第十章

 

136:強敵〔6歳:LEVEL2〕
いろんな意味でなんとか一命を取り留めた俺。だが戦況は芳しくない。敵は強い!
群青「ケッ、何度回復しようとも無駄だ。テメェらじゃ俺には勝てねぇよ。」
盗子「こ、今回の敵はなんか…今までとは違うね…。」
勇者「ああ、冗談が通じない。」
盗子「そこ!?いや、まぁそうだけど!そうじゃなくてホラ、強さとかさぁ!」
勇者「強さは俺の方が上だ!それは今から証明してやる!!」

勇者の攻撃。

暗殺美は30のダメージ。

暗殺美「しっ、しまっ…!」
勇者「借りは返したぞ!」
盗子「そんなの後でやってよ!」
群青「フンッ、その「後」なんてのは無ぇんだよ!!」

群青錬邪の連続攻撃。

勇者は20のダメージ。
盗子は30のダメージ。
暗殺美は30のダメージ。
巫菜子は間一髪で避けた。
姫はどこにいるのか。

巫菜子「ふぅ、危なかっ…え?……血…?(なっ…なにぃ!?)」
群青「ホォ、なかなかの身のこなしだが…次は頬に傷くらいじゃ済まないぜ?」
巫菜子「……あっ…うぅ…。」
群青「おっと、ビビッて声も出なくなったか小娘? グハハハハ!!」
巫菜子「・・・・・・・・。」


(−_−メ)ブチッ!(切)
群青「…ん゛?」
勇者「む!? (なんだ、急に雰囲気が変わったようだが…。)」

巫菜子「ブッ殺す!!!
一同「え゛っ!?」

巫菜子が本性を現した。

 

137:本性〔6歳:LEVEL2〕
血を見た途端、巫菜子がキレやがった。普段がブリッコなだけに変化が著しい。
巫菜子「もーいい!もーどうにでもなりやがれー!!ブッ殺してやるぁあああ!!」
暗殺美「ちょ、ちょっと落ち着くさ巫菜子!」
姫「粗茶ですが。」
盗子「それは落ち着きすぎだよ!」
群青「ケッ、ガキがいきがったところで所詮は雑魚…」
巫菜子「んだとぉ!?ならやってやるよ!出て来やがれ「大地の精霊」ども!!」

巫菜子は「大地の精霊」を呼んだ。

精霊はシカトぶっこいた。

巫菜子「な、なんで出て来ねぇんだよドチクショウがぁー!!」
暗殺美「まぁそんな呼び方じゃヘソも曲げるわさ。」
巫菜子「じゃあいいよ!みんなまとめてコイツ(銃)でハチの巣にしてやるぜ!」
暗殺美「勝手にまとめんじゃないさ!撃つのは敵と勇者だけでいいさ!」
勇者「いや、俺も省けよ!今は一応味方だ!」
暗殺美「フン、アンタなんか死ねばいいのさ!賢二君のカタキめ!」
勇者「つーか「巫女」が銃なんて振り回すな!その手に持った「錫杖」は飾りかよ!」
巫菜子「飾りだよ!!」
暗殺美「言い切ったよ!」
勇者「言い切るなよ!」
巫菜子「ウルセーよ!!」
勇者「ウルセーとはなんだ!」
暗殺美「ウルセーは無いわさ!」
群青「お、オイ…」
三人「ウルセーよ!!!」

群青錬邪はキレられた。
だが釈然としなかった。

 

138:約束〔6歳:LEVEL2〕
本来のキャラを忘れ、ブチ切れ続ける巫菜子。もはや敵よりタチが悪い。
巫菜子「ブッ殺ぉおおおおおおおっす!!」
盗子「勇者、早くなんとかして!とりあえず巫菜子を止めて!」
勇者「よし、任せろ!!」

勇者の容赦ない攻撃。
巫菜子に瀕死のダメージを与えた。

巫菜子「…ガッ……。(ぐったり)」
勇者「止めたぞ。」
盗子「止めすぎだよ!息の根まで止まりそうだよ!」
群青「オイ…もういいか?」
盗子「えっ!待っててくれてたの!?ひょっとしてヒーロー物のお約束!?」

群青「おかげで十分な氣は練れた。」

自分の都合だった。

 

139:窮地〔6歳:LEVEL2〕
ちゃっかり氣なんぞ練っていやがった群青錬邪。なんとも大ピンチだ。
一応まだ準備中のようなのだが、どんな技だかわからんだけに迂闊には動けない。
群青「さぁ、もうじき出来上がるぜ?必殺、「群青大氣砲」がなぁ!!」
勇者「(くっ、なんてデカい氣だ…!これじゃ逃げようも防ぎようも……無い!!)

〜その頃、別の穴で黄錬邪の手作り弁当を食べていた親父は…〜
父「ッ!!!」
黄錬邪「ど、どうかしましたかレッド!?」
父「い、いや、ちょっとイヤな予感が…な…。(なんてこった!死ぬほどマズイ!)」
黄錬邪「そうですか、気になりますね…。」
父「あ、ああ…だから食事はこの辺で切り上げないと危険だ!(私が!)」
黄錬邪「そうですね!じゃあ食べながら助けに向かいましょう!」
父「え゛っ!?あ゛っ…よ、よーし!父さん今いくぞ勇者ー!!(あの世に…)」

親父も大ピンチだった。

 

140:流星〔6歳:LEVEL2〕
次第に完成に近づいていく群青錬邪の必殺技。だが打開策は未だ思いつかない。
群青「ぬぉおおおおおあああああああっ!!」
勇者「や…ヤバいぞ!空気的にもうじき発射のお時間だ!」
姫「やっぱり夏は花火だよね。 ターマちゃーん!」
盗子「花火なんかじゃないってば!」
勇者「それに「タマちゃん」じゃなくて「たまや」だし、そもそも今は秋だ!」
法足「…やれやれ。ぼちぼち拙者の出番でござるかな?」
盗子「えっ、生きてたのアンタ!?どうやって!?」
法足「フフッ。拙者もハッタリだけで生き抜いてきたわけではないでござる。」
盗子「そ、そっか!そうだよね!」
法足「うまくいったでござるよ、「忍法:死んだフリ」。」
盗子「そんなのだけは使えるのかよ!」
勇者「う〜む…よし!やはり放つ前に殺るぞ!どのみち動かねば勝機は無い!」
法足「ならば拙者に任せるでござる! 究極奥義、「忍法:天翔る大流星群」!!」
盗子「絶対嘘だー!そんな壮大な名前、絶対ハッタリだよぉー!」


チュドーーーン!!(激突)
群青「グエッ!
盗子「まっ、マジで!?」

突如何かが降ってきた。
群青錬邪はプチッと潰れた。

盗子「まさか、ホント…に?」
法足「ハッタリでござる!えっへん!」
盗子「威張って言うセリフじゃないよ!」
勇者「な、なんだコリャ? 宇宙…船?」
?「ゲホッ、ゴホッ! うへー!死ぬかと思ったー!!」
暗殺美「えっ!ああああアンタは…!!」
勇者「お前…生きていたのか!!」
?「あっ!勇者君!?みんなー!会いたかったよー!!」

勇者「カルロス!!」
賢二「賢二だよ!!」

賢二が帰ってきた。

 

141:背後〔6歳:LEVEL2〕
凄まじく都合のいいタイミングで降ってきた賢二。生意気にもファインプレーだ。
勇者「い、生きてたのか賢二!よかったよ!」
賢二「…どうせ「どうでもよかった」とか言うんでしょ?僕にはわかっ…」
勇者「死んでりゃよかった。」
賢二「いくらなんでも酷すぎだよ!」
群青「ぐっ、うぐぐぅ…貴様…ら…グハッ!」
勇者「む?まだ生きてやがったのかこの平面ガエルめ。 ならば、とっととトドメを…」
?「おっと、それ以上動くと首が落ちるよ?」
勇者「ッ!!?」

桃錬邪が現れた。
勇者は首にナイフを突き付けられている。

勇者「き、貴様…いつの間に…後ろに…!?」
姫「いま流行りの背後霊ゴッコだね。」
勇者「ひ、姫ちゃん…今はそんな悠長な…」
桃錬邪「次の鬼はアンタね。」
盗子「乗っかるのかよ!アンタはノリノリ…てゆーかまさかホントに流行ってる!?」
桃錬邪「フフッ、アタシは群青ほど余裕無くはないんでね。冗談くらいは言うさ。」
父〔岩陰〕(フゥ、やっと着い…むっ、あれは桃錬邪!?いかん!勇者が危ない!)
勇者「…殺せ。」
盗子「ゆ、勇者!?」
賢二「そんな…!」
勇者「その二人を。」
盗&賢「自分は!?」
桃錬邪「あ〜、残念ながら期待には添えないね。 この場は群青を連れて退くよ。」
勇者「なに?なぜこんなチャンスをみすみす…」
桃錬邪「別に深い意味は無いさ。ただ初代レッドが来ると…チョイと厄介なんでね。」
勇者「む?なんだ貴様、まさかあんな奴を恐れているのか?」
父「(よーし、登場チャーンス!)おっと、悪いがもうここに…」

桃錬邪「いや、ウザいから。」

親父は泣きながら帰った。

 

142:撤収〔6歳:LEVEL2〕
絶好の攻撃チャンスを捨て、敢えて逃げるという桃錬邪。 恐るべし親父のウザさ。
そういやさっきその親父の声が聞こえた気がしたが、見当あたらんので気にしない。
桃錬邪「というわけでアタシらは帰るとするよ。 じゃあねボウヤ達。」
群青「お、覚えていやが…れ…!!」
勇者「バカが逃がすか!首からナイフが外れればこっちのもんだ!」
桃錬邪「まぁ焦るなよ、時期がくればまた会うことになるさ。 いずれ…ね…。」
勇者「なっ!待ちやが…」
プッシュウウウウウッ…!(煙幕)
勇者「チッ、煙幕か…!」
暗殺美「五錬邪…なかなか手強い奴らだったさ…。」
法足「でござったな…。」
勇者「フンッ、いつでも来るがいいさ。 次こそはこの俺がブッた斬ってくれる!!」
盗子「勇者…☆」

スゥウウウウゥゥゥ…(晴れていく煙)

桃錬邪「あ゛。」
一同「まだいたんかい!!」

桃錬邪はまだいた。

親父はもういない。

 

143:昇格〔6歳:LEVEL2〕
肝心な去り際をしくじり、心なしか恥ずかしそうに去っていった桃錬邪。
結局倒すことはできなかったが、まぁこの戦力で追い返せただけでも良しとしよう。
一同「今回はちょっと…ヤバかった…。」

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はレベル3になった。

強くなった。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

盗子はレベルが上がった。
盗子はレベル3になった。

強くなった。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

姫はレベルが上がった。
姫はレベル3になった。

なぜか強くなった。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

賢二はレベルが上がった。
賢二はレベル3になった。

強くなれ。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

暗殺美はレベルが上がった。
暗殺美はレベル2になった。

勇者しか攻撃してないのに。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

巫菜子はレベルが上がった。
巫菜子はレベル2になった。

だが先程から目を覚まさない。

 

144:三種〔6歳:LEVEL3〕
遠足も終わり、今度は体育祭がやってくる。 俺達の中で秋は最も忙しい季節だ。
教師「えー。今年の種目は、「借り物競争」「対抗リレー」「タマ入れ」の三つです。」
勇者「む?なんだ、今年は三競技しかないのか?やけに少ないな。」
盗子「多分、三つ以上やると犠牲者数がヤバいからだろうね…。」
教師「まぁ、ただ多ければいいというものじゃないですよ。要は質ですから。」
賢二「質ですか…。具体的にはどういうことなんでしょうか?」
教師「まず「借り物競争」競技者は、リアリティを追求して家や命を抵当に。」
盗子「一体何を借りる気だよ!?てゆーか競技後にすぐ返すってば!」
教師「また「対抗リレー」では、規定時間内に渡さないとバトンが爆発します。」
勇者「爆弾持ったチームメイトに追われるのか…。もはや誰が敵だかわからんな。」
姫「鬼ゴッコだね。頑張って逃げなきゃだね。」
賢二「この場合は逃げる方がある意味「鬼」だよね、味方見殺しだし…。」
教師「そして「タマ入れ」は、カゴの代わりに代表者を掲げ、銃弾をブチ込みます。」
盗子「そっちのタマかよ!物騒なのにも程があるよ!」
勇者「同情するよ、代表者。(賢二の肩に手を置きながら)」
賢二「やっぱり僕なんだね…。」
教師「どうですか?いい質でしょ?」
勇者「いや、「悪質」だよ。」

教師は(タチ)が悪い。

 

145:開会〔6歳:LEVEL3〕
そして始まった体育祭。 ぼちぼち一度くらい優勝しておきたいものだ。
まずはとりあえず、去年苦しんだ開会式を乗り越えなければならない。頑張ろう。
司会「プログラム1、「校長先生のお話」。」
勇者「さて、今年は一体何日粘るのやら。去年は三日だったしなぁ…。」
盗子「まさか…四日とか?」
校長「ガンバレ!」
司会「続きましてー…」
勇&盗「四文字!?」
司会「「選手宣誓」。生徒代表、六号生武史君。」
勇者「武史か…。なんかろくなこと言いそうにないのが見て取れるようだ。」
盗子「そ、そんなことないよ!お兄ちゃんだってきっと、ヤル時はヤル男だよ!」
武史「宣誓!我々選手一同は!」
盗子「ホラ!普通じゃん!(よかったー!)」
武史「スポーツマンシップに乗っ取ったり、乗っ取らなかったり!」
盗子「曖昧かよ!そこは素直に乗っ取れよ!」
武史「時として、豪華客船を乗っ取ったり!」
盗子「それはダメだってば!人の物は盗っちゃダメだよ!」
勇者「フン、「盗賊」が何を言うか。」
盗子「くっ…!」
武史「正々堂々! 盗子を守ることを…」
盗子「誓うな!!」
賢二「こんな痛いお兄さんがいたんだね、盗子さん…。」
盗子「うぐっ…。」
司会「では次は、「ラジオ体操」です。」
チャーン♪チャーラララララ♪チャーン♪チャーラララララ♪(前奏)
放送「腕をー、前から上に上げさせて「動くなテメェら!動くと撃つぞコラ!」からー。」
生徒「え!?あっ…う、動くなテメェら!動くと撃つぞコラ!」
放送「手足を撃つぞー!いち、に、さん、死ぬ?にぃ、に、さん、死ね!」

二時間続いた。

 

146:借物〔6歳:LEVEL3〕
ラジオ体操には時間を食ったが、今年は一応無事に開会式は突破できた。
第一競技は「借り物競争」。 一見簡単そうに見えるが、恐らく一筋縄にはいくまい。
勇者「俺の借り物は…む?なんだコリャ? う〜む…よし、親父に頼もう!」
父「おぉ、父さんに用か! じゃあ借り物は「尊敬する人」か?「ナイスガイ」か?」
勇者「安心しろ、死にはしまい。」
父「…え゛?」

紙には「内臓」と書かれている。

〔Case:盗子〕
盗子「えっと、借り物は何かなぁ〜?」

『ギロチン』

盗子「誰が持ってんだよ!!」

実は校長室にある。

〔Case:芋子〕
芋子「ワタイの借り物は…あ!これはワタイ、既に持ってるわ。このまま行こっと。」

『華』

芋子「ワタイほど華のある皇女はいないわ。」

失格。

〔Case:暗殺美〕
暗殺美「ったく、めんどいさ。 さて借り物は…」

『大好きな人』

暗殺美「いやぁ〜ん☆ムリムリ絶対ムリィ〜☆」

キャラがキモい。

〔Case:武史〕
武史「どれどれ、俺のは何…」

『豪華客船』

武史「そんなっ!」

時として乗っ取ったり。

〔Case:賢二〕
賢二「なんか嫌な予感しかしないんだけど…。」

『探さないで下さい。』

賢二「僕に…どうしろと…。」

賢二は警察に通報した。

 

147:見殺〔6歳:LEVEL3〕
借り物競争は予想通り一筋縄にはいかず、得点は低次元での大混戦となった。
そして次は「対抗リレー」。この競技の敵は、他の組ではなく「バトン」となるだろう。
父「ゆ、勇者…いくら要らん臓器とはいえ、校庭で盲腸の無麻酔摘出はどうかと…」
勇者「まぁいいじゃないか。おかげで全校で唯一、俺にだけ得点が入ったんだ。」
盗子「あ、あのさ…とりあえず勇者親父、早く縫合しないと死ぬと思うよ?」
父「うわぉ!まだ開いとる!!」
勇者「…さて、次の「対抗リレー」は各組四人選抜だが…誰を選ぶべきだろうな。」
賢二「うーん。足が速い人じゃないと、バトンつなぐ前に爆破だしねぇ…。」
少年「足の速さなら、この「飛脚」の「韋駄郎(いだろう)」に任せてくれ!」
勇者「うむ!じゃあ順番は、1:盗子、2:韋駄郎、3:俺、4:賢二で決まりだな!」
盗&賢「決まりなの!?」」
勇者「この場で死ぬか?」
盗&賢「決まりだよね!!」

教師「じゃあ、位置についてー! よーい…! チュドーーン!!(バズーカ砲)」
少年達「うっぎゃあああ!!
賢二「えぇぇっ!?当てた!?なんで狙ったの今!?」
勇者「今ので3チームは消えたな…。」
盗子「ひょえぇええ!!し、死にたくないよぉーー!!」

盗子は脅威の逃げ足を見せた。

勇者「おぉ、さすがは盗っ人。やはり逃げ足は速いな。」
盗子「バトーン!早くバトン受け取ってぇー!!」
韋駄郎「よし、ナイスタッチ! 行くぜ!うぉおおおおおおおっ!!」

韋駄郎は風になった。

賢二「速っ!これなら他のチームに抜かれる心配はまず無いよ!」
盗子「あ、あとは…ぜぇ、ぜぇ、時間との勝負…だね…。」
勇者「いいぞ!よくやった韋駄郎!さぁ、タッチだ!!」
韋駄郎「うん!後は任せ…え゛っ!?」

勇者は半周先を走っている。

 

148:急変〔6歳:LEVEL3〕
韋駄郎の奴が弾け飛んだおかげで、リレーの一位は六号生に獲られてしまった。
というわけで、優勝するためには次の「タマ入れ」を獲る必要性が出てきたわけだ。
武史「ハッハッハ!やはり残ったか三号生…さすがは盗子のクラスだぜ!」
勇者「確かに盗子も少しは頑張った。だが、今から大活躍するのはこの賢二だ!」
賢二「さよなら現世…。」
武史「なるほど、そいつがお前らの「標的」か。ウチのは標的は余一だぜ?」
勇者「おぉ、そりゃ何の惜しみも無いな。」
賢二「六号生にも、なんか僕と似たような扱いの人がいるんだね…。」
盗子「あ〜、確か「闘癌士」とかいう妙な職業の奴で…」
余一「最近は「肺ガン」とも闘っている。」
盗子「体育祭出てる場合なの!?」
武史「よし、勝負だ勇者!お前には負けねーぞ! 盗子は絶対に渡さない!!」
勇者「フッ、悪いがこっちも渡す気は無い。俺にとってもコイツは大事な…」
盗子「えぇっ!?ゆ、勇者、それって…それって…☆」

勇者「大事な標的だし。」
盗子「いつアタシになったの!?」

勇者は武史を脅す気だ。

 

149:脅迫〔6歳:LEVEL3〕
急遽「標的」を盗子に変更してみた俺。 これで武史を脅せば間違いなく不戦勝だ。
勇者「さぁ棄権しろよ武史。さもないと、大事な妹がハチの巣になるぞ?」
武史「なっ!?」
姫「ハチミツ…」
盗子「獲れないから!!」
余一「僕らのことは気にせず、棄権すべきだ。 命って、大事だから…。」
勇者「お前が言うと、重いんだか軽いんだかわからんセリフだな。」
盗子「お、お兄ちゃん…。」
武史「くっ、仕方ない。愛する盗子のためだ…。」
勇者「ハッキリ言え。でないと伝わらんぞ?」
武史「き、棄権するよ…。」
勇者「よっしゃー!!」

三号生が優勝を決めた

…かに見えた。

教師「閉会式は五日間です。」
一同「そんなっ!!」

全員リタイアした。

 

150:奪還〔6歳:LEVEL3〕
まさかのリタイアにより、体育祭の優勝はチャラになってしまった。やれやれだ。
そして季節は冬。本来ならば「地獄の雪山登山」の季節のはずなのだが…。
教師「残念ながら、今年の雪山登山は諸事情により中止になりました。」
生徒「ぃやっほーーい!!」
姫「カキ氷…。」
賢二「姫さん、そもそも雪はカキ氷との素材じゃないよ…。」
教師「実は今年の夏、我が校の「極秘書庫」から一冊の本が盗まれました。」
勇者「む? あ〜、まぁあのセキュリティじゃ盗まれても仕方ないだろうな。」
教師「いえ、本来あそこは強力な「式神」によって守られている場所なんですよ。」
盗子「えっ?でもアタシらが行った時には図書委員しかいなかったよ?」
勇者「つまり、俺らが入ったのはちょうど犯行直後だったっつーわけだな?」
賢二「つまり、その強力な式神を倒して本を奪った人が…今回の敵…と?」
盗子「つまり、雪山登山を無くす代わりに、その本の奪還作業にあたれ…と?」
姫「つまり、カキ氷はおあずけってこと?」
教師「そうです、カキ氷はおあずけです。」
盗子「そこだけ答えるの!?」
教師「奪還すべき本の名は…「拷問大全集」です。」

なぜそんな本が。

 

第十一章