第十二章

 

2-181:破壊〔13歳:LEVEL17〕
登場直後に暗殺美をフッ飛ばしてしまった赤錬邪。コイツ…意外にも強い!
でもその武器は、「野球の神:サーハル」のバット…?明らかに話がおかしい。
勇者「野球の…神?嘘だ、そんな奴の装備が「神の装備」なわけないじゃないか!」
盗子「そうだよ!神の骨とか牙から「錬金術師」が練成した物だって聞いたもん!」
赤錬邪「な、なにっ!?オークションでかなりの値が付いてたのにか!?」
盗子「それは単なるマニア価格だよ!」
赤錬邪「くっ…!だ、だが強力な武器であることに代わりはない!食らえぇ!!」
勇者「フッ、甘いね!じゃあ僕が、「真の神の装備」ってものを見せてあげるよ!」
赤錬邪「ハッ!そういえばお前には…!!」
勇者は「破壊神の盾」で攻撃を防いだ。

盾は見事に砕け散った。
勇&盗「って、えぇーーーっ!?」
赤錬邪「なっ…!?」
盗子「えっ、えぇっ!?なんで!?なんでブッ壊れちゃってるのさ勇者!?」
勇者「ど…ど、どうだ赤錬邪!?ビビッたぞ!!」
盗子「いや、普通は「ビビッたか!?」だよね!?まぁ確かにビビッた側だけども!」
赤錬邪「フ…フハハハハ!神の装備とはその程度なのか!?他愛ない!」
勇者「…フッ。」

まったくだよ!!
言い訳の言葉も無かった。

 

2-182:範囲〔13歳:LEVEL17〕
力の差を見せつけるどころか、アッサリ砕けてしまった破壊神の盾。モロすぎるよ!
赤錬邪「…さて、実力もわかった。今度はコチラから行かせてもらうとするかな。」
勇者「い、いいだろう!お前の野望は、この僕が打ち砕いてやる!」
赤錬邪「フン、お前は後回しだ。まずは邪魔者から始末することにしよう。」
勇者「な、なにっ!?」
盗子「えっ…!?」
赤錬邪「死ねぇええええええ!!」
勇者「とう…ジャスミィーーーン!!」
盗子「なんで言い直すのかわかんな…うわーっ!!」
赤錬邪の攻撃。

ミス!盗子は攻撃を避けた。
審判「ボォーーーーール!!」
盗子「ってアンタ誰だよ!?戦闘に審判は必要ないよ!?」
赤錬邪「ほぉ、なかなかすばしっこいじゃないか。 だが次は外さんぞ小娘!」
赤錬邪の攻撃。

ミス!再び盗子は攻撃を避けた。
だが風圧でスカートがめくれた。
審判「ストラーーーーイプ!!」
盗子「ありがちなネタすぎるよ!! てゆーか今日は水玉だよ!」
審判「水玉パーーーーンツ!!」
盗子「だ、だからって大声で言い直さなくていいよっ!」
赤錬邪「チッ、なぜだ!?なぜコイツには当たらんのだ!?」
盗子はストライクゾーンに入ってなかった。

 

2-183:真相〔13歳:LEVEL17〕
実力なのか運なのか、なぜか攻撃が当たらないガボン。逃げ足だけは速いようだ。
勇者「あれ?どうしたの赤錬邪?偉そうに吠えた割に当たらないようだけど?」
赤錬邪「フン、貴様がイキがるな。クソの役にも立たん雑魚は下がっていろ。」
勇者「な、なんだって!? 僕だって記憶さえあれば、お前なんか…!」
赤錬邪「ほぉ、言うじゃないか小僧。ならば俺が少し、手助けをしてやろうか!!」
赤錬邪は勇者の頭部を狙った。
勇者は華麗に攻撃を避け

…たかった。
ズゴォオオオオオン!(直撃)
勇者「うがぁああああああああっ!!
盗子「ゆ、勇者ぁーーーー!!」
赤錬邪「おっと、少々刺激が強すぎたか!?アッハッハ! …トドメだぁーー!!」
盗子「ま、待って!こうなりゃヤケだよ!アタシが相手したげるんだからっ!」
審判「チェィンジ!!」
盗子「って失敬だよアンタ!妙な商売と一緒にするなよ!死ねっ!!」
赤錬邪「フッ、やれやれ…。黄緑錬邪といい、最近の小娘は慎ましさが足りんな。」
盗子「そういや…アンタに聞きたかったんだよ。なんで巫菜子が、五錬邪なのさ?」
赤錬邪「ん? 群青の推薦さ。「悪の資質を持った小娘がいる」とな。それで…」
盗子「悪!?違うよ!確かに性悪だったけど、あんな酷くはなかったもん!」
赤錬邪「俺が背を押してやったのだ。まぁ今はその小僧のせいになっておるがな。」
盗子「えっ!?じゃ、じゃあ巫菜子の家族を殺したってのは…!!」
赤錬邪「バカな娘よ。恨むべき相手に、逆にいいように使われているのだからな。」
盗子「ッ!! さ、最低だよアンタ!許せないよ!!」
赤錬邪「許せない…? フハハハ!じゃあどうするのだ?お前に何ができる!?」
盗子「…聞いたよね、巫菜子?アンタの敵は私らじゃないよ!コイツだよ!!」
赤錬邪「なっ…いるのか!?それに気づいて貴様、ワザと今の話を…!?」
盗子「さっきチラッと見えたもん!隠れてないで出ておいでよ、巫菜子!」

陰「・・・・・・・・。」
黄緑錬邪が現れた。
黄緑「あ〜、見っかっちゃったよ。やるね盗子ちゃん。」

盗子(中身が違うーーー!!)
姫によるコスプレだった。

 

2-184:血統〔13歳:LEVEL17〕
赤錬邪の一撃でブッ倒れてしまった勇者。
明かされた、巫菜子五錬邪入隊の真実。
そして現れた、黄緑錬邪…

中身は姫。
盗子「ねぇ、アンタ姫だよね!?じゃあ巫菜子は倒しちゃったってこと!?」
黄緑「違うよ!私は黄ミド…赤パジャマ青パジャマ黄ミドレジャフ!!」
盗子「言えてないよ!?なんで自らハードルを高くするのかもわかんないし!」
赤錬邪「チッ、魔導士の姫か…。厄介な奴が来おっ…あ゛。」
盗子「えっ、厄介って…もしかしてアンタ、魔法が苦手なんじゃ…?」
赤錬邪「ば、ばばバカ言え!俺の真の職業は、あの血統職「魔欠戦士」だぞ!?」
〔魔欠戦士(まけつせんし)〕
「防魔法細胞」が一切無い、特異体質者のみが就ける職業。
魔法攻撃に弱い代わりに、物理攻撃への耐性が異常なまでに高い。
ゾウが踏んでも壊れない。
盗子「って、全然言い訳になってないし!むしろ疑惑を確信に変えちゃったし!」
赤錬邪「ぐっ…!だ、だが手はまだある!この「封魔の腕輪」さえあっ…!」
黄緑「ほぇ〜、なかなかシャレた腕輪だね。」
赤錬邪は頼みの綱を奪われた。
盗子「イェーイ!ナイスだよ姫!多分それハメられたら魔法力封じられてたよ!」
赤錬邪「うぐぅ…!この俺としたことが…!」

黄緑「どうかな?似合う?」
盗&赤「みずからハメたぁーー!!」
姫は魔法を封じられた。

 

2-185:作戦〔13歳:LEVEL17〕
魔法に弱いことが判明した赤錬邪。
だが肝心な時に姫は、魔法を封じられてしまった。

というか、自分で封じた。
盗子「こ、このバカ姫!なんで自分からハメてんのさ!?チャンスが台無しじゃん!」
黄緑「大丈夫だよ盗子ちゃん。全ては敵を油断させる作戦だよ。」
赤錬邪「フ…フハハハ!作戦だと?そんなハッタリが俺に通じるとでも…」
黄緑「ホントだよ。隙を突いて巫菜子ちゃんが出て来るよ。」
赤錬邪「むっ…!?」
盗子「えっ!?」
巫菜子「えぇぇっ!?」
ビックリ顔で巫菜子が現れた。
巫菜子「て…テメェ、姫!言っちまったら奇襲になんねーだろうが!」
盗子「な、なんで姫もいるのに巫菜子も無事なの!?どゆこと!?」
黄緑「言ってもいいけど結構高いよ。」
盗子「って金とんのかよ!!」
黄緑「落ちたら大変だよ。」
盗子「何がどう高いの!?高度的な問題なの!?」
赤錬邪「やれやれ…寝返ったのか黄緑錬邪?非常に残念だよ。」
巫菜子「寝返っただぁ!?話は全部聞いてた…テメェが黒幕だったとはなぁ!!」
赤錬邪「…フン、騙される奴が悪いのだ。恨むなら、浅はかな自分を恨むがいい。」
巫菜子「よくも…よくも私の家族を…!みんなを、返せぇえええええ!!」
巫菜子は「大地の精霊」を呼んだ。
巫菜子「オラァ!クソ精霊!ブッ殺しちまえやぁあああああ!!」
赤錬邪「チッ…!」


精霊「(−_−)…。」

巫菜子「ど…土下座を求めるなぁーー!!」
相変わらず態度がデカかった。

 

2-186:二重〔13歳:LEVEL17〕
話の流れで味方になったっぽい巫菜子。
だが頼りになるかどうかは微妙な感じがした。
巫菜子「チッ、大地の精霊はダメかよ…。私が呼べる最強の精霊だってのに!」
盗子「で、でもさ!相手は魔法が苦手なんだから炎の奴とかでもいいんじゃない?」
赤錬邪「ハハッ、普通の炎と魔法の炎…同じものだと思っているのか?小娘が。」
盗子「む、ムッキィー!なんだよ勝ち誇った顔…は見えないけども! 仮面取れ!」
赤錬邪「どうやら希望は絶たれたようだな。家族の元へ逝く準備はできたか?」
巫菜子「ぐっ…!ちくしょう…ちくしょう…!」
赤錬邪「小生意気な娘の涙…たまらんな!ガハハハハ! サラバだ!!」
盗子「み、巫菜子ぉー!!」
赤錬邪は振りかぶった。
巫菜子「…フッ、な〜んてな。」
赤錬邪「!?」
巫菜子「オラ今だー!やっちまいな姫ぇーー!!」
姫「私の怒りがマグレを呼ぶよ! むー!〔熱血〕!!」
赤錬邪「なっ!? ぐぇえええええええ!!
なぜかさらに姫が現れた。
赤錬邪「ぐはぁ…! ど、どういうこと…だ!?ならばその黄緑錬邪は…!?」
黄緑「騙される奴が悪い…フッ、アンタもいいこと言ったもんさ。」
盗子「げっ、暗殺美!?まさか最初から!?でも声は…あっ!「声帯模写」!?」
暗殺美「倒したと思って私から目を離したのが、アンタの敗因さ。」
赤錬邪「くっ…!」
盗子「やーいやーい!バーカバーカ!」
暗殺美「フン、浮かれてんなさ。一緒に騙されてたおバカがさ。」
盗子「くっ…!」
暗殺美「このバカどもめが。」
くっ…!

 

2-187:利己〔13歳:LEVEL17〕
ややこしい演出で、見事赤錬邪を騙した巫菜子達。
いつの間に打ち合わせしたのかは聞かない約束だ。
巫菜子「どうやら形勢逆転のようだな。言い残す言葉でもあるかよ?」
暗殺美「まぁ聞く気は無いけどもさ。」
赤錬邪「ま、待て!早まるな!俺に手を出すと大変なことになるぞ!?」
暗殺美「安心するさ。この後アンタも負けじと大変なことになるさ。」
赤錬邪「そ、そうだ!こんな時のために街中に爆弾を仕掛けたのだ!俺が合図を」
暗殺美「出せなくなるほどに焼いてしまうがいいさ姫。」
姫「ボンバー!」
赤錬邪「待て待て待て!いや嘘だ!俺が死んでも爆破するよう命令してあれ!」
盗子「「あれ!」って! 願望かよ!助かりたいなら嘘でも言い切れよ!」
巫菜子「フン、それにどーせチンケな小爆弾なんだろ?そんなの脅しに…」
赤錬邪「いや、国が一つ吹き飛ぶ威力だ。まぁこの城だけは結界で無事だがな。」

暗殺美「なら一安心さ。」
巫菜子「まったくだ。」
赤&盗「Σ( ̄□ ̄;)!?」
そこには二人の鬼がいた。

 

2-188:夢世〔13歳:LEVEL17〕
なんと街に爆弾を仕掛けたという卑劣な赤錬邪。
だが暗殺美と巫菜子はもっと鬼だった。
赤錬邪「き…貴様らそれでも正義の味方なのか!?国民はどうなる!?」
暗殺美「「正義」なんかパーティーに加えた覚えはサラサラ無いさ。赤の他人さ。」
巫菜子「私の手はもう汚れた後だ。今さら善人ぶる気はねーよ。」
盗子「善人ぶろうよ!何万人も死んじゃうんだよ!?少しは気ぃ遣おうよ!」
暗殺美(敵のペースに乗ったら負けさ。弱気になったら付け上がられるのさ。)
盗子「(そ、そっか!そだよね!)ふ、フンだ!やれるもんならやってみなよ!」
赤錬邪「ああ、俺だ。爆破作戦を実行しろ。(無線)」
無線「(ガガガッ…) ラジャッ!」
盗子「わー!!」
暗殺美「チッ、バカ盗子め!仕方ないからさっさと片付けて阻止しに向かうさ!」
巫菜子「爆弾の場所は私も今朝聞いた。だが走って間に合う距離じゃねーぞ!?」
暗殺美「そんなのやってみなくちゃわからないさ!」
巫菜子「…だな! オラ姫、じゃあ早ぇとこバッサリやっちまえや!」
盗子「え、でも魔法なんだから「バッサリ」ってのはおかしくない?」
暗殺美「だったら「モッサリ」でいいさ。」
盗子「いや、その方がおかしいから! ねぇ姫?」

姫「スピー…。」
三人「グッスリーーー!!」
切り札は夢の世界へ旅立った。

 

2-189:苦戦〔13歳:LEVEL17〕
姫が寝てしまったため、形勢は再逆転されてしまった。
三人は果敢に攻めたが、やはり物理攻撃でダメージは与えられなかった。

むしろ若干気持ち良さそうだった。
赤錬邪「フハハハ!どうした?もう終わりか?俺は痛くも痒くもないぞ!」
暗殺美「くっ…!なんて奴さ!痛みを感じないのかさこの鈍感男め!」
赤錬邪「な、何を言う!俺は女が髪を切ったら気づくタイプだぞ! …言われたら。」
盗子「鈍感じゃん!!」
巫菜子「こ、こうなったら誰か囮にして、その隙に武器を封じるしか…!」
暗殺美「待つさ!アンタ盗子に恨みでもあんのかさ!?」
盗子「それはアタシが聞きたいよ!なんでアタシに決まってんだよ!」
巫菜子「チッ…!それじゃ私が攻撃を受ける、その隙に全員で武器を…」
暗殺美「それもヤメた方がいいさ。聞いた話じゃ恐らく無事じゃ済まないさ。」
盗子「えっ、何かそういう情報でも流れてたの!?」
暗殺美「旅の途中でイヤな噂を耳にしたさ。奴がとんでもない武器を手にしたとさ。」
盗子「あんなバットが!?いや、確かにとんでもないと言えばとんでもないけども!」
赤錬邪「さぁ、無駄な作戦会議は済んだかな?そろそろお仕置きの時間だ。」
暗殺美「や、ヤメろさ!盗子に何するさ!」
巫菜子「危ないっ!逃げろ盗子ーー!!」
盗子「とかなんとか言いながら押さないでよ!なんでアタシを盾に…わーーん!!」
赤錬邪「オルァアアアアアア!!」
赤錬邪、必殺の一撃。
盗子はフッ飛ばされた。
盗子「うわー!もうダメー!死んだー…って、アレ…? 痛く…ない?」
勇者「雑魚が。俺が突き飛ばしてやったんだ、痛いわけないだろうが。」
盗子「…え? ゆ、勇者!?気づいたんだねっ!平気なの!?」
赤錬邪「大人しく寝ていれば良かったものを…。よほど死にたいと見える。」
勇者「フン、今度は貴様が眠る番だ。 永遠に、な。」
勇者が目を覚ました。

 

2-190:過度〔13歳:LEVEL17〕
目を覚ますと記憶が蘇っていた。やっぱりか。やっぱり結局はショック療法なのか。
だが、なぜだろう?何か大事な…一番肝心なことを忘れてる気がするのは…。
盗子「ゆ、勇者…? その邪悪な感じ…も、もしかして記憶が戻ったの!?」
勇者「ああ。もうバッチリ思い出したぞ、ジンギスカン。」
盗子「嘘だよね!?嘘だって言ってよー!」
赤錬邪「どうやらまだ完璧には思い出してはおらんようだな。ならば今のうちに…!」
勇者「甘いわ!もはや記憶の扉は開いた!あと一歩で…うぉおおおおお!!」
盗子「いっけー勇者ぁ!ぜ〜んぶ思い出しちゃえー!!」
赤錬邪「さ、させるかぁーー!!」

ピカァアアアアア!(光)
勇者の体が怪しく光った。
勇者「ウッキィーーー!!」
盗子「ええぇっ!!?」
勇者は思い出しすぎた。

 

2-191:本性〔13歳:LEVEL17〕
勢い余って思い出しすぎ、うっかり降臨してしまったウッキー勇者。
だが以前の猿っぷりとは少し様子が違った。
勇者「…思い出した。やっと、思い出したわ。 「全て」をなぁ。」
盗子「ほ、ホント!?今度こそホントに、完璧に記憶蘇えったんだよね!?」
勇者「ああ。この小僧の魔力にあてられ、長らく封じられていた記憶が、な。」
盗子「へ…?ちょっ、なに言っちゃってんの勇者…? 頭大丈夫?」
暗殺美「それは自分の胸に聞いてみろさ。」
盗子「なんでだよっ!!」
勇者「勇者ぁ?フッ、違うな。 俺の名は「猿魔(エンマ)」、人にあらざる者よ。」
赤錬邪「ど…どういうことだ?これもまた作戦の一部なのか?」
暗殺美「私に聞くなさ。アンタが強く殴りすぎたのが悪いんじゃないかさ?」
巫菜子「あの雰囲気…演技には見えねぇ。一体どうなってやがんだ?」
盗子「ハッ、そうだ!もし冗談なら姫の前では…。 ねぇ姫!起きて!起きてよ!」

姫「ぅん〜…あと五光年…。」
盗子「長いよ!!」
「光年」は「距離」の単位だ。

 

2-192:姑息〔13歳:LEVEL17〕
どういうわけか、自分は勇者ではないと言い出した勇者。
物語の大前提を根本から否定する気か。
盗子「ゆ、勇者…どうしちゃったんだろ?いつも変だけど今日のはいつも以上だよ。」
暗殺美「よくあるネタから考えると、勇者の中に「別人格」がいたって線が有力さ。」
盗子「あっ!確か勇者の中には…も、もしかしたら「マオ」の人格とかじゃない!?」
巫菜子「いや、でも「猿魔」とか言ってたし…違うんじゃねぇか?」
姫「たぶん背中にチャックが…」
盗子「無いから!あんな精巧な着ぐるみはあり得ないから!」
姫「いるよ。」
盗子「チャックが!?チャックって誰なの!?」
勇者「よく聞け赤錬邪。全てを思い出した俺に言えることは、ただ一つだ。」
赤錬邪「フン、記憶が蘇った程度で何が変わる?言ってみろ!!」
勇者「いや嘘です、ホントごめんなさい。アナタには勝てない…。」
盗子「弱っ!えっ、弱いの!?そういうキャラだったの!?」
赤錬邪「む…?フハハハ!そうかやっとわかったか!この俺に攻撃は通じグェッ!
勇者のボディ攻撃。
赤錬邪は「く」の字に折れた。
勇者「魔欠戦士とて常に強靭なわけではない。隙さえ作ればホレ、多少は緩む。」
赤錬邪「きっ…貴様…卑怯な…!」
勇者「貴様に教えてやろう。700年の経験の差…というやつをな。 来るがいい!」
赤錬邪「上等だぁああああああ!!」
勇者はボコボコにされた。

 

2-193:深緑〔13歳:LEVEL17〕
偉そうに吠えた割に簡単にボコられたウッキー勇者。
強いのかそれとも弱いのか、というかまずヤル気があるのか。
暗殺美「バカ勇者が。隙を突けって言っときながら正々堂々挑むからさ。」
勇者「フッ。この猿魔、最後の戯れよ。 さぁ食らうがいい!我が必殺の騙しを!」
盗子「宣言しちゃうの!?騙すって言われちゃ誰も騙され…」
勇者「あぁっ!あんな所に空飛ぶ鳥がっ!!」
盗子「しかも作戦が古典的すぎるよ!」
暗殺美「ていうか気づくさ!大抵の鳥は空を飛ぶもんさ!」
赤錬邪「だ〜れが騙されるかバカが!それにこんな城内に鳥なんぞいるはずが…」
鳥「クエェ!」
赤錬邪「えぇっ!?ばぶしゅっ!
盗子「ってホントにいたー!!」
勇者「チッ、やっと来おったかグズが。」

麗華「うむ、少々待たせた。」
賢…ぶふっ!

れ、麗華様がいらっしゃいました。
赤錬邪「ぬっ!?そ、その十字傷…貴様もしや、噂の剣士「深緑の疾風」か!?」
麗華「その名は好かん。もっと乙女チックに「フローレンス麗華」とでも呼ぶがいい。」
赤錬邪「乙女だぁ? フン、もういい歳だろうにびばばばばばばばばばばばっ!!
殺人ビンタが火を噴いた。

 

2-194:爆破〔13歳:LEVEL17〕
颯爽と現れた麗華は、赤錬邪の防御力を無視してボッコボコにした。
盗子達は何故か軽く同情した。
赤錬邪「ぶふっ…バカな…!守備最強を誇る俺に、こんな…!」
麗華「理解できぬか?まぁ安心しろ、ワシは体に教え込むのは大の得意だ。」
赤錬邪「ま、まま待て!そこまでだ!これ以上やったら国を爆破するぞ!?」
盗子「はぁ?またその脅しー? フンだ!やれるもんならやってみなよ!」
赤錬邪「ああ、俺だ。爆破を決行しろ。(無線)」
盗子「わー!!」
暗殺美「チッ、懲りろさバカ盗子め!こうなったら…」
勇者「まぁ待つがいい、娘。 多分だがもう大丈夫だ。」
暗殺美「へ…?」
麗華「ああ。 今頃“奴”が、全てを片付けておる頃だ。」
赤錬邪「さぁどうした!?やれっ! お前達は死ぬがそれは名誉の死だと思…」
無線「(ガガッ…)だ、ダメです赤錬邪様! 全滅です!私以外の衛兵はもう…!」
赤錬邪「な、なにぃ!?どういうことだ!? よし、卒業式の言葉風に教えろ!」
無線「えぇっ!?は、 ハイ!その…みんなで失敗、夏の都市爆破(都市爆破!)」
赤錬邪「腹が立つ。」
無線「そ、そんなっ!」
それが兵士の最後の言葉となった。

 

2-195:本体〔13歳:LEVEL17〕
赤錬邪の都市爆破計画は、なにやら失敗したっぽかった。
勇者と麗華は何かを知っているようだ。
赤錬邪「ぐっ…!ならば仕方ない、お前が一人で爆破にあたれ!」
勇者「無理だな。“アレ”の起爆には強い「魔力」が要る。お前も知っていよう?」
赤錬邪「な、なぜ貴様がそのことを!?」
麗華「爆弾があるのは城下の「カイア塔」。今からでは援軍も間に合うまい。」
赤錬邪「き、貴様らもしや…最初から目当ては…!」
無線「べばふっ!
赤錬邪「むっ!?ど、どうしたんだ!?オイ、答えろ!」
姫「特技は「お昼寝」だよ。」
盗子「なんでアンタが答えんだよ!しかも見当違いにも程がある回答だし!」

無線「…覚悟しろ赤錬邪。 目的は果たした、次は貴様の番だ。」

赤錬邪「き、貴様…「覇者」かっ!!?」
盗子「えっ!?い、今の声って…ちょっと変えてるけど、まさか…!」
無線「フッ…。」

〜シジャン城下:カイア塔〜


勇者「耳だけはいいようだな、盗子。」
勇者Bが現れた。

 

外伝(肆)