鎖をほどいた。
凶死「…やれやれ、酷い目に遭いました。 さて、では行くとしますか。」
凶優「え…? ひ、酷い!話が違いますよお兄ちゃん!嘘つきー!」
凶死「嘘?違いますね。 逃げはしない…お前を倒し、私は堂々と出て行くのです。」
壮絶な兄妹喧嘩が始まる。

 

外伝:凶死が行く〔6〕
凶優と戦うことになってしまいました。妹にだけは手をあげたくなかったのですが…。
凶死「どうやら私はお前を可愛がりすぎたようです。お前にも、教育が必要ですね。」
凶優「行っちゃえ「縛鎖竜(ばくさりゅう)」!本物は…あの柱の陰に!」
凶死「な、なにっ…!?」
ズガァアアアン!
凶死「まさか私の幻術が見破られるとは…。二卵性とはいえ双子だからですかね。」
凶優「お兄ちゃんのニオイがしたの。」
凶死「お前は獣か何かですか。ブラコンなのも大概にしてください。」
凶優「私に効かないの。幻術じゃ私には勝てませんですよ。」
凶死「やれやれ…私もナメられたものですね。いいでしょう、本気でいきましょうか。」
凶死は覚悟を決めた。
ゴゴゴゴゴゴ…!(地響)
王「な、なんだこの揺れは…!?地震か!?それとも火山が噴火を!?」
側近A「かなりの震度です、このままでは国民がパニックに陥りかねませんが…!」
王「むぅ…よ、よし!非常事態宣言を発令せよ!急げっ!!」
既に「喧嘩」の領域じゃなかった。

 

外伝:凶死が行く〔7〕
私の必殺の一撃が炸裂し、凶優は瓦礫の中に埋もれたまま出てこなくなりました。
凶死「ふぅ…どうやら勝負アリですね。まぁ私にここまでさせただけ大健闘…」
声「ふぃ〜…やれやれ、とんだ目覚ましだ。寝ぼけた体にゃキツい衝撃だったぜ。」
凶死「ッ!!? だ、誰ですか!?バカな、さっきまで誰かいるような気配は…!」
男「俺は嗟嘆。どうやらここに封じられてたようだが、おかげで出てこられたよ。」
暗黒神が現れた。
凶死「さ、嗟嘆…まさか伝説の暗黒神!? …ハッ、凶優!凶優は…!?」
暗黒神「きょうゆ…もしかしてあの小娘のことか?美味だったぜぇ、目覚めの血は。」
凶死「き、貴様…凶優を…私の妹をよくも…!」
暗黒神「おっ、いいねぇその表情!もっと「光」を失え、そして堕ちろよ「暗黒」に!」

〜その頃〜
少女「アラ、どうしました相原先生?右目を押さえて…痛むのですか?」
相原「うむ…だが心配無用だ冴子君、少し疼いただけだよ。」
冴子「大丈夫です、心配はしてないので。」
相原「いや、それは少々悲しいのだが。」
冴子「その「死神の目」が疼く…どうにも不吉ですねぇ、さすがは凶国「魔国」。」
相原「城の方で何かが起きている気がする…急ぐぞ冴子君、胸騒ぎがするのだ。」
冴子「切開しますか?」
相原「いや、胸騒ぎは手術じゃ治らないんだ。キミも医師を目指すなら…」
冴子「いえ、切りたいだけなので。」
相原「冴子君…。」
どっちが「死神」なのか。

 

外伝:凶死が行く〔8〕
私の不始末で、封じられていた悪神を復活させてしまい、そして凶優が…!
なんとか抵抗したのですが、伝説相手にはさすがの私も相手になりませんでした。
暗黒神「ったく末怖ろしいガキだぜ…。この歳で大した実力だ、消すなら今だな。」
王「おっと、そうはさせんぞ!その子は我が国の希望だ、殺させてたまるかー!」
魔国王が現れた。
凶死「ち、父上…ですか…?」
王「凶死、お前その目…!この父の姿が見えんのか…!」
凶死「ええ、眼中に無いです。」
王「む、息子よ…!」
暗黒神「魔国王…俺を封じた野郎の一味の末裔だな?よく似た顔の奴がいたよ。」
王「逃げろ凶死、お前は逃げて…生き延びるんだ。ここはワシに任せなさい。」
凶死「実力不足です。」
王「息子よ…!」
暗黒神「泣かせる譲り合いだが安心しろ、まとめて殺してやるからよぉ!!」
王「くっ!もはや猶予は無い…うぉおおおー!行けぃ凶死、さらばだーー!!」
凶死「なっ…!?」
王は息子を力一杯放り投げた。
着地をミスったら死ぬ。

 

外伝:凶死が行く〔9〕
目が覚めました。なにやらどこかに寝かされているようですが…何も見えません。
凶死「う゛ぅ…こ、ここは…?」
相原「おぉ、意識が戻ったようだな。死んでもおかしくない大怪我だったんだが。」
冴子「特に全身の打撲が酷かったわ。かなりの高所から叩きつけられたようね。」
凶死「それは父から受けた虐待です。」
相原「その首飾り…魔国の王族のようだが、城で何があったのかね?あの爆発…」
凶死「…ここはどこですか?魔国は…私の祖国はどうなったんでしょうか?」
冴子「アナタを見つけてすぐ逃げたからよくは知らないわ。今は海上だから安心よ。」
凶死「私は…また戦えるようになりますか?可能な限り、早いうちに…!」
冴子「さぁ?体の方はなんとかなるけど、目は両目とも失明…かなり厳しいかもね。」
凶死「見えないことはさして問題ではありません。全人類を消し去るまでですから。」
相原「そ、その邪悪な思想…キミならば、“あの目”の力に耐えうるやもしれんな。」
冴子「せ、先生何を言ってるんですか!?バカは休んでてください!」
相原「いや、それを言うなら「バカも休み休み言え」だと…」
冴子「わかってて言ってますから。」
相原「冴子君…。」
凶死「あの目…とは?」
相原「宿主の命を食らい、その力を飛躍的に増大させる魔の瞳…「死神の目」だ。」
そして「死神の凶死」が誕生した。

 

外伝:凶死が行く〔10〕
そして、一年の月日が流れ―――
相原「やはり行くのかね?まだあまりムリはさせられん状態なんだがね。」
凶死「まぁ移植の後遺症にも慣れましたしね、これ以上のんびりはできませんよ。」
冴子「でもどこへ行く気?暗黒神の噂なんて、不気味なくらい全く聞かないけど?」
凶死「帝都へ向かおうかと。ここからならそう遠くはないですしね。」
相原「なるほど、いい案だな。人が多ければそれだけ情報も入りやす…」
凶死「悪は血のニオイには敏感なものです。」
相原(何をする気なんだろう…?)
冴子「あ、そうそう。手術代はどうする?この先生、お金はキッチリ取り立てる人よ。」
相原「まぁ高額だし、現金が無理なら物や行為で返してくれても構わないがね。」
凶死「仇で返します。」
相原「こ、今回は無料で…。」
冴子「ま、気をつけることね。世の中、アナタより強い人なんて山ほどいるわ。」
凶死「フフフ…楽しみですね。そういう輩に絶望を与えるのは…ね。」
こうして凶死は帝都へと旅立ち、そして凱空と出会うことになる。
その後、なんだかんだで暗黒神を倒すことになるのだが…

それは、また少し先の話。

 

 

 

外伝:麗華が行く〔1〕

私の名前は賢…ううん、「麗しい華」と書いて「麗華」。乙女街道まっしぐらな6歳児。
わけあって家を飛び出したのが昨日の話です。もうあんな家には死んでも戻らない。
とりあえず、パパと同じ職業はイヤなので、新しい職業を探すことにしたのです。
やっぱり、乙女といったら「料理」。なのでまずは、「調理師学校」に来てみました。
麗華「あの〜、すみませ…」
講師「ホラそこ、お米を洗ってとは言いましたが洗剤を入れてはいけませんよ。」
生徒A「えぇっ!?でも入れた方がキレイに…!」
講師「え?いえいえ違います、「シジミ」が成長しても「アサリ」にはなりませんよ。」
生徒B「えぇっ!?じゃあ「ハマグリ」は!?」
生徒C「先生ー!「サイの目」と「カバの目」はどう違うんですかー?」
講師「ハイ、根本的に違いますね。「賽の目に切る」とはサイコロの…」
生徒D「あ、先生!できました「スクランブルエッグ」!」
講師「さっきまで「ダシ巻き卵」を作ると息巻いていたアナタは一体どこへ…?」
生徒E「先生、私もできました!食べてみてください!」
講師「あ、ハイ…って辛っ!! コレはどう考えても塩が…多すぎますね…。」
生徒F「えっ、でも塩は「小さじイッパイ」って…」
講師「その勘違いは置いといて、一番の問題は味見をしてないことですからね。」
生徒G「先生ー!」
講師「うぷっ!」
生徒H「先生ー!」
講師「ぐぇーー!」

…帰ろう。

「調理師」は諦めた。

 

外伝:麗華が行く〔2〕
その後、「裁縫師」「美容師」等、乙女の職を見回りましたが、ことごとくハズレ。
もうどうしたらいいのかわかららず、占い師さんに占ってもらうことにしたのです。
麗華「というわけで、私が進むべき乙女チックな道を示してほしいのですが…。」
占い師「却下。」
麗華「却下!?」
占い師「汝が進むべきはイバラの道。可哀相だが「女」などは早々に捨てることだ。」
麗華「そ、そんな…!この乙女の中の乙女の私がなんで…!?」
占い師「これより数年の後、汝が実弟に、逃れ難き死の恐怖が降りかかるだろう。」
麗華「へ…?いや、私には弟なんていないですけども…?」
占い師「救い手がいるとすれば、唯一人。その傍らに在るは剣、魔術にあらず。」
麗華「えっと、勝手に話を進められても困るんですが…。」
占い師「信じるか否かは自由。だが「賢二」の命運は、少なからず汝が握っている。」
麗華「け、賢二!?なんて信憑性の高いネーミング…!」
占い師「北へ向かうがよい。剣士を志すのならば、そこに求める者は居るだろう。」
麗華「賢…二…。」

とりあえず、「弟」で良かった。
妹じゃ「ゃ」どころの騒ぎじゃない。

 

外伝:麗華が行く〔3〕
振り返ると、もうそこに占い師さんの姿はありませんでした。あの人は一体…?
かなり胡散臭い話でしたが、気になったので念のため、北に向かうことにしました。
もし本当の話だったら、弟には私の分まで幸せになってほしいと思うからです。
麗華「ここは「地獄の雪山登山」で来た雪山…こんな場所に私の求める人が…?」
半信半疑のまま歩いていると、なにやらスイカをかぶった生き物を見つけました。
明らかに変態ですが、運が良ければ何か情報を得られるかもしれません。
麗華「あの〜、すみません。ちょっと人を探してるんですが…。」
スイカ「む?なんだ小娘、このワシに何か用か?」
麗華「いや、アナタは「人」じゃない。」
スイカ「ここは夏でも雪の止まぬ山だ、人が住むには適さん土地なのだがな。」
麗華「スイカの方が断然適さないような…。」
スイカ「見るに貴様、魔道の資質はかなりのものだ。剣のサビにはちょうどいい。」
麗華「ッ!! そういえば、この山には戦闘狂の魔人がいると噂に…まさか…!」
スイカ「さぁ来るがいいスイカよ!ヌシがスイカ、我がスイカでスイカのごとく!」
麗華「なにがなんだか…!」
わかっても得は無い。

 

外伝:麗華が行く〔4〕
妙なスイカに遭遇し、成り行きで闘ったのですが、ボコボコにされてしまいました。
麗華「わ、私が…この私がこんな変態に負けるなんて…!泣きたいよぅ…!」
スイカ「ガッハッハ!だがヌシもよくやった。ワシは強者は嫌いじゃない、名乗れ。」
麗華「変態に名乗る名は無いですサヨウナラ。」
スイカ「さぞかし麗しい名なのだろうな。」
麗華「麗華と。「フローレンス麗華」と申しますがサヨウナラ。」
スイカ「そうか、良い名だなスイカよ。」
麗華「呼ぶ気が無いなら聞かないでください。」
スイカ「ところで貴様…人を探していると言ったが、どこのどのスイカだ?」
麗華「どこのスイカでもないですが、なにやら「剣」に関わりある人だとか。」
スイカ「ほぉ…その剣士を探し出してなんとする?親のカタキでも討つか?」
麗華「いえ、剣の教えを請うつもりです。むしろ…親を討つ剣を。」
目的がさっきと違う。

 

外伝:麗華が行く〔5〕
そして、3年後―――
剣の修行をしつつ、こっそり実家を観察すること3年。本当に弟が誕生したようだ。
偶然の可能性もあるが、運命の線が濃くなったのは事実。もう後には退けない。
スイカ「大陸か…確かに武者修行には最適だが、弟から離れていいのか?賢…」
麗華「今度その名で呼んだら緑の部分まで赤くしますよ師匠。」
スイカ「ガッハッハ!相も変わらず気の強いスイカだ。まったく男勝りな娘よ。」
麗華「フッ、何をバカな。ワシは乙女の中の乙女…乙女以外の要素は皆無ですよ。」
スイカ「ん?だがすっかりワシの言葉がうつっ…」
麗華「その件に関しては、おいおい壮絶な仕返しをさせてもらうので覚えとけ貴様。」
スイカ「無事に帰って来れれば良いのだが…。大陸には強いスイカは山ほどいる。」
麗華「ワシには賢二を守るという宿命がある。這ってでも帰ってみせますよ。」
スイカ「ならばコレを持て。伝説の鍛冶屋が鍛えし我が愛刀…「魔刀:スイカ狂い」。」
麗華「ビックリするくらい要りません。」
スイカ「フッ、遠慮深い娘よ。」
麗華「「拒絶」してるんですが。」
スイカ「まぁ安心して行け。お前が居らぬ間、弟はワシが陰ながら見守ろう。」
麗華「いや、あまり近づかんでください。アホがうつる。」
スイカ「ガッハッハ!まこと遠慮深き娘だな賢…」
麗華「抜けぇ!そのフザけた頭、叩き割ってくれる!!」
こうして麗華は旅立った。
後に賢二が、魔の学園に送られるとも知らずに…。

 

第七章