第三十八章

 

4-571:先手〔14歳:LEVEL45〕
扉の先には、なぜかいてしかも倒れている魔王と、巨大化した大魔王(?)がいた。
勇者「ふむ…成長期にしては突然すぎるが、アレは一体どういうことだ?」
魔王「あ?知らねぇよ、途中で急に…な。「断末魔」がどうこう言ってたが…。」
勇者「なるほど、完全に融合したってわけか。まさに究極のラスボスって感じだな。」
巨人「フッ、ならば「究極神」とでも呼ぶがいい。」
勇者「よーし行くぞ「珍魔神」!!」
珍魔神「ちょっ…!」
勇者の攻撃。
ちょっとしたダメージを与えた。
勇者「チッ、ああもデカいと的が絞りきれんなぁ。無駄に育ちやがって珍魔神め。」
珍魔神「か、改名を要求する!大魔王…断末魔…あ、「断末魔王」と!!」
勇者「ハァ?好きにしろよ。」
断末魔王「くっ…!!」
勇者は心理戦なら負けない。

 

4-572:挑発〔14歳:LEVEL45〕
見た目は怪物だが、中身は少々隙があるっぽい断末魔王。勝機はまだあると見た。
勇者「よーし、さぁ来い「団地妻王」よ!」
魔王「え、なにその甘美な響き…?」
断末魔王「お、おのれ…!この断末魔王を…ここまでコケにするとは…!」
魔王「ところで勇者よ、さっきから言ってる「断末魔」ってのは一体何なんだ?」
勇者「歴代「魔王」の恨みの化身…時をも超えた邪念体だ。醜悪な存在だよ。」
魔王「なるほど、去り際の「お、覚えてろよ…!」を体現した存在ってわけか。」
勇者「おぉ、一気にちっぽけな存在に見えてきたな。ナイスだクソ魔王。」
魔王「フッ、照れるぜクソ勇者。」
断末魔王「無視するな!この状況で我を無視するな!!」
勇者「プッ、「我」とか…!一人称で凄みを出そうとかどんだけ浅はかなんだ…!」
魔王「お、オイ笑うなよ勇者。さすがにかわいそ…プフッ!」
断末魔王「殺すっ!!!」
魔王「どうだ勇者?邪魔なコイツを倒すまで、俺達は一時休戦としないか?」
勇者「フッ…いいだろう。 さぁ来い断末魔王!この俺達が、遊んでやる!!」
二人はボコボコにされた。

 

4-573:全身〔14歳:LEVEL45〕
怒った断末魔王にボッコボコにされた俺と魔王。コイツやっぱクソ強いわ。死ぬ。
勇者「ゲホッグホッ…!オイ、生きてやがるか魔王…?」
魔王「ぐっ…フッ、そりゃもう当然のようにな。少々油断しすぎただけだ。」
勇者「フン、さっきもやられてたくせして油断もなにもなかろう?強がりやがって。」
魔王「ケッ、口から豪快に血を垂れ流しながら言われてもなぁ。」
勇者「ナメるなコレはヨダレだ!」
魔王「それはそれでどうかと。」
勇者「まぁなんにせよ、万事休すってことに変わりはあるまい。どうする?」
断末魔王「フッ、もはやどうしようもないさ。今のぼ…我に敵は無い。」
魔王「言い慣れないなら「僕」でいいぞ?」
断末魔王「今の我は「全身凶器」。特に「闘神の剣」を取り込んだ、この右腕はな。」
勇者「フン、珍しくもなんともないな。ちょっと前まで「全身教師」が身近にいたぞ。」
魔王「いや、それ部分的になる方が難しいぞ。」
断末魔王「貴様ら…いい加減にしろっ!!」
的確なツッコミだった。

 

4-574:引合〔14歳:LEVEL45〕
どうやら短気になってしまったらしい断末魔王は、怒り狂って襲ってきて邪魔臭い。
断末魔王「食らうがいいわ!天衣無縫流…「瞬撃(しゅんげき)」!!」
魔王「速っ!ヤベェ見失っ…」
勇者「飛べ魔王!左だっ!」
魔王「チッ…!」
勇者「左から攻撃が!」
魔王「お゛ふっ!!
魔王は直撃をもらった。
勇者「調子がイマイチな理由がわかった。誰かと協力なんて俺には向かんのだ!」
ガキィイイン!
断末魔王「くっ、相も変わらず自由奔放な奴め…!」
魔王「ぐふっ…く、来るぞ勇者!右から攻撃が!」
勇者「フッ、バカか貴様?そんな見え透いた手に…お゛ふっ!!
魔王「俺のなっ!!」
足の引っ張り合いだった。

 

4-575:大鍵〔14歳:LEVEL45〕
勇者らが自由に戦っている頃、外の連中はただ見ているだけだった。
〜大魔王城最上階:終焉の間 前〜
賢二「な、なんか凄まじい速さ…というか全く見えないというか…凄いね…。」
父「どうせなら、私といる時もあんな楽しそうに笑ってくれればいいのになぁ…。」
賢二「この状況を楽しむってどんな悪魔…というか見えてるんですかアレが!?」
父「フッ、この私に見えないモノがあるとでも?」
暗殺美「じゃあまずは「現実」見ろさ。アンタ嫌われてんのさ息子に。」
絞死「もはや完全に人間の動きを超えてますね…。正直キモいです。」
姫「大魔界大戦だね。」
暗殺美「珍しく同意さ。三人まとめて爆破した方が世のためだと思うのさ。」
盗子「ちょ、ひいてないで応援しようよみんな!世界の運命がかかってんだよ!?」
マジーン(胸)「でもよぉ、これって誰が勝っても結果は同じな気がしねぇか?」
暗殺美「激しく同意さ。もはや世界は詰んだのさ。」
父「ああ…残念だが、勇者一人では恐らく勝てまい。それ程に今の大魔王は強い。」
盗子「えっ!じゃ、じゃあどーすれば…!?」
父「プライドを捨て、魔王との共闘を選べるか…そこが最大の、鍵となるだろう。」
既に手遅れっぽいが。

 

4-576:本音〔14歳:LEVEL45〕
そんなこんなでその後も色々と頑張ったのだが、どうにもこうにも歯が立たん。
だがしかし、そうのんびりしてもいられん。急いでイベントを消化していくとしよう。
勇者「さて貴様…断末魔と融合してとぼけたキャラも抜けたんだ、本音で話せよ?」
断末魔王「む?なんの話だ…?」
勇者「人類滅亡を目論む真の理由…それを聞かずに始末しては話も締まるまい。」
断末魔王「なんだ、ヤケに急ぐではないか。そろそろ体に限界でもきたかな?」
勇者「いや、話数の都合でな。」
魔王「お前それを言っちゃあ…。」
断末魔王「…フッ、まぁいいだろう。話してくれよう、我が人を滅ぼすその訳を…!」
断末魔王は目を閉じて語り始めた。
勇者「隙アリィイイイイイ!!」
ザシュッ!(斬)
断末魔王「ぎゃあああああ!!
聞く気あるのか無いのか。

 

4-577:窮地〔14歳:LEVEL45〕
話を聞こうとしたのに、つい隙だらけだったので攻撃してしまった俺。いつもの癖で。
おかげでブチ切れた断末魔王は大暴れ。まったくなんて短気な奴なんだ面倒臭い。
断末魔王「貴様は…貴様ら「勇者」は、いつもそうだ!いつの世も我を煙に巻く!」
魔王「全員か。全員こうなのかよ。そりゃあお前ら恨まれても仕方ねぇぞ。」
勇者「いや、むしろ俺こそが被害者だろ。もしできるなら相続放棄したい遺産だぞ。」
断末魔王「ハァアアアアアアアア…!!」
勇者「なっ、アレは魔神の「ヤッ咆」…!?マズい!!」
断末魔王の咆哮。
勇者は直撃を受けた。
魔王も巻き添えを食った。
勇者「ぐおぉ…! き、器用なマネを…!」
魔王「お…オイオイ、こんな化けモン…どう倒せってんだよ…がふっ!
ドサドサッ(倒)

断末魔王「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」
最大のピンチが訪れた。

 

4-578:心折〔14歳:LEVEL45〕
そこからは、「ハイパー・サンドバッグ・タ〜イム」に突入。俺達はしこたま殴られた。
五体は悲鳴を上げ、意識も何度か飛んだ。気を抜いたら死にそうだ。だが、俺は…
断末魔王「ハハハハハッ!どうした貴様ら?手も足も出んではないか情けない!」
勇者「ぐっ…フッ、言われてるぞ魔王?随分とハイハイが似合うが幼児か貴様は?」
魔王「テメェこそ全身真っ赤に染めやがってトマトか?満身創痍はお互い様だろ。」
勇者「ああ…だがまぁ、まだ生きてる。」
魔王「フッ…だな。」
断末魔王「…なぜだ!なぜ倒れぬ!?何が貴様らを突き動かす!?」
勇者「全人類を支配し、恐怖のドン底に叩き落す…それまで俺は死ねんのだ!!」
魔王「いや、そのセリフは俺のために取っといてくれよ。お前は立場違うだろ。」
断末魔王「肉体はとうに限界のはず…やはりまず、心を折らねばならぬか。」
勇者「フン、残念だがもう無理だな。」
断末魔王「なん…だと…?」
勇者「そんなもん、ついさっき折られてきたばかりだ!!」
盗子の功績だった。

 

4-579:仲間〔14歳:LEVEL45〕
どうやら敵は、この俺の心を折りたいらしい。まったくもって身の程を知らん奴め。
断末魔王「勇者よ…貴様には最高の絶望をくれてやろう。とくと味わうがいい。」
勇者「いや、そんな咆哮食らったら味わう前に粉微塵だろ。超避けるぞ。」
断末魔王「おっと逃げるなよ?逃げれば扉の向こうの仲間が死ぬぞ?」
魔王「チッ、人質取るとかトコトン外道な奴だな。まぁ悪役の鑑とも言えるが。」
勇者「…フン、やるならやれよ。」
断末魔王「ぬ…?フハハハ!なんと情けない、他人を見捨ててまで助かろうとす」
勇者「勘違いするな。奴らならそれくらい、自分で何とかする…そう言ってるんだ。」
断末魔王「な…なにぃ…?」
勇者「俺達ぁこんなピンチなんざ慣れっこなんだよ!ナメてんじゃねぇぞ?俺の…」
断末魔王「“仲間”を…とでも言うつもりか?そんな陳腐な」
勇者「この俺の、“下僕”どもをなぁ!!」
勇者は言い切った。

 

4-580:究極〔14歳:LEVEL45〕
心を折るとか抜かしたかと思ったら、我が下僕どもを盾にとるとか奴はアホなのか。
この俺にそんな脅しが効くと思うなんて浅はかにも程がある。死ねばいいのに。
勇者「ったく…なんかブチ切れたぜ。こんなゲス野郎に勝てんと思うと尚更なぁ。」
魔王「フン、どうやらまだ元気はあるらしいな。とはいえ何か手はあるのか?」
勇者「あるさ。我流…いや、「我王勇者剣」とでも名付けようか。ふむ、さすがは俺。」
魔王「プフッ、なんだよその名前?俺の「魔王暗黒剣」とは比べものにならんな。」
断末魔王「どっこいどっこいじゃないか!しかもかなり低レベルな!」
勇者「もうこの際小細工は無用!正面突破だ、ついてきやがれ魔王!」
魔王「あ゛?フザけんな!」
勇者「ならば俺の独壇場だ!見るがいい、「勇者」究極の魔法…「一騎当千」!!」
勇者は〔一騎当千〕を唱えた。
なんと!不完全ながら成功した。
勇者「フハハハ!どうだ見たか!?この俺の輝きを!!」
断末魔王「え、いや…だから!?」
勇者は無駄に眩しい。

 

4-581:初心〔14歳:LEVEL45〕
究極の魔法に成功した俺だったが、無駄に光った割に効果は薄かったっぽい。
…いや、それだけ断末魔王のクソ野郎が強いってことか。俺が弱いわけじゃない。
勇者「ゴフッ! ふぅ…やれやれ。もはや手詰まりって感じだな。敵は強すぎる。」
魔王「正直これ程までとはな…。俺らを同時に相手してなお優勢とは…化け物め。」
勇者「フッ、照れるぜ。」
魔王「お前の心も負けじと強ぇなオイ。」
断末魔王「諦めろ。その体では、そうして立っていることが既に奇跡だ。」
勇者「フン、悪いな。俺の諦めは…盗子の顔の次くらいに悪いんだ。」
断末魔王「諦めろと、言っておるだろうがぁああああああああああああ!!」
ズバシュッ!!(斬)
断末魔王の攻撃!
まさに、痛恨の一撃!!
勇者「ぐっ、ぐわぁああああああああああああああああ!!
魔王「勇…!チッ、雑魚め…!!」
断末魔王「グハハハハハ!まずは一人目ぇええええ!!」
勇者「ガッ…ぐはぁ…!!



く、クソッ…!


もう…ここまでか…。

もう…ピクリとも動けねぇ…。

MPも使い切った…もはや魔法すら…

…あぁ、一つだけあったか…。

覚えたはいいが…不愉快すぎて使う気も起こらん…クソ魔法が…。


勇者「…さ……「殺意」……。」

勇者は〔殺意〕を唱えた。
親父の顔が脳裏をよぎった。
勇者「う…ぉおおおおおおおお!!ブッ殺ぉおおおおおおおおすっ!!」
断末魔王「なっ!?どこからそんな力が…!?」
魔王「ならば俺も、寝ちゃあいらんねぇなぁあああああ!!」
断末魔王「くっ、小癪なぁ…!!」
シュピーーーーーーーーーン!!
「諸刃の剣」と「魔神の剣」が光速で交差した。
断末魔王は右腕で防御した。

なんと!右腕は粉々に砕け散った。

 

4-582:双竜〔14歳:LEVEL45〕
なんとか気力を保ち、そして魔王との偶然の合わせ技で闘神の右腕を切り落とした。
さぁここからが俺の最終ターン。ここをキッチリとカッコ良くキメてこそ「勇者」だ。
断末魔王「ば、バカな…!この「闘神の剣」を宿した右腕が…砕かれるだと…!?」
勇者「ほぉ、この俺の技に合わせるとは雑魚の分際でやるじゃないか死ね。」
魔王「死ぬのは貴様だろ?勝手に技を合わせてきやがったのもな。」
勇者「ほざいてないで構えてやがれ。もう限界だ、恐らく次が最後の一撃となろう。」
魔王「ま、そうだろうな。この際だ、最後にもう一度同時に食らわしてやるか?」
勇者「ふむ。初めて合わせるのになぜか技名をハモっちゃうという謎のアレだな?」
魔王「そこはお前…気にしちゃダメだろ。」
断末魔王「お、おのれ…おのれおのれぇえええええ!!」
魔王「あばよ断末魔王。この俺をここまで追い詰めたこと、あの世で誇るがいい。」
勇者「まぁ俺は余裕だったが。」
魔王「なっ!?じゃあ俺だって…!」
断末魔王「最強は我だ!!天衣無縫流、究極奥義ぃ…!「死・屍・累・々・撃」!!」
断末魔王、必殺の攻撃!

ミス!二人は紙一重で避けた!
そして…

勇者「さーて、んじゃ最後の攻撃といくか。準備はいいか魔王?」

魔王「テメェこそしっかり合わせろよ?こういうのは綺麗に締めてこそだしよぉ。」

勇者「当然だ!いくぜっ!!」


勇者「我王…!」 魔王「魔王…!」
断末魔王「早速違うっ!!」



勇&魔「ひhgれごkfるぁあああ!!」

断末魔王「やっぱり違ぁあああああああああああう!!」




ズバズバッッッッシュ!!








ザシュッ!!









断末魔王「ぎょあああああああああああああああああああああああ!!

なにはともあれ会心の一撃!

 

4-583:決着〔14歳:LEVEL45〕
俺と魔王による想像以上の一撃が炸裂し、断末魔王は豪快にブッ倒れた。
サイズが縮んで元の大魔王に戻ったところからもわかる…そう、俺達は勝ったのだ。
勇者「ふぅ〜〜…終わった…勝ったな。俺が…俺だけの力で!俺の!!」
魔王「あ゛?いや、俺だろ。俺が俺で俺だけの…むっ!?」
勇者「チッ、やはり出やがったか…!」
霧っぽい何かが現れた。
状況から考えて「断末魔」だ。
断末魔「グワハハハ!勝った?終わっただとぉ?まだ何も終わってなどいないわ!」
勇者「この小僧が死んでも、いずれ第二第三の大魔王が現れるであろう!!」
断末魔「そう…えっ!?いや、そうだがなぜ貴様が言う!?」
魔王「マオの奴と同じってか?しぶとく寄生し続けるのかよめんどくせぇ野郎だ。」
断末魔「フン、何とでも言うがいい!我が脅威は未来永劫、貴様らを苦しませ続け」
大魔王「あ〜…それはちょっと、無理かもねー…。」
なんと!大魔王も起き上がった。
断末魔「なっ…は、離せ!貴様、我を道連れに死ぬ気か…!?」
魔王「つーか掴めるのかよオイ。」
大魔王「ぐふっ、アハハ…こう見えても…寂しがり屋でさぁ〜…一緒に、逝こうよ。」
断末魔「ぐぉおおおおお!は、離せぇええええええぇぇぇ…ぇぇ…!!」
勇者「ほぉ、随分と楽しそうな旅じゃないか。心底羨ましくないが。」
大魔王「いいんだよ。普通の相手だと、軽く触れただけで…壊れちゃうからさぁ…。」
魔王「だからみんな死んじゃえーってか?それが動機ならマジ寂しい奴だな。」
勇者「ま、わからんでもないがな。俺の強さに耐え切れず、死んでいった者も多い。」
大魔王「…じゃあさ、もし違う形で出会っていたら僕ら…友達になれたかな…?」
勇者「ふむ、断る。」
魔王「やっぱ鬼だわお前。」
大魔王「ハハ…厳しいね…。ま、これも全て…悪の道に堕ちた罰かな…。」
勇者「そうか?貴様は別に悪くはない。やりたいようにやっただけのことだろ。」
大魔王「え、いや、でもたくさん殺し…」
勇者「人が生きるのに犠牲はつき物だ。だから誰にも、死という名の罰が下る。」
大魔王「ざ、斬新な解釈だね…自由すぎだ…。勝てない…わけだよ……(ガクッ)」

勇者「…よっしゃーー!勝ったぁーーー!!」
断末魔王を撃破した!!


いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!ポ・ポ・ポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はキリ良くレベル50になった。

パラメータもガンガン上がった。
だがどれも負の力だった。

 

4-584:最強〔14歳:LEVEL50〕
こうして大魔王は事切れ、それに引きずられるように断末魔も消え去った。
今度こそ、今度こそ俺達は勝ったのだ。そう、全ては…悪夢は終わりを告げたのだ。
勇者「ふぅ〜〜…終わった…勝ったな。俺が…俺だけの力で!俺の!!」
魔王「あ゛?いや、だから俺だろ。俺が俺で俺だけの…むっ!?」

ガキィイイン!
二つの刃が交差した。
勇者「さぁ、邪魔者は消えた。残るは貴様だけだが…どうする?」
魔王「…フン。よってたかって一人を倒しといて、今さら最強決定戦もあるまい?」
勇者「フッ…違いない。ならばその命、しばし預けておいてやろう。」
魔王「それはこっちのセリフだ。いつか殺しに来る…首を洗って待っているがいい。」
勇者「うむ、入念にな。」
魔王「ガチで洗わんでいい。」

勇者「…さらばだクソ魔王。」
魔王「ああ、じゃあな…クソ勇者。」
魔王は去っていった。

 

4-585:旅終〔14歳:LEVEL50〕
魔王は窓の外に消え、そして俺は一人残された。
苦労しただけに感慨深いものがある、しばらく余韻に浸ってやろうじゃないか。
勇者「ふぅ〜〜…色々あったがこれでやっと、終わっ」
盗子「ゆーーーうしゃーーーー!!」
勇者「…終わってるな。」
盗子「何が!?人の顔見て今何言った!?」
賢二「お疲れ様勇者君。強さはともかく黒さでは圧倒してたよ、他の誰をも…。」
勇者「フッ、そんなに褒めるなよ照れちまうぜ。」
暗殺美「だから全く褒めてないと何度言わせれば気が済むのさ耳かっぽじれや。」
勇者「ふむ…どうやら意外とみんな無事らしいな。まったくしぶとい奴らめ。」
土男流「うぉー!頑張って片付けてきたのに終わっちゃってるとか酷いんだー!」
絞死「あの人数を一人でどうこうできちゃうとか…なにげにスゴいですねアナタ。」
父「よくやった勇者。お前は自慢の息子だ、世界中を旅してそう叫びたい気分だ。」
勇者「勘弁してくれ。」
マジーン(腹)「だが随分と重傷じゃねぇか。大丈夫か体は?」
勇者「お前こそ大丈夫かよ。怖いから視界から消えてくれよ。」
姫「勇者君お元気?私はどうかな?」
勇者「姫ちゃんも、お元気そうで何よりだ。 さてと…じゃあ貴様ら準備はいいな?」
勇者は何かのスイッチを押した。
賢二「え、えっと…勇者君?ちょっとよくわかんないんだけど、「準備」って…何?」
勇者「む?こういう状況だと、大抵爆破される城から逃げるってのが通例だろ?」
盗子「いや、そんな前フリなかったし!そんな物騒なモノはどこにも…」
勇者「土男流!!」
土男流「任せてくれ師匠、その点抜かりは無いんだ!ちゃんと仕掛けてきたぜ!」
盗&賢「なんでっ!?」
姫「まったく…自由だねぇみんな。」
暗殺美「いや、アンタだけは言うなさ。」
絞死「結局終始このペースでしたか…。」
マジーン(腹)「ハァ…やれやれ。どうやら俺の待つ「終末」は、だいぶ先らしいな。」
父「フッ、そりゃそうさ。「勇者」がいる限り…この世界は、永遠に終わらない。」

勇者「よーし野郎ども!走れぇーーーーーー!!」
盗&賢「う、うわぁああああああああん!!」
こうして世界は、正義の手によって…

正義…?


まぁ、とにかく守られたのだった。







「ひぃいいいい!し、死んじゃうよ!もう爆音がすぐ後ろまで…!」


「燃える鬼ごっこだね…。鬼は誰?」


「なんでアンタは最後までそんななの!?何ドランカーなの!?」


「泣き叫んでる暇があったら走れ!これで死んだら笑えない!!」




ドッガァアアアアアアアアアアアアン!!(大爆発)





一同「ぎゃああああああああああああああああ!!











めでたしめでたし。










〔キャスト〕













第四部:「大魔王降臨編」













 

エンディング