第十九章

 

3-286:問題〔13歳:LEVEL33〕
勇者が夢の世界へコンニチハになってる間に、状況は変わっていた。
魔王「ハァ、ハァ、どうだ!? なんだやれるじゃないか、戻ってきた甲斐あったぜ。」
校長「ふむぅ、やはり邪神を倒したほどの力…この老いぼれの手にはおえぬか。」
血子「ど、どーしちゃったのセンセ!?さっきまでの殺人的なパワーはどこに!?」
解樹「いや、そりゃ無理だ嬢ちゃん。あの「教鞭」ってのもまた呪いの武器でなぁ。」
〔教鞭〕
超ド級の攻撃力を誇るが、それだけに大きな制約のある呪いの武器。
1日3回以上振るうと体罰問題に発展する。
血子「さすが教員武器…って2回までなら許されるのはそれはそれでどうなの!?」
解樹「ま、具体的にどうなるのかまでは知らんが、死に相当するペナルティだろな。」
血子「要塞片手で止めた時とさっき魔王を…じゃあ今日はもう…!」
解樹「しかも殺せん事情があるならどのみち本気じゃ打てねぇしなぁ…手詰まりか。」
血子「そんなぁ…!」

魔王「ぶべらっ!!
だが素手でも強かった。

 

3-287:老兵〔13歳:LEVEL33〕
素手でも普通に強いとはいえ、最強の武器を封じられた校長。
戦況は次第によろしくない方向に傾いていった。
魔王「ふぅ…どうだ、だいぶ参ってきたんじゃないか?そろそろトドメ刺してやるよ。」
校長「…フン、だが武器無くして…むっ、それは嗟嘆の奥義、「暗黒魔血剣」…!?」
魔王「あ?あぁコレか。流れる血がウザいと思ったらこうなった。そうか親父の…。」
校長「恐ろしきはその血か才か…ともあれ、どうやら私はここまでのようだ。」
魔王「ほぉ、潔いじゃないか。さすがは長寿、死に際はわきまえていると見える。」
校長「フッ…いや、老兵は消え去るのみよ。後は…若き世代に託すとしよう。」
魔王「なに…? チッ、勇者か…!」
勇者「おはようだ魔王。 いい夢見れたぜ、次は貴様が覚めない夢を見るがいい。」
勇者が復活した。
血子「だ、ダーリン!?ホントにダーリンなの!?中の人とかじゃなくて!?」
勇者「うっさい黙れ。」
血子「ダーリンだぁ〜☆」
何がどう違うのか。

 

3-288:邪魔〔13歳:LEVEL33〕
目が覚めると、なんとあの校長がピンチっぽい状況になっていた。なんてこった。
まぁいい、魔剣の呪いも解けた今この俺に敵は無い。魔王なんぞブッた斬る!
血子「で、ダーリン、結局呪いは解けたの?体の自由はもうバッチリになった?」
勇者「左手はな。目はまだだが…じきに戻るだろ。まぁもう慣れたし問題は無いが。」
血子「じゃあオッケーだね♪片目でもいいよ、むしろアウトローっぽくて素敵だし☆」
勇者「「隻眼の勇者」か…確かに悪くないな。よし、帰ったら特製の眼帯を発注だ!」
血子「あっ、そーゆーと思ってホラ、眼帯☆ 血子の髪を編んで作ってみたんだぁ♪」
勇者「おぉ!そりゃキモい!」
血子「なにその喜んでる風な罵倒!?」
魔王「おいコラ貴様ら、この俺を無視してのんびりしくさりやがって…!ブッ殺すぞ!」
勇者「フッ、焦るな魔王。急いだところで結末は変わらんよ…貴様の死はなぁ!!」
ガキィイイン!!(衝突)
長くなるので割愛します。
〜1時間後〜
勇者「ゼェ、ゼェ…ぐっ、やるじゃないか。生まれ変わった俺と対等に渡り合うとは。」
魔王「ぐふっ…き、貴様もな。さっきまでの体たらくが嘘のようだぞ。見違えたぜ。」
勇者「ときに魔王よ、どうだぼちぼち決着ってのは?ぶっちゃけ、いい加減飽きた。」
魔王「フッ、気が合うな。では「勝負は次の一撃で」的な王道パターンで…いくぞ!」
緊張の一瞬!
声「だ〜れも知らない知られちゃいけ〜ない〜♪」
魔王「ってオイッ!! だ、誰だこのいい感じに緊張感張り詰めてる時に…!」
勇者「むっ、なんだこの声は…?随分昔にどこかで聞いたような…。」

声「ベビルさん〜がだ〜れ〜なの〜か〜♪」
勇者「ベビルか!!」
ベビル「なぜわかった!?」
なぜか変なのが来た。

 

3-289:悪寒〔13歳:LEVEL33〕
なぜここで?ってタイミングで現れた懐かしの「ベビル」。なぜ今コイツが…?
折角いい感じでクライマックスな雰囲気だったのに台無しだ。早々にブッた斬ろう。
勇者「生きていたとはなベビル。てか貴様ごとき雑魚がこんな山に何の用だ?」
ベビル「い、言わないぞ!?「怪盗」らしく宝を盗みに来ただなんて言わないぞ!?」
血子「言ってる言ってる!もう罠かってくらい言っちゃってるけど大丈夫!?」
魔王「オイ勇者、なんだこの妙なのは?いいとこで邪魔しやがって。ブッた斬…」
ベビル「ニヤリ。」
魔王「ッ!!? (な、なんだ、さっきも感じたこの妙な寒気は…!?)」
勇者「ほぉ、宝とは面白い。こんな山奥に何がある?「伝説の山菜」的な何かか?」
血子「山菜て!いくらなんでもそんなの無いよ〜。所詮はただの草でしょ山菜て?」
勇者「お前は結構高値で売れたぞ。」
ベビル「フッフッフ、宝…それは最強の力…最悪の魂…「魔神:マオ」。」
校長「むっ!! いかん…!」
ベビルの両手が勇者と魔王の胸にメリ込んだ。
勇&魔「なっ…!?」
ベビル「大丈夫、私の力は盗むだけ。傷は一切残りませんのでご安心を…魔王様。」
勇者「チッ、動けん!体に力が入らん…!」
魔王「そ、そうか…!見慣れた「邪眼」の紋章…どうりで悪寒が走るわけだぜ…!」

魔王母「フフフ…お久しぶりです、魔王様。」
ベビルは着ぐるみだった。

 

3-290:母愛〔13歳:LEVEL33〕
ベビルの殻が霞のように消え、現れたのは魔王と同じ髪色をした大人の女だった。
一体誰だ?というか子供大の着ぐるみに入れるとか物理的に不可解な構造だが。
勇者「で?この状況を説明してもらおうか魔王。コイツの目的は一体何だ…?」
魔王「なぜここにいるのか俺にもわからんが…不本意ながらコイツは俺の母親だ。」
勇者「なるほど、「オカン」だけに「悪寒」が走ったと。」
魔王「誰が言うかそんな糞ダジャレ!それこそ寒いわ!」
魔王母「さぁいらっしゃい魔神マオ。そして我が胎内で一つに交わるがいい。」
魔王母は両手を引き抜いた。
勇者と魔王の体から何か黒いモノが盗まれた。
魔王「バ、バカ母が!貴様なんぞが受け入れられるわけがない!砕け散るぞ!?」
魔王母「全てはアナタ様のため。そのためならばこの身など、惜しくはないのです。」
魔王「お、俺のため…だと…?」
魔王母「最強を倒してこそ、真の「魔王」かと。」
魔王「ありがた迷惑だ!!」
歪んだ愛情だった。

 

3-291:異二〔13歳:LEVEL33〕
魔王母の策略にはまり、なんと俺達は体内のマオをまんまと盗まれてしまった。
確かベビルは「怪盗」…雑魚っぽかったのは演技で、かなりの実力者だったようだ。
魔神の復活には俺達の死が不可欠と思っていたが、まさかこんな方法があるとは。
血子「はわわわ!どーしよ世界が大変なことに…そうだ!ダーリンに変化は!?」
勇者「ギャーギャー騒ぐな血子!ブッた斬るぞ!?」
血子「うっわ全然無い!えっ、その性格は魔神とか関係無かったってこと!?」
校長「フゥ…まぁいい。本体の「核」は封じてある、放たれたとて戻ることは叶わん。」
魔王母「ぐふっ…も、問題は、無い。核のありか…おおよその見当はついている。」
校長「な、なぬっ…!?」
魔王母「核の封印は“彼女”により、ほどなくして解かれ…神は復活するであろう。」
勇者「異なる二つが天より舞い降り…か。やれやれ、どうやら予言はマジらしいな。」
魔王母「そしてそれを討つは魔王様…☆ あぁっ、魔王様に、栄光、あれっ…!!」
魔王「お、おふくろぉーーー!!」
魔王母は粉微塵に消し飛んだ。
魔王「おふくろ…大嫌いな奴だったが、今にして思えば…ヤベェやっぱ何も無ぇ!」
勇者「同時期に両親を無くすとは…不憫な奴め。」
魔王「フッ、気にするな父のカタキ。」
勇者には良心が無い。

 

3-292:活性〔13歳:LEVEL33〕
マオに耐え切れず、魔王母は砕け散った。まぁ目的は果たしたんだし本望だろうが。
勇者「オイ校長、何やら不吉なこと言い残して死んでったが…平気なのか?」
校長「今動けばまだ間に合う。先ほどの口ぶり…まだ若干の時は残されていよう。」
声「おっと、そうはいかん。貴様らにはこの山で、死んでもらうのだからなぁ。」
勇者は上を見上げた。
黒い影のようなモノが偉そうに浮いている。
勇者「フン、今の貴様に何ができる?霊体のみでは無害な分際でホザくなマオ。」
マオ「確かに普通の場所なら、な。だがここのように高位な霊場なら…話は違う!」
ゴゴゴゴゴゴゴ…!(揺)
魔王「チッ、なんだこの揺れは…?ま、まさか…!」
マオ「山を刺激し、火山活動を活性化させた。この山はもうじき大噴火するだろう。」
勇者「なっ!?バカなっ、この山がそんなことになったら…!」
マオ「ハッハッハ!そうさ、噴火したが最後…溶岩は一瞬で山を覆い、そして…!」

勇者「世界が滅ぶと。」
マオ「そういえば!!」
みんな大ピンチだ。

 

3-293:会合〔13歳:LEVEL33〕
マオが要らんことをしやがったせいで、人類滅亡の確率がまた上がってしまった。
というか剣でどうにかできそうに無い分、むしろこっちの方がタチ悪いかもしれない。
ゴゴゴゴゴ…!(揺)
勇者「さて…誰か名案は無いか?特技が「噴火抑止」の奴、いたら手を挙げろ。」
魔王「いや、どんな特技だよ。活かせる場面がそうそうねーよ。」
マオ「よ、よし!とりあえず逃げるぞ!」
血子「逃げるったってどこへ!?って、アンタの立場でその態度はマズくない!?」
解樹「なぁ、アンタはどう思う?」
血子「え?アンタって…誰に言ってんの?」
解樹「はぁ?なんだよ冷てぇ奴だな、ここまで一緒に上がって来た仲だろ?」
血子「霊的な!?いや、見えないし!怖いから勝手に霊と話さないでくれる!?」
霊「…ほうほうは、あるよ。そのかぶとを…かこうになげいれて。」
血子「って何かそれっぽいこと言い始めたー!?」
勇者「むっ?その声…そうかそういうことか。いいだろう、貴様の案に乗ってやる。」
血子「へ?ダーリンの知ってる人…なの?」

霊「ちきゅうはおわらない。まーが、まもるから。」
頑張れガキンチョ。

 

3-294:平等〔13歳:LEVEL33〕
霊山だからか、霊として傍にいたっぽい「守護神:マリモ」。錬樹の夢で会った奴だ。
解樹の奴が見えてる見えてる言ってた霊は、どうやらコイツのことだったっぽい。
勇者「てなわけで頼みの綱はこの兜に決まったわけだが…ホントにいけるのか?」
校長「信じる価値はある。それに、もしもの時は血色草…お前にはわかるだろう?」
血子「ッ!!!」
勇者「む?血子がどうかしたのか?」
校長「良き手駒に恵まれる…優れた「勇者」が持つ必然なる力だ、大事になさい。」
勇者「フッ、よくわからんが照れるぜ。」
解樹「ところでよ、火口へは誰が行くんだ?この状況じゃかなり危険だと思うが。」
校長「行ってこい勇者。「勇者」がこの程度の危機を救えんでどうする?」
勇者「えっ!?いや、「この程度」とか言うなよ!普通に世界滅亡の危機だろ!」
魔王「やってこい勇者!世界を救え!」
勇者「いいセリフだが「魔王」が言うな!」
マオ「そういうことなら俺はもう…」
勇者「ってさりげなく逃げるなオイ!せめて魔神らしく堂々と去ってけよ!」
ズゴゴゴゴゴゴ…!(大揺)
勇者「チッ、言い争ってる時間は無い!こうなったら平等に、ジャンケンで…!」
勇者に決まった。

 

3-295:約束〔13歳:LEVEL33〕
ジャンケンで豪快にストレート負けし、結局俺が火口に行くハメになってしまった。
だが魔王が遅出ししたような…いや、いいんだ。「魔王」に世界を救わせてどうする。
〜メルパ山:火口付近〜
勇者「ハァ、ハァ…よし、もうじき火口だ!急ぐぞ血子、しっかり掴まってろよ!?」
血子「うんっ☆ 死ぬまで離さないかんねっ☆」
勇者「いや、それは困る。」
血子「そんな冷静に返されても!怒ってもいいけど無表情はちょっと…!」
勇者「俺は凄まじく長生きするんだよ。そんな先までまとわりつかれてたまるか。」
血子「じゃ…じゃあさダーリン?この戦いが終わったら…デート、しようよ。ダメ…?」
勇者「なにぃ?貴様、この俺に親のスネを貪り食うだけの怠惰な人種になれと!?」
血子「いや、「ニート」じゃなしに!ただちょっと、二人っきりで遊びに…ってさ…。」
勇者「はぁ?そんなんでいいのか? ん〜…ま、今後の働き次第ってとこだな。」
血子「えっ、ホントに!?じゃあ超頑張っちゃうよっ! デートかぁ〜キャハハッ☆」
血子に死亡フラグが。

 

3-296:誓約〔13歳:LEVEL33〕
そしてやっと火口に到着した。さすがは噴火前、もう暑いとかそういう次元じゃない。
〜メルパ山:火口〜
勇者「チッ、クソ暑ぃ…商南からパクッといた「冷却符」が無かったら死んでるな。」
血子「うまくいくかなぁ?その兜だけで、噴火…止まると思う?」
勇者「フン、そりゃコイツ次第さ。さぁ「守護神」と呼ばれた程の力…見せてみろ!」
ピカァアアアアア…!(光)
突如、守護神の兜が光り輝いた。
なんと!マーの姿が浮かび上がった。
血子「うわっ、見えるようになった!別れ際の粋な演出って感じコレ!?」
マー「おわかれだね、ゆうしゃ。おにぃちゃんのつぎに、きらいじゃなかったよ。」
勇者「今まで世話になったな、我が兜よ。トレードマークを失うのは悲しい限りだ。」
マー「がんばって、かってね。 あと、あのこ…しあわせに、したげてよ?」
勇者「む?フッ…言われるまでもない。彼女は我が生涯をかけて、守ってみせる!」

マー「あのとうぞくの…」
勇者は兜を投げ入れた。

 

3-297:決断〔13歳:LEVEL33〕
守護神の兜を投げ入れたら、火山は大人しくなった。あの小娘…やるじゃないか。
そんな働きに免じて、去り際の意味不明な発言は聞かなかったことにしてやろう。
勇者「こうして俺は世界を救ったのだった。めでたしめでたし。 さ、帰るぞ血子。」
血子「いや、これからが本番だかんね!?魔神の件とか忘れちゃってない!?」
勇者「フッ、なぁに問題無い。もろもろの呪いから解放された今の俺にとってはな。」
血子「そ…そうだよねっ!ダーリンがいれば魔神なんて…」

ズゴゴゴゴゴゴゴゴォ…!!(大揺)
突如、轟音と共に火山活動が再開した。
血子「えっ…どどどどーゆーこと!?終わったんじゃなかったの!? じゃないと…」
勇者「復活しやがった!あの役立たずめ…! チッ、もう終わりだってのか…!?」
血子「・・・・・・・・。」
勇者「仕方ない、とりあえず戻るか?いや、戻ってどうなるってわけでもないが…。」
血子「…あ、あのさダーリン、ウチら血色草は「氷の妖精」の一種って、知ってた?」
勇者「む?まぁ出会いが雪山だったしわからんでもないが、今はそれどころじゃ…」
血子「あ、うん…。でね、特に子供の血色草は、その力が強いんだって。だから…」
勇者「ああ、高く売れたぞ。」
血子「売られたっけねそういえば…って、そうじゃなくて!だから、その…!」
勇者「お前…お前まさか、死ぬ気か!?火口に身を落とし、火を鎮めようと…!」
血子「…うん、行くよ。 だから…サヨナラだね、ダーリン。」
次回、シリアスモードでお送りします。

 

3-298:運命〔13歳:LEVEL33〕
守護神の兜は力不足だった。だがなんと、血子がなんとかできそうな感じらしい。
可愛がってきたつもりのペットなので別れは辛いが、事情が事情…他に手は無い。
勇者「まさかお前に託すハメになるとはな…。見送るしかない自分が歯がゆいぞ。」
血子「…血色草にはね、もう一つ特性があんの。種の存続に重要な「求愛」の力。」
勇者「む?求愛…孔雀は求愛時に広げる羽根が綺麗な方がモテるとか違うとか。」
血子「ん〜、近いのかなぁ?ウチらのはね…「抜いた人の運命の人に似ること」。」
勇者「あぁ、抜かれたら結婚するか食うって掟だったか。なら都合いい能力かもな。」
血子「そう、都合いいはずだった。イケると思ったのに…あ〜あ、ツイてないな〜。」
勇者「ん?何がツイてないって?」
血子「だって…もう出会っちゃってたなんてさっ。さすがに本物には勝てないよ〜。」
勇者「お…オイちょっと待て血子。なんとなく察したが、訂正を要求する。訂正しろ!」
血子「あのさダーリン、血子が最初「アタシ」って言った時、言ったこと…覚えてる?」
勇者「だから訂正しろってば!俺は笑えん冗談と“アイツ”が大嫌いなんだぞ!?」
血子「もしさ…もし生まれ変われるとしたら、次は人間の子がいいな。 そしたら…」
血子の足が崖を離れた。
血子「そしたらさっ、今度こそ結婚したいな☆ 絶対また出会って、また恋して…。」
勇者「ちょっ、待て血子…!」
血子「…バイバイ、ダーリン!大好きだったよ…!」
勇者「ち、血子ぉーーーー!!」

ヒュゥウウウウ〜…(風)


勇者「訂正しろぉおおおおおおおおおお!!」
そして火口は一瞬輝き、全ては凍りついた。
吹き上げてきた風はとても冷たく、勇者の目に染みた。

 

3-299:解散〔13歳:LEVEL33〕
血子のおかげで、火山は完全に沈黙した。あれだけ凍ってればもう大丈夫なはず。
そんな働きに免じて、去り際の意味不明な発言は聞かなかったことにしてやろう。
だがアイツに言われた通り、まだ終わりじゃない。むしろここからが正念場なんだ。
勇者「というわけで戻ってきたんだが、他の奴らはどうした?」
解樹「おぉ勇者…って、なんだその赤い眼帯は?それに嬢ちゃんの方はどうした?」
勇者「…いいから質問に答えろ。他の奴らはどうしたと聞いている。」
解樹「あ〜…帰ったよみんな。確かスーパーの特売日だとか。」
勇者「それは俺の持ちネタだ!つーかどう考えてもそんなメンツじゃないだろ!?」
解樹「ハハッ、冗談だよ。黒いのは飛んでった、ジイさんもそれを追って消えた。」
勇者「魔王は?」
解樹「スーパーに。」
勇者「ってそこはガチなのかよ!なんでこの状況でスーパーなんだ!」
解樹「それがさ〜、墓石ってどこに売ってる?とか聞かれちまったもんでよぉ。」
勇者「いや、どんだけ無駄に品揃えいいんだよ…つーかお前もいい度胸してるな。」
解樹「フッ…あ、ジイさんからこんなん預かってんだわ。読んだらすぐ動けってさ。」
勇者「むっ、手紙…だと? あの校長からの…手紙…。」
勇者は警戒している。

 

3-300:真実〔13歳:LEVEL33〕
校長が残した手紙…どうなることやら気になるが、ビビッてても仕方ない。読もう。
手紙『親愛なる勇者殿へ。お元気ですか?そうですかそれは良かった。』
勇者「ってなんだこの書き出しは!?奴のキャラじゃないし自己完結してるし!」
解樹「あ、すまん。俺が足しといた。」
勇者「足すなっ!その行為の目的は何だ!?」
手紙『魔神封印の地…お前にも話しておこう。用が済んだらすぐに来るがいい。』
勇者「来いったって、確か魔神って海に封印されたんだろ?そう簡単に海底には…」
手紙『そう考えるのが素人なのだよ。「海」といっても、「海底」を指してはいない。』
勇者「いや、突っ込むなよ読み手に!やっぱ普通の手紙じゃないのかコレ!?」
手紙『なぜならその海はそう深くはなく、そして魔神は…とても巨大だったからだ。』
勇者「ふむふむ、浅い海に巨大なモノが…ってことは、まさか…!」

手紙『外界から閉ざされし異形の島…人々はその地を、「カクリ島」と呼んだ。』


〜その頃〜
兵士「隊長殿、準備が整いました!いつでも出陣できます!」
声「オイオイ待てよ、俺のことは「ジェネラル」と呼べって言ったろソルジャー?」
兵士「は、ハッ!すみません!以後気をつけます、ジェネラル…博打様!」

博打「フッ、OKだ。 それにしても懐かしい…また来ることになるとはな、この島に。」

そしてクライマックスへ。

 

第二十章