第二十六章

 

4-391:無茶〔14歳:LEVEL45〕
それは賢二が遺書を書きたくなる状況に陥る、少し前のこと。
〜タケブ大陸:ショムジ遺跡〜
暗殺美「うぉおおおお!死ねやオッサアアアアアアン!!」
帝雅「素早いな…。以前より、だいぶその靴を使いこなしていると見える。」
暗殺美「アンタこそ片腕無いクセにその余裕は何さ?ムカつくのさ娘の次に。」
帝雅「無駄だ、ヤメておけ。そのようなくだらん嘘で私の動揺を誘えるとでも?」
暗殺美「紛れもない真実さ。それから目を背けるとこなんかはソックリ親子さ。」
帝雅「き、貴様ぁ…貴様にあの子の何がわかる!?」
暗殺美「…フン、アンタこそアレの何がわかるのさ?今さら出てきて親気取りかさ?」
帝雅「それは…どういう意味だね?」
暗殺美「ポッと出の後付け設定キャラに、デカい顔されたくないって言ってんのさ!」
帝雅「クソ生意気な小娘めぇ…!」
暗殺美「上等さ、やってやるさ!命を懸けて…この、ちっさいのが!」

忍美「…え゛ぇっ!?」
忍美は無茶振りされた。

 

4-392:交代〔14歳:LEVEL45〕
自分でやるかと思いきや、重傷の忍美に振った暗殺美。
死ぬかもしれないが何もしなくても死ぬので頑張れ忍美。
暗殺美「私はもうクタクタだから後はアンタがやれさ。血ヘドを吐きながらさ。」
忍美「ひ、酷いのだあさみん!そんな死人にムチ打つような…」
暗殺美「そんなことして何が楽しいのさ?生きてるからこそさ。」
忍美「それこそ何が楽しいのか問いたいのだ!」
帝雅「ヤメておけ小娘。ただでさえ瀕死なんだ、下手に動いたら死ぬぞ?」
暗殺美「と見せかけて、怪しい「忍薬」でこっそり回復してるイヤらしい奴なのさ。」
忍美「お、恐るべし幼馴染みなのだ!でもわざわざ敵にバラした意図は謎なのだ!」
暗殺美「さっさとやらないとそのちっさい体を空きビンに詰めて海に流すさ。」
忍美「わ、わかったのだ任されたのだ!じゃあ…いくのだっ!「忍法:動物祭り」!」
〔動物祭り〕
森の動物さん達を呼び集める忍術。
成功すると、とてもメルヘンチックなお祭り騒ぎが始まる。
大魔獣「ギョルァアアアアアア!!」
忍美「うぎゃーーー!!」
だが見事に失敗した。

 

4-393:自覚〔14歳:LEVEL45〕
所変わって、死体と死霊のドス黒い戦いは大体こんな感じになっていた。
〜大魔王城3階:暗黒の間〜
暗黒神「ハッハッハ!どうした死神、てんで話にならねぇじゃねーか!あぁん?」
教師「ふぅ…まったくですねぇ。帰っていいですか?」
暗黒神「帰んじゃねぇよ!いや、引き止めるのもおかしいが!」
教師「まぁ…ただでさえ厳しい相手だったのが、今は邪神と二人分ですからねぇ。」
暗黒神「それに、もともとテメェは戦闘タイプじゃねぇしなぁ。勝負にならねぇわ。」
教師「でも、よく考えたら共に死人同士…とても不毛な一戦だとは思いませんか?」
暗黒神「それを言っちゃあお前…。」
教師「にしても困りましたねぇ。もう一人くらいなんとかなりませんか霊魅さん?」
霊魅「ウフフ…無茶言うとキレますよ…。」
教師「まぁ仕方ないですねぇ、じゃあそろそろ本気を出すとしましょうか。」
暗黒神「あ゛?なんだテメェ、まるで今までは手を抜いてたみたく…」
教師「今日の私は、いつもと違って…厳しいですよ?」
教師は自覚が足りない。

 

4-394:系統〔14歳:LEVEL45〕
本気でやる気があるのか無いのかわからない教師。
だが酷いことする気なのは考えるまでも無い感じだ。
教師「さて…じゃあいきますか。剣と鈍器、どちらがお好みです?」
暗黒神「フッ、そうだなぁ…ってちょっと待て!お前どっちも違う系統だろうが!」
教師「え?イヤですねぇ、私が幻魔術だけの人とでも?」
暗黒神「ケッ、ハッタリかよ面倒くせぇ。とことん人を煙に巻くのが好きな野郎だな。」
教師「本当ですよ?あらゆる科目を究めていないと、先生なんてできませんから。」
暗黒神「ほほぉ…言うじゃねぇか。いいだろう、ならば俺も剣で相手してやるよ。」
教師はバズーカを構えた。
暗黒神「話が違っ…!」
教師「「人はむやみに信じない」…ここ、テストに出ますよ?」
ドガァアアアアアアアン!!
勇者しか満点は取れない。

 

4-395:口撃〔14歳:LEVEL45〕
お得意の非道な攻撃全開で、暗黒神を攻めまくった教師はやはり鬼だった。
暗黒神「ハァ、ハァ、テメェ…!好き放題やってくれやがって…!」
教師「死んでるのに息切れとか…意外と演出に気を使える人なんですね。」
暗黒神「ち、違ぇよ!長年体に染み付いたモンが出ちまった〜みてぇな感じだよ!」
教師「なるほど、生前は年中ハァハァしていたと。」
暗黒神「そういう意味じゃねぇよ!変態みたいに言うんじゃねぇよ人聞き悪ぃな!」
霊魅「お変態様…。」
暗黒神「無理して人聞き良くしようとしてんじゃねぇよ!しかも全然なってねぇし!」
教師「なんか忙しい人ですねぇ。」
暗黒神「テメェらのせいだろうが!!」
教師「さてさて、ではそろそろ次の授業に入りましょうか。」
暗黒神「ケッ、いつまでも余裕こいてられると思うなよ?今度は…俺の番だぜ。」
教師「勝手な人ですねぇ。」
暗黒神「だからテメェが言うなよ!!」
心理戦なら圧勝だった。

 

4-396:竜巻〔14歳:LEVEL45〕
そんなこんなで、今度は暗黒神が頑張る番になった感じで。
教師「やれやれ、口での時間稼ぎも限界ですか。どうしましょうねぇ…。」
暗黒神「さぁ今度は俺からいくぜぇ!技名は…そうだなぁ、「暗黒暴風葬」!!」
教師「…プフッ。」
暗黒神「わ、笑うなぁああああああああああ!!」
ズゴォオオオオオオオオ!!(竜巻)
暗黒神の攻撃。
ミス!教師は霞んで消えた。
教師「ハァ…まったく学習能力の無い人ですねぇ。」
暗黒神「ってのは、まぁ予想の範疇だわなぁ。」
教師「…ハッ、しまった…!」
逸れた竜巻が霊魅を襲う!
霊魅「ウフフ…甘いですね…。全然…問題無いですよ…。」
暗黒神「なっ、まさか避け…」

霊魅「今日は…スカートじゃないから…。」
霊魅は豪快に宙を舞った。

 

4-397:油断〔14歳:LEVEL45〕
暗黒神の攻撃の直撃を食らった霊魅。
ナメまくってた報いがきたんだと思う。
教師「だ、大丈夫ですか霊魅さん?先生ちょっと油断しちゃいまして…」
霊魅「先生…気が散るから…一人に減ってください…。」
教師「くっ、完全に目が回ってますね…。」
暗黒神「ハハハッ!ざまぁねーな。姿が揺らめいてるぜ?大丈夫か死神ぃ?」
教師「霊魅さんの周りには魔法壁を張ります。もう同じ手は通じませんよ。」
暗黒神「まぁいいさ、だったら…こっちを狙うまでだ。」

絞死「ッ!!」
暗黒神の攻撃。

教師は絞死をかばった。
教師は右肩から下が消滅した。
教師「こ、絞死…。アナタ、勇者君に連れられて上に行ったはずでは…?」
絞死「道端に…投げ捨てられてて…。」
教師「勇者君に、今度会ったらじっくり煮…じっくり話しましょうと伝えてください。」
暗黒神「やれやれだなぁオイ。ダメダメじゃねぇか、もう帰っちまえよあの世に。」
教師「いやいや、お陰さまでだいぶ…思い出してきましたよ。本気の、出し方を。」
教師は笑顔が怖い。

 

4-398:魔法〔14歳:LEVEL45〕
ピンチな状況になり、やっとヤル気を出したっぽい教師だが果たしてどうか。
暗黒神「さぁどうするよ?片手じゃ剣も握れねぇだろ?」
教師「ですねぇ…。じゃあ本気でいきましょうか。お待ちかねの、魔法でね。」
暗黒神「む?氷系、と炎系の魔法を同時に…?確かに器用だが、それが何だよ?」
教師「え、知らないんですか?極大消滅呪文、メドロー…」
絞死「ちょ、ちょっと待ってください。よくわからないですがヤメてください。」
暗黒神「テメェ、何を企んでやがる?」
教師「違う属性の魔法を一度に唱えると凄いことに…そんなお約束パターンをね。」
教師は後ろに飛び退き印を組んだ。
暗黒神「バカがっ、遅ぇええええええ!!」
教師「フッ…。」

ドッガァアアアアアン!!(地雷)
魔法はどうした。

 

4-399:本気〔14歳:LEVEL45〕
さすがは勇者の恩師(?)なだけあるというか、なんというか。
そんな非道な教師の攻撃はまだまだ続く。
暗黒神「くっ、この期に及んで…卑怯な…!」
教師「要は勝てばいいんです…が、良い子はマネしちゃダメですよ?」
絞死「なら実の子に見せないでください。」
教師「さて、炎系・氷系・風系・雷系・絶命系…何系の魔法で消えたいですか?」
暗黒神「魔法ならなんでもござれってか?なんだよテメェ「賢者」か?」
教師「さあ?まぁアナタが「愚者」なら、そうなるでしょうかねぇ。」
暗黒神「ブッ殺す…!!」
教師「フフフ…残念、手遅れですよ。」
二人から邪悪なオーラがほとばしる。
絞死「す、スゴい…!父上が、こんなにスゴかったなんて…!」
霊魅「よーく…見ておくべきですよ…。もう…二度と見れないから…。」
絞死「…そう…ですね…。」

霊魅「こんなに…ドス黒いのは…。」
ちょっとした「魔界対戦」だった。

 

4-400:連発〔14歳:LEVEL45〕
そしてまたまた舞台は変わり、姫と女神は…?
〜大魔王城3階:女帝の間〜
女神「ハァ、ハァ、し、信じられませんわ…!」
姫「むー!〔破滅〕!!」
女神「なんですのこのレパートリーの豊富さ!?そしてその邪悪さ!」
姫「むー!〔絶滅〕!!」
女神「な、なんて無慈悲な!種族ごと滅ぼすとかどれほど悪魔ですの!?」
姫「む〜〜!!」
女神「まだまだ続きますの!? あっ…!」
女神は足を滑らせた。
女神「くっ、マズいですわ!避けきれ…」

姫「〔自滅〕!!」
姫は勢い余った。

 

4-401:招集〔14歳:LEVEL45〕
珍しくヤル気マンマンだった姫だが、やはり無理があった模様。
空回りの結果、見事に自滅してしまったのであった。
姫「う、うぅ…。酷い目に遭っちゃったよ…。痛い…よ?」
女神「いや、そこでワタクシを見られても困りますわ!派手に自業自得ですの!」
姫「誰にでも失敗はあるよ。大事なのは、素直に謝れるかどうかだよ?」
女神「ええぇっ!?あの、その…ご、ごめんなさい…?」
姫「何が?」
女神「くぅ…!どうにも調子が狂いますわ!こうなったら…衛兵、集いなさい!」
女神は仲間を呼んだ。
目がハートマークの兵が50人現れた。
衛兵達「うぉーー!女神様ーー!うっつくしいぃーーー!!」
女神「オホホホ!驚きまして?これがワタクシの魅力の」
姫「むー!〔全滅〕!!」
衛兵達「ぎゃーー!!
女神「んもぉーー!!」
ちょっと同情の余地が。

 

4-402:記憶〔14歳:LEVEL45〕
姫がやりたい放題すぎて若干被害者っぽい女神。
だがいつまでもその調子で進むわけはなかった。
女神「もう…いいですわ。お遊びはもう終わり…今からは、本気でいきますわっ!」
姫「えー。もうちょっと遊びたいよー。」
女神「そもそも遊びじゃありませんの!というか遊びで「絶命系呪文」てアナタ!」
姫「じゃあアゲハちゃんは何が得意なの?」
女神「あら、ワタクシですの?ウフフ…それは、ひ・み・つ☆」
女神の謎の攻撃。
姫はカマイタチ的なものに全身を切り刻まれた。
姫「くぁっ…!」
女神「そうですわ。最初から、こうすれば良かったのですわ。」
姫「い、痛そう…だよ…。」
女神「なぜ他人事なのかはともかく、このまま始末して差し上げますわ。」
姫「私は…負けないよ。こうなったらもう手段は選ばないよ。」
女神「最初から全開ではありませんこと!?」
姫「お母さんとの修行の成果を、今…思い出すよ。」
忘れてたんかい。

 

4-403:残留〔14歳:LEVEL45〕
そしてまた話は勇者に戻る。
やっと現れた賢二に竜神は任せることにした。まぁ足止めくらいにはなるだろう。
最初の大魔王の話が確かなら、この先にいる敵は2人…大魔王ともう1人だけだ。
勇者「ったく、同じ2人だがこうも差があるとはなぁ。俺は手負い、お前は雑魚だ。」
土男流「確かにそうだけど面と向かって言われるとさすがに傷つくんだー!」
勇者「これまでは運良く生き延びた、だがこの先は相手が悪い。お前は残れ。」
土男流「えっ!?そ、それはイヤなんだー!ここまで来たら死ぬまで一緒に…」
勇者「残れ。」
土男流「し、師匠…!」

兵士達「見つけたぞぉー!!」
勇者「だから。」
土男流「だから!?」
土男流は置き去りにされた。

 

4-404:自信〔14歳:LEVEL45〕
敵が多く来る気配がしたので、土男流に任せてきた。足止めくらいはできるだろう。
雑魚でも大勢の相手は疲れる、今の俺にはそんな小さな余裕すらない。
〜大魔王城最上階:終焉の間〜
勇者「ついに、来たか…。さすがの俺でも、生きて帰れる気がせんなぁ…チッ。」
ギィイイイイイ…(扉)
大魔王「…やぁ、やっと来たねぇ。でも1人で大丈夫?」
大魔王が現れた。
勇者「フッ、全然大丈夫じゃないな。勝手に死んでくれると助かる。」
大魔王「その減らず口…いつまで利けるのかな?」
勇者「フン、減らないから減らず口って言うんだよ。お前バカだろ?」
大魔王「ハァ…やれやれ、なんなんだろうねぇその自信。」
勇者「やっぱお前バカだろ?そりゃあもちろん自分を、信じてるからさ。」
根拠なんていらない。

 

4-405:異名〔14歳:LEVEL45〕
ついに現れた大魔王。先公にも似た、妙に余裕が感じられる苦手なキャラだ。
恐らく、万全の状態で挑んでもキツいだろう。ぶっちゃけ勝てないかもしれん。
勇者「しかも…テメェもいるのかよ、裏切り執事。」
夜玄「おや、裏切り者とは心外ですね。そもそも仲間になった記憶がありません。」
勇者「まぁ俺もそうだがな。ったく、大魔王にクソ執事…こんな体で2対1かよ…。」
マジーン「いいや、もう一人いるぜ?」
なんと!マジーンが現れた。
勇者「お、お前は…!お前は…お前は?」
マジーン「って忘れたのかよ酷ぇなオイ!俺だよ俺!」
勇者「フッ、甘いな!俺にはまだ子供なんていないぞ!?」
マジーン「詐欺じゃねーよ!瀕死の割になんでそんな余裕なんだ!?」
大魔王「ば、バカな…!キミは確かに、あの時に…!」
勇者「む?なんだ、貴様ら知り合いか?意外と顔が広いな見知らぬマジーン。」
マジーン「ってやっぱ覚えてたのかよ!まぁそれも本名じゃねぇけどな!」
勇者「なんだ、名前があったのか?雑魚魔人の分際で生意気な。」
マジーン「俺の名は無駄に多い。ある時は「マジーン」、ある時は「策士:ゴクロ」…」

大魔王「まぁいいや、今度こそ殺してあげ ぷれいぶっく ぷれいぶっく ぷれいぶっくるね…「覇王:欧剣」。」
衝撃の名前負けが発覚。

 

外伝(玖)