序章 |
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名前ってね、とっても大切なものだと思うの。人によっては人生が左右される程に。 え、私の名前?あ〜…いや、私はまだ生まれたばっかだから、ちょっと名前は… 看守「出ろ、5001番。」 幼女「ばぶ…。」 |
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物心ついた時、目の前にあったのは頑強な鉄柵。 初めて聞いた声は、警棒を持った屈強なオッサンのいかつい声。 そして極めつけは名前。名前が番号て。あ、もしや兄や姉が5000人…っているか! 父親だったら絶倫過ぎるし母親だったら肝っ玉母ちゃんにも程があるよっ! そんなこんなで2歳になったよ。 |
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看守のオッサン達の話をかき集めて推察するに、どうやら私は囚人みたい。 え、なんで?なんで生まれた時点で即囚人なの?私が一体何をしたってゆーの? 幼女「ハッ!ましゃか、うちゅくしさが…ちゅみ?」 看守「・・・・・・・・。」 メシ抜きはツラいよぉー。 |
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心の狭いオッサンのイジメで、餓死寸前に追い込まれた私。 でも世の中捨てたもんじゃないね。なんと、救いの神は隣の房にいたんだよ。 声「オーイ、生きてるかよ隣の?」 幼女「う゛ぅ…だ、だれか…いるの…?」 声「俺は6748番…いや、「トナリ」とでも呼べよ、隣人だしな。いま適当に決めた。」 幼女「そ、それがゆるしゃれるなら…わたしのおはかには「びじん」と…」 声「チッ…メシが要るなら「ワン」と鳴け。テメェの名前は今日から「タマ」だ。」 せ、せめて「ポチ」と…。 |
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隣人さんのおかげで、なんとか餓死は免れた私。不本意ながら名前もゲット。 でも話はそれだけじゃ終わらず…とゆーか、むしろここからが始まりだったの。 声「俺は3歳…もう長いことブチ込まれてる。理由は見当も付かねぇがなぁ。」 タマ「え…!6748ばんだと、わたしよりもこうはいなんじゃ…?」 声「番号の大小に意味はねぇよ。前の奴が死んだら使い回されてるみてぇだ。」 タマ「あ〜、えこのじだいだしね。」 声「いや、そういう意味じゃねぇだろ多分。」 タマ「さて、じゃあさっそくほんだいにはいるけど…どうだつごくしよう?」 声「だつ…えっ!?」 |
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てなわけで、まずはお互いの房を繋げるべく、毎日こっそり必死で穴を掘った私達。 そして1年が経ち、ついに穴は完成。脱獄計画実行の時は近い…って感じに。 トナリ「よっ!そんな顔してたのかタマ、なんだよ意外と可愛い顔してんじゃねぇか。」 タマ「トナリこそ…まぁ…うん、ね?」 トナリ「口ごもるなよ!好みじゃねぇなら素直にそう言ってくれよ逆に傷つくわ!」 タマ「いよいよだね…。でもどーする?いくらなんでも2人じゃ…」 ドゴッ! |
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男児「僕も行こう。話は密かに聞いていた、この時が来るのを待っていたよ。」 タマ「あ、アンタは…?見たとこ同年代っぽいけど…」 男児「僕は4699番。そうだなぁ…じゃあ僕はこう呼んでもらおうか、「パイオツ」と。」 |
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トナリと合流したら、人知れず反対側から壁を掘ってたらしい変態とも合流。 第一印象は最悪だけど、1人でも多いに越したことない状況だから妥協することに。 タマ「とはいえ、人数増えたところでどうこうできる檻じゃないし…参ったねこりゃ!」 トナリ「それなんだよな〜。なんとか看守に檻を開けさせ…ってのも危険だしなぁ。」 パイオツ「じゃあ僕に任せてもらおうか。いや、そんなことよりもっと僕の名を」 タマ「全力で無視しつつ聞くけど、できんの?1人でどーにかなるわけ…」 パイオツ「フッ…問題ないよ。なぜなら僕はちょっとだけ、特殊なんだ。」 知ってる。 |
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なんか私の思った意味とは違った意味で特殊っぽいパイオツ。 目をつぶって両手をかざすと、なんか冷気がほとばしっちゃってビックリ。マジでか! パイオツ「フッ、どうだい?この僕の…”氷”の力は?」 トナリ「な、なんだよそりゃあ気持ち悪ぃ奴だなオイ!それに寒ぃし!」 タマ「うん、存在が。」 パイオツ「ヒドい言われ様だね…まぁいい、とにかくこれで合い鍵が作れる。」 タマ「いや、でも何か凍らせなきゃでしょ?」 パイオツ「そうだね、確かに水分が必要だ。だから…うん、出して?」 コイツは出しちゃダメだ。 |
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ド変態をトナリとボコッて涙で合い鍵作って、なんとか独房からは脱出できた私達。 タマ「でも大変なのはこっからだよね…あ、自慢じゃないけど私ってば弱い子だよ?」 パイオツ「僕も残念ながら、人を凍死させるレベルの冷気はまだ身に付けてない。」 トナリ「フッ…じゃあ今度は俺様の番だな。実は俺も、ちょいとばかし特殊でねぇ。」 タマ「軽蔑する。」 トナリ「コイツと一緒にしてね!?いやいや違ぇよ!?意味違ぇよ!?」 看守「なっ…!?き、貴様らなぜ牢の外にぐわふぅううううう!!」 |
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トナリ「俺の能力は”風”…どうやら俺は、風を自在に操れるみてぇでな。」 パイオツ「パンチラ天国。」 タマ「超軽蔑する。」 トナリ「だーかーらぁー!!」 |
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トナリにも変な力があったみたいで、看守のオッサンもノックアウトできて一安心。 タマ「よーし、なんかイケそうな気がしてきた!この3人ならきっと…!」 トナリ「いや、オメェ何もしてねぇだろ。」 声「ちょっと!ちょっとアンタ達!ウチも助けなさいよマジでちょっとマジで!」 トナリ「あ゛?なんだよテメェ?」 女児「逃げるんしょ?だったらウチも連れてっちゃいなよ!力になるよマジで!」 タマ「えー。なんか期待できないー。」 トナリ「だからオメェが言うなよ! で?テメェは何モンなんだよ?」 女児「ウチ?多分だけどみんなと同じよマジで。番号は2581番、名前は…ん〜…」 タマ「よろしく「マジデ」。」 女児「マジで!?」 |
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うるさいマジデも仲間に加えて4人になった私達は、地下牢から上へと全力疾走。 タッタッタ…(走) マジデ「ちょっとずつ明るくなってきたし!もう外が楽しみでしょうがないよマジで♪」 パイオツ「ああ、僕もワクワクが止まらない。」 タマ「アンタは怖いからワクワクしないで!」 パイオツ「まぁそう嫌わないでよ。あんな地獄で育った仲だ、どうせなら4人全員…」 トナリ「いや、風のニオイが確かなら…いたはずだぜ?思ったよりも、たくさんなぁ。」 〜その頃〜 看守A「だ、ダメだどこにもいない!そんな…あんな幼児どもが…!」 看守B「くっ、こっちもだ…!仕方ない、早急に「獄長」に伝えぐぁあああああ!!」 |
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看守A「なっ…ハッ!貴様は”火”の…!」 男児「来るの遅いわ〜アンタら。もう他の何人かどさくさ紛れに逃げてもうたで?」 看守A「なんということだ…!まずい、”被検体”が逃げたとあっては…!」 男児「おっ!せやねんそれやねん! なぁオッサン、ワイらは一体…何者なんや?」 看守A「い…言えん!貴様らの存在は宇宙機密…」 男児「…あっそ、ならええわ。外に出れば他にも…知っとる奴はおるやろし。」 看守A「え…いや、ちょ、待っ…ぎゃああああああ!!」 |
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イケそうな気がしたのも束の間…階を増すごとに敵が増えてきてもう限界。 兵士A「さぁ逃げられんぞクソガキども!大人しく捕まりやがれぃ!」 タマ「くっ、こうなったら私の色香で…!」 トナリ「いや、おしゃぶり取れてねぇ分際で何言ってんだよ!通じるわけねぇだろ!」 パイオツ「ならば僕が一肌脱ごう、物理的に!」 マジデ「いらんからマジで!何よその「むしろ見せたい」的な感じ!?」 タマ「でも、こんな大人数相手じゃ…」 パイオツ「むしろ少ないと思うけどな。これ程の監獄なら、もっといてもいいはずだ。」 タマ「急に真面目にされるとなんかムカつく。」 パイオツ「僕はどうすれば…」 大男「何もせんで良い。お前達はあの地下牢で静かに生き、そして死ぬのだ。」 |
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兵士B「ご、獄長…!」 タマ「ちょう…!聞くからに見るからに大ボスの予感が…!」 獄長「恨むなら持って生まれた運命を恨め。逃がしはせぬぞ、呪われし子供達よ。」 |
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偉そうに現れた、「獄長」とかいうオッサン…名前も見た目もとにかく強そうで怖い。 トナリ「チッ、マジィな…どう考えても勝てねぇって風を感じる。どうするタマ?」 タマ「自慢じゃないけどノープラン!」 パイオツ「ここで死ぬのか…。外のバラ色の世界を見ることも叶わずに…。」 マジデ「諦めちゃダメだしマジで!それに、いくらなんでも殺されは…」 獄長「残念だが、それは甘い考えだ。」 マジデ「え…」 |
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トナリ「なっ!?マジデ…!」 タマ「マジでっ!?」 獄長「逃がすくらいなら殺す。外の世界に出せば、いずれ大きな脅威となるだろう。」 |
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巨体のくせに一瞬で背後に回った獄長の一撃で、人じゃなくなっちゃったマジデ。
えっ、「これから4人で冒険だフラグ」が立ってたんじゃないの!?違うの!? タマ「ど、どーしよ…このままじゃ全員…殺される…!」 パイオツ「…ならばここは僕が食い止めよう。だからキミ達は…行ってくれ。」 トナリ「バカが、勝てるわけねぇだろが!なにカッコ付けようとしてんだよ!」 タマ「そうだよ今さら手遅れだよ!」 パイオツ「フッ…。ねぇタマちゃん…もしも生きて出られたら、僕と(ぐしゃっ!)」 |
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タマ「ぱ…パイオツゥーーー!!」 獄長「な、なんて単語を大声で…はしたない。」 タマ「違うもん下ネタじゃないもん!名前だもんっ!」 獄長「それはそれでどうかと。」 兵士B「ご、獄長!殺してしまっては今後の”研究”に支障が…!」 獄長「問題無い。最も素養のある…”星”を持つ者達さえいれば、まだ続行可能だ。」 トナリ「け、研究?星…?一体何の話だよテメェ!?」 獄長「フン、貴様らには関係の無い話だ。」 声「…いや、関係無くはないだろ?むしろ思いっきり、関係してるじゃないか。」 獄長「むっ、貴様は…!」 女「解放しにきたぜ。失われし古代の力、「天力(テンリョク)」を持つ…その子達をな。」 |
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絶体絶命かってところで現れたのは、どうやら味方っぽい謎の女の人だった。
タマ「お、おネェさんは味方…だよね?助けてくれるの!?」 女「ああ、任せてくれ。私もこの日が来るのをずっと待ってたんだぜ?」 獄長「そうか、やけに大人しく捕まったと思ってはいたが…そういう理由だったか。」 トナリ「や、やれんのかよ!?アンタならこの化け物に、勝てるってのかよ!?」 女「フッ…大丈夫、秘策はあるんだ。」 獄長「まずは貴様を…葬らねばならぬか。「奴隷解放軍総長:土男流(ドオル)」よ。」 |
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タマ「あっ…!」 |
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