第一章 |
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1:誕生〔0歳:LEVEL1〕 | |
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親父がRPG好きだっつーだけの理由で、「勇者」と名づけられた。それ役職だよ! 旅立つまでにコイツを殺す。そう誓った産湯の中。 |
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2:確信〔0歳:LEVEL1〕 | |
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母乳の代わりに「聖水」という親父の育児方針は、絶対間違ってる。 聖水がペットボトルで売ってるのは、もっと間違ってる(絶対ニセモノ)。 |
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3:衝撃〔1歳:LEVEL1〕 | |
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生まれてから一年が経過した。だが、母乳も飲まずに育ったのでどうにも貧弱だ。 仕方なく俺は、できうる限りのボディーランゲージを駆使して親父に訴えてみた。 するとなぜか理解したらしい親父。こいつ…タダモノじゃねぇ! 父「なぁ母さん、たまには勇者に母乳飲ませてやってもいいかもな。」 母「えぇ〜?でもアタシ母乳なんて出ないしぃ〜。」 |
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4:無駄〔1歳:LEVEL1〕 | |
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未来に待ち受ける冒険に新たな目標が生まれた俺。 それにしても迂闊だった。なぜ母親がすりかわったことに気づかなかったのだろう。 いや、現時点の知能の方がおかしいのかもしれない…でちゅ。 |
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5:驚愕〔1歳:LEVEL1〕 | |
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父「おぉ勇者よ、だいぶ大きくなったな!いいぞいいぞー!」 俺はもうじき2歳になる。そりゃ多少はデカくもなるさ。そんなにはしゃぐなよ親父。 父「あとは魔王さえ…いればなぁ…。」 え゛、いないの!? |
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6:苦悩〔1歳:LEVEL1〕 | |
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親父が召喚魔術の勉強をし始めた。 魔王を呼び出す前に殺すべきかもしれない。 |
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7:日記〔2歳:LEVEL1〕 | |
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偶然親父の日記を発見。悪いとは思いながらも少し読んでしまった。 日記『勇者が2歳になった。今後の成長も楽しみで仕方が無い。最愛の息子だ。』 親父…なにげに俺の健やかな成長を、真剣に願ってくれてるんだな…。 日記『父さんも頑張るよ、魔王の件。』 ダメだコイツおかしい。 |
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8:発言〔2歳:LEVEL1〕 | |
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俺ももう2歳だ。ぼちぼち言葉くらい発してもいいのかもしれない。 ホントは生後まもなく話せるようにはなった(気がする)のだが、まだ喋っていない。 未来の「勇者」として(今も勇者だが)、恥ずかしくない発言にすべきだと思うからだ。 いつか聞かれるかもしれない。それならば歴史に残るような第一声がいい。 ニュース「みなさんこんばんは。」 勇者「こんばん…ハッ!」 |
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9:家族〔3歳:LEVEL1〕 | |
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あっという間に3歳になった。俺は犬か!てな勢い。いやむしろそれ以上の早さだ。 するとその誕生日、親父が大きな包みを持ってきた。どうやらプレゼントらしい。 なにやら中でゴソゴソいっているので、ペットの類なのかもしれない。楽しみだ。 怪物「…ポピュ?」 勇者「!!」 怪物「ティペポピュ。ペポ。」 い、いらねぇ!! |
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10:家族〔3歳:LEVEL1〕 | |
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親父からの誕生日プレゼントは、ペットではなく怪物だった。 あの野郎、知らぬ間に召喚魔術を習得していたらしい。なんて早さだ。 怪物「ピパポプー!プー!」 勇者「…おい親父、一体どこから何を呼んだ!?」 父「コイツは不死鳥のように舞い、竜の如き力をもつ最強の召喚魔獣」 勇者「なっ…マジか親父!?そいつは心強ぇ!ナイスな相方をありがとう!」 父「…だったらいいなと思ってる。」 勇者「くたばれっ!!」 コイツじゃ話にならん。そう思った俺は「魔獣図鑑」で調べてみることにした。 いつか共に旅立つだろう仲間だ、ちゃんとした名前で呼んでやるべきだろう。 図鑑『学名:チョメチョメ』 うわー!呼びたくねー!! |
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11:友好〔3歳:LEVEL1〕 | |
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なんとも呼びづらい名前を付けられた我がペット。なぜか妙に恥ずかしく感じる。 だがまぁ今後強く育つことを期待して、とりあえず友好を深めておくことにした。 勇者「なぁお前、なんか得意技とかあるのか?」 チョメ「プティペポプ。ペポプ。」 勇者「じゃあ好きな食べ物は?」 チョメ「チュピポ。」 勇者「趣味は?」 チョメ「パプーピポー!」 あっはっは。まったくわかんねー。 |
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12:微妙〔4歳:LEVEL1〕 | |
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4歳になった俺は、この春から学校に行かされることになった。 来たるべき出陣の日に向け、できたらここで仲間の一人二人は見つけたいものだ。 すると早速話の合いそうな奴と知り合い、冒険談議に華を咲かせることができた。 少年「僕はいつか「賢者」になりたいんだー☆」 勇者「お、いいねぇ賢者!是非とも欲しい面子だよ!」 少年「うん。だから勇者君、旅立つ時は絶対僕も連れてってね!」 勇者「おうよ! あ、ところでお前…名前は?」 少年「賢二。」 |
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13:入学〔4歳:LEVEL1〕 | |
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そして入学式が始まった。 校長「みなさん入学おめでとう。早速みなさんには殺し合いをしてもらいます。」 |
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14:翌日〔4歳:LEVEL1〕 | |
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ウチの学校には「冒険科」というクラスがある。 魔王こそいないものの、悪さをする魔獣などは少なからず存在するからだ。 というわけで俺はその科に志願した。「勇者」として、冒険への知識は欠かせない。 教師「みなさん冒険科へようこそ。早速みなさんには殺し合いをしてもらいます。」 勇者「そればっかりかよ!」 教師「フフフ、冗談ですよ。(武器を配りながら)」 |
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15:安心〔4歳:LEVEL1〕 | |
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タチの悪いブラックジョークから始まった俺の学園生活。 ジョークで良かったがブラックすぎだ。4歳児には刺激が強すぎる。 しばらくは皆ビクビクしていたが、一週間もするとだいぶ慣れたようだった。一安心。 |
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