第二十二章

 

4-331:出陣〔14歳:LEVEL40〕
そして、季節は流れ…ついに約束の秋がきた。
勇者「ふむ…だいぶ歩いたな。ぼちぼち着く頃だと思うんだが、どうだ無職?」
無職「えと、双子さんの情報が確かなら、もうじきなはずです。城とか、死期とか…。」
土男流「うぉー燃えてきたぜぇー!絶対に悪者全員をブッ倒してやるんだー!」
絞死「まぁ、ここまできたら…仕方ないですねぇ。」
ワルツ「なぜワルツ達も当然のように組み込まれてます!?聞いてないのです!」
勇者「む?急に欠員が出たんだ、仕方なかろう?そうしないと人数が足りんのだ。」
ポルカ「それはそちらの都合…というかポルカ達はむしろ敵なのですよ!?」
勇者「ならば聞くが、お前ら…本当にそれでいいのか?歴史に汚名を刻む気か?」
ポルカ「そ、それは…」
ワルツ「でもワルツ達は、もう大魔王軍に…」
勇者「歩んだ道は戻れんが、進む道は選択できる。未来は、切り開けるんだ。」
ワルツ「…わ、わかりました! ワルツと♪」
ポルカ「ポルカは♪」
勇者「まんまと♪」
双子「騙された!?」
頼りない6人が行く。

 

4-332:到着〔14歳:LEVEL40〕
シムソー国から歩くこと数日。ついに俺達は目的地らしき城に辿り着いたのだった。
〜メジ大陸:大魔王城〜
勇者「ふむ、この禍々しい形状…これが大魔王城に違いない、ぜぇーーーぃ!!」
土男流「うぉー!燃えてきたぜぇーーぃ!ヤッホーーー!!」
無職「ちょっ、お二人さん!?ここで大声出すのはちょっと…!」
勇者「気にするな、どうせバレてるさ。今までもただ泳がされていたに過ぎん。」
絞死「完全にナメられてますねぇ。なんとか鼻を明かしてあげたいものです。」
勇者「フッ、じきに奴らも後悔するさ。殺せるうちに、殺しとかなかったことをな。」
ワルツ「そ、そうですね!ではまずは先陣を切って、ワルツと♪」
ポルカ「ポルカがはっ!
大魔王「死んじゃった♪」
なんと!早くも大魔王が現れた。
ワルツとポルカは急所を貫かれている。
無職「わ、わー!ふふふ双子さーーん!?」
勇者「…おいコラ大魔王、もう少し空気読めよテメェ。いくらなんでも早すぎだろ?」
大魔王「いや〜…なんかもう、待ちきれなくてさぁ♪」
せっかく6人で来たのに。

 

4-333:説得〔14歳:LEVEL40〕
意表を突いた大魔王のお出迎えに、早くも4人になってしまった俺達一行。
まさかこんな所で戦闘開始とは思っていなかった。となれば、やることは一つだ。
勇者「ったく、随分せっかちだな大魔王。折角来たんだ、せめて城内でもてなせよ。」
大魔王「ん〜、別にいいじゃん。どうせすぐ死ぬんだし、もうここで死んじゃおうよ。」
勇者「やれやれ、お前は何もわかってないな。それで「大魔王」とか笑わせる。」
大魔王「…それって、どういう意味?」
勇者「「勇者」と「大魔王」の決戦は、最上階の「王の間」と相場が決まっている。」
大魔王「いや、そんな勝手な定義を押し付けられても。」
勇者「それに、お前は面白い戦いがしたいんだろう?だったらもう少し待つがいい。」
大魔王「なんで?」
勇者「なぜなら俺には、「戦闘の中でもっと強くなるフラグ」が立っている。」
大魔王「それは結果論であってアテにするのはどうかと思うけど。」
勇者「チッ…仕方ない。オイ土男流、いくらか包んでやれ。」
土男流「これ少ないけどお小遣いなんだー!」
大魔王「ねぇ、もしかしてバカにしてる?」
もしかしまくってる。

 

4-334:兵器〔14歳:LEVEL40〕
そんなこんなで大魔王を説得し続けた俺。そしてなんかうまくいきそうな空気に。
勇者「というわけで、上で待っているがいい。後で菓子折り持って行くから。うん。」
大魔王「ん〜…まぁいいや、口車に乗ってあげるよ。その方が面白そうだしね。」
勇者「ついでといっちゃなんだが、もう1人減らしてくれよ。メンバーが足りん。」
無職「ど、どこまで厚かましいです!?怖いもの知らずにも程があるです!」
大魔王「あ〜大丈夫。ここには今、僕を除けば強いのは4人しかいないからね。」
絞死「え?こちらには6人と指定しておきながら…なぜです?」
大魔王「少しお使いにね。キミら知ってる?古代人が残した「三大秘密兵器」を。」
勇者「ッ!!」
大魔王「対古代神用に作られた「爆々弾々」、天の城に使われた「天空波動砲」…」
勇者「…そして、あらゆる生物を死に至らしめる細菌兵器…「倍々菌」か。」
大魔王「お?へぇ〜、知ってるんじゃん。意外と博識だねぇ。」
勇者「フッ、いつか我が手に…と思ってな。」
土男流「うぉー!そんな物騒なモノを手に入れてどうする気なのか気になるぜー!」
大魔王「僕の方はわかるよね?キミ達を倒したらもうこの星に…用は無いからさ。」

〜その頃〜
帝雅「ここが例の場所か。随分かかったが、それだけの価値がある兵器と…むっ?」
ザッ(物音)
帝雅「フッ、なるほど。どうやら敵にも少しは…キレる者がいるらしい。」

忍美「う、うわーー!!」
勇者は人選をミスった。

 

4-335:逃亡〔14歳:LEVEL40〕
その頃―――。
下端「いや〜、まさか偶然船長と再会できるとは驚きッス!どうしたんスか?」
ライ「でも確か、無職ちん達は大魔王と戦ってるはずニャ。行かニャいのかニャ?」
賢二「え…あ、うん。もういいんだよ…もう…。」
太郎「ふ〜ん…ま、いいけどね。で?これからどうしようか?超ヒマなんだよね〜。」
召々「じゃあもう宇宙帰っちゃおうよ♪」
下端「いや、でも船長の故郷はこの地球ッスから…ねぇ?」
賢二「…いや、行こうよ。もうこの星に、僕の居場所は無さそ…」
ドゴォオオオオオオン!!(揺)
突如、船体を激しい揺れが襲った。
賢二達は甲板に出てみた。
機械「…見ツケたゾ、勇者の一味ヨ。」
ライ「う、ウニャー!明らかに敵っぽい雰囲気の奴がいるのニャ!危険ニャー!」
賢二「お、お父さん…!」
太郎「え、そうなの?な〜んだ、じゃあ」
機械「殺ス…!!」
太郎「逃げようか!」
だが逃げ場が無かった。

 

4-336:分岐〔14歳:LEVEL40〕
なんとか大魔王を追い返した俺達は、気を取り直して城へと乗り込んだ。
勇者「と思ったら、早速3つに分かれてやがる。斬新な建築様式だなぁオイ。」
絞死「敵の数は4人…どう役割分担するかは重要なポイントですねぇ。」
土男流「3組になるなら私は師匠と一緒がいいんだー!もう離れたくないんだー!」
無職「わ、ワチも…できれば一人はイヤなんですが…。」
絞死「私は一人でいいですよ。むしろ他人とか邪魔ですし。」
勇者「じゃあ俺は絞死と行く。」
絞死「ちょっ…いや、一番求めてないと精一杯伝えたはずですが?」
勇者「俺はお前と行きたい。それだけだ。」
絞死「え…なぜ…?」

嫌がってるから。
迷惑な動機だった。

 

4-337:対峙〔14歳:LEVEL40〕
嫌がる絞死を華麗に無視し、分かれ道の先へと歩を進めた。さぁ誰が出るだろう?
〜3階:暗黒の間〜
勇者「って、結局お前かよ。部屋の名前でバレバレじゃないか。もっと凝れよオイ。」
暗黒神「フッ、また会えて嬉しいぞ小僧。主君を奪われた恨み…忘れてはいない。」
絞死「私もアナタにはお会いしたかったですよ、暗黒神。」
暗黒神「うぉっ!?ちっさい死神!?」

〜3階:未来の間〜
夜玄「そうですか、ついに来てしまいましたか…この日が。」
無職「来ちゃったです…。」


〜3階:女帝の間〜
鰤子「あら〜?」
土男流「うわぁーーー!?」

土男流が一番キッツい。

 

4-338:拾物〔14歳:LEVEL40〕
俺達の相手は暗黒神(featuring 黒猫)のようだ。一番面倒そうな奴だぜやれやれ。
勇者「だがまぁ…手の内がわかっている分、やりやすいとも言える…か。」
絞死「勇者さん、すみませんが彼は私に相手をさせてください。1対1なら…」
暗黒神「フォフォフォ、ナメてもらっては困る。こう見えて私は」
勇者「かの「死体マスター」に昇格した身だ。あらゆる死体を操ることができる。」
暗黒神「憑依していない者はオート操縦にはなるが、私には忠誠を誓うのだ。」
勇者「つまり、全ての死体はこちら側のもの!ゆえに我が力は無限に近いっ!!」
暗黒神「って、他人の見せ場の半分をごく自然にかっさらうのはヤメるがいい!」
絞死「そしてそちら側が異様に似合うのもヤメてください、ややこしい。」
勇者「フン。死体になるような雑魚なんぞ、何人集めようが俺は全然困らんぞ。」
暗黒神「…フッ。実は私が動けぬ間に、部下が面白い死体を拾っていてなぁ。」

邪神「久しいのぉ、小僧よ。」
さすがの勇者も困った。

 

4-339:余裕〔14歳:LEVEL40〕
死体使いを煽ってみたら、魔王が仕留めたはずの邪神がコンニチハ。なんてこった。
コイツは魔神に次ぐ猛者だったと聞く。しかも痛みを感じぬ死体の身…クソ参った。
暗黒神「さぁどうする若き「勇者」よ?形勢は一気に逆転したと思うが?」
勇者「甘いな逆だ!この流れは…「最終的に正気を取り戻して味方に」の流れ!」
邪神「貴様には、いつぞやの借りを返さねばと思っておった。」
勇者「フッ、そういや元々が敵だった。」
絞死「なぜそんなに余裕たっぷりでいられるのか不思議でなりません…。」
勇者「というわけで絞死、お前の望み通りそいつはお前に任せてやろう。」
絞死「それはありがたいですが…アナタは勝てるのですか?」
勇者「問題ない。万一死体になったら貴様の敵となって立ちはだかってくれよう。」
絞死「どうせ死ぬならチリも残さず消えてください。」
勇者「さぁ来い邪神!俺がお前を無事に、地獄へと送り返してやる!着払いでな!」
受け取り人は誰だ。

 

4-340:隔離〔14歳:LEVEL40〕
その頃、土男流と鰤子は…まだ闘っていなかった。
〜3階:女帝の間〜
土男流「というわけで、私はアンタを倒さなきゃならないんだ!わかってくれたか?」
鰤子「キャッ☆こっわ〜い!鰤子ちゃん震えが止まらにゃいよぉ〜!」
土男流「う、うぉー!思わずブン殴りたくなる人に会ったのは初めてだぜー!」
鰤子「んもぉ〜。私は敵じゃないって言ってるニャン?」
土男流「そりゃ確かに闘わなくて済むのは助かるけど、予想と違って戸惑っ…」
鰤子「そこは頑張って受け入れてよぉ〜♪」
土男流「ゴメンだけど全然受け入れられない箇所(顔)の主張が凄まじいんだー!」
鰤子「の〜んびりお話しよ?ずぅ〜〜っと一人で、暇だったんだぁ〜。」
土男流「でもさっき結構な数の兵隊さんを撒いてきたぜ?味方じゃなかったのか?」
鰤子「みんな照れ屋さんで☆」
鰤子は前しか見てない。

 

4-341:未来〔14歳:LEVEL40〕
一方その頃、夜玄の部屋ではまた違った状況になっていた。
〜3階:未来の間〜
夜玄「ふぅ…来ると思っていましたよ。あまりに予想通りでつまらない。」
戦士A「覚悟するがいい大魔王軍よ!我らが戻った今、貴様らの悪事もここまで!」
戦士B「辺境の星々にて鍛え上げたこの力、とくと味わうがいい!」
戦士C「我ら「帝都突撃隊」…「帝都守護隊」と対を成す、超攻撃型部隊の前には…」
隊長1「貴様なんぞ、敵ではない!」
無職には出番がない。

 

4-342:孤独〔14歳:LEVEL40〕
そしてまた更にその頃、賢二は―――
〜蒼茫号:甲板〜
機械「チッ、まタ外しタカ…!」
賢二「ど、どどどどうしよう!?ねぇどうしよう太郎さん!?」
太郎「え、それ僕に聞いちゃう?」
機械「オのれチョコマカと…!逃げルナかかッテ来い小僧!」
賢二「だ、だってアナタはお父さ…召々さん、どうにかなりません!?」
召々「ん〜、何か呼んじゃう?炎ドバーッと吐いちゃう子とか爆発する子とか…」
賢二「やっぱり大人しくしててくださいごめんなさい!」
下端「だったら自分が戦斧を振るうッス!」
ライ「いやいやアタチがツメを!」
太郎「じゃあ僕が腕を振るおうか?」
召々「パスタがいいな☆」
4人「イェーーイ!!」
賢二「えぇーー!?」
賢二は取り残された。

 

4-343:過去〔14歳:LEVEL40〕
というわけで、頑張れ賢二。
機械「サァ、諦めテかかッテ来るガイイ小僧。」
賢二「い、イヤだよ闘いたくないよお父さん!思い出してよ、僕だよ賢二だよ!」
機械「フン、騙サレんヨ。ソレが最近、ちまたデ流行ってイルとイウ詐欺だろウ?」
賢二「いや違うってば!それは面と向かってやれちゃう詐欺じゃないよ!?」
機械「ソレに…我ガ子賢二は、まだ3歳ダ。」
賢二「もう十年前の話だから!なんで最新機器っぽい割に情報は古いの!?」
機械「あの子モ…俺ヲ捨てて…消エテしまっタ…。」
賢二「違っ…違うよ!むしろ消されそうになってたのは僕で…」
機械「賢一モ…!」
賢二「それは自業自得だけども!」
機械「モハヤ、過去は必要ナイ。過去は俺ヲ苦しメルだけ…もう切り捨てタ。」
賢二「…そっか。もう、戻れないんだね…。」
機械「ソウ…幸せダッタあの日はモウ戻らナイ。だカラ俺は、先へと進ム。」
賢二「だったら、僕が止める!せめてこれ以上…悪の道へと進まないように!」
賢二は防御の陣を描いた。

 

4-344:省略〔14歳:LEVEL40〕
例の如く防御魔法の準備は万全な賢二。
だが何度このパターンを繰り返せば気が済むのか。
機械「やれヤレ…貴様、そレデモ「勇者」ノ仲間か?いきなり防御とハ情けナイ!」
賢二「ゆ、勇者君なんて関係ない!それに、僕は…」
太郎「た、大変だよ賢者君!」
賢二「えっ!?どうしたんですか太郎さん!?」
太郎「パスタが…4人分しか無い!」
賢二「僕の分はいいんで邪魔だけはしないでください!」
太郎「いや、僕が二人前…」
賢二「せめて気遣いくらい欲しかったです…。」
機械「さぁイクゾ小僧!変形突進…「ロリータ・コンコルド・アタック」! 略しテ」
賢二「や、ヤメてー!」
確かに親からは聞きたくない。

 

4-345:損役〔14歳:LEVEL40〕
各所で色々ありすぎて紹介が面倒だが、とりあえず皆まだ元気そうだ。
〜タケブ大陸:ショムジ遺跡〜
帝雅「フン、口ほどにも…いや、口ほどの小娘め。」
忍美「う…うぅっ…死……の…誰…か…カハッ!(吐血)」
若干1名例外がいた。
帝雅「深き森だ、助けは来ない。無意味な希望は捨てひっそりと果てるがよい。」
声「…フン。残念だけどそのセリフは、「誰か出て来るぞフラグ」を立てたさ。」
帝雅「な…に…? バカなっ、援軍だと…!?」
声「まったく損な役回りさ。出遅れたとはいえ、こんな地味な出番とか最悪さ。」
忍美「そ、その声は…あ…あっ…」

暗殺美「あさみん言うなやっ!!」
暗殺美は言われる前にキレた。

 

第二十三章