第四章

 

4-61:出生〔14歳:LEVEL40〕
なんと、盗子を自分の子だと言った帝雅とかいう男。気が狂ってるとしか思えん。
だがかつて、芋子から盗子の母は未婚だと聞いた気がする。一体どういうことだ?
てっきり俺は、奴は土とか垢とかから作られたとばかり…。まさか人間だったとは。
…いや、そう決め付けるのは時期尚早かもしれん。アイツのことだ、きっと何かある。
そういえば、一説に赤子は「コウノトリ」とかいう鳥が運んでくると聞いたことがある。
となるとアイツも…む?だが「コウノ」って何だ?どういう意味だ?コウノ…コウノ…
どうのこうの…銅の?鋼の?じゃあ銀や金もありそうな気もする。これは大発見だ!

などと考えている間に、逃げられた。
イノチトリになりかねない。

 

4-62:落着〔14歳:LEVEL40〕
盗子の親だとかほざいた謎の男は、ホントにそのまま何もせずに消えてしまった。
勇者「チッ、野郎いつの間に…!?この俺の目を盗んで逃げるとは…!」
無職「逃げたというか、ふっつ〜に出てったですよ?そして素直に見送ったワチ…。」
勇者「お前ら何してんだよ!!無職はともかくお前ら二人がまともにやりゃあ…」
総大将「あ〜悪ぃな、ちょいと腹が…」
勇者「甘えるな!どんなに深手だろうと気合いで耐えろ!」
総大将「減ってなぁ。」
勇者「余裕じゃねーかよ!ならなおのこと頑張れよ!」
無職「大将さんは気分屋さんなのですよ…。」
勇者「みすみす逃がしやがって…!今の俺じゃまだ倒しに行けねーんだぞ!?」
父「ところがどっこい、結構イケるんだ。」
勇者「誰も虫の話はしてねーよ!つーかまだ…っつーか、マジで食ってたのかよ!」
父「まぁ落ち着け勇者。」
勇者「落ち着いていられるか!急がねば盗子が…盗子が?あぁ、どうでもいいや。」
勇者は落ち着きを取り戻した。

 

4-63:疑問〔14歳:LEVEL40〕
帝雅には逃げられたが、よく考えたら当面問題はなさそうだ。放っておくことにする。
だが、とりあえず盗子の出生については気になったので聞いてみることにした。
勇者「というわけで教えるがいいクソ親父。盗子はどうやって生まれてきたんだ?」
父「む?それはお前、帝雅のピーーー!が皇子のバキューン!を…」
勇者「ちょっと待て!どこの世界にそんなド直球な性教育をする親がいるんだ!?」
無職「ハレンチですっ!よくわからないですけど強烈なハレンチ臭を感じたです!」
父「…二人は知らぬ間に出会っていた。そこに愛があったかは…私にもわからん。」
総大将「さ〜て、んじゃ俺ぁ行くわ。半年しかねぇしな、やれるこたぁやらにゃあ。」
勇者「やれること…?何をする気だ貴様?」
総大将「バカ弟子に奥義を、な。「武神流格闘術」は俺の代じゃ終わらせねぇ。」
勇者「武神流…そうか戦仕か。だが奴はどっかの亜空間にいると聞いたが?」
父「大魔王が太陽神らを呼び戻す際、各所に歪みができたはずだ。希望はあるぞ。」
勇者「そうか戦仕も…。また一つ手駒が増えそうだ、なんとかなるかもしれんな。」
無職「わ、ワチも頑張るですよ!力不足かもですけど、やれることはやるです!」
勇者「ふむ、まったく期待できん。」
無職「そこは嘘でも励ましを…!」
総大将「あぁ安心しろ無職、“あの男”と連絡ついた。お前の仕上げは奴に任せる。」
無職「えぇっ、あの!?ひぃいいいいい!」

よくわからんが、楽しそうでなによりだ。
勇者は和んでいる。

 

4-64:合流〔14歳:LEVEL40〕
その後、俺と親父は宇宙船に乗って旅立った。もちろん失われた力を得るためだ。
拳造は徒歩で戦仕を探し、無職は誰かの到着を待つらしい。まぁ勝手にさせよう。
勇者「さて、と…。なんとか飛び立ったはいいが、運転はできるんだろうな親父?」
父「フッ、忘れたのか勇者?父さんこれでも運転技術はバッチリだぞ。」
勇者「そーいや、いい思い出が特に無いぞ!ヤバいじゃないかオイ!」
声1「フッフッフー!そーゆーことニャら任せるがいいのニャ!」
声2「そうッス!経験にものを言わせて頑張る感じッスよ!」
声3「そんな僕ら、3人揃って…!」
勇者「察しはついたから出て来なくていいぞ。」
ライ「そんニャ馬鹿ニャ!」
ライが現れた。
下端が現れた。
太郎が現れた。
召々が現れた。
勇者「テメェら…あの状況でずっと隠れてやがったのか。なんて奴らだカスどもめ。」
太郎「まぁそこは「個性」と思って割り切ってもらえると。」
勇者「やれやれ使えん3匹か…む?だがよく見ると新しいのがいるな、誰だ貴様?」
太郎「あ〜、なんか賢者君の知り合いみたいでね。途中で拾ったんだよ。」
召々「アハ☆ 拾われちゃったのニャンコちゃん?捨てニャンコ?」
ライ「アンタのことニャ!」
太郎「まぁそんなこんなで、仲良くしようよ。」
父「ふむ、よろしく頼む。」
墜落は目前だ。

 

4-65:神業〔14歳:LEVEL40〕
その後、フラフラしつつもなんとか目的地に到着。墜ちなかったのがむしろ意外だ。
〜ギマイ大陸:ケンド村〜
勇者「ふぅ、無事に着いたか…。だがこれからが大事なんだ。お前ら気を抜くなよ?」
太郎「じゃ、僕らはこれで。」
勇者「ちょっと待て!え、お前ら何しに来たんだ!?頑張る気はゼロなのか!?」
下端「大丈夫ッス!自分ら身の程はわきまえてるッスから!」
勇者「賢明な判断すぎてそれはそれでムカつくぞ!」
ライ「フッフッフ…星より他人より自分の安全を護る、それがアタチら「自衛団」!」
勇者「じゃあ家に居ろよ!シェルターでも作って引きこもってろよひっそりと!」
召々「てゆーか他人に頼ろうとか考え甘いよね♪人生ナメすぎじゃない?」
勇者「帰る準備万端の奴に言われたかねーよ!マジお前らブッた斬るぞ!?」
父「まぁまぁ、いいじゃないか勇者。どうせ試練はお前一人で受けねばならんのだ。」
勇者「そういう問題じゃない!気分の問題だ!」
太郎「じゃあなに?応援してればいいの?言っとくけどこの子疫病神の一種だよ?」
ライ「し、失礼ニャ!むしろ幸運を呼び込む存在と自称してるニャ!」
勇者「自称を誇るな!あーもういい失せろ!いいか、5秒以内にもういないっ!」
勇者は神業を見た。

 

4-66:突入〔14歳:LEVEL40〕
どんな強敵の動きをも見切る俺の目を盗み、太郎らは消えた。実は強いんじゃ…?
だがまぁどうせ邪魔者だ、居ない方がいいのかもしれん。集中力は何よりも大事だ。
〜ケンド村:東のほこら〜
勇者「宝玉はここか…。確かに異様な空気が漂ってやがる。何かニオうぜ。」
父「うむ、すまん。」
勇者「そういう意味じゃねーよ!いや、そういう意味でも確かにクサいが!」
父「落ち着け勇者、決して怒るな。邪悪な魂と闘うには冷静さが必要不可欠だプ〜」
勇者「ブッ殺す!!」
父「ここから先はお前一人で行きなさい。父さんは母さんの墓でラブラブしてくる。」
勇者「ケッ…まぁいい、勝手に消えろ。俺一人の方がうまくいく気がするしな。」
父「勇者よ。」
勇者「む?なんだ?」
父「ふむ…すまん、特に浮かばなんだ。」
勇者「帰ってきたら殺す!!」
勇者はほこらの中に入った。
父「ふぅ…さて、そろそろ出てきたらどうだ?私は覗かれると興奮するタイプだぞ。」
男「…フン、さすがだなぁ。「十字架」の一人である、俺の気配に気づくとはよぉ。」
父「十字架…大魔王軍の幹部か。ちょうどいい、今のうちに少し減らしておくか。」

男「さすがは元「勇者」…終ネェを倒しただけあるぜ。この「央遠」の敵に相応しい。」
成長した悪ガキが現れた。

 

4-67:先客〔14歳:LEVEL40〕
一人ほこらの奥を目指すこと半刻。なんだか迷路みたいで進んでるのかも不明だ。
勇者「ふぅ…やれやれ、一人だと間がもたんな。誰かいな…おっ?いた!」
男「なっ!?だ、誰だお前!?お、おかしいな、人はいないはず…!」
勇者「フッ、俺か?俺は勇者、今から邪悪な儀式に挑む正義の男。お前こそ誰だ?」
男「き、聞いてビビるな?ビビるなよ?俺は、「強盗」だ!」
勇者「いや、ここ無人だし「泥棒」だろ。」
男「ヘッ、かわいそうな小僧だぜぃ。この「豪人(ごうと)」様と遭遇しちまぐへっ!
勇者「俺はかわいそうだとか一切思わずにまず殴るタイプだ。見習うがいい。」
豪人「イタタタ…。だ、だからイヤなんだよ…人のいる所ってさ…。」
勇者「急に弱気になるなよ面倒な奴め。つーか強盗は人をビビらす側だろ本来。」
豪人「お、俺はニュータイプの強盗なんだよぅ!人襲うとかナンセンス!」
勇者「む?だがそういや、お前の名は手配書で見たぞ。確か罪状は「強盗殺人」…」
豪人「違っ!アレはたまたま、家主が転んだ拍子に鈍器的なモノでガンッと!」
勇者「普通にやっちゃってるじゃないか。どう考えてもお前の功績じゃないか。」
豪人「もうあんなヤマはゴメン!だから今回はヒッソリと盗みにきたのさ、お宝を!」
勇者「お宝…もしやそれはこの奥に眠ると言われる宝玉のことか?」
豪人「なっ…じゃあ同業者!?なんだよそれなら早く言ってよぉ〜、仲良くしよう!」
勇者「いや、泥棒の同業者は敵でしかないと思うが。」
豪人「まぁそう言わず…ね?なんかこの先罠がてんこもりでさ、困ってるんだよ〜。」
勇者「ほぉ、罠…か。よしいいだろう、仲良くしようか。」
勇者は悪い笑顔を浮かべた。

 

4-68:利用〔14歳:LEVEL40〕
ほこらの中で出会ったのは豪人とかいう雑魚野郎。とても手配首には見えん。
だがしかし、罠を見抜く目はそれなりにあるようだ。まったく目ざとい盗っ人め。
まぁ最終的には罠のオトリにしてくれよう。俺の野望のために華々しく散ればいい。
勇者「さぁ豪人、次の罠はどこだ?」
返事が無い。ただの屍のようだ。

 

4-69:想像〔14歳:LEVEL40〕
散々コキ使ってやるつもりが、知らぬ間に事切れていた豪人。なんてこったい。
どうやら「最終的には」どころか最初から罠のオトリにしてたのがマズかったらしい。
勇者「ふぅ〜、まぁいっか。なんとなく邪悪な気配が濃くなってきた、もうじきだろう。」
女「へぇー、勘はいいみたいだね。やっぱ凱空君の子は違うねー。」
勇者「あん?なんだテメェ…は…」
謎の女が現れた。
なんと!勇者は一瞬目を奪われた。
勇者「…ハッ!! ば、バカな!なぜこの俺がこんな年増に…!?」
女「はじめましてだね勇者君。娘が…あ、姫が迷惑かけまくっちゃっててゴメンね。」
勇者「お、お義母様ですか!なんだよだったら合点がいくぜビビッたぜチクショウ!」
妃后「話は凱空君から聞いてるよ。例の力が…必要になったみたいだね。」
勇者「ふむ、そうなんだ、です。まぁ俺の力をもってすれば余裕だろうがな、です!」
妃后「アハハ☆頼もしいねー。でもナメた口きいてたらブチ殺すよ?」
勇者「え゛?」
妃后「気を引き締めてね。もし飲み込まれちゃったら、私が全力で締め上げるよ♪」

え…?
キャラが想像と違った。

 

4-70:困難〔14歳:LEVEL40〕
突然現れた姫ちゃんの…いや、俺の未来の義母は、とても衝撃的な性格だった。
過去にマオの負担が無かったのなら、姫ちゃんもこうなっていたのかもしれない。
もしそうだったら…うん、アリだな。適度な刺激は人生にとって最高のスパイスだ。
勇者「ところでお義母様は、ずっと待ってたのか、ですか?こんな暗闇の中で。」
妃后「あ〜、だいぶ封印が弱まってきてたからね。ちょくちょく見に来てたの。」
勇者「ちょうど頃合いだったってわけか…。フッ、まるで俺を待っていたかのようだ。」
妃后「調子こいてると引っ叩くけど大丈夫だよね?」
勇者「さて…そろそろ試練に入ろうか、です。残された時間は、半年しかないんだ。」
妃后「あ、最後にもう一度だけ確認するね。負けたとわかり次第殺すけど、良い?」
勇者「ああ、問題無い。じゃあこちらからも条件…ひ、姫ちゃんを、俺にくださいっ!」
妃后「まっぴらゴメンだけど。」
勇者「フッ…しょ、障害が大きい時ほど燃えるのが男!俺は負けないぜっ!」
妃后「そう言うと思って、もう持ってきてあるよ。後は私の言う通りにしてねー。」
妃后は拳大の宝玉を差し出した。
勇者は「魔封じの宝玉」を手に入れた。
妃后「飲んで。」
勇者「えぇっ!?」
のっけから難題だった。

 

4-71:頑張〔14歳:LEVEL40〕
拳ほどある宝玉を、一口で丸呑みにしろというお義母様。これも試練のうちなのか。
逆らいたいが、なぜだかとても逆らいづらい。この俺ともあろう者が気圧されている。
勇者「ふむ…ところでお義母様」
妃后「イッキで。」
勇者「…ちなみに、アゴをハメる魔法とかご存知だろうか?」
妃后「あ〜、大丈夫だよ。子供産む時だってそんな感じだよ?」
勇者「いや、骨まで外す出産とか聞いたことな」
妃后「私がネジ込むと私の拳の分も増えるけど、どうしたい?」
勇者「是非とも一人前でお願いしたい。」
妃后「思い切りのいい男の子ってカッコいいよね〜♪」
勇者「くっ…やるしかないのか…! 仕方ない、うぉおおあぁああああ…あ゛っ!?
勇者は頑張った。
〜その頃〜
央遠「くっ、テメェ…なんで反撃してきやがらねぇ!?ヤル気が無ぇのか!?」
父「フッ…すまんが、あまり頑張れん身でな。」
父は頑張らない。

 

4-72:教育〔14歳:LEVEL40〕
勇者が宝玉と闘っている頃、父はそうでもなかった。
央遠「ケッ!なんだよ腰抜け野郎じゃねぇか!生ける伝説が聞いて呆れる!」
右遠「いや、そうとも言い切れないよ。僕ら3兄妹の攻撃を紙一重で」
父「ぶふっ!
右遠「…全て食らってるのが逆に怖ろしい。」
左遠「なんか…自信無くなっちゃうよね…。」
父「ふぅ…だから言っているだろう?父さん難儀な体なんだ、無理強いは困るぞ。」
央遠「ヘッ!じゃあ食らわせてやろうじゃねぇの。逃げなきゃ死ぬ一撃ってのをよ。」
父「むっ…!?」
左遠「そうだね、見せてあげなきゃね!」
右遠「ああ。僕ら3人の必殺奥義、トライアンギュルッ!?
右遠はフッ飛んでいった。
左遠「う、右遠!?えっ、なに今の速さ…何したの…!?」
父「ふむ…だいぶ戻ったか。最近どうにも副作用がキツくてかなわんのだよ。」
央遠「て、テメェ…!やっとヤル気出しやがったかよ!」
父「覚悟するがいいお前達。私のしつけは…厳しいぞ?」
だが子育ては失敗した。

 

4-73:発作〔14歳:LEVEL40〕
ようやくシリアスモードに戻れそうな感じになってきた父。
だが数分以内にキメないとすぐに副作用モードに突入だ。
父「さぁお仕置きタイムだ。勇者に出来なかった厳しい教育を試してくれよう!」
央遠「ぐっ、なんつー威圧感…!さっきまでのおちゃらけが嘘みてぇだぜ…!」
父「父さん女子に手を上げるのは嫌いだが、軽いセクハラはスキンシップの一環!」
左遠「え゛、なにその都合のいい理屈!?よ、寄らないでよ変態親父!」
父「おぉ!早速「父」と呼んでくれるとは父さん感激!勇者ぁー!姉ができたぞー!」
左遠「ちょっ、どうしよう央遠この人怖い…!」
父「どうしたマイ・ラブリー名も知らぬ愛娘!?大丈夫、父さんが護ってやるニャン!」
父は早くもまた壊れた。
父「…ぐっ、バカな…もう発作だと…!?まだ時間は…残さっひょーい!イェーイ☆」
央遠「あぁ!?な、なんだよ急にブッ壊れた…!?それとも何かの作戦かぁ!?」
声「よぉ、久しぶりだな凱空さん。“それ”をそこまで抑えるたぁ、やっぱ強ぇなオイ。」
父「なっ!き、貴様は…と見せかけて誰だ!?誰だ!?誰だぁ〜〜!?空のかなt」
左遠「アナタは央遠と同じ「十字架」の…!確か名前は…」

解樹「この「呪術師:解樹」の、とっておきの「呪い」だったんだがなぁ。」
父の病気は呪いだった。

 

4-74:痛恨〔14歳:LEVEL40〕
ひょっこり現れた解樹もまた、父と因縁のある関係らしい。
よくよく考えると、争いの中心にいるのはいつもコイツだ。
央遠「テメェ…何しに来やがった?誰が助けてくれとか言ったよ?あ゛ぁ?」
解樹「あ〜、邪魔したなら悪い。ちょいとこっちの都合を優先させてもらったわ。」
左遠「そちらの都合…というと?」
解樹「前に頼み断られてね。いい研究材料…「究極の呪い」を持ってたのにさぁ。」
父「フハハハハ!ナメるな若造、貴様ごときに「断末魔」は扱えニャンだほー!」
解樹「だから呪いをくれてやったんだが、くたばるどころか…なんか楽しそうでさ…。」
左遠「ムカつく気持ちはなんとなくわかります。」
解樹「つーかその「シリアス限界」、本来すぐに自我が崩壊する呪いなんだがなぁ。」
父「フッ、父さんには人一倍の精神力…一倍?父さんには人並みの精神力がっ!」
左遠「意外と冷静なのかただのアホなのか…わからない…!」
右遠「ゲホッゴホッ!ふぅ…油断したよ、防御が一瞬遅かったらどうなってたか。」
央遠「オゥ、大丈夫か右遠?じゃあ3人揃ったことだし、例のヤツいっちまうかぁ?」
父「ハッハッハ!甘いぞ皆の衆!父さんは逆境になるほどいつも通り何もしない。」
解樹「甘いのはアンタだよ。俺にとっちゃ呪いを増幅…って何もしねぇのかよ!」
父「ぬぐっ!?ぬぉおおおお…!!」
右遠「じゃあいくよ!改めて必殺の奥義…「トライアングル・バインド」!!」
父「ぐぉわああああああっほーーい!!
痛恨の一撃!
なんと!父は捕まってしまった。

 

4-75:幽体〔14歳:LEVEL40〕
その頃、勇者は―――。
勇者「ぐぉおおおおお…!ぬ゛っ、ぐはぁあああああっ…!!
妃后「予想以上に…苦戦しそうだね。というか死んじゃう?」
勇者「ぐっ…ハァ、ハァ、な、ナメるな…俺が…こんなことで、死ぬわけが…ない!」
妃后「多分半年はかかるね。」
勇者「姫ちゃんに伝えてくれ…「墓参りには毎年来てくれ」と…!」
妃后「ちょっと体の負担が大きいねー。しょうがないね、じゃあこの手でいくよ。」
妃后は勇者の体に手を突っ込んだ。
なんと!中から半透明の勇者を抜き出した。

勇者〔透明〕「ぬおっ!な、なんだこりゃ!?幽体離脱的な…?」
妃后「邪悪な魂を少し追い出してみたんだけど、ちょっとは負担軽くなったかな?」
勇者〔透明〕「フッ、何をバカな。この俺に邪悪な部分があったとでも?」
妃后「まるごとゴッソリ抜けそうでビックリしたよ。途中で止めたけど。」
勇者〔本体〕「うぐぅ…ぐむむむ…ふぅ…。」
妃后「だいぶ落ち着いたみたいだね。キミはしばらくお散歩でもしてくれば?」
勇者「う、嘘だ…!こんなの…こんなの何かの間違いだ…!」
妃后「広く世界を回って、見定めておいでよ。一緒に世界を救う…仲間達のことを。」

勇者の旅が始まる。

 

外伝(壱)