第十四章 |
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2-211:中身〔13歳:LEVEL25〕 | |
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古代語で「邪神」と書かれていたらしい棺を、ウッカリ開けてしまった俺。 だがまぁ、気にすまい。どうせどう頑張ってもこの手の輩は復活するのが世の常だ。 復活させちゃいけない奴を敢えて復活させ、倒す。そして伝説となるのが「勇者」だ。 ゴゴゴゴゴゴ…!(轟) 猿魔「な、なんてことを…!」 盗子「どどどどどうしよ!? ほ、本物…なのかなぁ?」 勇者「いや、わからんぞ!いつものパターンだと超高確率で中身は姫ちゃんだ!」 ズズズズズ…!(出) 巫菜子「うわっ、なんか手が出てきたぞ!姫の手にしちゃ青白すぎる!」 暗殺美「・・・・・・・・。」 ガコン。(閉) |
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2-212:復活〔13歳:LEVEL25〕 | |
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棺を閉めたら、禍々しい気配も消えた。どうやら再封印は簡単にできたらしい。 だが、本当にこのままでいいのだろうか。半端な封印は、いずれ脅威になりかねん。 勇者「みんな聞け。やはり邪神は復活させよう。そして討つ!それがベストだ。」 盗子「バッ…何言ってんの!?なんでわざわざそんな危険なマネを…!」 猿魔「…いや、その通りかもしれん。奴が「完全体」となる前ならば、あるいは…。」 巫菜子「完全体…?どういうことだよ?じゃあ封印解いた直後はまだ不完全体?」 猿魔「封印術の多くは、完全復活には血が必要だ。穢れ無き…「処女の血」がな。」 盗子「や、ヤバいじゃん!アタシらみんなターゲットじゃん!穢れ無き乙女達だし!」 勇者「黙れ汚物。誰が貴様なんぞの血をすするか。」 盗子「アンタこそ黙れよバカー!アタシだって蚊にぐらい刺されるもん!」 暗殺美「蚊…。あまりの次元の低さに不覚にも泣けてきたさ。」 猿魔「だが早まるな勇者。援護を呼んだ後でも遅くは無いと思うぞ。」 勇者「…ま、確かにそうかもな。さっき感じたオーラ…このメンツじゃ苦戦は必至だ。」 ゴゴゴゴゴゴ…!(轟) 勇者「ッ!!? な、なんだこの邪悪なオーラは!?」 盗子「えっ!で、でもまだ棺は開けてないよね!?」 声「貴様か…?」 麗華「これは貴様の仕業か!?勇者ぁーー!!」 |
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2-213:誤解〔13歳:LEVEL25〕 | |
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思ったより早く、麗華は目を覚ました。そして、思ったより早くイタズラに気づかれた。 いつかやってみたいと思っていたのだが、予想以上の反応に戸惑いを隠せない。 勇者「よ、よぉ。やっと起きたか麗華よ。きょ、今日も相変わらずお美しいぞ。」 麗華「…その言葉で疑いは確信に変わった。貴様の死因はその「お茶目心」だ。」 盗子「う、内!?中の「人」が足りなくない!?中途半端だと逆に恥ずかしいよ!」 勇者「フッ、「人でなし」だけにな。」 盗子「うまいこと言ってる場合じゃなくない!?」 麗華「覚悟しろ。 顔は乙女の命…それを穢した者に、贖罪の機会は無い!」 勇者「も、門太!隠れてないで出てこい!そして門を開けろ!逃げるぞ!!」 門太〔物陰〕「お…お呼びになった門太は、現在使われておりやせん…。」 勇者「ブッ殺すぞ!? とりあえず出て来い!そして門を開きやがれ!」 門太「や、で、でも…。」 勇者「黙って開け!」 門太「そんな…。」 勇者「いいから開け!」 姫「いいの?」 勇者「いいよ!」 姫「開けたよ。」 勇者「開けたか!」 邪神「出てきたぞ。」 勇者「出てきたかーーーっ!!」 |
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2-214:瞬殺〔13歳:LEVEL25〕 | |
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どこにいたのか、突然出てきた姫ちゃんが、勘違いして邪神の棺を開けてしまった。 復活した邪神は、なんと俺達と同じ…いや、むしろ小さいくらいの少女でビックリ。 こんな奴がホントに邪神なのだろうか。もしかしたら、何かの間違いかもしれない。 勇者「貴様…ホントに貴様が邪神か?どう見たってガキじゃないか。」 暗殺美「なんか強そうじゃなくて拍子抜けさ。それに女で「バキ」ってのも変さ。」 盗子「で、でもわかんないじゃん!もし本物だったらえらいことだよ!?」 門太「そうっすよ兄貴!とりあえず逃げやしょう!門を開くんで…」 邪神「・・・・・・・・。」 ピィッ!(光) |
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勇者「なっ…? も、門太!?門太ぁーーー!!」 邪神「「門番」は邪魔じゃ。弱き者どもに無駄な機会を与えよる。」 勇者「き、貴様…よくも門太を!よくもあんな便利な能力を!」 盗子「そっちを嘆くの!?もうちょっと命を大事に考えようよ!」 邪神「これでわかったか小僧?わらわが本物か否か。」 勇者「わからん…わからんな!俺は認めんぞ貴様なんか!」 邪神「物分りの悪い小僧じゃな。もう一度見せねばわからんか?」 勇者「フン、望むところだ!!」 盗子「なんでアタシを指すの!?」 |
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2-215:本領〔13歳:LEVEL25〕 | |
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邪神の一撃で、門太は灰と化した。門太…(使い勝手の)いい奴だったのに…。 勇者「ここは危ない。下がってろ姫ちゃん、暗殺美、巫菜子、猿魔、あと姫ちゃん!」 盗子「アタシは!?姫を二度言う余裕があるならアタシにも…!」 邪神「おなごはわらわの生け贄じゃ。その前に、邪魔な貴様を消し去ろうぞ。」 ピィーー!(閃光) |
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勇者「おっと、この盾にはそんな半端な攻撃は通じないぜ?」 邪神「その力…そうか、それは「破壊神:レーン」の力を宿す盾じゃな?こざかしい。」 勇者「こざかしいのは貴様だ! 食らいやがれ!刀神流操剣術…」 邪神「フ…そんな攻撃、我が「邪流演舞」の前には無力ぞ。 そびえよ「扇風壁」!」 |
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勇者「なっ、風の壁だと…!?」 邪神「この風は地獄の風、中は魔の領域。邪悪な者しか入ることはでき…」 勇者「ふむ。なかなか心地よい風だな。」 邪神「入っとるぅーーーー!!」 |
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2-216:食事〔13歳:LEVEL25〕 | |
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邪神の懐に入ることに成功した。どうやら思ってたほどの強敵ではなさそうだ。 邪神「き、貴様何者じゃ!?その盾や剣といい、どう考えても魔の…」 勇者「俺の名は「勇者」。世界で一番、好き勝手が許される男だ。」 盗子「そんな解釈で今まで生きてきたの!?」 邪神「勇者…覚えておこう。いずれ貴様はわらわが滅ぼしてくれるわ。」 勇者「「いずれ」なんぞ無い!刀神流操剣術、十の秘剣「十刀粉砕剣」!!」 |
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邪神「うはぁっ! チッ、やはりまだ、力が足りなすぎる…!」 盗子「ぃやっほー!やっちゃえ勇者ー!」 邪神「…しばし休戦じゃ。やはりわらわは食事を摂ることにしよう。」 勇者「あ?食事…? ハッ!ヤバい!逃げろ女ども!!」 女子「!!?」 邪神「逃がすかぁーー!!」 |
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ボフゥ〜ン!(煙) 邪神「なっ!? え、煙幕だとぉ…!?」 声〔煙〕「フン、「暗殺者」をナメんじゃないさ。こういう芸当はお手のモンなのさ。」 勇者「おぉ、でかしたぞ暗殺美!みんなを連れてそのまま逃げろ!」 ゴンッ ガン ドテッ ゴン 声〔煙〕「…下手に動くと危ないさ。」 勇者「死ねっ!!」 |
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2-217:痛恨〔13歳:LEVEL25〕 | |
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しばらく待つと、煙は晴れた。このままではまた邪神は姫ちゃんを襲いかねん。 勇者「女を襲う暇など与えん!とっとと闇へと還るがいい!!」 ガキン!ガガキン!チュィン! 巫菜子「す、スゲェ戦いだ…!勇者の奴、いつの間にあんなに強く…!」 暗殺美「でも邪神もさすがさ。あれで不完全体ってのが信じられないさ。」 ガィン!チュィン!ズバシュ!! 邪神「くぅ…!」 勇者「フッ。なんだ、伝説の邪神とやらも大したことないな。ガッカリだぞ。」 邪神「…どうやら今の状態で、さらに手を抜いて勝てる相手ではないようじゃな。」 勇者「あん?まるで本気を出せば勝てるような口ぶりだな。」 邪神「信じられぬか?ならば見るがいい。 邪流演舞…奥義、「大旋風葬」!!」 勇者「なっ…!? ぐぁああああああああああっ!!」 ズゴォオオオオオオオン!! |
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勇者「ぐおっ…!な、なんだ今の技は…!? ぶはっ!!(吐血)」 邪神「ハァ、ハァ、ほぉ…今のを受けてまだ五体があるとは、頑丈な小僧じゃ。」 盗子「ゆ、勇者!どどどどうしよう!? ハッ、そういや麗華姐さんは!?」 麗華「スピー…。(姫と)」 盗子「二度寝!?こんな非常時に!」 邪神「復活のために力を抑えていたが、それもヤメじゃ。今は全力で貴様を討とう。」 勇者「くっ…ゴフッ!」 邪神「さぁトドメじゃ。いま一度食らうがいい…「大旋風葬」!!」 盗子「ゆ、勇者ぁーーー!!」 |
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盗子「えっ…?」 邪神「チッ、何者…!?」 審判「セーーーーーフ!!」 盗子「えーーーーっ!!?」 |
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2-218:即死〔13歳:LEVEL25〕 | |
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危ないところを、謎の審判に救われた俺。一体コイツは何者なんだろう? 勇者「だ、誰だ…貴様は…?」 審判「…お前はまだ、死ぬべき男じゃねぇ。まだ生きてやるべきことがあんだろ?」 勇者「その声…どこかで…。」 邪神「何者じゃ貴様は?まぁわらわに逆らうとあらば、誰とて容赦はせんがな。」 審判「フン。不完全体な奴が、この俺に勝てるとでも思ってんの゛っ!かぁぁぁぁぁ…」 |
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勇者「自分から穴に…一体どんな技だ!?新手の攻撃にしては斬新すぎるぞ!」 盗子「違うよ勇者!アイツの攻撃がモロに当たったんだよ!あっち見て!」 チョメ「チョ、チョプー!」 赤錬邪「よくもやってくれたなぁ珍獣め。人間様に逆らうとは生意気だよ、オラァ!」 チョメ「チュパプッ!」 |
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勇者「貴様…生きていたのか。しぶとい奴め。」 赤錬邪「フン、爆風で軽く飛んだだけだ。何度も言うが俺には魔法しか効かん。」 勇者「チッ、この忙しい時に…!」 チョメ「プー!!」 暗殺美「やめとくさチョメ太郎、アンタが暴れるとむしろウチらが危険さ。」 声「な、なんだコレはーー!?」 勇者「!?」 麗華「この落書き…貴様か勇者ぁーー!?」 チッ、この忙しい時に…。 |
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2-219:濡衣〔13歳:LEVEL25〕 | |
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しぶとくも生きていた赤錬邪と、タイミング悪く起きてしまった麗華。こりゃピンチだ。 だが麗華は寝ぼけていて、さっきのことは忘れているようだ。 よし、それならば…。 麗華「さぁ勇者、説明してもらおうか。この笑えんイタズラの真意をなぁ!」 勇者「ち、違う俺じゃない!アイツがさっき書いてたぞ!とても楽しそうに!」 赤錬邪「えぇっ!?」 |
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赤錬邪「ま、待て!よく考えろ、どこの世界にそんなお茶目な悪党がいる!?」 麗華「言い訳は要らん。乙女を愚弄した罪は、死をもって償うがいい!!」 ザシュッ!(斬) 赤錬邪「くっ…!って、まぁどうせ俺にはそんな攻撃は…ぐわぁあああああ!?」 |
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赤錬邪「ぐっ!そ、そんな…!この「魔欠戦士」である俺に、剣の攻撃が…!?」 麗華「ただの斬撃ではない。炎を纏った真紅の秘剣…「魔法剣:火炎桜」。」 赤錬邪「ま、魔法剣!?バカな!それは本来、剣士と魔法士の協力技で…」 麗華「生まれは魔道の家系でな。どうだ器用なもんだろう?」 赤錬邪「な、ならばなぜ今まで使わなかったのだ…!?」 麗華「生家のことは思い出したくもない。だから封印していたわけだが…キレたわ。」 赤錬邪「はわ…はわわ…!」 麗華「ワシは生のトマトは好かんが、焼きトマトは嫌いじゃないぞ?赤の戦士よ!」 赤錬邪「ひ、ひぃいいいいい!!」 ザシュッ!(斬) ババババシュッ!(連撃) ズゴォオオオオオオ!!(炎上) |
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2-220:玉砕〔13歳:LEVEL25〕 | |
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麗華の容赦ない攻撃で、赤錬邪は人とは違った物質へと生まれ変わった。 だが、まだ最大の敵である邪神バキが残っている。 さて、どうしたものか…。 邪神「誰だか知らぬが、おかげで少し休めたわ。あの死者に感謝しよう。」 勇者「麗華はまだトランス状態だし、俺もまだダメージが…チッ、だがやるしか…!」 巫菜子「けどあの扇はハンパじゃねーぜ?まずアレをなんとかしねぇと…!」 姫「パンツがめくれちゃうよね。」 暗殺美「論点が違うさ姫!てゆーかパンツがめくれたらえらいことさ!スカートさ!」 盗子「…わかった、アタシがなんとかするよ。アレを奪えばいいんだよね?」 勇者「なっ…!?」 |
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勇者「や、やめろ盗子!お前なんかが…」 盗子「わかってる!死ぬかもしんないけど…でも頑張るよ!」 勇者「目立つな!!」 盗子「えっ、そういう意味!?」 暗殺美「バッ…盗子!前を見るさ!!」 盗子「えっ…ヤバッ…!!」 邪神「遅いっ!死ねぇえええええええええ!!」 ブシュッ!!(貫) |
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2-221:活躍〔13歳:LEVEL25〕 | |
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調子に乗って飛び出していった盗子は、案の定邪神の一撃で儚く散った。バカが! 盗子「ぅぐっ…くはぁっ!!(吐血)」 勇者「と、盗子ぉーーーー!! 貴様ぁ…!!」 巫菜子「邪神が血を浴びちまった…。や、ヤベェぞ!」 邪神「フ…ハハ…アハハハ!! やったぞ!これで完全体に…!!」 勇者「くそっ、なんてことだ…!最悪の状況だ…!!」 |
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邪神「…って、何も感じんぞ!?なぜじゃ!!」 勇者「!!?」 暗殺美「ま、まさかホントに穢れてたせいかさ!?顔が!」 巫菜子「いや、顔は関係ないような気が…。」 邪神「ど、どういうことじゃ…!?」 盗子「ぐふっ…フフ、やはり「雄猿」の血じゃ意味無かったか…?残念…だったな。」 邪神「き、貴様…もしや写念獣か!?じゃあ本物…あ゛っ…!」 勇者「なにっ…!?」 盗子B「とぅっ!!」 |
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2-222:昇天〔13歳:LEVEL25〕 | |
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邪神に立ち向かったのは、盗子ではなく盗子に化けた猿魔だった。いつの間に…。 猿魔「ぐふっ…ハァ、ハァ…どうだ勇者?俺の一世一代の…大芝居は…?」 勇者「そうか、さっきの煙幕に乗じて…。」 盗子「偽勇者!しっかりして!目ぇつぶっちゃダメだよー!」 猿魔「俺は、もうダメだ…。 なぁに、どのみちもう寿命だった…悔いは無いさ…。」 暗殺美「死をいとわない決死の作戦…猿ながらアッパレな奴さ。」 盗子「ぐすん。アンタと過ごした半年間…えぐっ、わ、悪くなかったよ。偽勇者…。」 猿魔「ジャクソン…。」 盗子「盗子だからっ!!」 猿魔「勇者…任せたぞ。この世界…お前に…託した…。」 勇者「…ああ、安心しろ。いずれ世界は俺のモンだ。」 猿魔「な、なんだか不安になってきたな…。」 勇者「お前には礼を言っても言い切れんな。いつか天国で、酒でも奢ろう。」 猿魔「酒か…そりゃ…楽しみだな…。 だがお前はどう考えても地獄い゛っ!!」 |
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2-223:決着〔13歳:LEVEL25〕 | |
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全ての役目を終え、猿魔は逝った。門太に続きまたしても便利な能力が…残念だ。 勇者「さぁ邪神よ、滞納していた年貢を一気に納める時だ!観念するがいい!」 邪神「こ、この状況で丸腰…。さて、どうしたものか…。」 麗華「やるぞ勇者。二人でかかれば勝利は確実だ。」 勇者「いや、俺だけでいい。今なら使えそうな気がするんだ、「千の秘剣」がな。」 麗華「千の?調子に乗るな。アレは刀神流操剣術の奥義…お前にはまだ早い。」 勇者「ナメるな!俺だってやればできるさ! 「百の秘剣」ぐらい!」 麗華「下がってるじゃないか!さりげなく思いっきり妥協してるじゃないか!」 勇者「そんなこんなで貴様を倒す!覚悟はいいか、邪神バキ!!」 邪神「チッ…!」 |
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勇者「頼む姫ちゃん、奴の動きを止める魔法を!」 邪神「甘いわ!そのような魔法に掛かるほど…」 姫「ダルマさんがコロリン!」 邪神「えっ…!? あ゛っ!」 勇者「止まっちまった貴様の負けだー!食らえ百の秘剣、「百刀霧散剣」!!」 ズバババババババシュッ!!(連撃) 邪神「う゛っ、うわぁああああああああああ!!」 |
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2-224:電影〔13歳:LEVEL26〕 | |
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激戦の末、なんとか邪神を倒した俺。色々あったがこれでもう一安心だ。 大地の裂け目に落ちたため、死体を見てないのが少し気掛かりだが…まぁいい。 仮にまだ生きていたとしても、あの状態じゃすぐに死ぬだろう。 俺達の勝ちだ! などと考えながら一服ついていると、なにやら魔獣らしき鳥が何かを運んできた。 勇者「む?なんだこの珍妙な鳥は? 俺の肩で羽根休めとは生意気な。」 麗華「どれどれ? お、コヤツは教師殿の伝令獣ではないか?」 一同「Σ( ̄□ ̄;)!?」 |
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盗子「はわ…はわわ…!(震)」 魔獣「ピャウ。」 勇者「コレは…「電影玉」じゃないか。奴め、また何か企んでやがるのか…?」 |
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勇者「チッ、仕方ない。見たくはないが、見なきゃ殺されそうだし…ったく。」 モクモクモクモク…(煙) 教師「やぁみなさん。コレを見ているということは、無事みたいでなによりですよ。」 盗子「フン、なにさ。肝心な時にいなかったクセして偉そうに。」 教師「ハイ盗子さん、今度会ったらお仕置き決定です。」 盗子「えぇっ!?なんで返事できんの!?これって再生専用だよね!?」 暗殺美「きっと違法な何かでどうにかしたのさ。まったく怖ろしい男さ。」 勇者「で、なんの用なんだ?わざわざこんなの寄こしたんだ、何かあるんだろう?」 教師「いや、ちょっとだけ言いたいことがありまして。 要は「まだ気を抜くな」とね。」 勇者「気を抜くな?五錬邪はもう全員倒した、不安な要素はもう無かろう?」 教師「彼らはリミッターを外せた…。狂人にしかできない荒業をほぼ全員が、です。」 勇者「だから何が言いたいんだ?要点をハッキリ言いやがれ。」 教師「何者かが彼らを操り、内側から無理矢理解放させたとしか思えません。」 勇者「なっ!?じゃあ、「洗脳」みたいな魔法が掛かってたってことか!?」 教師「フフフ、イヤですねぇ。そんな便利な魔法が」 勇者「あるかもしれんだろうが!貴様が知らないだけかも…」 教師「あって、私が放っておくとでも?」 |
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2-225:旅立〔13歳:LEVEL26〕 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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五錬邪を倒した俺達は、教会に身を潜めていたらしいシジャン王にもてなされた。 王「よくやってくれた勇者よ。好きなだけ褒美をとらそうぞ。」 勇者「あん?なんだ貴様、救ってもらった分際で上から目線とは生意気な!」 王「え、いや…その…すみません。えと、褒美はたんまり用意させていただきます。」 勇者「フッ、当然だ。とりあえずこの口座に有り金を全部振り込…ぐぇっ!」 麗華「王の御前だ、お前こそ慎め勇者。それに「勇者」が褒美を求めるとは何事だ。」 王「お、おぉありがとう。喋りがババ臭い剣士よ。」 麗華「前言撤回だ勇者、身包みどころか皮まで剥いでやるがいい。」 王「ひ、ひぃいいいいい!!」 姫「なんかお祭りムードだね。」 盗子「アンタの頭ん中だけねっ!」 暗殺美「どうでもいいけど早くご飯にしてほしいさ。お腹が大合奏の準備中さ。」 メイド「あ、ハイ。それではご用意いたしますね。好き嫌いとかおありですか?」 盗子「ん〜、アタシは特に無いかなぁ?大丈夫っ☆」 メイド「じゃあ適当にそこらの草でも…。」 盗子「なんでっ!?」 勇者「よーし野郎ども!宴だ!声帯がブチ切れるまで騒ぐがいいっ!!」 国民「うぉおおおおおおお!!」 |
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数日後…。 皆で散々食って飲んでしまくったせいか、国の食糧が尽きかけてきた。 心なしか、国民の俺達を見る目も濁ってきたように思える。 これは、マズい。 「勇者」の美学として、去り際は美しくなければならないと俺は思うのだ。 ホントはもう少しのんびりしたいところだが…平穏は剣を鈍らせるしな、仕方ない。 勇者「とまぁそういうわけで、ぼちぼち旅立とうと思う。お前ら準備はいいか?」 盗子「うん☆ でもどこ行く気なの勇者?もう五錬邪はいないわけだけど…。」 勇者「中央だな。「帝都:チュシン」…人が多く集う場所ほど、情報は集まりやすい。」 盗子「情報…?他の神でも探そうっての??」 勇者「力はついた。今度こそ奴を…「魔王:ユーザック」を討つ時だ!」 盗子「うげっ、魔王!?」 暗殺美「魔王…そういや最近、とんと噂を聞かないさ。なんか不気味さ。」 勇者「奴ほどの男だ、このままなんてことはありえない。きっと何かを仕掛けてくる。」 姫「落とし穴とかね。」 勇者「フッ、この俺を落とそうなんて百年早いぜ!」 盗子「スケールがちっちゃいよ!どうせならもっと凶悪な罠とか想定しようよ!」 姫「地球が爆発するよ。」 盗子「魔王も死んじゃうじゃん!」 勇者「にしてもアレだな。なんとなくだが、カクリ島を出た日のことを思い出すな。」 姫「ん〜。じゃあ今度のは…うん、「卒業旅行」だね☆」 暗殺美「いや、卒業旅行って言うには時間経ち過ぎちゃってる気がするさ。」 姫「「帰ってきた卒業旅行〜激烈地獄巡り〜」だね。」 盗子「だからそんな物騒なサブタイトルは要らないから!」 勇者「俺はお前が一番要らない。」 盗子「うわーん!相変わらず目がマジだよー!!」 麗華「オーイ勇者ぁー!船が来たぞ、早く乗り込めー!」 勇者「よし、行くか! 命の保証は今後も無い。わかった奴だけ、ついて来い!!」 一同「オォーーー!!」 |
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