第十五章

 

3-226:勝負〔13歳:LEVEL30〕
生意気にも先公の策略により暗黒神は封じたわけだが…さて、これからどうするか。
暗黒神「で?これからどうするつもりよ?このまま一生こう封じてるつもりか?」
盗子「えぇっ!?バカ言わないでよ!なんでアタシがこんな悪の化身なんかと…!」
暗殺美「悪の化身なんかと?」
盗子「ゆ、勇者は…違うもん…。」
商南「なんやドMの境地を見た気がするわ。かける言葉もあらへんなぁ…。」
勇者「おいコラ盗子、俺もこの中に入れやがれ。この野郎は俺の手で始末する!」
教師「ですがこの魔法、外からは入れますが出るには魔法自体を解かないと…」
勇者「構わん。こんな有利な状況でリンチしても俺の気は済まん、サシで決めるぞ。」
勇者も魔法陣の中に入った。
暗黒神「ほぉ、ハッタリじゃなくマジで来やがるとはなぁ。バカな小僧だ。」
勇者「フン、貴様ほどの男がこんな結界破れんはずなかろう?誰が休ませるかよ。」
暗黒神「フッ…訂正しよう、どうやらバカじゃないらしい。来いよ、真剣勝負といこう。」
ついに最終決戦が始まる。

 

3-227:暗黒〔13歳:LEVEL30〕
盗子ごときの魔法で神が封じきれるとは思えんので、やはり最後は俺が動くことに。
お互いもう限界なので、恐らく次が最後の一撃となるだろう。当然勝つのは俺だが。
勇者「というわけなんだが、手ブラの敵を相手してもなぁ。 武器は何か要るか?」
暗黒神「いや、必要ない。我が奥義「暗黒魔血剣」…この剣に俺の全てを注ごう。」
教師「魔血剣…流れ出る血液を暗黒魔法により剣と化す、究極の技と聞きます。」
勇者「ほぉ、どうやら「魔導士だから」と言い訳されずに済みそうな感じだな。」
暗黒神「フッ、まぁそういうこった。だからお前も、地獄で恥じる必要は無いさ。」
勇者「面白い!だがそのセリフ、二度とほざけると思うな!? うぉおおおおお!!」
暗黒神「はぁああああああああ!!」
二人は力を溜め始めた。
ピシッ!(亀裂)
盗子「うわっ、ヒビ入ったー!ヤバいよ先生、一人で封じれるレベルじゃないよー!」
教師「くっ…!姫さん賢二君、手を貸してください!全員で魔法陣を補強します!」
姫「いいけど返してね。」
賢二「ぼ、僕も帰してほしいなぁ…。」
商南「同じセリフやのに意味が違うて聞こえるんが不思議やな。」
冥符「及ばずながら俺も力を貸すぜ。この「魔強符」を使えばいくらか強化できる。」
商南「にしてもなんちゅー二人や、この結界無きゃウチら全員もう死んどるで?」
暗殺美「ここは普通、光のオーラと闇のオーラがぶつかり合うべきとこなのにさ…。」
商南「ああ…めっちゃ黒いな…。」
パッと見「仲間割れ」だ。

 

3-228:静動〔13歳:LEVEL30〕
力は溜まった。そしてそれは奴も同じだろう。あとはいつ仕掛けるか…それだけだ。
勇者「・・・・・・・・。」
ヒュウウウゥ〜…(風)
暗黒神「・・・・・・・・。」

暗殺美(どっちかが動いた瞬間に全てが動き、全てが終わる…そんな雰囲気さ…。)
商南(さ、さすがに緊張感バリバリやな…ウチ一歩も動かれへんわ…。)
盗子(ゴクッ…。)

姫「…へっくち!」
盗子「バッ…姫…!って前にもこんなんなかった!?」
暗黒神「今だっ!!」
勇者「そうか!?」
暗黒神「えぇっ!?だ、ダメか…!?」
勇者「今だぁああああ!!」
勇者の先制攻撃!

 

3-229:希望〔13歳:LEVEL30〕
俺の必殺「緊迫すかし」が炸裂し、暗黒神は隙だらけ。やるなら今がチャンスだ。
勇者「どぉりゃああああ!隙ありぃーー!」
暗黒神「フッ…甘ぇよ小僧!あんなモンで俺の虚を突けたとでも思ってか!?」
勇者「甘いのは貴様の方だ!見るがいい我が謎の秘奥義、「駄目分身の術」!」
暗黒神「な、なに!?本体が多重に分かれて…ないっ!しまったそういう駄目か!」
勇者「改めて隙ありぃーーー!!」
暗黒神「だ、だが出遅れたとはいえ俺の方が腕は上…!貴様も避けきれまい!」
ザシュッズバシュッ!!(斬)
両者、相打ちの一撃!
辺りには鮮血が飛び散った。
勇者「ぐわぁあああああああ!!
盗子「ゆ、勇者ぁーーー!!うわーん勇者が死んじゃうよぉー!」
暗黒神「ぬぉおおおおお!! ち、チクショウがぁあああ…! ぶはぁっ!あ゛ぁっ!
商南「せ、せやけど敵さんにも効いてるで!今までに無い痛がりようや!」
暗殺美「体の正中線に沿った深い一撃…。あんな傷、見てるこっちも泣きそうさ。」
教師「あの位置は…!なるほど、かつて凱空さんの刻んだ傷が、まだ完全には…。」
勇者「ハァ、ハァぐふっ…! いいこと聞いたぜ暗黒神、そうか狙い目はそこか…!」
暗黒神「チッ…!だが今のは貴様も致命傷…もはや立ってるのもキツいだろう?」
勇者「フン、少しだけの辛抱だ。なぜなら俺には「療法士」の姫ちゃんはどこだ!?」
勇者は希望を断たれた。

 

3-230:覚悟〔13歳:LEVEL30〕
戦闘は壮絶を極め、親父だったら発狂しそうなほどシリアスな感じになってきた。
あと一撃でも急所に入ったら、間違いなく俺は死ぬだろう。 さて、どうしたものか。
暗黒神「ふぅ、惜しいな…。黒猫さえ生きてりゃ、お前もいい人形になったろうに。」
勇者「それは…カルロスのようにか?貴様は人の命を何だと思ってるんだ!!」
盗子「勇者!とっても素敵なセリフだけどアンタには残念ながら言う資格が…!」
暗黒神「フン、ならば貴様にわかるのか?悪として討たれ、死んでいった我が同胞」
勇者「興味無い。」
暗黒神「て、てんめぇ…!!」
暗黒神の攻撃。
勇者はほとんど避けずに食らった。
暗黒神「よ、避けねぇ…だと!?わずかに急所を外しただけで…なぜだ!?」
勇者「ぐふっ!よ、避けたところで避けきれん…。ならば次の一撃に賭けるのみ!」
暗黒神「なっ…!け、剣が抜けん…! 貴様、死ぬ気か!?なぜこんな…」
勇者「覚悟の違いだ!生まれた瞬間より背負いし「勇者」としての覚悟…」


勇者「貴様ごとき「悪の切れ端」風情に、砕けるものと思うなよクソがぁ!!」

暗黒神「くっ、だが!貴様の狙いはこの縦傷…そんなバレバレな軌道なんぞ…」
勇者「勝利の鍵は“奴”が遺した! 限界を超え、突き抜けろ無限の軌跡…!」
暗黒神「ば、バカなっ!動かんはずの左腕が、誰かの手に支えられて…!?」

勇者・剣次「「無限十字(クロスオーバー)」!!」


ズバシュ!ザシュウウウッ!!(十字斬)



暗黒神「ぐっ!ぐあぁああああああああああああああ!!

勇者、超会心の一撃!
暗黒神を撃破した!

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!ポ・ポ・ポンッ!(効果音)

勇者はレベルが一気に3つも上がった。
勇者はレベル33になった。

勇者は「暗黒神」の称号を手に入れた。
だが捨てた。

 

3-231:回想〔13歳:LEVEL33〕
とっさに思い出したカルロスの必殺技のおかげで、やっと暗黒神を撃破できた俺。
随分昔に一度見ただけの他人の技を、ああも使いこなせるとは…さすがは俺だぜ。
まぁ途中、何か霊的なモノのフォローがあった気がしないでもないが、気にしまい。
だが今回の戦いで、左腕は動きを、左目は光を失った。他にも失ったものは多い。
極めつけはこの胸のバッサリ開いた傷…俺がアジなら後は干すのを待つばかりだ。
だが、俺は「勇者」だ。これまで何度となく死にかけつつも、全て切り抜けてきた男。
そう、思い起こせばあんなことや…こんなことが…。
勇者は「走馬灯」を見ている。

 

3-232:余力〔13歳:LEVEL33〕
目が覚めると、俺は体中に術符を巻かれた状態で床に転がっていた。冥符のか。
見上げると賢二や先公まで、つたない回復魔法を放出している。姫ちゃんはどこだ。
勇者「う゛…うぅ…ど、どうやら生きてるようだな。今回ばかりはダメかと思ったが…。」
盗子「勇者ぁ〜〜!良かったよぉー!生きててホンットに良かったよぉ〜!」
勇者「痛っ…! オイ姿を見せるな盗子、俺にはもう片目しか残ってないんだ。」
盗子「って全然関係ないし!見ただけで目が潰れるってどんな化けモンだよ!」
商南「ふぅ〜相変わらずやなぁ。ま、いつも通りっちゅーのはええこっちゃで。」
キラン…(光)
冥符「ッ!!? 危ないハニー!!」
背後から謎の攻撃!
冥符は身を挺して商南を守った。
冥符「ぐぉぁ…!! 油断…したぜ…。だが、守れて…良かっ…(ガクッ)」
商南「め、冥符!?ちょっ、しっかりせぇや!なぁ!?死んだら殺すで!?」
勇者「直撃は避けてる、問題ない。ったく大した奴だぜコイツも…貴様もな、嗟嘆。」
暗黒神「フッ、安心しな…今ので最後だ…。もう俺には…何の力も残っちゃいねぇ。」
勇者「フン、まぁ当然だな。この俺にやられたんだ、もはや這う力すら残っては…」
暗黒神「ああ限界だよ、“俺”は…な。」
盗子「えっ!ど、どどどどーゆーこと!?意味深なこと言わないでよおっかない!」
暗黒神「フ…フハ…フハハハハ!忘れたか!?この城に搭載された、最強の武器」
教師「は私が壊しときましたが、何か?」
暗黒神「え゛ぇっ!?」
教師は抜け目無かった。

 

3-233:確信〔13歳:LEVEL33〕
まったくしぶとい暗黒神だったが、その復讐の策は既に先公に潰されてたっぽい。
暗黒神「き、貴様…!なんてこった、俺の奥の手が知らぬ間に…いつの間に!?」
教師「イヤですねぇ。この私が意味もなく、遅れて登場したとでも思ってましたか?」
勇者「ふぅ危なかったぜ。あんなもんブッ放されちゃ、俺の伝説に傷がついていた。」
盗子「違うよ勇者!「勇者」ならそこはシジャン国民の命を心配すべきとこだよ!」
教師「終わりですよ暗黒神…いえ、嗟嘆。もはやアナタに打つ手は無い。」
暗黒神「…いや、まだあるぜ?とっておきのヤツがな…!ハハハハハッ!」
盗子「ど、どんだけ自分に自信無いんだよ!不必要なくらい用意周到すぎだよ!」
勇者「ハッ、そうか!わかったぞ!!」
暗黒神「なっ!?」

コイツ、絶対A型だ。
だからどうした。

 

3-234:伝説〔13歳:LEVEL33〕
やっぱりしぶとい暗黒神には、まだ何か秘策があるらしい。往生際が悪すぎる。
暗黒神「まさかこんなことになるとは思っちゃなかったが、保険はかけとくもんだな。」
姫「保険金殺戮だね。」
盗子「どんだけ大規模な計画だよ!せめて殺人にしといてよそれもダメだけど!」
暗黒神「次の人質は…「帝都」の民だ。今頃、千の兵によって制圧されてる頃さ。」
盗子「せっ、千人も!?ウチらがこっちに戦力割いてる裏で、そんな大群とか…!」
勇者「チッ、お前もまた抜け目ない男だな…。 で?千人長はどんな奴だよ?」
暗黒神「フッ、力だけなら四天王をも凌ぐ巨漢…強ぇぜ? オイ応答しろ、「銅隠」!」
盗子「どう…かく?な、なんかその名前…イヤなことに気付いたような違うような…」
暗殺美「ハッ!あの扉さ盗子!金隠・銀隠の部屋の前にあった「3」って部屋…!」
無線「ガガ…ガッ…さ、嗟嘆…様…ガガガ…。」
暗黒神「おぉ銅隠、首尾はどうだ?お前のことだ、勢い余って国ごと壊してたり…」

無線「…ば……化け物…だ……ぐへぇ!! ガガァーーー…」

暗黒神「なぁっ!?ど、銅隠!? オイ、何があった!?応答しろ!!」
無線「ガガッ…おぉ、誰かと思えば懐かしい声じゃないか…元気にしてたか?」
暗黒神「ッ!!? そ、その声は…まさか…!!」

〜帝都:チュシン〜
暗黒兵A「ぐっ…うおぉ…!」
暗黒兵B「あ゛ぅ…。」
帝都兵A「そ、そんな…。千の兵を、たった一人で…。」
帝都兵B「か…神だ…!」


父「どうだ嗟嘆、俺の子は強かろう?」
「生ける伝説」は健在だった。

 

3-235:手遅〔13歳:LEVEL33〕
意外にも帝都は親父がなんとかしたらしく、ついに万策尽きた感じの暗黒神。
これ以上引っ張っても結果は同じな気がするし、ぼちぼち始末してやることにしよう。
勇者「チッ、クソ親父め…生意気にも俺より目立ちやがって。今度会ったら殺すか。」
無線「おぉ!?その声はまさか勇(プツッ)」
勇者「さてと…オイ先公、とっておきの残虐技で奴を地獄に送ってやるがいい。」
教師「おや、いいんですか?キミが最後の見せ場を人に譲るとは珍しい。」
勇者「…フン、決着は俺がつけた。誰がトドメを刺そうとも、俺の手柄は揺らぐまい。」
暗黒神「ふぅ、まさかこんな…取るに足らねぇ小石どもに、負けることになるとはな。」
教師「いいえ。マオに心を折られ、逃げに回った時点でもう…負けていたんですよ。」
暗黒神「フッ、なるほどな…確かに昔の俺の方が、強かった気もするわ。 …殺せ。」
勇者「さぁやれ!やってしまえ!全国の子を持つ親から苦情が来るほど残虐に!」
盗子「なんてゆー注文の付け方だよ!ホントに何かあったらどーすんの!?」
教師「…おかしい、この男がこんな…ハッ!逃げますよみなさん、手遅れになる!」
暗黒神「ハハハッ!やはりさすがだよお前!だが、少しばかり遅かったようだな!」
暗黒神は怪しげなスイッチを押した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!(揺)
盗子「こ、この流れ…完全に「自爆パターン」じゃん!もう切り札多すぎだよぉー!」
勇者「チッ…!オイ盗子、乗ってきた船は無事なんだろうな!?連絡つくか!?」
盗子「あ、うん!案奈が待ってるから、こっから大声で叫べば気づ…か、ない!?」
暗殺美「無い!船が無いさ!ななななんでさ!?」
変態の仕業だった。

 

3-236:宿命〔13歳:LEVEL33〕
気づけば船が消えていた。状況から察するに犯人はあの変態野郎…。いつか殺す。
賢二「ゆ、勇者君…。言いにくいんだけど、なんか変態さんのメモっぽいモノが…。」
メモ『我が大いなる野望のため、キミの友達のらしき船はもらっていきます。ウヒヒ。』
勇者「…賢二。今回の責任と、今後もし「何かあった時」の責任はお前がとれよな。」
賢二「そ、そんな…!」
宿敵「それにしてもマズいね…。この高度じゃ、飛行船無しではまず助からないよ。」
教師「いえ、希望はありますよ。こういう施設には「脱出船」がある可能性が高い。」
勇者「そうとわかれば善は急げだ。とりあえずそれっぽい場所を目指して走るぞ!」
商南「ゆ、勇者!えと…冥符なんやけど、その…一応ウチの命の恩人やし…なぁ?」
勇者「…フン、まぁ敵残党の話が聞けるやもしれんしな。オイ賢二、おぶってやれ。」
暗殺美(いいなぁ…。)
盗子「あとは…弓絵かぁ。寝てちゃいつも以上にお荷物だよまったく。どうしよ姫?」
姫「わかってるよ。「滅びの呪文」…だね?」
盗子「何をどうわかったんだよ!いろんな意味で危険だからヤメてってば!」
弓絵「…んっ、うにゅ〜〜…わっ!も、モンスター!?」
盗子「誰がだよ!寝起きからウザいって最悪だよアンタ!?いいから行くよホラ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴォオオ…!(揺)
勇者「おっと、かなり揺れが増してきやがったな。急がねば…」

声「凱空の子、勇者よ!心して聞くがいい!」

勇者「!?」

勇者は声の方へと振り返った。
暗黒神「死ななけりゃいつか必ず、貴様は魔神とブチ当たるだろう。それは宿命!」
勇者「・・・・・・・・。」
暗黒神「奴の力は俺の比じゃねぇ。その時お前がどう足掻くか…楽しみだな…。」
勇者「フン、その時は貴様との違いを見せつけてくれよう。 だから安心して死ね。」
暗黒神「…フッ、頼んだ…ぜ……(ガクッ)」
勇者「サラバだ暗黒神…。貴様の往生際の悪さ、忘れな…ホントに死んでるよな?」
勇者は念のため何度か刺した。

 

3-237:財宝〔13歳:LEVEL33〕
暗黒神は倒した。あとは無事脱出できるかだが…考えてもわからん。動くしかない。
勇者「よし!さぁ行くぞ野郎ども!目指すは脱出船のある部屋だ、必死に探せ!」
一同「おぉーーー!!」
勇者「おっと盗子、貴様は「財宝探し」だ。」
盗子「ってなんでだよ!?イヤだよ財宝よりも命が大事だよアタシは!」
勇者「バカが、考えてもみろ。「神」の本拠地だぞ、「盗賊」の血が騒ぐだろうが?」
商南「ああ、メッチャ騒ぐな☆」
盗子「なんでアンタが騒いじゃうの!?自分が「商人」って自覚ある!?」
勇者「手ぶらで帰っちゃ「勇者」の名折れだ。お前がここで頑張らんでどうするよ?」
盗子「なんでそんなんで名が折れるんだよ!無茶だよ時間も無いしやたら広いし!」
姫「看板どおりに行けばいいよ。」
盗子「あるかよバカ!財宝の場所を看板に書くなんてどんなマヌケな…」

看板『非常口⇒』

盗子「ってワオ!しっかり者!?」
防災設備は確かだった。

 

3-238:定員〔13歳:LEVEL33〕
我らが姫ちゃんの大活躍により、脱出船は簡単に見つかりそうな予感がしてきた。
元々は奴自身の脱出用だったはずなので、嘘じゃない可能性が高いと見ていい。
タッタッタッタッタッ…!(走)
勇者「おっ、見えてきた!あの扉の先に脱出船はあるに違いない、みんな急げ!」
盗子「ありがとう!ありがとう姫!おかげで死なずにすみそうだよ〜!」
姫「別にいいよ盗子ちゃん、こんなの夕飯前だよ。 カレーがいいよ。」
盗子「OKわかったよ!無事帰れたら美味しい夕飯ごちそうしてあげるからねっ!」
暗殺美「そうこうしてる間に着いちゃったさ。問題は誰が扉を開けるかさ。」
教師「私が開けます。何が飛び出るかわからない、皆さんは下がっていましょうね。」
ガチャッ(開)
教師は扉を開けた。
なんと!意外にも問題なく「脱出船」を発見した。
勇者「チッ、2つだけか…まぁいい、無いよりはマシだ。あとは動くかどうかだな。」
教師「勇者君はそちらの船を調べてください。私はこの船を…よし、いけそうです。」
勇者「こっちもいけそうだ。定員は4人らしいが、まぁ10人だから5:5で無理矢理…」
ズゴォオオオオオ…!(出発)

一同「…え゛?」
誰もが油断していた。

 

3-239:脱出〔13歳:LEVEL33〕
先公の裏切りにより、俺達9人は天空城に取り残された。この状況であの野郎…!
勇者「残りの船は一つ…仕方ない、俺と姫ちゃん以外は命を諦めろ!ここで死ね!」
盗子「なんでだよ!4人ならともかく定員割ってる意味が全然わかんないよ!」
姫「みんな一緒がいいよ。9人でおしくらまんじゅう…燃えるね。」
勇者「よーし乗り込め野郎ども!俺が無理矢理押し込める、なんとか全員入れ!」
勇者は気合いで詰め込んだ。
盗子「アイタタタ!死ぬ!死んじゃうよ苦し…い…よ…!」
暗殺美「さ、騒ぐなさ盗子…!そんな些細な振動すら…キツい状況…なのにさ…!」
勇者「さぁ賢二、残るはお前と俺だけだ!一応容積的にはまだ入る、いくぞ!?」
賢二「えっ!いや、でもこんな隙間じゃせいぜい1人が限界だよ!とても2人は…」
勇者「よく聞け賢二。お前の前世は…今日から「折り畳み自転車」だ。」
賢二「ちょっ、前世が生物じゃな…っていうか「今日から」ってギャーーー!!
勇者「よっしゃー!じゃあ、行くぞ!地に降りるまで全員、死ぬ気で生き残れ!」
勇者は「発進」ボタンを押した。
船は悲鳴にも似た音と共に、動き出した。

 

3-240:別離〔13歳:LEVEL33〕
残った船に無理矢理全員詰め込み、なんとか爆発前に城から出ることができた。
だが「飛んでる」か「落ちてる」かというと後者っぽい。やはり人数に問題アリか。
それに船内もまたとんでもない状況になっている。最終的に何人かは死ぬかも…。
勇者「ぬぐぅ〜!は、離れろ盗子!つーか姫ちゃん以外はみんな邪魔だ、降りろ!」
盗子「む、無茶言わないでよ空の上だよ!?文句なら後で先生に言ってよ!」
弓絵「勇者せんぱーい!弓絵にももっとくっついてくださーい!「魔人合身」ですぅ!」
盗子「どんな暗黒の儀式だよ!それに同一人物になっちゃってどうすんだよ!」
宿敵「だ、大丈夫かい賢二君?なんかありえない位置にキミの足が見えるんだが。」
賢二「お…折れる…折れちゃう…。まさかこんな形で…最期を迎えるなんて…。」
暗殺美「だ、だ誰に許可とってこんな密着してるさ!たまんないさ!(幸せで…☆)」
姫「おっしく〜らま〜んじゅう〜♪押っされってワンッ!」
盗子「鳴くなよ!せめて泣こうよ! う゛ぅ、騒ぐと呼吸…が…!」
勇者「姫ちゃん、そんな所に…!俺としたことが、完全に位置取りに失敗したぜ!」
冥符「う゛っ…ん?ここは…ってハニーがこんな近くに!?なんて幸せな状況だ!」
商南「全てはもう片方の脱出船で、一人逃げよったあのセンセが悪いねん…。」
冥符「んっ、なんだってハニー?よくわからないから一生添い遂げて説明してくれ。」
商南「どんなタイミングのプロポーズやねん!もう1コの脱出船の話をしてたんや!」
冥符「もう1コ…?いや、あの城には脱出船…一つしか無いぜ?」
商南「へ…?」
盗子「えっ!?」
勇者「ッ!!! ってことは、まさか…!!」



〜天空城〜

ゴゴゴ…ゴゴゴゴゴゴ…



ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!






教師「フッ…まだまだですねぇ…。」






勇者「せ、先公ぉーーーー!!」


ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!(大爆発)

悪魔は魔界に帰った。

 

外伝(陸)