Dream House

 

1
ウチの親父は変人だ。世界中を巡り、いつもドコからか勝手に何かを拾ってくる。
おかげで我が家は変な物で溢れかえっていて、近所では「夢の家」と呼ばれてる。
ガラガララ…(玄関)
少年「ただいま〜…って、あれ?なんだよ帰ってたのか親父。どうりで物がまた…」
父「ん〜?よぉ「滝彦(タキヒコ)」、久しぶりだなぁ〜3年ぶりか。元気だったか?」
滝彦「ま、親父ほどじゃないけどな。どうせまた元気に変な物拾ってきたんだろ?」
父「オイオイ、変な物とは随分だな〜。」
滝彦「まぁもう今さら驚きゃしないけどな。」
 そう言って滝彦はお茶を飲んだ。
父「だってよ、良かったな☆」
赤子「ばぶ。」
 そして盛大に吹いた。

 

2
俺は「瀬川滝彦」。ただでさえ悩み多き高2男子なのに、親のせいで悩み倍増だ。
ある程度のことじゃ驚かない自信はあったけど、今回の拾い物はさすがに驚いた。
滝彦「オイこらクソ親父、それは一体どんな冗談だ?まさか弟とか言わねぇよな?」
父「拾った。」
滝彦「だからってそれも違ぇだろ!」
父「なぜ山に登るのか…そこに山があるからだ。ではなぜ物を拾うのか、それは」
滝彦「テメェがバカだからだよ!なんでそれに気づかない!?もういい歳だろ!」
赤子「ばぶ!」
滝彦「お前じゃねーよ!お前はまだまだ人生これからだよ!」
父「え、マジで〜?父さん照れ」
滝彦「テメェは死ねっ!!」
滝彦は気苦労が多い。

 

3
ダメだ。わかっちゃいたが、やっぱこの親父はダメダメだ。また説教するのか…。
滝彦「ハァ〜もう…なんでこう、毎度毎度飽きもせずいろんな物を拾ってばかり…」
父「フッ、俺だって拾うだけじゃないぜ?自慢じゃないが母さんには捨てられた。」
滝彦「ホントに自慢じゃねーよ!何が原因で捨てられたかわかってねぇのか!?」
ピポーン!
赤子「ばぶっ!」
滝彦「だからお前じゃねーってば!ってかその回答ボタンどっから持ってきた!?」
父「オ〜なんだ、もう仲良しさんかよ安心したぜ。これで安心して任せられるわ。」
滝彦「ちょっと待て!俺としては安心どころか超不安な展開が頭をよぎったが!?」
父「じゃ!」
滝彦「ちょっ…!」
父は風のように去っていった。

 

4
見知らぬ赤ん坊を残し、クソ親父はまたどこかへ行っちまった。俺はどうすれば…。
滝彦「ハァ〜…参った。マジ参ったわ…。なにコレ、どうすりゃいいの…?」
プルルルル…(電話)
滝彦「ん…ハイもしもし?」
電話「お掛けになった電話番号は…」
滝彦「ってテメェが掛けてきたんだろうが! ったく、なんだよ「雅夫(マサオ)」?」
電話「いや〜、ちょいと欲しいパーツがあってさ。お前んちならあるかなぁと。」
滝彦「あ?親父のゴミ山なんていちいちチェックしてねぇよ。勝手に探しに来いや。」
電話「オケ。あぁ、姉ちゃんも連れてっていいか?」
滝彦「却下する。なぜなら心底ウザいから。」
電話「わかった言っとく。姉ちゃん喜ぶわ。」
滝彦「喜んじゃうのかよ…。もう俺にはどうしようも無ぇわ…。」
電話「そうだ、途中でコンビニ寄るけど何か要る?」
赤子「ばぶ。」
電話「わかった買ってく。」
滝彦「何をだっ!?」
入浴剤だった。