第十八章

 

3-271:到着〔13歳:LEVEL33〕
予想より長くなった船旅の末、俺達はやっとニュグラ島に到着した。クソ疲れた。
勇者「ふむ…凄まじく人気の無い場所だな。確かに霊山っぽい雰囲気バリバリだ。」
血子「あ、でもダーリン、あそこに人いるよ?やっぱ人住んでんじゃない?」
解樹「いや、ありゃ霊だ。」
血子「ウッギャー!化け物ぉーー!!」
勇者「喋る根っこが言うなよ。」
解樹「呪いをかけるにゃさ、こういう年中薄暗い霊場が一番なんだよ。」
勇者「俺は呪いを解きに来たんだがそこんとこ大丈夫か?」
解樹「…フッ、もちろんよ。」
勇者「大丈夫か!?」
解樹「まぁ心配すんな、なんとかなるさ。 4人で力を合わせれば!」
血子「増えてない!?ねぇなんか増えてない!?」
気にしたら負けだった。

 

3-272:安堵〔13歳:LEVEL33〕
どうやらこの山は、霊がチラホラ具現化されるほど高位の霊山のようだ。激ウザい。
だが登っていくにつれ、だんだんその数も減ってきた。何か理由があるのだろうか。
勇者「一応霊媒師絡みで霊に理解はある方だが、見える程とは少々驚いたな。」
解樹「安心しな、ふもとのは弱い悪霊だよ。上まで来られるのはよっぽどの奴さ。」
勇者「ふ、不安にさせないでくれ。つい先日悪霊になった知り合いがいるんだ。」
解樹「登るほどに場の霊圧も上がる。だから悪霊を締め出すにゃもってこいなのさ。」
勇者「なるほど、そういう理由でこの山なわけか。ちょっとは信憑性が出てきたな。」
解樹「だがその代わり熊とか野獣は出るんだが…まぁ三人いりゃ大丈夫だろ。」
血子「あ、やっといなくなったんだ!良かった〜☆」
血子は「人」じゃない。

 

3-273:落下〔13歳:LEVEL33〕
もうじき頂上ってあたりで、解樹と一旦別れた。解呪の場を作るかららしい。
準備には少し時間が要るらしいので、俺は邪神の様子を見に行ってみることにした。
勇者「ふむ、これが邪神の要塞ってやつか。生意気にも豪勢な感じでムカつくな。」
血子「ね、ねぇ本気で行く気?邪神て敵さんだよね?殺されちゃうんじゃない…?」
勇者「奴とは休戦協定を結んでいる。共通の敵がいる間はなんとかなれ。」
血子「語尾が願望になってない!?」
勇者「多分間違っちゃいないさ。魔神はあの暗黒神が恐れた程の脅威だしな。」
血子「けどさ、なんで二人とも魔神をそんな気にすんの?まだ復活してないのに。」
勇者「長年封印されてた邪神、暗黒神が相次いで蘇った。懸念するには十分だ。」
血子「でもダーリン、いっつも好戦的だから心配だなぁ〜。」
勇者「知ってるか血子?子供の血色草には不思議な力があって、高いらしいぞ。」
血子「えっ、手土産!?血子ってば手土産!?」
勇者「まぁ心配するな。呪いを解くまでは俺も無茶でき…」
ガシャーーーーン!!
勇者「むっ!?なんだっ、上か!?」

ドサッ!
そして何かが降ってきた。
勇者「ッ!!?」
血子「えぇっ!?だ、ダーリン、この人って…!」

勇者「じゃ…邪神!!」
返事が無い。
ただの屍のようだ。

 

3-274:降臨〔13歳:LEVEL33〕
要塞の上方から降ってきた「邪神」…。かなりの傷を負わされ、既に事切れていた。
コイツほどの強者をこんなにできる奴なんて、そうはいまい。一体どこの誰が…?
血子「ど、どどどどどーすんのダーリン!?逃げるの!?もしくは…逃げるよね!?」
勇者「俺は逃げも隠れもせん。今はただ…なぜかとっても走りたい気分なんだ。」
血子「素直じゃないにも程があるけどオッケェエエエ!とりあえず逃げよっ!」
勇者「ッ!! 離れろ、血子!」
血子「えっ、なんで!?」
勇者「ウザい。」
血子「自分で言うのもなんだけど今に始まったことじゃなくない!?」
勇者「来るっ…!!」

ガッキィイイイイン!(受)
更に上から人が降ってきた。
勇者はかろうじて剣で弾いた。
勇者「…チッ、そういうことか。貴様がやったってんなら納得できんでもない…か。」
血子「こ、こ、こ、この人って…まさか…!」

魔王「連戦か…ちょいとキツいな。」
魔王が降臨した。

 

3-275:探物〔13歳:LEVEL33〕
今度はなんと、あの「魔王」の野郎が降ってきやがった。そうか全てはコイツが…!
勇者「長らく消息の途絶えていた貴様が、急に動き出すとはな…。正直驚いたぜ。」
魔王「この世は俺が支配することに決めた。だから障害は排除する…当然だろ?」
勇者「やれやれ今度の脅威は貴様かよ…。で、どうする?俺も始末しようってか?」
魔王「あ〜…やめておこう。伝説の邪神との激戦…さすがの俺も今日は疲れた。」
勇者「ほぉ奇遇だな、俺達もさっきまで憑かれてたところだ。」
血子「いや、字が違くない!?」
魔王「恐らく魔神の復活は近い。だが今の戦いで剣がオシャカになっちまってなぁ。」
勇者「そ、その剣はまさか、あのスイカ野郎の…!?」
魔王「ん?なんだ知り合いか?あの変態にゃ似合わん業物だったんだが残念だ。」
勇者「そうか、死んだのか…。奴もそれなりに強かったはずだが、どうやった?」
魔王「割った。」
勇者「そりゃアイツも本望だったろうさ。」
魔王「最近、この俺に相応しい剣の噂を聞いた。魔神復活までには手に入れたい。」
勇者「フッ、貴様とも利害は合いそうだな。OK任せろ、俺が見つけたらくれてやる。」
魔王「なるほど、共同戦線ってわけか…。いいだろう、剣の名は「魔神の剣」だ。」

すまん、やりたくてもやれん。
勇者は呪われている。

 

3-276:親敵〔13歳:LEVEL33〕
聞けば魔王も魔神を狙ってるっぽい感じだが、その前に俺の剣を欲しているらしい。
だが今は俺が呪われてるし…。恐らく解呪以外には、俺が死ぬしか手はあるまい。
こうなったら気づかれんよう、且つ怒らせんように撤収を決めるのが賢明だろう。
勇者「にしても早まったな魔王よ。邪神も共に戦わせりゃ得だったとは思わんか?」
魔王「ある女から聞いたんだ、俺の父親を殺したのが邪神だとな。違ったようだが。」
勇者「父親…? ん〜〜…そういや最近、どこかで貴様によく似た奴に会った気が」
魔王「なにぃ…?」
勇者「全然しないから不思議だ。」
血子「あのさ、「違ったようだが」って言ったけどなんでわかったの?聞いたの?」
魔王「探しても無かったんだ。例の「魔神の剣」の主がカタキらしいんだが…。」
勇者「Σ( ̄□ ̄;)!?」
魔王「ん?どうした勇者、顔色が悪くねぇか?」
勇者「…心配するな、ただの趣味だ。」
血子「どういう趣味!?逆に心配だよそれ!」
勇者「ナメるな!俺の方が心配だ!!」
血子「えぇっ!?」
流れ的にヤバい。

 

3-277:擦違〔13歳:LEVEL33〕
なんと、魔王はあの暗黒神の子供だったっぽい。確かに親子ってくらい似ている。
だがまぁまだバレちゃない、なんとかなる。戦闘フラグが立つ前に消えるとしよう。
勇者「さて、じゃあ帰るかな。悪いが今日は…あーー…スーパーの特売日なんだ。」
血子(弱い!弱いよダーリン!そんなんで逃がしてくれる魔王がどこにいんの!?)
魔王「そりゃ仕方ないな。」
血子「ここにいた!?」
勇者「というわけだ。ホラ行くぞ血子、早くしないと目玉商品が…」
声「オーイ、聞こえるか勇者ぁ〜?」
血子「わっ、ビックリした〜!え、なに今の声?どっから??」
魔王「む?声はすれども何の気配も感じない…新手の魔術か?」
勇者(くっ、別れる前に預かった「伝話符」か!余計なこと言われちゃマズい…!)
〔伝話符(でんわふ)〕
赤と青、2枚で1セットの術符。
電話のような感じで会話することができる。
伝話符「今どこにいる?ぼちぼち準備できるから戻って来いよ。戻ってきたら剣の」
勇者「OKわかった、皆まで言うな。もはや言葉とか超えた関係だろ俺達?な!?」
伝話符「ん?? …まぁいいや、とにかく早くしろよな。なんせ相手は神(ビリッ)
勇者は慌てて破った。
魔王「…勇者、貴様もしや…!?」
勇者「ぐっ…!」

勇者「…チッ、そうさ俺がお前の親父を」
魔王「男が好…んんっ!?」
勇者は早とちった。

 

3-278:限界〔13歳:LEVEL33〕
ついに真相がバレた…というかバラした。もうこうなったら開き直っていくしかない。
魔王「そうか、そうだったのか。まさか貴様が」
勇者「ああ、嗟嘆は俺がブッ殺」
魔王「親父を知っ…んんっ!?」
血子「ってどんだけ噛み合わないんだよ!ダーリンもどこまで墓穴掘る気なの!?」
魔王「て、テメェか…そうかよテメェが俺の想い人だったってわけかよ…!」
勇者「…フン、バレちまっちゃ仕方ない。 だが悪いな、今日はもう逃げぶふっ!
勇者は鮮やかに宙を舞った。
血子「だ、ダーリン大丈夫!?かなり人間技じゃないブッ飛び方だったけど…!」
勇者「ぐふっ…!や、やるじゃないか。今のは少し油断しばふっ!げはっ!
魔王「悪いが剣が無ぇんだ、じっくりとこの鉄拳でなぶり殺しにさせてもらうぜ?」
勇者「くっ、片目だと遠近感が…!オイ血子、遠近両用メガネを! ばぼふっ!
血子「この状況でボケられるその余裕はどっから来てるの!?」
勇者「チッ…仕方ない、やはり逃げるしかないか…あっちに見える…」

お花畑へ。
それ行っちゃダメなやつだ。

 

3-279:増援〔13歳:LEVEL33〕
しこたま殴られた。この俺が逃げることすらできんとは…まったくもって予想外。
これほど殴られたのは人生初だろう。今ならサンドバッグと親友になれる気がする。
勇者「ぐぅ…!マズいな、いくら素手とはいえ、これ以上食らったら…げはっ!
血子「血がスゴいよダーリン!大丈夫!?死んじゃダメェー!!」
勇者「し、心配するな…「着色料」だ。」
血子「何号なの!?赤玉何号!?」
魔王「ふぅ…ガッカリだよ勇者。こんなことなら、あの時に殺しとくべきだったな。」
勇者「フッ…もう勝ったつもりか?甘いな、ぼちぼち「増援フラグ」が立つ頃だぞ?」
血子「確かにそんなパターンばっかだけどそれは言わない約束じゃない!?」
魔王「ほぉ、これが魔神の剣か…ちょうどいい、試し斬りといこうじゃないか。」
勇者「さぁ見るがいい魔王!必殺召喚魔法、「他力本願」!!」
血子「そんな魔法無いよね!?えっ、あるの!?」


ザシュッ!(斬)
勇者はバッサリ斬られた。

 

3-280:千話〔13歳:LEVEL33〕
普通に凄まじくいいのをもらってしまった。 ヤバい、だんだん意識が…遠く………。
血子「だ、ダーリン!寝ちゃダメだよダーリン!返事してぇー!」
勇者「う゛っ…あ……ふ………。」
血子「えっ、何!?なんか言いたいことあるの!?も少しおっきな声で…」
勇者「あと…五分…。」
血子「なにその朝のよくある風景!?」
魔王「サラバだ勇者…。 さぁ中の魔神を出すがいい、俺が一つに束ねてくれよう!」
血子「ま、魔神を一つに…!?まさかアンタ、魔神の力を自分のにしちゃう気!?」
魔王「もう少し後にしようと思ってたんだが…いや、今ならいけるかもしれなっ!?」
魔王は咄嗟に飛びのいた。
血子「え、どっ、どしたの急に!?」
魔王「なっ、なんだ今のは…!?なにか今、全身に鳥肌が立つような気配が…!」

「離れた二つは再び出会い、やがて一つに交じり合うだろう。」

魔王「バカな…!この俺が恐怖を抱くだと…!?ありえん!そんなはずは無い!」

「異なる二つが天より舞い降り、地獄の扉を開くだろう。」

魔王「ど、どこだ!?わけわからんこと抜かしてねぇで、出て来やがれっ!!」

「着実に、予言は現実になりつつあるようだ。 いや、だがしかし…」



校長「まだ、間に合いそうだな。」

勝ったかもしれない。

 

3-281:爆破〔13歳:LEVEL33〕
現れたのはなんと、学園校最恐の暴君…校長だった。
イメージ的には無敵な感じだが、はてさてどうなることやら。
血子「は…はわわわ…!この人って、あの学校の…!」
魔王「見た目もそうだがその威圧感…タダ者じゃない。貴様何者だ?何の用だ?」
校長「寝つきの悪い子を寝かしつけに来たはずが…事情が変わったらしくてな。」
魔王「なら俺は関係無い、見逃してくれるか?実は邪神戦での傷、軽くはなくてな。」
校長「それがそうもいかんのだよ。お前は「予言」の一端に触れる存在なのでな。」
魔王「さっき言ってたアレか。確かに前編の詩は俺と勇者のことともとれるが…。」
校長「危うきは全て排除するのみよ。 まぁ安心しなさい、殺すことはできない。」
魔王「マオが逃げちまうからか?フッ甘いな、んな逃げ腰じゃ俺は…止められん!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!(轟)
血子「えっ、なにこの音…わっ、上!?要塞が崩れ落ち…デカッ!死ぬっ!?」
魔王「ハハハッ!戯れに仕掛けた爆薬が、こんな役に立つとはなぁ! 死ねぇ!!」

ドガァアアアアアアアアン!!(激突)
校長は片手で止めた。
血&魔「片手で止めたーーー!!」
校長「「休み時間」はもう終わり…。 さぁ、「授業」の時間だ。」
授業料は「命」だ。

 

3-282:圧倒〔13歳:LEVEL33〕
これまで「校長先生のお話」しか出番が無かった校長…。
その実力が、かなりの月日をおいて明かされようとしていた。
校長「さぁいくぞ魔王よ。この「教鞭」をもって、貴様にしばしの眠りをくれてやろう。」
血子「いや、教鞭ってそんな武器的なモノじゃなくない!?」
魔王「…そうか、貴様が前大戦で名を馳せた「十賢人」の一人、「理慈(りじ)」か。」
血子「えっ!校長センセってそんなスゴかったの!?ってそれだと今何歳!?」
校長「まさか私の名を知っているとはな…。うむ、復習のできる子とは感心だ。」
魔王「ま、付け焼刃だがな。無知は死に繋がる…この数日で必死に勉強したよ。」
校長「ほぉ、ますます素晴らしい。ならば確認テストといこうか、若き「魔王」よ。」
魔王「フッ面白い。かつて「勇者」と共に世界を救った十賢人の力…見せてみろ!」
校長「うなれ教鞭!可愛い生徒に愛の鞭をっ!!」
魔王「ナメるなジジイ!貴様のような死にかけの老人にぎゃああああああああ!!
血子「飛んでったぁーー!!」
ファーーーーーッ!!
血子「スゴい!スゴいよ校長センセ!「魔王」を一捻りってどんだけスゴいの!?」
校長「…聞くが根っこよ、仲間は他に来ていないのか?」
血子「へ…? んー、一応少し下ったとこに一人いるけど…なんで?」
校長「いるなら呼んで、小僧を連れて逃げるんだ。 私は…長くはもたん。」
血子「えっ…!?」

校長「やる気が。」
頑張って!

 

3-283:事情〔13歳:LEVEL33〕
豪快に吹っ飛んでいった魔王だったが、校長はまだ油断していない模様。
一体、何が起きようとしているのだろうか。
血子「で、どうすんのセンセ?やっぱ殺しちゃうのアイツ?」
校長「いや、残念ながらそれは無理だ。殺せばマオを世に放つ結果に繋がろう。」
血子「でもさ、誰か強い人に入れなきゃじきに消えちゃうって噂聞いたけど?」
校長「確かに該当者は少ない。弱者なら耐え切れず、粉微塵に吹き飛ぶだろう。」
血子「だったらさ、放っとけば良くない?そーすれば簡単に…ねぇ?」
校長「それは業界のタブーだ。」
血子「えっ、何の業界!?どんな裏事情!?」
校長「それにもし、その間に本体の封印が解かれれば…奴は復活してしまうしな。」
血子「本体の封印…?」
校長「本体は、その心臓部を厳重に封印してある。簡単には解かれんはずだが…」
血子「例の…変な予言のこと?「地獄の扉」がなんとか…。」
校長「まぁ念には念を、だがな。世が滅ぶほどの事態だ、それくらいの価値はある。」
血子「え、でもさでもさ、それじゃどーすんの?結局魔神は倒せないってこと??」
校長「皮肉にも…魂が戻った後なら、可能だ。それが「転魂の実」の能力…だが…」
勇者「貴様らごときじゃ、蘇った俺は倒せない…ということさ。」
勇者が復活した。
だが「守護神の兜」が外れている。

校長「そうか…瀕死の傷を負い、小僧の意識が完全に飛んだか。」
勇者「フッ、まぁあれしきの傷、この俺の魔力をもってすれば一瞬で塞がったがな。」
血子「も、もしかして今は…ダーリンじゃなくてダーリンの中の人だったり!?」
校長「ふぅやれやれ…やめておけ小僧。降参すれば、五体満足のまま帰れる。」
勇者「フッ…断るっ!! 俺は降参と盗子が、大嫌いなんだ!」

マオなのか勇者なのか。

 

3-284:反乱〔13歳:LEVEL33〕
魔王が消えたかと思えば、今度は勇者の中のマオが目を覚ました。
変化が無さすぎで微妙だが、多分きっと恐らくマオの方だ。
勇者「フッフッフ…やったぜ…再び戻ってきた!今度こそこの体は俺のモノだー!」
血子「えっ!?や、やだよー!イヤだよダーリンが消えちゃうなんてイヤァーー!!」
勇者「黙れ根っこが!ブッた斬るぞ貴様!?」
血子「うわーん!違和感無いよぉー!」
勇者「…と、その前に斬らねばならん奴がいるなぁ。お前と遊ぶのはその後だ。」
勇者は落ちていた魔神の剣を拾い上げた。
勇者「よぉ、久しいな理慈よ。貴様らに海に落とされた記憶…忘れちゃねぇぜ?」
校長「私も覚えているさ…。封じるしか手が無かった不甲斐なさ、忘れもせんわ。」
勇者「フッ、安心しろ。じきに全てを忘れさせ…ぬぅ!?むぐぐぐぐ…!ぐぉっ…!?」
血子「ど、どーしたの急に!?左腕痛いの!?」
勇者「チッ、そうか…!仲裁役がいなくなり、目を覚ましやがったか…「錬樹」め!」
もう誰の体なんだか。

 

3-285:儀式〔13歳:LEVEL33〕
守護神の兜が外れたせいで、マオやら魔剣やらが暴れ始めてさぁ大変。
勇者の体はとっても賑やかな状況になっていた。
勇者「ぐぉおおおおおおっ!い、痛ぇ!腕がもげっ…チクショウが!消えろっ!」
血子「だ、大丈夫ダーリン!?ってなんでこっち見ながら言うの!?」
解樹「オイオイなんだよこりゃ?デッケェ音がしたから来てみれば…マズいなオイ。」
血子「あっ、呪術師の人!大変なんだよダーリンが…ダーリンが…!」
解樹「体内で魔神と錬樹が衝突してやがる。このままじゃ体がブッ壊れちまうぜ?」
血子「で、でも相手は魔神だよ!?人の呪いが太刀打ちできるわけなくない!?」
校長「錬樹は「十賢人」に数えられた武の達人でもあった。奴の力ならあるいは…」
血子「そんなっ…!」
解樹「チッ、しゃーねーな…少々予定外だが、この場で「儀式」といくしかねーか!」
血子「儀式って何!?それでダーリンが帰ってくるの!?」
解樹「小僧を「魔剣の世界」に放り込む。そっから先はまぁ、アイツ次第ってとこだ。」
解樹は怪しげな呪文を唱え始めた。
勇者「ぬぉっ!?今度は頭が…!貴様の仕業か…一体…何を…!?」
解樹「さぁ行って来い勇者…行って呪いを、晴らしてきな!!」
勇者「くっ、やめろ…!やめろ、じゅじゅちゅ師!!」
やっぱり言えなかった。

 

外伝(漆)