第七章

 

2-106:意表〔12歳:LEVEL17〕
だいぶ上に進み、薄っすらと外のニオイがしてきた。出口は近い。 となると…。
勇者「この扉の先…恐らくそこに、奴は居ると思う。みんな準備はいいか?」
姫「うん。どうでもいいよ。」
盗子「どうでもよくないよ!一応命かかってんだから真面目にやってよー!」
勇者「そう気負うことないさ。敵は一人だ、安心していいよポチ。」
盗子「ついに「人」ですらなくなったよー!うわーん!」
勇者は扉を開けた。
群青1「…あ゛ん?やっと来やがったか。」
群青2「待たせやがって。」
勇&盗「二人いたーーー!!」
勇者は扉を閉めた。

 

2-107:血塗〔12歳:LEVEL17〕
扉の先には、なぜか群青錬邪が二人いた。僕は幻覚でも見たのだろうか。
いや、相手はコスプレーヤー…中身が違うだけの話だろう。まんまと騙されたよ。
こんなことで動揺するとは、僕もまだまだみたいだ。冷静になって戦わなければ。
ギィィィ…(開)
勇者「改めましてこんばんは群青錬邪!本日はお日柄も良くお前を倒す!!」
盗子「ゆ、勇者!?まだ動揺が抜けきってないよ大丈夫!?」
群青1「ヘッ、相変わらずいい度胸だな小僧。だがそれも今日までの話だ。」
勇者「…わかった。明日からはもっと悪い度胸になろう。」
群青2「そういう意味じゃねーよ!テメェらの未来は“アレ”だっつってんだ!」
勇者「アレって…? ハッ!あ、アレは…!!」
勇者は群青錬邪の指す方を見た。
血まみれの黄錬邪が転がっている。
勇者「き、黄色い人!?だ、大丈夫か黄色い人!? …いや、今は赤い人!」
盗子「色にこだわってる場合じゃないから!人として間違ってるからそれ!」
姫「そうだよ勇者君。間違ってるよ。」
盗子「ね!?そうだよね!?もっと言ってやってよ姫!」
姫「足して「オレンジの人」だよ。」
盗子「アンタに期待したアタシが間違ってたよ!」
勇者「…というわけでそろそろ心配しようと思うんだけど…大丈夫?黄色い人。」

黄錬邪「・・・・・・・・。」
返事が無い。ただの屍のようだ。

 

2-108:戦力〔12歳:LEVEL17〕
冗談で済むかと思ったのにそんなことはなく、黄色い人は本当に死んでいた。
どうやら僕が思っていたより敵は残忍な奴みたいだ。フザけてなんていられない。
勇者「き、貴様よくも黄色い人を…!それでも元仲間なのか!?外道め!」
群青1「逆らう奴は誰であろうと薙ぎ倒す…それが俺達のやり方なんだよ!」
群青2「道を分かった時から、どちらかがこうなる運命だったんだよ。ケッ!」
盗子「姫!アンタなんとかしてよ!「療法士」でしょ!?」
姫「…やってみたけどダメだったよ。ゴメンね、オレンジの人…。」
群青2「他人の心配してるヒマがあんのかオラァ!?俺ら二人に勝てんとでも…」
勇者「イキがっても無駄だよ。どうせ一人は影武者…実力なんてタカが知れてる。」
群青1「ギャハハ!違ぇよ。コイツは「写念獣」、言うなら俺の分身ってやつだ。」
勇者「しゃ、写念獣…!?」
〔写念獣(しゃねんじゅう)〕
触角に触れた人間の性質を写し取る魔獣。
装備も見た目だけなら真似ることができる。
絶滅危惧種なため、マニアの間で高く取引されるという。
マニアがどう使うかは、大きな声では言えない。
勇者(くっ、どうする!?あっちは二人…!)
盗子(←盗賊)
姫(←療法士)

こっちは…一人…。
勇者は今頃気づいた。

 

2-109:老化〔12歳:LEVEL17〕
二人の群青錬邪と一人で戦うことになった僕。こんな状況でモテても嬉しくない。
そして戦い始めて数分。おかしい、体が思うように動かない。これが呪いの力…!
勇者「ハァ、ハァ、疲れた…!息が…切れ…す、吸えない…!」
盗子「だ、大丈夫勇者!?そういやアンタ最近なんか息切れ多くない!?」
勇者「もう…ハァ、ハァ、歳なのかも…!」
盗子「いや、その線だけは無いよ!アタシらまだピチピチの12歳だよ!」
姫「私も…ハァ、ハァ、プリンが…吸えないよ…。」
盗子「プリンはストローで吸うもんじゃないから!行儀悪っ…てゆーか戦闘中っ!」
群青1「なんだよオイ、もう息切れか?逃げてるだけじゃ勝てねぇだろが。」
勇者「ハァ、そういうお前も、随分と大人しいじゃないか。そっちは、歳のせいか?」
群青2「フン、こっちもわけありでな。フルパワーは時間制g…いや、なんでもねぇ。」
盗子「バレバレだよ!そこまで言っちゃったらもう誰にでもわかるって!」
勇者「そういえば賢二から聞いた。黄緑のは血を吐いたって…。理由はそれか?」
群青1「…どうやらテメェらは知りすぎたみてぇだな。早めにケリつけるか。」
盗子「ど、どうしよう本気んなっちゃったよ!もうダメかもー!!」
姫「大丈夫盗子ちゃん、私がなんとかするよ! むー!「招待」!!」
姫は〔招待〕を唱えた。
教師「…ん?」
一同「うわぁーーー!!」
姫は悪魔の召喚に成功した。

 

2-110:本気〔12歳:LEVEL17〕
療法士なのに誰かを召喚しちゃった姫ちゃん。 このフードの人は一体…?
見覚えは無いけど、なんだか凄い悪寒がする。キャシーなんかプルプル震えている。
勇者「だ、誰なんだアンタは!?僕達の味方?それとも敵なのか!?」
盗子(プルプルプルプル…!(震))
教師「おや?しばらく見ないウチに色々と変わっちゃいましたねぇ勇者君。」
群青1「ま、またテメェか死神!今度は邪魔はさせねぇぞゴルァ!」
教師「やれやれ…。今はアナタ方の相手をしてる場合じゃないんですがねぇ…。」
群青2「なんだとぉ!?テメェ俺らを雑魚扱いす…ぐぼぅぁっ!!
教師は〔獄炎殺〕を唱えた。
写念獣の方は消し飛んだ。
群青「なっ…!そんな…一瞬で消し去っただと!?」
姫「脅威のマジックだね。」
教師「ふふふ。タネも仕掛けもありまセーン。」
盗子「そりゃ無いよね!ホントに消してんだもんね!」
群青「…やっぱ、テメェにゃ本気じゃなきゃ無理か…。 命を懸けなきゃよぉ!!」
群青錬邪は力を込めた。
取り巻くオーラが数倍に増えた。

勇者は驚いた。
盗子は驚いた。
群青錬邪は勝ち誇った。

教師は鼻で笑った。
姫はお茶をすすった。
群青錬邪は落ち込んだ。

 

2-111:黒幕〔12歳:LEVEL17〕
凄い魔法で、片方を一瞬で消し去ったフードの先生。この人…タダ者じゃない。
でもそのせいで、群青錬邪も本気になったみたいだ。これからは激戦必至だろう。
勇者「くっ、一瞬でここまで強くなるとは!一体何が…!?」
教師「バカなことを…。この急激なパワーアップ、「リミッター」を外しましたね?」
群青「ゲハハ!細く長くってのはガラじゃねぇんでな!」
盗子「リミッター…聞いたことある!実は人って潜在能力の半分も使えてなくて…」
教師「ハイ。しかしその力を無理矢理引き出せばどうなるか、わかりますよね?」
ピポーン!(押)
勇者「ハイ姫ちゃん!」
姫「わかりません!」
勇者「うん、可愛いから正解!」
姫「わーい。」
盗子「って空気読めよっ!!」
教師「しかし、リミッター解除には激痛が伴います。とても自分の意思でとは…。」
盗子「えっ!じゃあ誰かが裏で糸を引いてるってこと!?」
姫「これだから納豆ってイヤだよ。」
盗子「違うから!そんなネバッこい黒幕はありえないから!」
群青「さぁいくぜテメェら?俺にゃ時間が無ぇんでな。一瞬で消してやらぁ!!」
教師「下がっていなさいキミ達。今一度、戦い方というものを見せてあげましょう。」
勇者「ま、待ってくれ先生!ここは僕にやらせてくれ!お願いだ!」
教師「いや、しかし今のキミには荷が勝ちすぎる相手ですよ?」
勇者「それでも退くわけにはいかない。かつての勇者達が、そうであったように!」
親父は退きまくりだ。

 

2-112:流血〔12歳:LEVEL17〕
肉体の限界を越え、本気で討ちにきた群青錬邪。強い波動がピリピリ伝わってくる。
群青「特別だ。テメェらには俺の最大奥義を見せてやるよ。とくと見やがれっ!」
スゥゥ…(消)
勇者「なっ!?消え…!!」
群青錬邪は霞んで消えた。

「とくと見ろ」と言われても。
盗子「き、消えた!?コイツも桃錬邪みたく高速に移動できるってわけ!?」
教師「いえ、殺気も完全に消えている。これは「気功闘士」の成せる技ですね。」
声「ギャハハ!そうさ!俺は全てのオーラを操り、姿まで消せるのさ!!」
勇者「な、なるほど!オーラが無い奴は存在感が無い…だから消えられると!」
盗子「説明クサいよ!しかもなんか苦しい説明だよ!」
教師「まぁ元々オーラ無かったですけどね。」
声「う、うっさいわ!ほっとけ!」
教師「ふふっ。まぁ姿を消せたところで、たった一人で私に挑む…ぐっ!
何故か教師がダメージを受けた。

 

2-113:変身〔12歳:LEVEL17〕
どういうわけか、いきなりワキ腹から血を噴いた先生。噴水機能でもあるのか。
勇者「な、なぜだ!?奴の声はあっちから聞こえたのに! 飛び道具!?」
教師「ふぅ、油断しましたね…。どうやら先ほどの写念獣は…狩り損ねてましたか。」
盗子「えっ!写念獣も消えてたの!?ただのマネッ子なんじゃなかったの!?」
姫「ふはは。甘いわガキどもー。能力までも真似ちゃるのが写念獣でしたー。」
盗子「ってなんでアンタが解説してんの!?しかも何故か誇らしげに!」
群青2(お、俺のセリフが…。)
勇者「敵は二人…やはり僕にもやらせてほしい!片方は僕がなんとかする!」
盗子「危ないって勇者!大丈夫だよ、いざとなったら先生には幻術もあるしさ!」
教師「ん?あ〜…。 残念ですが、今はちょっと幻術は使えないんですよね〜。」
盗子「使えない!?な、なんでなんで!?」
教師「落としてきました。」
盗子「落とすなよ能力を!」
勇者「安心してくれタコ。一か八かだけど、僕に考えがあるんだ。」
盗子「タコ!!? …いや、えっと、でもどうすんの!?アンタ剣も抜けないのに!」
勇者「確かに今の僕には剣も抜けない。でも…「過去の人」なら!」
盗子「ハッ!それってもしかして、さっき覚えたっていう…!」
勇者は〔遺伝〕を唱えた。
先祖のオーラが勇者を包む。

勇者の体は厚い毛に覆われた。
勇者「ウッキーー!!」
盗子「えぇっ!?」
先祖にも程があった。

 

2-114:連撃〔12歳:LEVEL17〕
ウキャ、ウキャキャッ!ウキョッキョキョー、ウキャキャウキョキョウキョーー!!
勇者「ウッキャーー!!」
盗子「わーん!戻りすぎだよー!事態は更に悪くなったよー!」
姫「わかる勇者君?これが「お手」だよ。」
盗子「コラそこ!芸を仕込むな芸を!少しは状況察してよ!」
勇者「ウキャ!(お手)」
盗子「アンタもやっちゃダメ!!」
声1「よし、一斉にいくぞ!とっておきのヤツをお見舞いしてやるぞオラァ!」
教師「いえいえ、そんなお気遣いなく。」
声2「そっちのお見舞いじゃねーよ!こっちのお見舞いだぁ!必殺「群青大氣砲」!」
教師は〔反射鏡〕を唱えた。
声2「ぶばふっ!!
声1「なにっ!? は、跳ね返しただとぉ!?」
教師「やはりお見舞いに「お返し」は付き物ですよね。」
盗子「いや、「仕返し」だよねそれ!?似てるようで全然違うよね!?」
勇者「ウキョキャッキュキョーー!!」
ウッキー勇者の追撃。
群青2にそれなりのダメージ。

群青2は姿を現した。
群青2「ぐっ、しまった…! だが、まだこの程度じゃぶっ!
勇者「ウキャッキョー!!」
ドガシドガシドガシッ!(連撃)
群青2「え゛っ!?ちょ、ちょっと待ぶっ! こ、こういうセリフの時ってのばうっ!
ドガシドガシドガシッ!(連撃)
群青2「待つのがぶっ! お約束…じゃ…ぐぼっ!!
ドガシドガシドガシッ!(連撃)

群青2「…ぐふっ。(ガクッ)」
ウッキー勇者の空気の読めない攻撃。
群青2を撃破した。

 

2-115:偽者〔12歳:LEVEL17〕
気が付くと、なぜか群青錬邪が一体倒れていた。聞けば僕が殴り倒したらしい。
どうやら魔法はうまくいったみたいだ。ちっとも覚えてないから実感はゼロだけども。
勇者「な、なんとか倒せたようだね…。でも、コイツは一体どっちなんだろう?」
教師「偽者なら髪に紛れて触角があります。握れば元の姿に戻るはずですよ。」
姫「…えい。(盗子の前髪を)」
盗子「わ〜、元の姿に戻っちゃうぅ〜って誰が戻るか!ついには魔獣扱いかよ!」
勇者「覆面の上からでもいいのかな? よっと。」
勇者はそれっぽい箇所を握った。
群青2はゴリラ的な何かに変わった。
勇者「偽者だったか…。でも残るは一人、勝ちは見えたようなものだね。」
声「…ケッ!偽モン倒したぐらいで調子ん乗んな!?俺にはまだ究極奥…ぐふっ!
教師「おやおや、もう限界ですか?のんびりしてるからですよもう。」
声「ナメんな!そんな強ぇ結界に飛び込むほど俺ぁバカじゃねぇんだよ!」
盗子「えっ!結界張ってたの!?いつの間に!?」
教師「放っておけば自滅するんです、わざわざ構うのも面倒でしょう?ふふふ。」
盗子「さっすが先生!とってもスゴいよ!スッゴい外道だよ!」
群青「フン、もう隠れるのはヤメだ。十分な氣は練れた、最後の一撃をキメてやる。」
群青錬邪は姿を現した。
強大なオーラと共にこんにちは。

 

2-116:悪霊〔12歳:LEVEL17〕
なんと密かに氣を練っていた群青錬邪。最後の手段に出たっぽい。マズイなぁ…。
勇者「な、なんてオーラだ!そのために隠れていたのか…!」
盗子「きっと結界ごと吹き飛ばすつもりなんだよ!だ、大丈夫なの先生!?」
教師「いや〜、無理だと思いますよ。先生なにげにさっきの攻撃が効いてますし。」
盗子「マジで!?じゃあ先制攻撃しなきゃマズくない!?撃たれたら死ぬよね!?」
教師「ん〜。でもあのオーラを外から砕くのは少々骨ですねぇ〜。どうしますか…。」
勇者「くっ!僕にもっと力があれば…!」
姫「大丈夫だよ勇者君、私がなんとかするよ。 むー!「退散」!!」
姫は〔退散〕を唱えた。
群青「…ん?」
勇者「あ、あれ?退散…できてないけど…?」
盗子「ダメじゃん姫!失敗じゃん! や、やっぱ先生がなんとかし…って、先生!?」
教師は悪霊と認識された。

 

2-117:希望〔12歳:LEVEL17〕
姫ちゃんの魔法で先生が消え去った。なんか希望が絶たれた感じ。もうダメかも…。
盗子「姫ぇー!あああアンタ何してくれてんのさ!?おかげで大ピンチじゃん!」
姫「タネも悪気も無いよ。」
盗子「ちっとも謝ってるように聞こえないよ!」
勇者「本格的にマズいね…。何か回避アイテムとか持ってないのかジョンソン?」
盗子「ご、ゴメン!こんなことになると思ってなかったから、武器しか無いの盗子!」
姫「私もバーベキューセットしか持ってないよ。」
盗子「アンタ何しに来たんだよ!?」
姫「あとは…こんなのしかないよ。ゴメンね。」
盗子「えっ…こ、これって「魔導クジ」じゃない!?もしかしたら可能性あるかも…!」
〔魔導クジ〕
魔導符がランダムで入っているクジ。
ハズレが多いが、ごく稀にアタリが出ることもある。
群青「あん?なんか策でも見つけそうな感じじゃねぇか。ならさっさと殺すかぁー!」
盗子「わー!バレたー! ヤバいよ!もう何でもいいから使っちゃってー!」
勇者「こ、この魔法は…!」
群青「死ねぇええええええっ!!」

チュドォオオオオオン!!(轟音)
群青錬邪、必殺の攻撃。
辺り一帯が消し飛んだ。
群青「…ふふ、フハハハハ!やった!やってやったぜ雑魚どもがぁ! これで…」
声「ふぅ〜、危なかったよ。もうちょっとでアウトだったね〜。」
群青「なっ!?な、なんだテメェは!?何モンだ!?」

少女「アタシ?アタシは「姫子」。「盗賊」と「療法士」の力を持つ、美少女戦士だよ。」
なんと三人は合体した。

だが勇者の面影が無い。

 

2-118:観念〔12歳:LEVEL17〕
魔導符の力により、合体することに成功した勇者達。
展開的にそろそろクライマックスな感じだ。
群青「テメェ…さっきのガキに似てやがるな。変身でもしやがったのか…!?」
姫子「〔三位一体〕を使ったの。合体ロボに変形したんだよって誰がロボだよ!」
姫子の中で盗子と姫が闘っている。
群青「さ、三位一体…!?…だが小僧の面影は全然なくねーか?」
姫子「ノー!そんなことはないッキー!」
群青「そこだけか!あんな術の一部がアイツの全てか!」
姫子「それよりも、いいの?さっき攻撃外しちゃったよね。もうお陀仏さんだね。」
群青「…フッ、甘ぇな!一度放ったら技は終わりと思ったか!?」
姫子「えっ…?」
群青錬邪の再攻撃。
放ったオーラがブーメランのように戻ってきた。

姫子は攻撃を受け止めた。
そして回復しまくった。
群青「うぇっ!? う、受け止め…っつーか逆に回復してんのは何故だっ!?」
姫子「アタシは相手のパワーを盗んで回復できるよ。諦めて死ねばいいと思う。」
群青「くっ…グフッ! ち、チクショウもう…限界…かよ…。クソッ…!」
群青錬邪は観念した。

 

2-119:虫息〔12歳:LEVEL17〕
変身が解けた頃には、もう群青錬邪は虫の息だった。このままじゃ死にそうな感じ。
記憶には無いけど、コイツとは結構因縁があったと聞く。なんだか感慨深い。
殺すのは簡単だけど、できれば人は殺したくない。なんとかできないものだろうか。
勇者「…どう?今後心を入れ替えると言うなら…治療してあげてもいいけど?」
盗子「ちょ、なに言ってんのさバカ勇者!?敵なんだから放っとけばいいんだよ!」
群青「そうだ、放っとけ。俺の体は限界だ…げふっ! もう、助からねぇよ。」
姫「なんか寒いね。焼きイモ焼こうか。」
盗子「アンタは放っとき過ぎだから!」
勇者「じゃあせめて、これ以上苦しまないように僕が介錯を…」
群青「ハハッ、ナメんなガキが!誰がテメェなんかの手にかかって死ぬかぁー!!」
勇者「なっ…!?」
群青錬邪は自分の胸を貫いた。
群青「げはぁああっ! ハァ、ぶっ! ヘッ、俺は死ぬ…だが覚えてろよ小僧!?」
勇者「!?」
群青「アジトには…いるぜ?俺なんか、足元にも及ばないほど…面白い奴らが…。」
盗子「面白いのかよ!普通こういう時は「怖ろしい奴ら」を紹介するもんだよね!?」

群青「ふ…ふふ…。できるなら次は…もうチョイ華やかな…色に……。」
群青錬邪は息絶えた。

 

2-120:火葬〔12歳:LEVEL17〕
ついに倒した群青錬邪。でもよく考えると結局は自滅だった気がしないでもない。
その後僕達は、倒れた黄錬邪と群青錬邪を弔うことにした。敵も味方も関係なく。
勇者「燃やしてやろう。せめて最後くらい、赤い炎を身に纏うがいいさ。」
盗子「アタシらがもっと早く着いてれば、黄錬邪は…。グスン。」
勇者は火を放った。
二人の遺体は炎に包まれた。
姫「勇者君…。」
勇者「姫ちゃん…いや、悪いけどさすがにこの状況でイモを持ってこられても…。」
盗子「アンタ不謹慎だよ!てゆーか人と一緒に焼いたようなイモが食えるかー!」
姫「私じゃないよ。死んじゃってもね、お腹はすくと思うの。だから…」
盗子「姫…アンタ…。」
姫「だから…何?」
盗子「こっちが聞きたいよ!!」

〜数分後〜
勇者「じゃあ、そろそろ行こうか。先を急ごう。 二人とも、忘れ物は無い?」
盗&姫「うん!」
貧乏神はどうした。

 

外伝(弐)