外伝(参)

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔1〕
アタシは盗子。勇者に恋する可憐な盗っ人少女。アイツのハートはアタシが盗む!
最初はただ盗賊の意地って感じだったけど、知らぬ間に本気になってたって感じ?
でもアイツは姫に夢中だし…やっぱそれ相応の作戦立てる必要がありそうだよね。
よし!まずは作戦実行にあたって必要な仲間を集めて、それからアタックだー!
盗子「てゆーわけだから、よろしくね暗殺美☆」
暗殺美「はぁ?なんでさ?なんで私がアンタに付き合うさ?」
盗子「だってホラ、アンタって勇者のこと嫌いなんでしょ?」
暗殺美「…アンタと付き合うのは、勇者にとって苦痛になるのかさ?」
盗子「う゛ぉっ…!? ち、違うよ!そんなことは絶対無いよ!!」
暗殺美「だったら私の出る幕は無いのさ。他をあたるがいいさ。」
盗子「ど、どうしてもダメ?」
暗殺美「どうしてもさ。」
盗子「ホントにダメ?」
暗殺美「ホントにさ。」
盗子「じゃ、じゃあお菓子あげるから!」
暗殺美「私はそんなに安い女じゃないさ。」
盗子「賢二が一緒でも?」
暗殺美「任せろさ!!」

暗殺美が仲間に加わった。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔2〕
アタシは盗子。勇者に恋する可憐な盗っ人少女。アイツのハートはアタシが(略)
盗子「てゆーわけだから、よろしくね賢二☆」
賢二「えっ!なんで僕が!?しかもさも当然のように!」
盗子「イヤって言ったら、これから毎晩一つずつ家財道具が消えていくらしいよ。」
賢二「そんなヒトゴトの様に…。」
盗子「じゃあ…アンタが裏山に穴掘って、勇者の陰口叫んでたのバラしちゃうよ?」
賢二「えぇっ!?ななななんで知ってるの!?」
盗子「この前偶然聞いちゃった☆」
賢二「くっ…!で、でも証拠が無いし!」
盗子「あー、そっかぁ〜。今の会話とか録音しとけばよかったなぁ〜。」
賢二「でしょ?証拠無いでしょ!? というわけで、諦めてください。」
盗子「…わかった。諦めるよ……。」
賢二「あっ、うん。 なんかゴメンね…。」

再生『えぇっ!?ななななんで知ってるの!?』

賢二が仲間に加わった。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔3〕
とりあえず仲間は二人集まったから、作戦は第二段階に進めようと思うの。
ホントはまだ欲しいんだけど、あんま大人数に事情を打ち明けるのは恥ずかしいし。
賢二「それで、まず僕らは何をすればいいの?」
暗殺美「敵は勇者…奴はハンパな計画じゃ落とせない男さ。」
盗子「う〜ん…とりあえず、やっぱあと何人か「兵隊」が必要なんだよね〜。」
賢&暗「兵隊?」
盗子「ちょっと作戦第二段階として「やるべき事」があんの。」
賢&暗「やるべき事?」

邪魔者には、消えてもらう。

武史の命が危ない。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔4〕
勇者への告白…ここで一番の敵になると思うのはやっぱ「お兄ちゃん(シスコン)」。
とりあえずアイツをなんとかしないことには、作戦の成功は無いと思うんだー。
だから賢二と暗殺美には「兵隊探し」を頼んだの。 いい奴つれて来るかなぁ〜?
賢二「と、とりあえず三人連れてきた…けど…。」
盗子「・・・・・・・・。」

白「晴れてなければ…」
盗子「帰れ。」

邦壱「べべんべ…」
盗子「帰れ!」

余一「再発した。」
盗子「入院して!!」

賢二はボコボコにされた。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔5〕
ろくな奴を連れてこなかった賢二。 あんなのを信用したアタシがバカだったよ。
あとは暗殺美に賭けるしかないんだけど…大丈夫かなぁ? う〜ん、ちょっと心配。
暗殺美「く、苦情は一切受け付けないさ…。」
盗子「・・・・・・・・。」

巫菜子「協力するよ☆(弱み握っちゃるぜ!)」
盗子「信用できない!」

芋子「芋…」
盗子「勝手に食ってて!」

霊魅「霊界から…」
盗子「呼ばないで!!」

もうアッタマきたー!

賢二がボコボコにされた。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔6〕
兵隊集めは失敗したから、結局お兄ちゃんは賢二と暗殺美に任せることにしたの。
かな〜り不安だけど、二人がかりなら2・3日眠らせることくらいはできるかも☆
盗子「お、お兄ちゃん!この賢二が、何か用があるらしいよ?」
武史「なんだとぉ!?まさか…盗子が欲しいとか言うんじゃねぇだろな!?」
賢二「いやっ、そんなの要りませんよ!!」
盗子「…賢二、あとで覚えといて。」
賢二「しまたー!」
武史「フン!どうせ俺達の兄妹愛を壊そうって腹なんだろ? そうはさせるかよ!」
盗子「さぁ頑張って賢二!恋は闘いだよ!」
賢二「それは当事者同士でするものだよ!」
暗殺美「そうさ!私らが危ない目に遭う義理は無いさ!」
盗子「そ、そんなこと言わずに!暗殺美も頑張って!」
暗殺美「いーや!私はやっぱ帰ることにするさ!」
盗子(心理学によると、人は危機的状況を共有すると恋に落ちるらしいよ。)
暗殺美「頑張るさ!!」

恋に落ちるか命を落とすか。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔7〕
なんとか暗殺美も丸め込んで、ついに戦いは始まったんだけど…やっぱ超不安。
でもまぁこうなったら信じるしかないよね! アタシは隠れて様子見てよっと☆
盗子〔物陰〕(頑張れ二人ともー!)
武史「たった二人でこの俺に挑んでくるとは…いい度胸だぜお前ら!」
暗殺美「アンタに恨みは無いけど、今からアンタを暗殺するさ!」
賢二「暗殺美さん!宣言したら「暗殺」にならないよ!」
暗殺美「(訳:イヤン私ってば☆恥っずかしいぃー☆)うっさいさクズ蟲めが!!」
賢二「ご、ごめんなさい…。」
暗殺美(はうあー!つい照れて心にも無いことをー!)
武史「フッ、迷うぜ。まずはどの魔法小僧から始末するか…。」
賢二「それ迷ってないし!思いっきり僕だけをロック・オンしてるし!!」
武史「さぁ行くぜ!盗子に近づく男は全てチリと化せやぁー!!」
賢二「狙いは僕だし…まずは僕が魔法で応戦するよ!暗殺美さんは援護して!」
暗殺美「(訳:うん☆でも無理はしないでね☆)雑魚はすっこんでろさ!!」
賢二「ごめんなさい…。」
暗殺美(はうあー!)

暗殺美の恋は散りそうだ。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔8〕
そしてバトルスタート。頑張れ賢二!死んでもいいからお兄ちゃんもなんとかして!
武史「いくぜ!秘奥義、「武士道:マシンガン乱れ撃ち」!!」
暗殺美「それのどこが武士道さ!?正々堂々前を向いて歩けさ!」
賢二「そうはいかないよ!上手くいくかわからないけど…「映像(ビジョン)」!」

賢二は〔映像〕を唱えた。
盗子の立体映像が現れた。

武史「なっ!と、盗子!? …いや、薄い!立体映像か!」
賢二「あぅ…。やっぱりレベルが足りないとこうなるのか…ど、どうしよう!」
武史「くっ、これじゃ攻撃できねぇ!」
賢二(シスコンさんで助かったよ…。)
暗殺美「どうでもいいけど賢二君、この盗子に「ツノ」が生えてるのは何故さ?」
盗子〔物陰〕「…賢二、あとで覚えといて。」
賢二「ち、違くて!つい…」

「つい」なら違くない。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔9〕
戦いはまだ続行中。やっぱ倒すのは無理だろうから、なんとか降参させて欲しいよ。
賢二「お願いです武史さん、降参してください。 さもないと…」
武史「さもないと…?なんだってんだオラァ!!」
暗殺美「さもないと、今の魔法で作った盗子達が裸で街中を練り歩くことになるさ。」
武史「なっ!?」
盗子〔物陰〕「…賢二、いい度胸だね。」
賢二「えっ!僕じゃないよ!?僕の案じゃないよー!?」
暗殺美「全裸の盗子が繰り広げる盛大な自爆テロに、人々は豪快に自爆ゲロさ。」
武史「ぬぉっ…!!」
盗子〔物陰〕(な、なんだか凄まじくバカにされてる気が…。)
暗殺美「さぁどうするさ?その道のプロ(勇者)に聞けばもっと非道な案も…」
武史「わ、わかった!わかったよ! 降参…するよ…。」
三人「よっしゃー!!」

よーし!次はいよいよ最終段階…あっ、そうだ!その前に…♪

賢二はボコボコにされた。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔10〕
暗殺美のハッタリはなんか恥ずかったけど、一応これで作戦第二段階までは成功☆
お兄ちゃんには『しばらく家から一歩も出ない』」って念書書かせたからもう安心!
盗子「さ〜て、いよいよ告白なんだけど…どうしよ??」
賢二「えっ!そんな肝心なところがまだ決まってないの!?」
暗殺美「こうなったら当たって砕けろさ。とっとと教室あたりで告白しちまえさ。」
賢二「やっぱ静かな所に呼び出そうよ。目立つ告白だと彼は照れてキレると思う。」
暗殺美「私もそう思うさ。」
盗子「静かな所…やっぱ体育館裏とかが妥当かなぁ〜。 でもどうやって呼ぼう?」
暗殺美「そんなん決まってるさ。無理矢理にでも引きずって連れ出せばいいのさ。」
賢二「ここは手紙とかがいいだろうね。その方が勇者君もドキドキするはずだよ。」
暗殺美「私もそう思うさ。」
盗子「ふ〜ん、なるほど〜。 いいね、それ! なかなかヤルじゃん賢二!」
賢二「まあね!人の考えとか気持ちに敏感なのが、僕の自慢なんだ☆」

暗殺美は笑うしかなかった。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔11〕
賢二の提案で、手紙で体育館裏に呼び出して告白することに決定。 超ドキドキ☆
とりあえず放課後に渡すってことにして、それまでに内容を考えることにしたの。
盗子「やっぱさ、直球ド真ん中のラブラブな手紙がいいと思うんだけど…。」
賢二「えっ!そ、それはやめた方がいいよ。意図が読めたら彼は来ない気が…。」
暗殺美「そうさ。そんなん読んだら荷物をまとめて島からの脱出を試みるさ。」
盗子「なっ…!そ、そんなことないよ!勇者だってきっと「ウッキューン☆」て…」
暗殺美「いいや。 もし私だったら、あまりのキモさに己の眼球をえぐり出すさ。」
盗子「くっ、失礼な…! じゃ、じゃあ二人はどんなのがいいと思うのさ!?」
賢二「う〜ん…。まぁまだ放課後までには時間もあるし、じっくり考えようよ。」
暗殺美「そうさ。時間をかけてゼロの可能性を少しでも上げるように努めるべきさ。」
盗子「ぜ、ゼロって失礼な!100%だっての!勇者のハートはアタシが盗むの!」

弓絵「あげませ〜ん!!」

第二の刺客が現れた。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔12〕
いきなり現れた超ポジティブ女の弓絵。しまった、コイツがいるのを忘れてたよ!
なんとかこの子を始末しないと、お兄ちゃん以上の障害になる可能性も…。
弓絵「盗子せんぱ〜い、ま〜た勇者先輩にチョッカイ出す気なんですかぁ〜?」
盗子「別にいいじゃん!アンタにゃ関係ない話じゃん!」
弓絵「関係アリアリですよ〜!弓絵のダーリンに嫌がらせしないでくださーい!」
盗子「だ〜れがダーリンだってぇ!?勇者はアタシんだってーの!!」
暗殺美「いや、嘘を嘘で返すのはどうかと思うさ。」
弓絵「そうですよ、嘘はダメですぅー!その目つきの悪い先輩の言う通へぶっ!

暗殺美の鉄拳が突き刺さった。

弓絵「い、痛いですぅ〜!」
暗殺美「今度私の悪口を言ったら、鉄拳じゃなくて「クナイ」が急所を貫くさ。」
弓絵「うぅ〜、気をつけますぅ〜。」
盗子「さぁ賢二、さっさとこの子を片付けちゃって!手紙書く時間が無くなっちゃう!」
賢二「いや、女の子に暴力振るうのはどうかと…。」
弓絵「そうですよ、暴力はダメですぅー!その冴えない顔の先輩の言う通ぎゃっ!

暗殺美のクナイが突き刺さった。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔13〕
暗殺美のお陰で弓絵の駆除も大成功☆これでもうホントに敵はいなくなったはず。
あの後一応保健室にブチ込んどいたから、多分すぐ治るとは思うけどね。
そして放課後。 今から手紙を渡して、勝負は明日の朝だー!頑張るぞー!
盗子「よーし、じゃあ早速手紙を下駄箱に…って、勇者もう下駄箱にいるー!!」
賢二「一足遅かったね…。 どうする?明日は諦めて明後日にする?」
盗子「ダメ!お兄ちゃんが来ちゃうかもしれないし、やっぱ早い方がいいよ!」
暗殺美「こうなったらクナイに縛り付けて投げるしかないさ!「矢文」の要領さ!」
盗子「で、でも大丈夫?ちゃんと勇者がすぐ気づく場所を狙える??」
暗殺美「信じろさ。私のクナイの腕前は、さっき見せた通りさ。」
盗子「そ、そうだよね!信じるよ!」
暗殺美「よーし、いくさー! ホイさっ!!」


サクッ。(勇者の頭に)

三人「うわーーー!!!」

「暗殺者」の悲しい性だ。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔14〕
うわーん!暗殺美のせいで大失敗だー! もう恋どころか命が終わりそうだよー!
うぅ〜…で、でもでも!もしかしたら挽回はできるかも!よし、なんとか誤魔化そう!
勇者「う゛ぉ゛っ!こ、これは…クナイ…? だ、誰の仕業だ畜生がっ!!」
盗子〔物陰〕「うっぎゃー!どうしようどうしよう!?このままじゃ失敗しちゃうよー!」
暗殺美〔物陰〕「わ、私に任せるさ!責任は取るさ!え、え゛ぇ〜…ゴホッ、ゴホン!」
声(暗殺美)「あ〜、今日は午後からクナイが降るらしいよ〜。鉄傘が欲しいよ〜。」
勇者「む?姫ちゃん?? 一体どこに…。」
盗子〔物陰〕「ナイス声帯模写だよ暗殺美!って、そんなんで騙せるかー!!」
勇者「なるほど、今日は変わった天気なんだな。」
盗子〔物陰〕「信じたーー!!」
賢二〔物陰〕「も、もはや「信者」って感じだね…。」
暗殺美〔物陰〕「おっ!そんなことよりホラ!アイツ手紙読んでるさ!」
勇者「む?「明日の朝、体育館の裏で待ってます☆」…だと?」
賢二〔物陰〕「ホントだ見てる見てる! で、でも刺さったしなぁ…どうなんだろう?」
盗子〔物陰〕「あっ、笑ってるよ!なんかニヤリとしてる! ひょっとして脈アリ!?」
暗殺美〔物陰〕「頭に刺さったクナイの手紙で何故…?」
賢二〔物陰〕「うわ〜!なんかホントに嬉しそうだ〜! うまくいくかもしれないね!」
盗子〔物陰〕「うんっ!」

勇者(フッ、「果たし状」か…。腕が鳴るぜ!)

盗子は死ぬかもしれない。

 

外伝:盗子のラブラブ大作戦〔15〕
そして朝。ついに告白の時! 勇者もまんざらでもなさそうだったし…期待大かも☆
そろそろ約束の時間…あっ、もう来てる!やっぱ超期待大かも〜☆
盗子「お、お待たせ勇者〜☆」
勇者「…そうか、やはりお前だったのか盗子!」
盗子「え゛?」
賢二〔物陰〕「あー…名前書き忘れてたみたいだね…。」
暗殺美〔物陰〕「アイツは救えないアホさ。」
盗子「わーん!ウッカリしてたよー!」
勇者「フッ、安心しろ。十中八九お前だろうとは思っていた。」
盗子「えっ!? だ、だったらもう私の想いは…☆」
勇者「思えば随分前から気づいてたんだ。お前はそうなりたいんじゃないかと…。」
盗子「ゆ、勇者…☆」
勇者「もっと早くにこうしておけばよかった…待たせたな。俺はお前を、か…」
賢二〔物陰〕「ええぇっ、「か」!? も、もしかして…!!」
暗殺美〔物陰〕「盗子が「彼女」でもいいのかさ!?ゲテモノ食いにも程があるさ!」
盗子「じゃ、じゃあ…してくれるの!?アタシをか、か、か…(彼女に…☆)」

勇者「ああ!「刀のサビ」にしてくれるわ!!」
盗子「その「か」かよー!!」

作戦は失敗に終わった。

 

第十二章