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息を殺してババア宅を離れ、生まれたての小鹿のようにプルプル震える足でなんとか炊事場まで戻った俺だが、当然のごとく夕飯の時間は過ぎていた。こうなったら仕方ない、後で雑草でも食おう。
〜キャンプ場:大広場〜
ザッ(足音)
翔太「…むっ、その気配…小久保か?」
圭子「えっ!なんでわかったの!?背後から迫ったのに…。」
翔太「フッ、今の俺は空腹のあまり五感が研ぎ澄まされてる。迂闊に近寄らないことだ。」
モテ王「つまり、今なら服の上からブラの色がわかると?」
チョコ「アンタは常日頃から近寄んないで。」
圭子「そっか、結局お婆ちゃんとこでは食べれなかったんだね…。念のため深くは聞かないけども。」
チョコ「ん、何かあったのぉ翔ちん?ちなみに夕飯はぁイノシシ超ウマかったよっ☆」
翔太「確実に知ってて言ってるだけにタチが悪いな。いや、俺も同じことする自信はあるが…って、ところで今から何が始まるんだっけ?」
葵「あ〜、今は『キャンプファイアー』の準備中だよ。でももう終わったし、そろそろ始まる感じかなー?」
翔太「そういやあったなキャンプファイアー…。総勢1200人が一同に会し、炎を囲んで踊り狂う狂気の祭典…ちょっとした宗教みてぇだな。」
チョコ「しかもこのガッコだもんね…絶対、何か良からぬイベント仕込んでくるよ。」
翔太「なんだ、ワクワクするんじゃないのか?」
チョコ「いや、私Mじゃないし。“他人の不幸で飯がウマい”なタイプでしてよ?」
翔太「だからお前は俺か?」
圭子「まぁとりあえず、大惨事にならないことを祈るしかないね…。」
青木先生「おいーーっす!準備はいいかガキどもぉおおおおお!?」
翔太「ッ!!来やがったなヤッさん…!さぁなんて吼えやがる…!?」
青木先生「今からテメェらお待ちかねのキャンプファイアー始めんぞー。内容はまぁ…一言で言うと、『告白ターーーーーーーーーーイム』!!」
大惨事の予感が。

 

82
ヤッさんの説明によると、これから行われるキャンプファイアーは、5人の異性からアドレス聞けた者から退場できるという恥ずかしがり屋殺しのシステムらしい。めんどくさくはあるが、まだ2人にしか聞けていない俺にとっては救いの一手とも言える。
翔太「やれやれ異性5人か…。でもまぁお膳立てはできてるわけだし、聞くだけなら」
青木先生「ちなみに制限時間は二時間。なお最後の1人とは、その後30分間の『デートタイム』を強制すんぞー。」
モテ王「で、ででででデートォ!?そ、それはつまり、俺の“オクラホマミキサー”が女子の“マイムマイム”に…」
青木先生「意味はさっぱりだがとりあえずテメェ、卑猥なマネしやがったらキャンプ場どころか“火葬場”でファイアーされるハメになんからなぁ?『隠密部隊』はそこかしこに隠れてんぞー。」
圭子「い、一応身の安全は保障されてるっぽいけど、相手選ばないとツラい30分になりそうだね…。」
葵「別の意味でも相手は選ばないと、いつかアドレス消されちゃいそうだしね…。」
翔太「もはや『隠密部隊』の存在に突っ込まないあたり、お前らも相当染まってきたな…。」
チョコ「ちなみにヤッさーん、時間切れの場合はどうなんのー?」
青木先生「あー?あぁ安心しろ、学園側からは特に無ぇよ。そもそもは奥手な奴への救済イベントだしなぁ。だがしかし…この貴重な夜の時間を無駄に二時間潰すことによって何が起こるのか、何を失うのか…それは後で、知ることになるだろうよ。」

後で…か…。
翔太は順平の顔がよぎった。

 

83
そんなこんなで始まったキャンプファイアー。さっき順平先輩が夜に何かやりそうなこと言ってたのを考えると、早めに戻って身を守る準備が必要だ。
翔太「やれやれ、始まっちまったな…。やっぱあのフォークダンスの流れに乗るのが一番入りやすいのかなぁ?」
チョコ「んー、でも逃げ損ねたら二時間回りっぱだよ?バターになんない?」
翔太「バターか…腹が鳴るな…。」
圭子「なんだかんだ言いながらいつも余裕あるよね二人とも…。心臓“鉄”でできてるの?」
翔太「あ?お前はどこを見てるんだ、俺なんてまだまださ。“アレ”を見てみろよ。」
モテ王「す、すすすみません!ぼ、僕と“繁殖”を前提に」
女子A「い、いやぁああああああ!!」
翔太「アイツしばらく泳がしといた方が、なにかとハードル下がりそうだな。」
圭子「アレは確かにちょっとね…あ、でもあっちは別の意味で凄くない?」
女子B「ねぇねぇキミ、おネェさんと踊る?踊っちゃう?」
葵「え、あ、いや、ちょっ…」
女子C「キャー!照れてるぅ〜!可愛い〜〜☆」
圭子「あの母性本能くすぐりまくりな感じ…。」
チョコ「いや、むしろ“飼い主”の心境じゃない?」
翔太「多分“名前”言ったらみんな離れてくぞ。やってみっか?」
圭子「それ翔太君あとで刺されるからやめときなね。」
流星「よぉ翔太、最初は様子見か?ぐずぐずしてっと売れ残っちまうぜ?」
翔太「フッ、そう言う流さんこそ平気なの?女嫌いにゃキツいミッションっしょ?」
流星「言ったろ?単にテンパっちまうだけだってな。だだだだからお前、そこの2名様との仲介に入れよ。」
翔太「入れ…?」
流星「入って…ください…。」
翔太「だそうだが、どうする?」
圭子「あ、ハイ!こちらこそ喜んでー!」
チョコ「オケー。あ、いじめていいんですかー?」
流星「な、なんだろうこの『パンドラの箱』を開けちゃった感…。」
翔太「まぁいいじゃないッスか、これで残り三人なわけだし。」
流星「ま、そうだな。お前は…気をつけろよ?志保りん先輩は、こういう時に何か仕掛けてくる人だ。」
翔太「ほぉ…それは、面白い話を聞いた。」

とりあえず、モテ王でも差し向けるか…。
面白半分で。

 

84
いつまでも外野にいても話が進まないので、程なくして俺も攻撃に出ることにした。
最初はどうなることかと思ったが、流さんというイケメンを武器に攻めたのが功を奏したようで、三人までは結構すんなりゲットできた。あとは二人…最後の一人については今は考えないことにして、もう一人をさっさとこなそう。
翔太「ふぅ、とはいえ流さんももう行っちまったし…こっからどう動くかだなぁ…。」
声「おー東堂じゃん。どうよ順調?」
翔太「ん?お前は…『真・委員長』こと佐久間か。なんか未だに浸透しねぇよな。」
佐久間「ああ。委員長のおかげで立つ瀬無ぇわ…。って話は置いといて、どうよ首尾は?ちなみに俺は3人だ。」
翔太「あ〜俺もだよ。まぁイケメンで釣ったり利害の一致って感じで選んだから、後で消されるかもだけどな。」
佐久間「俺もそうだわ…。でも残り2人くらいはちょっとこだわりてぇよな。実習云々関係なく、“漢(オトコ)”としてさぁ。」
翔太「気持ちはわかるがお前にゃ少しハードル高いんじゃね?」
佐久間「ん…?なんでよ?」
翔太「だってお前…不細工じゃん。」
佐久間「フッ…かつて『カリスマ不細工』と恐れられた俺を、甘く見るんじゃねぇよ?」
翔太「いや、だからこそだよ。そんな称号選ばれたブスにしか贈られねぇよ。」
佐久間「だがそう悲観する程のことじゃない。なぜなら女は化粧する、男はしない…この意味がわかるか?つまり、男は見た目で女を選ぶが、女はそうじゃねぇってことさ…。男は顔じゃねぇんだよ、女は顔だけどな。」
翔太「中身も最低じゃねーかお前。」
佐久間「ま、見とけよ東堂。この俺の…散り様をな。」
自覚はあった。

 

85
事故レベルの不細工な割に、それなりに首尾よくこなしてるっぽい佐久間。こいつが実績を出せるってことは、世の中捨てたもんじゃないのかもしれない。ならば俺ももう少し、チャレンジしてみようじゃないか。
翔太「ふむ…ならば俺は、“あの辺り”を狙ってみるかな。」
佐久間「あのって…なっ!?ちょ、お前…ありゃ雲林院綾音先輩じゃねーかよ!え、お前知り合いなのか…?」
翔太「ああ。前に一度、軽く喧嘩売ったことがあってな。」
佐久間「むしろマイナスからのスタートじゃねーか。チャレンジャーにも程があるぜオイ…。」
翔太「まぁ見てるがいいさ。ちーーッス、お久しぶりッスねー先輩〜。」
綾音「…え?」
翔太(フッ…おい佐久間、なんか手頃な穴とか無いか?)
佐久間(入るな入るな!恥ずかしい気持ちはわかるが、お前の場合覚えられてない方がかえって好都合だと前向きに判断しろ!な?」
祐美「一年生?なんですのこの…あーーーっ!この子は確か、前に食堂で…!」
佐奈「生意気にもお嬢様に逆らった、長谷川…長谷川葵!!」
翔太「というのは仮の姿。しかしてその実態は…ザ・東堂翔太だぁあああああ!!」
綾音「え?」
佐奈「えっ…?」
祐美「え、偽名…?じゃ、じゃあさっき皆さんに出した“指令”は…なんて卑劣なんですのアナタ!?」
翔太「…なるほど、さっきポチがどっかに拉致られてったのはアンタらの差し金か。意図はよくわからんが、酷ぇことしてんのはアンタらも同じじゃね?」
佐久間「いや、そんなの見といてスルーな時点でやっぱお前の方が鬼だぞ。」
翔太「ま、問題ないさ。なんだかんだ言ってアイツ結構悪運が強」
(ぎゃーーーーーーーー!!)
翔太「・・・・・・・・。」

今後は…少し控えるかな…。
だがやめる気は無かった。

 

86
折角の機会なので一度くらい冒険してみるのもいいかと思い、以前食堂で軽く揉めた雲林院先輩にチャレンジしてみた俺だったが、華麗に忘れられてたようできょとんとされた。どうしよう軽く死にたい。あと、ポチは死んだかもしれない。
翔太「ポチ…いい奴だったのに…。」
佐久間「絶対今の前に「どうでも」が付いてね?」
綾音「祐美、佐奈…さきほどの“指令”とはどういうことですの?まさかアナタ達…」
祐美「ハッ…!ち、違いますの!これは、その…私達はお嬢様のためを思って…!」
佐奈「そ、そうですわ!お嬢様に恥をかかせた報いを…えっと…!」
綾音「お黙りなさい!!」
佐奈「ひっ!」
綾音「どうやら、お仕置きが必要なようね。覚悟しておきなさい。」
祐&佐「ひ、ひぃいいいいい!」
翔太「フッ、いい気味だぜ。」
祐美「はぁ!?アナタ何を言っ」
翔太「お黙りなさい!!」
祐&佐「ひ、ひぃいいいいい…って、なんで!?」
綾音「東堂君…と言ったわね。アナタも少し、無礼が過ぎるのではなくて?前回は私に非があったとしても、今は違うでしょう?」
翔太「あーーー…すんませんッス。最初の印象が悪かったもんで、つい突っかかっちまいました。長谷川に代わって俺が謝ります。」
佐久間「いや、長谷川関係ねーよ!なにお前悪魔に心でも売ってんの!?」
翔太「フッ、俺は一度エンジンかかると暴走するタイプなんだ。反省は後でする。」
佐久間「そ、そうか…。自覚があって変わってねぇ時点でその反省も無意味だと思うが…まぁ頑張れ。」
翔太「さて…ここからが正念場だ。」
まだ諦めてないのか。

 

87
昔から、“ダメ元”な案件に関しては少々極端な行動をしちまう俺。特にこの雲林院先輩みたく見るからに住む世界が違うタイプは、本来なら話しかけることもなく距離を置く。そこを攻めるというのであれば、全力でいかなきゃ逆にハートがもちそうにない。
綾音「ところで…ご用件は?本当にただ喧嘩を売りに来たわけでもないでしょう?」
翔太「あ〜、もちろんそうッス。当然アドレス交換がしたいわけで。」
佐久間(え、お前まだイケると思ってんのか…!?)
翔太(いや、俺もそこまでバカじゃない。だが今さら退いてもどうせ何も残らん。)
佐久間(お前、「手に入らないなら壊れてしまえ」ってタイプなのな…。怖ぇわ…。)
祐美「ハァ!?アナタが!?アナタごときが!?よりにもよってお嬢様の5人目の相手に!?身の程をわきまえなさい!」
翔太「えーマジっすか?俺まだ3人だし…じゃあ先輩、先に教えてくださいよ。」
祐美「えっ!なにその“ついで感”!?」
綾音「ハァ…。残念ですけど、私は」
モテ王「おー翔太っちじゃん!調子はど…えっ!うう雲林院先輩!?美女キタコレ!」
モテ王が現れた。
翔太「おーモテ王、元気そうでなによりだ。順調かよ?」
モテ王「おー!なんとか4人ゲットできたぜ!あ、あとはラスト…ぐふふ…。」
綾音「!?」
翔太「フッ、それは良かった…。じゃあ改めて聞きますよ先輩、俺とコイツなら…どっちに番号教えます?」
綾音「え…?いや、私は」
翔太「おっと、考えて発言した方がいいッスよ?ここで間違えると大変なことになる。」
モテ王「えっ、俺が!?せせせ先輩と、くんずほぐれつ夜の森で…うっひょぉおおおおおおおおお!!」
綾音「ヒィッ…!」
翔太「わかります先輩?コイツは絶対…三面記事じゃ、収まらない男ッスよ?」
綾音「ぐっ…!」
『誤前提暗示』
「ラーメンとカレーどっち食べに行こうか?」
例えばこのように、前提を飛び越した先の選択を強いることにより、
そもそもの“行かない”という前提を除外するような心理学的手法の一つ。

 

88
有無を言わさず答えを求めたことと、モテ王の狂気のこもった視線が功を奏したようで、なんとか雲林院先輩(+オマケ1名)のアドレスをゲットできた俺。だがこれからの30分を考えると、勢いで行動したことを少なからず後悔している。というか、結構前からしてた。
綾音「ハァ〜〜…私としたことがこんな…。どう?アナタはこれで満足?」
翔太「あーー…えっと、すんませんした。ちょっと色々と、やりすぎたッス。」
綾音「へ…?な、なんか拍子抜けですわね…ハッ!まままさか油断させて気を許したところで、いやらしい写真でも撮って脅す気!?この鬼畜!」
翔太「いや、その発想が出る時点でアンタも十分鬼畜だから。」
綾音「なっ…!?と、とにかく!信用できませんわ!何を企んでますの!?」
翔太「マジで普通に反省してるだけだってば。昔っから、一度覚醒すると全てを薙ぎ払うまで止まらねぇんスよ。」
綾音「なんですのアナタ『巨神兵』の末裔か何か…?」
翔太「まぁとにかく、今回は全面的に俺が悪かったッス。必要なら土下座でも土下寝でも何でもしますわ。」
綾音「…フンッ、そんな必要ありませんわ。」
翔太「俺もそのつもりは無い。」
綾音「ブッ殺…しますわよ!?」
翔太「うっかり素が出てるけど平気ッスか?まぁなんか思ったより親しみやすい人みたいで安心したわ〜。いかにも近寄りがたい感じのキャラ付けしてるし。」
綾音「ハァ〜〜〜…。」
翔太「ゲッ、またなんか怒らし…」
綾音「だって、祐美と佐奈が求めるから…。」
マジでキャラ付けだった。

 

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言われてみれば確かに不自然だったが、雲林院先輩はホントに不自然だった。
翔太「ふむぅ。まさかあの『ザ・お嬢様』…もとい『ジ・お嬢様』と名高い雲林院先輩が…。え、マジなんスか?」
綾音「アナタ、実際あんな話し方する人『デヴィ夫人』以外に見たことある?」
翔太「まぁ確かにそうだけど、俺が知らないだけでやんごとなき方々の中では常識なのかと。」
綾音「そんなわけないでしょ?でもあの二人の、漫画のようなお嬢様に憧れるあの二人の瞳を見たら…。」
翔太「期待を裏切れなかったと…。でも俺にはバラしちゃって良かったんスか?」
綾音「あのキャラでツッコミ続けるの辛いんだからね…。でも大丈夫、何かあってもどうにかできるだけの財力はあるから。」
翔太「お、オーケー。これは俺達だけの秘密ってことで。」
綾音「ホントお願いね?親だって知らないんだから…。」
翔太「なっ…マジっすか。そりゃこんな学園に送り込まれるわけだわ。」
綾音「知ってるのは爺やとか一部の使用人と…あと“演技指導”の先生くらいかな。」
翔太「まさかそんな本格的とは。金持ちがそんなことに金使ってると思うと人生馬鹿馬鹿しくなってくるな…。でもじゃあ学校にはいないってことッスね?」
綾音「ん〜、指摘されたわけじゃないけど…なんとなく何か不思議な力で見抜かれてる気がしてならないのは、白鷺さん。」
翔太「ふむ…なるほど、だからなんとなく敵視してるっぽいのか。」
綾音「自分でもみっともないとは思うんだけどね…。似たような家柄なのに自由奔放に生きてる彼女に、どこかで嫉妬してるのかも…。」
翔太「いや、アンタの場合家族は濡れ衣だろ。」
とにかく変人だった。

 

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お高いイメージだった雲林院先輩も、一皮剥いたら同類だった。妙に親近感が沸くようにはなったが、なんとなく知りたくなかった真実だった気もする。
翔太「ま〜…うん、色々腑に落ちましたわ。でも紫苑ちゃ…白鷺先輩なら大丈夫なんじゃ?少なくとも悪意をもって何かするタイプじゃないっしょ?」
綾音「うっかりは?」
翔太「やっぱ近づかねぇ方がいいわ。」
綾音「あと、知られたくない人ならもう一人…ね。こんなこともし“あの子”に知れたら…」
翔太「あの子…?」
綾音「ま、アナタは知らないでしょうけどね。三年にはいるのよ…桃井さんっていう、悪魔がね。」
翔太「桃井…?あ〜〜…志保りん先輩かぁ。確かに難儀そうだけど…なに、やっぱ同学年じゃ有名な話なんスか?」
綾音「あら、そしてその口ぶり…もしかして、もう既に手酷くやられちゃった?」
翔太「ええ、同じ班ッスよ。昼はそれはもうボッコボコにされましたわ。先輩も?」
綾音「酷いよね?あんな演技力…反則だよ。」
翔太「いや、それはアンタは言うなよ。」
綾音「そっか、アナタ程の問題児でも勝てなかったかぁ〜。ちょっぴり残念。」
翔太「フン!確かに遅れはとったが、このまま怖気づく俺様じゃないぜ?もうじき結果が出るはずさ。」
綾音「アナタ何か仕掛けて…?そういえば、この時間が始まる前にちょっとヤボ用がって…まさか…!」
翔太「ああ、“刺客”を放った。売られた喧嘩は買いそうなタイプだから、多分スルーはされてないはずだ。今に響くはずだぜ?闇をつんざく盛大な…悲鳴がな。」

(ぎゃーーーーーーーー!!)
モテ王の悲鳴が。

 

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