第十章

 

2-151:影者〔13歳:LEVEL17〕
言い訳の言葉が見つからなかったので、僕らはそそくさと逃げ出すことにした。
ソボー達が倒したのか他には衛兵がいなかったようで、うまく逃げることができた。
勇者「ふぅ〜。脱出には成功したけど…また振り出しに戻っちゃったね。」
栗子「ややっぱり例の「邪神の地図」を解読しまくりまくるしかないんでしょかね?」
老人「邪神の地図ぅ?お前さんらまさか、あの伝説の地図を持っておるのかね?」
盗子「わっ、なんだよお爺ちゃん!急に出て来て普通に参加しないでよ!誰!?」
老人「こう見えても私ぁ「国王」じゃ。頭が高いとか高くないとか。」
盗子「えっ!?でも国王ってさっき上の部屋で倒れてた人だよね!?」
国王「そりゃ影武者じゃ。で?ホントに持っとるのかな?力になれるやもしれんぞ。」
盗子「あるにはあるけど…半分だけだし解読方法も全くわかんないんだけどね〜。」
国王「あ〜、「血」じゃよ。人の血に浸せば、地図に点が記されるという話じゃて。」
勇者「なっ!?じゃあ半分でもそっちに点があれば用を成すんじゃないか!」
盗子「じゃ、じゃあ早速試してみなくちゃだね! あっ、でも血は…?」
勇者「まさか…こんな形で別れることになるなんて…。(チラッ)」
盗子「なんでアタシを見てんの!?」
というか致死量は要らない。

 

2-152:紛失〔13歳:LEVEL17〕
やけに普通に現れた国王から、なかなか有力な話を聞くことができた今日この頃。
勇者「仕方ないから血は僕が少し出そう。早く地図を出してよブルックリン。」
盗子「あっ、うん。わかってるんだけど…その…あれ?なんで無いの?あれっ!?」
姫「…そんなにお腹すいてたの?」
盗子「食べて無いから!えー!なんでー!?この前までは確かにあったのにー!」
栗子「そ、そういえばさっきから博打先輩が見えないような気がしないでもなく…。」
勇者「なにっ!?ま、まさか…!」

〜その頃〜
博打「フッ、相変わらず甘いベイベー達だ。余裕でミッション・コンプリートだぜ。」
密偵「さすがです博打様。そして先日はありがとうございました。」
博打「まぁ気にするなブラザー。さ、とっとと上に報告するがいいさ。そして行こう。」
博打は裏切り者だった。
〜そして、五錬邪のアジトでは…〜
兵士「赤錬邪様!勇者一行を見張らせていた密偵から、電報が入りました!」
赤錬邪「む?あのガキどもがどうかしたのか? よし、Hip Hop調で伝えろ!」
兵士「えぇっ!?は、ハイ!その…Hey Yo!地図にアクセス!結果はサクセス!」
赤錬邪「わかりづらい。」
兵士「そ、そんなっ!」
赤錬邪「そうか、やっと地図が…。 よし、皆を集めろ!最終段階に入るぞ!」
兵士「…は、ハッ!」
その晩兵士は実家に電話した。

 

2-153:再会〔13歳:LEVEL17〕
恐らくは博打の裏切りにより、僕らは手掛かりを失ってしまった。なんてことだろう。
こうなったらやはり、奴らのアジトに向かうしかない。何らかの動きがあるはずだ。
勇者「まだ博打が逃げて間もない。急いで五錬邪のアジト方面に急ごう!」
国王「五錬邪か…。確かタケブ大陸の入口、「シジャン王国」を乗っ取ったとか…。」
栗子「し、ししシジャンなら頑張れば夏頃には着きますですよ!急ぎましょ!」
盗子「あのさお爺ちゃん、タケブ大陸ってどう行けばいいのか知ってる?」
国王「北へ向かうがよい。北の「終末の丘」…その先にタケブに繋がる港がある。」
勇者「終末の…丘? なんか、前にどこかで聞いたような気が…。」

〜その頃、噂の「終末の丘」では…〜
父「母さん…随分と久しぶりになってしまったな。悪かったと思っている。」
黒錬邪「大丈夫、気にしてない。」
父「いや、今のはお前にじゃなくて墓に向かってだなぁ…。」
黒錬邪「息子にこの地のことは話したのか?噂じゃ今はローゲ国にいるようだが。」
父「一応な。まぁ記憶が戻れば来るだろう。ローゲからなら多分、夏前には…」
声「そうか、アイツが来るのは夏か。」
黒錬邪「!?」
父「なっ、その声は…!なぜお前が…!?」

鉄仮面「フッ。 久しぶりだな、親父。」
親父には隠し子がいたのか。

 

2-154:才能〔13歳:LEVEL17〕
ローゲ国王に言われた通り、僕達は「終末の丘」という地を目指すことにした。
聞いたことのある地名だ。もしかしたら、僕の記憶を呼び覚ます鍵があるのかも…。
勇者「今回は乗り物は使わないよ。急がば回れだ。」
姫「甘いね勇者君。私は急いでらくても回られられ。」
盗子「嘘つくなよのんびり屋!てゆーかまずロレツが回ってないよ!」
栗子「でででも先輩方、こんな地図ごときだけで行けちゃいますかねぇ?」
声「大丈夫、この先の道は俺に任せてくれよ。」
盗子「え…? あっ、アンタは確か前に…!」

マジーン「また会ったな勇者。そろそろ来る頃だと思ってたぜ。」
マジーンが現れた。
勇者「お前も…僕の知り合いなのか?でもゴメン、名前も覚えてないんだ…。」
マジーン「き、記憶喪失!?マジかよ…。 ま、まぁいいさ、気にするなよ。」
勇者「いつか必ず思い出すよ。だから待っててくれ、えっと…じゃあ「マジーン」で。」
ネーミングセンスは固定だった。

 

2-155:到着〔13歳:LEVEL17〕
再会したマジーンは極度の方向音痴で、僕達は何度も道に迷わされた。
途中からは無視して進み、おかげでなんとか夏前に「終末の丘」に到着できた。
勇者「まったく…。お前がいなければもっと早く着けていたような気がするよ。」
マジーン「す、すまねぇ…。今度こそはイケると思ったんだが…その…。」
盗子「にしてもさ、なんか随分荒れ果てた所だね〜。一帯がボロボロじゃん。」
勇者「何かわけありっぽいね、聞いてみようか。 ねぇ婆さん、ちょっといい?」
老婆「あ〜、少し前のことですわ。それはもう、激しい戦いがあったんですわ。」
盗子「まだ聞いてないよ!?先走るのは人生だけにしてほしいよ!」
栗子「たたた戦いでなんスか!?丘を全壊させちゃうなんてなんてハタ迷惑な…。」
老婆「黒装束と鉄仮面…いかにも怪しげな二人が暴れて、こうなったのですわ。」
盗子「鉄仮面!?それって前にロボ軍を全滅させたっていう奴じゃない!?」
勇者「それに黒装束って…まさか黒錬邪!?じゃあ父さんは一体…!?」
老婆「あぁ、そういやその近くで胸を刺された男が…」
勇者「なっ!?そ、そんなバカな…!」

老婆「普通に漫画読んどりましたわ。」
勇者「それこそバカなっ!!」
シリアス感が一気に薄れた。

 

2-156:血縁〔13歳:LEVEL17〕
僕らがローゲ王国を発った頃、この丘には父さんと愉快な強敵達がいたらしい。
勇者「そ、それで!?最終的にその戦いはどうなったの婆さん!?」
老婆「あ〜、その後「警察士」らが来てゴチャゴチャやっとる間に消えとりましたわ。」
栗子「けけ警察屋さんが動くなんて…。みなさん捕まっちゃったんでしょかねぇ?」
老婆「ところでアンタらは何?こんな寂れた丘に何の用で来なすったん?」
勇者「悪党を倒しにタケブへ行くんだ。僕の中の「勇者」の血に導かれてね。」
盗子「まぁ主に受け継いだのは「魔王」の血だけどね。」
老婆「!? も、もしやアンタは前魔王…あの子…「終(おわり)」の息子かい!?」
勇者「僕は記憶喪失。そんなこと聞かれても思い出せない。」
盗子「いい加減思い出せよ!アンタは元魔王の子で、アタシは「盗子」なの!」
勇者「…そうか、僕はホントに魔王の子なんだね…。」
盗子「あ…ま、まぁ思い出せないのはしょうがないよね。これから覚えていこうよ☆」

勇者「ありがとう、パブロ。」
盗子「うわーん!!」
勇者もいい加減しつこい。

 

2-157:現実〔13歳:LEVEL17〕
どうやら僕は、本当に魔王だった女の子供らしい。さすがにショックは大きい。
でも揺るがない事実なら今さら騒いでもしょうがない。気にしないことにしよう。
勇者「ところで婆さん、さっき「あの子」とか言ってたけど…母さんと知り合いなの?」
老婆「!! …わ、ワシぁ、何も知らん。何も知らんですわ。」
姫「月日の流れは残酷だよね。」
盗子「そんな急にはボケないから!なんかわけありでしらばっくれてるだけだよ!」
老婆「ほ、ホレ。お探しの港はこっちですわ。早く行くがいいですわ。」
マジーン「オーイ勇者ぁ、あっちになんか村があるぜ?メシにしようや。」
老婆「い、イカン!終のせがれはダメですわ!あの村に近づいちゃイカン!」
姫「ミカン!」
栗子「えっ!?あ、え、う…や、ヤカン!」
盗子「何がしたいんだよアンタら!」
勇者「どうやら、僕の母さんは相当恨まれているみたいだね…。」
老婆「悪いことは言わん、素直に立ち去りなされ。行けば絶対傷つきますわ。」
勇者「…行こうみんな。僕には知らなきゃならない真実があるらしい。」
老婆「なっ!?わかっとりますのか!?アンタが思っとるほど現実は…!」
勇者「わかってるさ。現実がいかに…(チラッ)…厳しいものかというのは。」
盗子「なんでこっち見ながら言うんだよ!!」
勇者もまた厳しかった。

 

2-158:故郷〔13歳:LEVEL17〕
老婆の制止を振り切り、僕らは丘のふもとにある村へと向かった。
何があるかはわからない。でも「勇者」として、逃げるわけにはいかないんだ。
〜ギマイ大陸:ケンド村〜
マジーン「こ、ここは…まさかあの噂の「ケンド村」じゃねぇのか…!?」
勇者「ん?何か知ってるのマジーン?」
マジーン「前に聞いたことがあるぜ。前魔王、終の故郷…それが確かこの村だ。」
勇者「そ、そうだったのか…。どうりでどこか見覚えがあると…!」
盗子「嘘つくなよ!アンタの生まれは遙か遠い島だから!」
栗子「まま魔王さんが生まれやがった村なんて…け結構ヤバげじゃないですか?」
姫「きっと毎晩が血の晩餐だね。」
盗子「おっかないよ!イメージ的にわかんないでもないからおっかないよ!」
村人A「ん〜?どうしたんだ旅のガキども?こんな辺鄙(へんぴ)な村に何か用で?」
勇者「あ、聞いてくれ村の人。僕は魔王の…」
盗子「ちょっ、待ってよ勇者!いきなりそんな…!」
村人A「あ゛ぁ!?「魔王」だぁ!!?」

勇者「「魔法」の勉強に来たんだ。」
勇者は瞬間的に誤魔化した。

 

2-159:魔法〔13歳:LEVEL17〕
このケンド村は、僕の母さんが生まれ育った村らしい。怖い村なのかもしれない。
でも出会った村の人は、「魔王」という言葉に不快そうな反応を示したし…う〜ん。
村人A「ほぉ〜、じゃあ兄ちゃんらは、魔法の勉強のために世界中を旅しとると?」
勇者「そ、そうなんだ。見た目はバラバラだけど、実はみんな魔法使いなんだ。」
盗子「う、うん!メチャメチャ魔法使いだよ!ねぇ姫!?」
姫「うん。魔王の遣いだよ。」
一同「Σ( ̄□ ̄;)!!」
村人A「…嬢ちゃん、悪いことは言わねぇ。この村でその単語は使わん方がいい。」
マジーン「まぁ地元から魔王が出たんだ、そりゃあ良くは思ってねぇだろなぁ。」
村人A「!! …知っとって来たんか。なら話は早ぇ、これ以上は聞かんでくれ。」
勇者「いや、そうもいかないんだ。なぜなら僕は魔王の…」
村人A「あ゛ぁ!?」

勇者「「魔法」の勉強に来たんだ。」
勇者は無理を承知で誤魔化した。

 

2-160:創作〔13歳:LEVEL17〕
その晩は村人の家に泊めてもらうことになった僕達。意外にもいい人で助かった。
ホントは聞きたいことが山ほどあったけど、空気的にどうにも切り出せなかった。
〜寝室にて〜
盗子「う〜ん、どうする勇者?なんとか聞き出す?それとも聞かずに旅立つ?」
勇者「…わからない。 とりあえずマジーン、知ってることを全部話してくれない?」
マジーン「わ、悪ぃ。俺も詳しいことは知らねぇんだ。結構謎の多い話でさぁ。」
姫「じゃあ私が適当に考えるよ。こう見えても絵本作家になるのが夢だよ。」
盗子「考えるのかよ!知りたいのはそんな嘘…って、「療法士」はどうしたの!?」
姫「昔々あるところに魔王さんがいて、何人か生け贄にしました。」
盗子「しかも「サスペンス」じゃん!」
勇者「…よし、やっぱり話を聞きに行こう。このままじゃ眠れそうにない。」
盗子「や、やめようよ勇者!下手してバレたら睡眠どころか永眠だよ!?」
勇者「大丈夫だよジュゴン。根拠だって、ちゃんとあるんだ。」

「村人」に殺される「勇者」なんて、聞いたことがない。
なんとも頼りがたい根拠だった。

 

2-161:説得〔13歳:LEVEL17〕
やっぱり話を聞きたくなった僕は、家主である村人の部屋を訪れた。
聞き方さえ気をつければ、きっと彼も話してくれるはずだ。しっかりやろう。
コンコン(扉)
村人A「…入りな。多分来るんじゃねぇかとは思っとったよ。」
ガチャ(開)
勇者「お邪魔するよ。用件は…わかってるみたいだから言わなくてよさそうだね。」
村人A「「魔王:終」について聞きたがる奴は、たまにいるしな。見りゃ気づくわ。」
盗子「じゃ、じゃあ話してくれるの?意外にもすんなりと…。」
村人A「イヤだね。この話は他言するなってのが、村の掟なんでな。」
栗子「そそそこをなんとかお願いしますですよ!大事なことなんスよ!」
村人A「何て言われてもダメなものはダメだ!」
勇者「お願いだ!」
村人A「断る!」
姫「お礼は弾むよ。」
村人A「さて、何から話そうか。」
結構あっさり落ちた。

 

2-162:無理〔13歳:LEVEL17〕
しばらく考えた後、村人は語り始めた。それは僕にとっては辛い真実だった。
村人A「俺ぁ見たんだ。奴ぁ…奴は魔王になるために、仲間を生け贄にしたんだ。」
盗子「い、生け贄!?さっきの姫の嘘話が当たっちゃってるし!」
姫「盗作疑惑に関しては、ノーコメントだよ。」
勇者「…う、嘘だ!そんな話は嘘っぱちだ!」
村人A「嘘なもんかよ!俺は思うね、あんな奴ぁ生まれてこなきゃ良かったんよ。」
勇者「ッ!!!」
盗子「ちょっ、ちょっとそれは言い過ぎなんじゃないの!?いくらなんでも…。」
村人A「あ?んなこたねぇさ。奴ぁ「魔王」になったんだぜ?人間のクズさ。」
勇者「き、貴様…!僕の…僕の…!」
村人A「ん?なんだい、お前の何がどうした?」
勇者「僕の母さんを、悪く言うなっ!!」
盗子「わー!ゆゆゆ勇者ー!?」
村人A「か、か、か、「母さん」だとぉ!!?」

勇者「「魔法」の勉強に来たんだ。」
どう考えても無理があった。

 

2-163:舞踏〔13歳:LEVEL17〕
思わず感情的になってしまい、不覚にも村人に僕の正体がバレてしまった。
でも罪の無い村人を斬るわけにはいかない。悔しいけど逃げるしかないようだ。
というわけで僕らは、港へと急いだ。今ならまだ深夜便に間に合うかもしれない。
村人A「待てー!待ちやがれー!絶対船には乗らせねぇぞーー!!」
勇者「急いで!もう出港寸前だけど、チャンスだよ!乗れば逃げ切れる!」
盗子「ダメだよ勇者!なんか張ってる奴らがいるよ!さっすが田舎、情報早いよ!」
村人達「逃がさねーぞクソガキどもがー!!」
勇者「くっ、仕方ない!こうなったら僕が残って足止めを…」
栗子「ここっここは私に任せちゃってくださいな! 踊ってよ「機関踊草花」!!」
〔機関踊草花(ダンシング・フラワー)〕
野生の草花を加工し、カラクリ草花に変換したもの。
見てるとなぜか踊りたくなる。
機関技師が踊っている間、その効果は持続する。
マジーン「こ、これは…花か?一瞬でこれだけのモンを作り出すって…スゲェな。」
栗子「ささ、さぁみなさん!レッツ・ダンシーング!踊り狂えばいいんですよぅ!」
村人A「なっ、なんだよコリャ!?体が勝手に…!」
栗子「い行っちゃってください先輩!わわわ私のことは気にせずにぃー!」
勇者「く、栗子…。」

いや、そう言われてもさ。
勇者も踊りに夢中だ。

 

2-164:別離〔13歳:LEVEL17〕
栗子が出した変な草花の力により、急遽小さなダンス大会が開催された。
盗子「わっ、もう!やめたくても止まんないよー!なんなんだよコレー!?」
勇者「踊ってちゃ進めない、でも花が止まれば囲まれる…。一体どうすれば…!」
姫「甘いね勇者君。腰は、こうっ!だよ。」
勇者「な、なるほど。こうっ!か。」
盗子「どうでもいいからなんとかしてよ!!」
栗子「わーん!ごめんなさいー!わ私が浅はかでしたよー!!」
姫「大丈夫、私がなんとかするよ。 むー!あのお花ちゃん…「無視」!!」
姫は〔無視〕を唱えた。
奇妙な光が勇者達を包む。
盗子「…おっ、やるじゃん姫!なんか花の踊りが全然気になんなくなったよ!」
勇者「よし!姫ちゃん、栗子、マジーン、今のうちに行くよ!」
盗子「アレッ、アタシは!?アタシにも効いてない今の魔法!?」
栗子「わわ、私は無理ですよ!いいから置いて行っちゃってくださいなー!」
勇者「なっ…何を言ってるんだ!お前だけ置いて行けるはずが…!」
マジーン「オイ勇者!もう出発しちまった!でも今ならまだ飛び乗れるぜ!」
村人A「ま、待てー!逃げんじゃねぇよコラー!お礼も弾まれてねーしー!!」
栗子「け、賢二先輩に会ったら伝えてください!わ、わた、わた、わたた…わーっ!」
勇者「くっ…!」

何て伝えればいいんだ!
勇者は混乱している。

 

2-165:出航〔13歳:LEVEL17〕
栗子が犠牲になってくれたおかげで、僕らは無事に乗船することができた。
今からなら、夏にはタケブに着けるらしい。早く行って神の復活を阻止しなきゃ!
勇者「なんとか逃げられたね。結局、大雑把な話しか聞けなかったけど…。」
マジーン「まぁ、縁があればいずれわかるさ。気持ち切り替えて行こうぜ。」
案奈「あ、皆様ァ〜。大陸船にご乗船いただき〜誠にありがとう〜ございまァす。」
盗子「わっ、わー!なんで!?なんでまたアンタがガイドなの!?怖いよ!」
案奈「タケブ大陸にはァ〜「帝都:チュシン」〜、「シジャン王国」などがあり〜…」
盗子「ってシカトかよ!そんな急いで説明に入る必要性がどこにあんのさ!?」
案奈「この先にはァ〜多分「黄泉の国」も見えまァす。」
盗子「だからかよ!黄泉って「あの世」じゃん!またそんな危険な運転なの!?」
案奈「それでは〜本日の気まぐれ船長より〜、一言ご挨拶が〜ございまァす。」
盗子「「気まぐれ船長」て!そんな不安な存在に人生任したくないよ!?」
放送「みなさんこんばんは。私が今日の船長を適当に務めるよ。 呼ぶ時は…」
盗子「「適当に」て!ホントに気まぐれな船長さんかよ!」

放送「気軽に「姫ちゃん」でいいよ。」
一同「えぇーーっ!!?」
船はシージャックされた。

そして船は、黄泉の国へと進んでいく。

 

外伝(参)