第三十一章

 

4-466:入刀〔14歳:LEVEL45〕
勢いに乗って暴れまくった暗殺美。
だがやはり、竜神の方が上手だった。
暗殺美「くぅ…!まったく、化け物なのにも程があるさ。キモいのさ死ぬがいいのさ。」
竜神「無駄だヨ。煽ったところデ、私は逆上したりしないネ。」
暗殺美「ハァ?そんなクソ面倒な作戦誰がやるかさ?本心に決まってるさアホめ。」
竜神「やはりムカつくネ。死ネ。」
賢二「そ、そうは…させないよ!」
賢二が立ち上がった。
竜神「ほぉ、もう動けるのかネ。だがまだ回復しきったとは思えんガ?」
暗殺美「そうさもっと大人しくしてろさ!あ、足手まといは邪魔なのさ!」
賢二「一緒に倒そう、暗殺美さん。僕たち二人の…共同作業で。」
暗殺美(なんて甘美な響きぃーーーー!!)
竜神「フン、そんなケーキみたく言われたくないネ。」
暗殺美「な、何がケーキ入刀さ!?何が夫婦初の共同作業さ!?死ねやボケが!」
賢二「べ、別にそういう意味じゃ…。」
暗殺美「ちっくしょーーーーーー!!」
暗殺美は入刀前にキレた。

 

4-467:先手〔14歳:LEVEL45〕
少しは回復したっぽい賢二も合流し、やっと戦いも大詰めになってきた。
暗殺美「で、どうする気なのさ?アンタにそんな強力魔法が使えるとは思えないさ。」
賢二「うん…無いんだ…。でもきっと、協力すれば勝てるよ!」
竜神「ふむ…3点。」
賢二「いや、「強力」と「協力」とか関係無しに!」
竜神「協力なんて意味無いヨ。この無数の剣で八つ裂きにされる運命ネ。」
賢二「さっきの暗殺美さんの攻撃で見たよ。弱点は、関節部分にある。」
竜神「フン、甘すぎるネ。そう言われて攻撃させるバカがいるかネ?」
賢二「そこはなんとか頑張るよ!さぁ行くよあさみん…あ、ゴメン噛んじゃった。」
暗殺美「なっななななに言いなお…噛んでんのさクソがっ!」
竜神「何かやる気かネ?仕方ないネ…先手ハ、渡さないヨ。」
竜神は高速で回転し始めた。
二人は完全に遅れをとった。

 

4-468:挑発〔14歳:LEVEL45〕
賢二がモタモタしている間に、先手を打ってきた竜神だった。
賢二「くっ、マズい…!あんな速さで回られたら、攻撃どころじゃ…!」
暗殺美「大丈夫さ、ちょっと待てば勝手に目が回って盛大に吐くに決まってるさ。」
賢二「いや、いくらなんでも」
竜神「チッ、マズいネ…。」
賢二「当たっちゃったの!?なんでそんなリスクある技出しちゃったの!?」
竜神「けど…その「ちょっと」を生き抜くのガ、無理なんだろうがネ。」
竜神の超高速攻撃。
賢二は魔法でなんとか防いだ。
賢二「どどどどうしよう…!どうしよう暗殺美さん!?」
暗殺美「お、落ち着けさ賢…クソ犬!こうなったら死ぬ気で逃げるしかないのさ!」
賢二「そ、そうだね!なんとか逃げ切ってチャンスを…」
竜神「おや、結局逃げるのかネ?」
賢二「ッ!!」
竜神「早く勝って仲間を助けるとか言ってたのは別人かネ。情けないものだヨ。」
暗殺美「聞いちゃダメさ!そんな安い挑発に乗っ」

賢二「逃げたいな…。」
ちょっとは乗れ。

 

4-469:同調〔14歳:LEVEL45〕
そんな感じで相変わらず逃げ腰な賢二。
だが今回は、さすがに何か少し違うようだった。
暗殺美「さぁ逃げ回るさ!四肢が千切れんばかりの勢いで走っ…」
賢二「…いや、攻めよう。動き回ってできる隙が、きっと僕らの唯一の勝機なんだ。」
竜神「勝機なんて無いヨ。」
賢二「打ち合わせてる時間は無い…ぶっつけでいくよ!僕に合わせて!」
暗殺美「うん…☆あ、フン!わかったさ、意地でも合わせてやるから覚悟しとけさ!」
竜神「来イッ!!」
賢&暗「勝負!!」
賢二は〔疾風迅雷〕を唱えた。
暗殺美は〔電光石火〕を繰り出した。
竜神「み、見えナイッ…!?」
暗殺美「フン、それはそうだろうさ!私も見えないしさっ!」
賢二「僕も見えないし…!」
同士討ちの危機が。

 

4-470:猛攻〔14歳:LEVEL45〕
息が合った感じで素早さを上げた二人。
お互いも見えない程のそのスピードは、まさにスリル満点だった。
暗殺美「うぉおおおおりゃああああああ!死ねやぁあああああああああ!!」
キィン!ガキンガキンッ!
竜神「クッ、さすがは風神の靴…!破壊力は凄まじいネ…!」
チュィン!キィイイン!
賢二「〔硬化〕を使った僕の脚も、甘く見ちゃダメだよ!」
ガッキィン!
竜神「わ、私の剣山を砕くトハ…!」
賢二「よしっ、これなら勝てぶふっ!!
暗殺美「うわっ!?ご、ゴメンさ賢二君!見えなかっ…眼中に無かっただけさっ!」
賢二「あ、うん…わかってるし…。」
暗殺美(わかっちゃダメェーーー!!)
その後も何度か蹴った。

 

4-471:逆転〔14歳:LEVEL45〕
賢二と暗殺美の超速攻撃の前に、竜神は防戦一方だった。
この手の流れは、必ず一発逆転される流れだ。
暗殺美「というわけで、油断せずいくさ!狙うなら剣が多く折れてる…あの位置さ!」
賢二「えっ、「あの」ってどの辺!?全然見え…」
暗殺美「気合いで察しろやこの鈍感男めがさっ!」
竜神「チッ、ここまでカ…!」
暗殺美「これで、終わりさぁああああああああ!!」
竜神(ニヤリ)
賢二「ッ!!罠だっ、危ない暗殺美さ…」
ズバシュッ!!(斬)
竜神のカウンター攻撃!

賢二の右脚が宙を舞った。
賢二「う、うわ゛ぁあああああああああああ!!
暗殺美「えっ…キャアアアアアアアアア!!けけけ賢二きゅうううううううううん!?」
竜神「ハハハッ!油断しないと言いなガラ、盛大に油断したネ!」
暗殺美「う…う…うわぁーーーん!私のせいさーーーー!うわーーん!!」
賢二「だ、大丈夫だよ暗殺美さん…心配しないで…うぐっ!」
暗殺美「で、でも…でも賢二きゅん…。」
賢二「脚なんて…すぐ…生えるから…。」
その強がりはどうかと。

 

4-472:誤解〔14歳:LEVEL45〕
暗殺美をかばい、右脚を失ってしまった賢二。
予想通り形勢は逆転されてしまったのだった。
暗殺美「よ、よくも…よくも賢二君を…!クソ許せないのさ!!」
竜神「フフフ…ワザと弱点を晒せば食いついてくると思ったヨ。バカなのが悪いネ。」
暗殺美「こうなったら私が守るさ!だからアンタはまた回復魔法で…」
竜神「そんな時間、与えると思うのかネ?「火竜の吐息(ファイアブレス)」!!」
暗殺美「なっ!?うわぁああああっ!!
暗殺美は爆風の直撃を受けた。
竜神「姿に惑わされたようだネ。この姿でも炎くらい吐けるヨ、威力は落ちるがネ。」
暗殺美「うぐっ…!う、動けない…動けないさ…!」
竜神「お前は後にするヨ。まずは厄介な、「賢者」の方から始末するネ。」
暗殺美「け、賢者じゃないさ!単なる賢二さ!勝手に「ゃ」足してんじゃないのさ!」
竜神「む?賢者じャ…ないのかネ?」
暗殺美「当然さ!ナメてんじゃないさ!!」
むしろナメてなかったわけだが。

 

4-473:天使〔14歳:LEVEL45〕
暗殺美は意識こそあるが、いいのをもらってしまい動けない。
今度こそ賢二は終わりか。
竜神「さぁいくヨ…トドメだァアアアアアアアアア!!」
暗殺美「ちょっ、ヤメ…いやぁあああああああああ!!」
竜神の攻撃。

ミス!賢二は攻撃を避けた。
竜神「ナニッ、どこだネ!?あの脚で避けられるはずガ…!」
暗殺美「まさかホントに脚が生えたのかさ!?」
賢二「うん、生えちゃったみたい…。」
暗殺美「って賢二君!?自分で言っといてなんだけど今そんなボケは…」

賢二「いや、「羽根」が。」
暗殺美「天使君!!?」
「エンジェル賢二」が降臨した。

 

4-474:拝借〔14歳:LEVEL45〕
何の間違いか、脚どころか羽根が生えてしまった賢二。
だが説明はとりあえず後回しだ。
竜神「なッ、飛んダ…だト…!?だが私の優位に変わりハ…」
賢二「さっき言ったよね、「弱点を晒せば」と…。つまり本当にそこが、弱点なんだ。」
竜神「ッ!!!」
賢二「右手を〔硬化〕!貫けぇええええええええええ!!」
会心の一撃!
竜神の首筋に突き刺さった!
竜神「ぐぉあああああああああ!! だ、だガ…だがまだ終わラン…!」
賢二「それは僕のセリフだよ!外からじゃダメでも、体内に直接放ったら…!?」
竜神「魔法カッ!?マズイ…!!」
賢二「勇者君、技を借りるよ…!必殺魔法、〔絶対零度〕!!」
竜神「クッ、ならばまた「氷竜化」しテ…ェエエエエエエエエエッ!?
ブォオオオオオオオッ!!(燃)
賢二は〔火炎地獄〕を唱えた。

 

4-475:決着〔14歳:LEVEL45〕
技を借りるってそっちか。引っ掛け的な意味でか。
そんな感じで再逆転の一撃をお見舞いした賢二だった。
竜神「ガッ…ガハッ…か、体ガ…溶ケ…テ…。」
賢二「勝っ…た…。」
暗殺美「け、賢二君大丈夫!?大丈夫なのかさ!?」
賢二「あ、うん…。脚は焼いて血止めしたから、なんとか…大丈夫だよ。」
暗殺美「いや、その「羽根」がさ!それ人として大丈夫かさ!?」
賢二「あぁ、コレね。コレは…もういいよ、美咲さん。」
パァアアアアア…!(光)
なんと!賢二の背中から美咲が飛び出した。
美咲「クエ!」
賢二「この前、契約したんだ。麗華さん…お姉さんの…契約獣だったから…。」
暗殺美「賢二君…って、ハッ!しまったさ、油断したらまた…」
竜神「フン…見苦しいのハ、好きじゃないネ…。負けたヨ…殺すがいいネ。」
暗殺美「やってやるがいいさ!サクッとトドメを刺してやるのも一種の優しささ!」
賢二「いや、でも…」
竜神「強き賢者ヨ…お前は生き残リ、そしてその先…何を為すのかネ?」
賢二「いえ特に。(キッパリ)」
竜神「ガッカリさせてくれるなヨ…。」
暗殺美「フン、勝者が敗者にかける言葉は無いのさ。つまりはそういう意味さ。」
賢二「いや、そんな悪人に仕立て上げられても困るんだけど…。」
竜神「フッ…フフフ…面白かったヨ。敗れて悔い無い最期とは素晴らシイ…。」
暗殺美「うわっ、体が崩れてくさ…!キモッ!キモいさ!」
竜神「サラバだ頼りなき賢者ヨ…。願わくバ、地獄でまた…闘いたいものだガ…。」
賢二「全力でお断りします。」
竜神「フッ、つれない…ネ……。」

ヒュゥウウウウウウ〜…(消)
竜神は風に消えた。

 

4-476:瀕死〔14歳:LEVEL45〕
こうして竜神は倒れ、戦いは幕を閉じたのである。
賢二「や、やった…。なんとか…勝てたよ、勇者君…。」
暗殺美「ふ、フンさ!私がいなきゃ死んでた分際で偉そうにすんなさ雑魚めが!」
賢二「ハ…ハハハ…手厳しい…な…ぐふっ!
暗殺美「け、賢二君!?うわっ、顔が真っ青さ!斬新なメイクにも程があるさ!」
賢二「うん、ちょっと…血を流しすぎた…かな…。でも、役目は…果たし…(バタッ)」
暗殺美「ちょっ、大丈夫賢二君!?し、死んじゃイヤァーーー!!」
太郎「大丈夫、治療すればまだ助かるよ。僕らがなんとかする。」
召々「あ、とりあえずトマトジュースでも注射してみる?」
暗殺美「なっ!?アンタら、確か死にかけてたはずじゃ…!?」
太郎「甘く見てほしくないなぁ。敵が油断するくらい重傷に見せるなんて、簡単さ。」
下端「そうッス!特技は寝たフリ、死んだフリ!」
ライ「それがアタチら!」
三人「自衛(ダンッ!ガンッ!ゴスッ!)」
暗殺美は半殺しにした。

 

4-477:割愛〔14歳:LEVEL45〕
賢二達がまだ戦っていたころ、姫もまた激戦中だった。
途中で盗子も合流したのだが、登場シーンは面倒なので割愛。
〜大魔王城3階:女帝の間〜
女神「ハァ、ハァ、いくら、ワタクシ、とはいえ…」
姫「・・・・・・・・。」
女神「さすがに、一度に二人は、少々、手こずりましたが…」
盗子「・・・・・・・・。」
女神「勝ちましたわ!!」

姫「スピー…。」
姫は元気そうだ。

 

4-478:逆境〔14歳:LEVEL45〕
遅れて現れたくせに早速倒されていた盗子。そして姫はおねむだった。
勝てる展開が全く想像できないが大丈夫か。
女神「さて、では早々にトドメを刺してバスタイムでも…」
盗子「ぐふっ、ま、まだだよっ!まだ死んでないもん勝手に殺すなーー!」
女神「ハァ…まだですの?ゴキブリのようですわね。凄まじくお似合いですこと。」
盗子「うっさいよ!ちょっとくらいキレイだからって調子乗んないでよね!」
女神「あら、この美しさがおわかりですの?ならご自身の醜さも…お可哀相に。」
盗子「何その同情に見せかけた罵倒!?」
女神「で?まだ続けるとでも?身の程をわきまえていただけませんこと?」
盗子「誰が諦めるかよ!この程度の逆境なんて、日常茶飯事だもん!」
これまでもこれからも。

 

4-479:秘密〔14歳:LEVEL45〕
そんな感じでバトル再びな状況だが、盗子だけじゃ勝ち目が無い。
なんとか姫を起こし…たところでやっぱり無謀だ。
盗子「ホラ姫!起きてってば姫!今度こそ協力して倒すんだよアイツを!」
姫「う〜〜ん…あとギャフン…。」
盗子「言わそうか!?言わせたげようかアタシが!?」
女神「無駄なことですわ。少しはやるようですが、所詮敵ではなくってよ?」
盗子「フンだ!さっき息切らせてたクセによく言うよ!怖くなんかないもんね!」
女神「あ、アレは…ちょっと興奮してただけですわ!」
盗子「そっちの方がなんか怖いから!」
女神「どうするおつもり?ワタクシの秘密の攻撃の前には、全てが無意味ですわ。」
盗子「そんなこと…やってみなくちゃわかんないよ!」
女神「フッ、でしたら…わからせてさしあげますわ。」
女神の攻撃。
なんと!盗子は攻撃を受けた。
女神「なっ!?お、同じ技で相殺ですって…!?一体…なぜ…!?」
盗子「へ、へへーんだ!そんなのもちろん、秘密だよっ!」
勘だった。

 

4-480:鰤子〔14歳:LEVEL45〕
その後も、一生分の運を使う勢いで攻撃を避けまくった盗子。
偶然とはいえ盗子のくせに生意気だった。
〜数分後〜
盗子「ゼェ、ゼェ、ど、どうよ!?アタシだってやればできちゃったんだかんね!」
女神「く、屈辱ですわ…。アナタごとき汚物に、私の技がマネされるだなんて…!」
盗子「こっちの方が屈辱だよ!なんで初対面のアンタに汚物扱いされなきゃ…」
女神「初対面…?お会いしてるじゃありませんか、「ウザ界」で。」
盗子「へ?ウザ界…ウザ界!?いや、全然別スペックの怪奇生物しか記憶が…。」
女神「まぁ無理もありませんけどね。あの姿…「鰤子」の姿とは全然違いますもの。」
盗子「ええぇっ!?アレがどうなったらそうなるの!?何それどこの匠の仕業!?」
女神「これが真の姿ですわ。仮の姿は醜いほど、今のワタクシが輝きますの。」
盗子「し、信じない!アタシ信じないよ!絶対何か裏があるに違いないもん!」
女神「醜いですわね…。見た目だけでなく、何もかも…。」
盗子「後で絶対「この姿は醜いから好きじゃないのに」とか言いつつ真の姿に…!」
女神「ッ!!!」
盗子「…マジでっ!?」
マジで。

 

外伝(拾)