怪人エロスさん |
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あの人のおかげで、僕らは色々なことを知ったんだ。 ためになったことや、ちょっと知りたくなかったこと…色々と教わった。 もう会えないかもしれないけど、できるならこの思いを伝えたい。 ありがとう、エロスさん。 |
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ウチの学校に、新しい先生が赴任してきた。主担当は保健体育。 前の学校では、なんと「エロスさん」とか呼ばれていたらしい。一体どんな変人なんだろう。 「みなさんこんにちは、新任の『江戸スガオ』です。好きな装備は『ガーターベルト』です。」 え、エロスだ…! |
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新任の挨拶から、とんでもない発言をブッ放したエロスさんこと江戸先生。 いくら性に目覚め始めた中学生とはいえ、いきなりそれはドン引きだった。 だけど… 彼が去り際に放った一言は、僕達を性に走らせた。 「俺のエロ本か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世のエロスをそこに置いてきた!」 そして僕らは、『大風俗時代』に突入した。 |
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その衝撃さゆえ、その日の昼休みはエロスさんの話題で持ちきりだった。 そしてガキ大将キャラである『勇馬』の発案で、誰かが保健室へ乗り込むことになった。 目的はもちろん先生のお宝の場所。そのためにはまず、先生の分析が必要だからだ。 決議は膠着し長時間に渡ったが、ついに、ある一人の勇者が名乗りを上げた。 彼の名は『太一』。クラスでも人一倍性に興味津々な、ちょっとしたデブだった。 「俺、この作戦がウマくいったら…亜美ちゃんに告白するんだ。」 そんな見事な死亡フラグを残し、教室から去っていった彼…。 背中を見つめる亜美ちゃんの冷たい視線が、今も忘れられない。 |
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太一が教室を出てから、僕らはどんな展開になるのかを皆で予想しあった。 挨拶はあんなだったけど、意外とまともなんじゃないかという意見が多かった。 怒ったりしそうな怖いキャラにも見えなかったし、案外協力的なのかもしれない。 というかそもそも、先生なんかを怖がるほど最近の中学生はヤワじゃないんだ。 などと話しているうちに、勇者太一が帰還した。 彼は俯き押し黙り、そしてポツリとこう言った。 「…オッパイ揉まれた。」 こ、怖ぇ…! |
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皆の予想の枠を超える反応をかましたエロスさん。でもまだ僕らの敗北は決まってない。 『デブ=オッパイ揉まれる』の方程式は証明済み数式…別に驚くべきことでもないんだ。 僕らの考えを察知して、ちょっとビビらそうとしただけかもしれないじゃないか。 「部屋に入った時さ、なんか真剣な顔で辞書の淫語に…赤線引いてた。」 やっぱり怖ぇ…! |
- 続 - |
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