雑談

 

クリスマス
赤池「来ちゃうな…。」
植田「ん?どうした赤池、何かまた良からぬ発想に辿り着いたか?」
赤池「いやぁ、もう少しじゃん?クリスマス。」
植田「あ〜…なるほど確かに来ちゃったなこの話題。絶対面倒な流れになるなこれ。」
赤池「実は俺…サンタなんだ。」
植田「そっちか。そっちに行っちゃったか。『カップル撲滅』的な流れに行く感じじゃなかったんだな。」
赤池「春風亭サンタ。」
植田「しかも思いっきり日本人じゃないか。どう聞いても落語家的な何かじゃないか。」
赤池「熱い熱湯をかけましてー」
植田「っていきなり謎かけ開始か。しかもなんで「を」なんだ。落語家とリアクション芸人を混同するな。」
赤池「この粉末を溶く。その心は?」
植田「コーンポタージュ。」
赤池「つまり、俺はサンタクロースなんだよ。」
植田「何がどうなると「つまり」なのかは置いといて、まぁもういいや続きを聞こうか。」
赤池「実は近所にさ…孤児院があるんだ。」
植田「へ…?それじゃお前、まさか…」
赤池「そう。そこでもらったんだ、そのコーンポタージュ。」
植田「一瞬でもドラマティックな何かをお前に求めた数秒前の自分を殴りたいわ。」
赤池「その時さ、子供らが言ってたんだよ。「サンタなんかいない」ってさ。」
植田「諦めた矢先に期待通りの方向に向かうのか。ホントめんどくさいなお前。」
赤池「だから俺は言ってやったのさ。「サンタはいるよ、君の…コタツの中に」ってな。」
植田「怖いわ。それ普通にただの変質者じゃないか。そこは『心』だろ流れ的に。」
赤池「なんかさぁ、それ聞いて俺悲しくなっちまったんだよ。普通サンタ信じるだろ?」
植田「あ〜…まあな。最近の子は冷めた子が多そうなイメージはあるけどさ、やっぱ子供には信じててほしいと思うわ俺も。」
赤池「だろぉ?信じてる俺の立場がねぇよ。」
植田「いや、お前は早く目を覚ませよ。」
赤池「はぁ?何言ってんだよお前、サンタはいるよ。ただちょっと忙しいだけなんだ。」
植田「それはお前、親が子供を説得する時の言い訳の一つで…」
赤池「あ、でも大丈夫。『カム送り』『サムターン回し』『三角割り』…技術は日々進歩してるから。」
植田「それ『空き巣』の手口じゃないか。どんだけ無理矢理押し入るんだお前の中のサンタは。」
赤池「だってしょうがないだろ?今の日本で煙突があるなんて…ハッ!まさか…!」
植田「いや、来ないぞ?煙突用意しても来ないからな、念のため言っとくが。」
赤池「…そう、来なかった。今まで一度も…。だからこそ俺が、なるしかないんだよ!」
植田「ん〜、『孤児院』の段階でそう言われたら少しは見直したんだが、『手口』聞いた後だしなぁ…。」
赤池「でもなぁ〜、ちょっと動き始めるのが遅かった気がするんだよなぁ〜。」
植田「そうか?まだ一ヶ月はあるんだし、今から準備すりゃなんとかなるだろ。」
赤池「ハァ…やれやれ。お前さ、ナメてるだろ?職人を甘く見るとか最悪だぞ?」
植田「いや、お前の方が最悪だよ。なぜ空き巣の技術を磨こうとするんだ。」
赤池「当日失敗すると困るから、できれば何日か前から前乗りしときたいなぁ。」
植田「しかも潜伏する気なのか。もはや空き巣を越えてるぞそれ。」
赤池「うん、行くならイヴイヴ…いや、更に余裕を持ってイヴイヴイヴ…も一つオマケに」
植田「オマケとかいらねぇよ。そもそもなんだそのイヴの嵐は。」
赤池「いや、なんかイヴの数だけ強くなれそうな気が。」
植田「お前はどこの岡本真夜だ。なんかちょっと懐かしいわ。」
赤池「アスファルトに咲く花なんて、所詮雑草なのになぁ?」
植田「同意を求めるな。歌詞にツッコミ入れ始めたらキリがない世の中だろうが。」
赤池「つーかさ、なんでみんな『イヴ』に盛り上がってんだろうな。イヴばっかもてはやしてさ、ケーキ食ってさ、肝心のクリスマスには何もしない奴とかいるじゃん。おかしくね?」
植田「あ〜…いや、別におかしくもないんだよそれ。」
赤池「なにぃ?なんだよイヴをかばう気か?なんだお前アダムか?」
植田「そっちのイヴじゃねぇよ。そうじゃなくて、まぁ暦の違いの話だよ。ユダヤ歴では日没で一日が終わるからさ、グレゴリオ暦で言うところの24日の夕方からがクリスマス…つまり、『イヴ』ってのは『クリスマス・イヴニング』からきてるんだわ。だからさっきの『イヴイヴ』って表現は違っ」
赤池「ところでさ、お前だったらプレゼント何がいい?」
植田「今の頑張りを返してくれ。長々と説明した俺の無駄な努力を。」
赤池「よしっ、じゃあちょっとシミュレーションしてみるか!」
植田「うわ、やるのかよ…。めんどくさいが、どうせ止めても無駄なんだよな…。」
赤池「まずはこう、バーナーでガラスを加熱…そして、十分に熱を持ったら霧吹きで水をシュッ!ってかけるとガラスがピシッと…!」
植田「お前それ『焼き破り』じゃないか。なんでそんなに空き巣の手口に詳しいんだ。」
赤池「そうやって俺は潜入に成功。だが安心したのも束の間、突如鳴り響く警報。チッ、しまった…赤外線か…!」
植田「なんで孤児院にそんな大掛かりな仕掛けがあるんだ。どんな要人がいるんだよ。」
赤池「いや、ヒーター的な。」
植田「それ『遠赤外線』だろ。言葉の響きだけで無駄に妄想を広げるな。」
赤池「そして迫り来る警備員。だが俺は捕まるわけにはいかない。そう、子供達が俺を…サンタを待っているからだ!」
植田「子供達のためを思うなら、お前はすぐさま捕まるべきだと思うんだが。」
赤池「くっ、だが少し血を流しすぎたぜ…。雪に紛れやすいよう白一色でキメてきたのに、こんなに真っ赤に…!」
植田「新たな説を作ろうとするな。そんなドス黒いのが真実だったら泣くぞ子供。」
赤池「ハッ、まずいアッチからも…!仕方ない、あそこに隠れるしか…!」
植田「隠れるって…ドコにだよ?」

赤池「コタツの中に。」
植田「無理があるわ。」