第十二章

 

3-181:防戦〔13歳:LEVEL29〕
「油断は禁物」を合言葉に油断かましてたら、すんごいのをもらってしまいクソ痛い。
盗子「ゆ、勇者ぁーーーー!!」
勇者「い、今の技は…邪神の…!?な…ぜ…」
華緒「ん?なんだ「妹」に会ったことがあるか。だが奴のは所詮、真似事に過ぎん。」
勇者「貴様が本家と…いうことか…ぐふっ!(吐血)」
商南「だ、大丈夫か勇者!?輸血球はもう無いんやから気ぃ付けんと!」
勇者「気にするな…ただの趣味だ。」
商南「どんなおっかない趣味やねん!趣味で血ぃ吐くなや!」
勇者「商南…少しでいい、時間を稼げるか?その間になんとか…回復してみせる。」
商南「ホレ「回復符」や。他にもな、さっき拾った術符がいくつかあんねん。どやろ?」
勇者「気休め程度だな…。だがいい、任せ…たぞ…(ガクッ)」
華緒「貴様、「符術士」か?だがそんな術符ごときで、この技は防げはしない!」
風神の攻撃!
商南の前に風の柱が二つそびえ立った。
商南「なっ、二つ!?」
華緒「俺の技…だとぉ!?」

宿敵「時間稼ぎか…それなら僕が、適任だね。」
それしかできない男が現れた。

 

3-182:奇襲〔13歳:LEVEL29〕
風神の攻撃により勇者ダウン。
だがそこに、「ミスター時間稼ぎ」こと宿敵が現れたのだった。
盗子「えっ、宿敵!?アンタも来てたの!?それにそんな強かったのアンタ!?」
宿敵「やぁ、久しぶりだね盗子くん。キミの噂は色々と聞いているよ。」
盗子「噂ぁ?アタシってそんなに有名人?い、イヤだな〜なんか照れるなぁ〜☆」
宿敵「聞いてるよ、言えないことから…言えないことまで?」
盗子「言えるの無いの!?その情報源って…いや、もう勇者から何聞いたの!?」
華緒「そうか貴様、「好敵手」か…。まさかこの時代にも生き残りがいたとはのぉ。」
宿敵「ああ、僕は負けない。けど勝てもしないから最後は彼に任せる他ないがね。」
盗子「な、なんかなんとかなりそうだね!じゃあアタシらは先生の応援でも…」
ドカァアアアアアアアアン!(爆音)
盗子「えっ!なに今の音!?まさか先生負けちゃってたり…!?」

暗黒神「ぐっ、バカな…!貴様、それ程の力を…どこに隠して…!?」
教師「風神のおかげですかねぇ? 風向きは、変わったんですよ。」
状況は好転したかに見えた。
〜その頃、帝都では…〜
兵士A「西側、兵配置完了しました!」
兵士B「東側も完了!いつでも出陣可能です、「銅隠(どうかく)」様!」
銅隠「オゥ行くぞ野郎ども!視界に入った奴から、ブッ殺していけやオラァ!」
今度は帝都がピンチだった。

 

3-183:必死〔13歳:LEVEL29〕
帝都はともかく、教師の方は順調そうだった。
どっちが勝っても悪が勝つ勝負は、佳境を迎えようとしていた。
暗黒神「チッ、どういうことだ…?幻術はあくまで幻術のはず…攻撃なんて…!」
教師「まぁ普通はそうですね。でも私の生み出す幻は…「現実」となるのです。」
盗子「スゴい!スゴいよ先生!あまりにやりたい放題な能力で怖すぎだけども!」
教師「実はアナタの存在も、元は私の…」
盗子「そんな衝撃の設定!? …って、アレ?なんか髪が黒っぽくなってない?」
暗黒神「ッ!!そうかテメェ、そういうことかよ。どうしても俺を殺したいらしいなぁ。」
教師「言ったでしょう?「今回は必死」だと…ね。」

暗黒神を剣の山が取り囲んだ。
そして一気に襲い掛かる。

暗黒神「くそっ、多すぎる…!うぉおおおおおお…! ぐっ!ぐぁああああああ!!
グサグサグサササササッ!!(刺)
盗子「うわー!やったね先生!グロすぎて放送じゃカットな感じ…せ、先生!?」
教師「ゴホッゴホ…!(吐血) …やれやれ、吐かせるのは好きなんですがねぇ…。」
盗子「ホント大丈夫!?特に思考回路!」
そっちは手遅れだった。

 

3-184:目疑〔13歳:LEVEL29〕
教師のえげつない攻撃により、暗黒神は致命的なダメージを負った。
だが能力がなんでもアリすぎて盗子は笑えなかった。
盗子「うっわー…すんごい刺さってる…なんかもう「剣山」みたくなってるね…。」
教師「実はなにげに趣味なんですよ、「生け花」。」
盗子「生きてないよ!?普通の奴なら最初の数本で死んでるからね!?」
暗黒神「フ…フフ…ぐふっ!ゲハッ…! ハ…ハハハハ!ぶはぁ!」
教師「…何がオカシイんです?これで効いてないなんてハッタリは通じませんよ?」
暗黒神「効いてるさ、死ぬ程な…。だがお前の反応を想像したら…なぁ?ププッ!」
教師「ッ!!?」

教師は背後の気配に振り返った。
教師は目を疑った。

教師「な…なん…で…?」

凶優「お兄ちゃん…会いたかった…。」


ドスッ!(貫)
痛恨の一撃!
教師は胸を貫かれた。

 

3-185:愛情〔13歳:LEVEL29〕
どういうわけか、いきなり湧いて出てきた教師の妹「凶優」。
柄にも無く動揺した隙を突かれ、胸まで突かれちゃった教師だった。
教師「ぐふっ…! しまった、油断を…!」
盗子「えっ!先生!? それに誰その子!?さっきまでいなかったのに…!」
凶優「お兄ちゃん…お兄ちゃん大好き。だから…死んで、一緒に遊ぼうよ。」
教師「…ふぅ、なるほど。私としたことが、動揺してこんなことにも気づかぬとはねぇ。」

教師は睨みで柱を破壊した。
柱の陰から黒猫が現れた。

黒猫「フォフォフォ!やはりこうなったか。戯れに保存しておいて正解だったわ。」
盗子「あ、アンタは死体使いの…!じゃあその子は先生の妹的な誰かなの!?」
黒猫「その通り!それゆえ死神は手も足も出せず、実の妹に殺され…」
ピカァアアッ!(輝)
凶優は光の中に消え去った。
黒猫「なにぃ!?何のためらいもなく消し去っただと…!?愛する妹のはずが…!」
教師「フッ、共に在ること…そう望んでこそ愛だとでも?浅いですね、非常に浅い。」
盗子「うわっ!せ、せせせ先生の髪が…真っ黒に…!?」
教師「さぁお仕置きですよ、ニャンコさん。千の地獄にもがき苦しみ…そして死ね。」
盗子は軽くチビッた。

 

3-186:不死〔13歳:LEVEL29〕
倫理的都合上詳細は割愛するが、黒猫は大変なことになった。
だが、教師の体も限界を迎えた感じになっていたのだった。
教師「ふぅ、参りましたね…神のトドメまであと…一歩なんですが…ねぇ…(ガクッ)」
盗子「うわー!先生ぇー!たたた大変だよ先生が死んじゃうよ死んじゃうよぉ〜!」
暗殺美「騒ぐんじゃないさウザっ子が!息があるならまだ間に合うさ、この人なら。」
盗子「あ、暗殺美!アンタ治ったの!?良かった〜!じゃあ姫が空いてるんだね!」
姫「私が治すよ!いつも通り頑張っちゃうよ!」

教師のピンチは続く。

盗子「にしても、あの力にこの髪…「リミッター解除」ってヤツかな?五錬邪みたく。」
暗殺美「いや、その線は薄いさ。自分の意思で解除できたりはしないと聞いたさ。」
盗子「あ〜まぁ確かにそんな簡単に強くなられちゃたまんないよね。でもそれじゃ…」
剛三「死神と契約したのだ。まぁ華緒のように身を委ねたわけではないようだがな。」
盗子「契約…?って、アンタなんで生きてんの!?勇者に胸をバッサリと…!」
剛三「ぶっつけだったが成功したよ。近くに使える体があれば、我が魂は永遠だ。」
盗子「えっ!てことはアンタ…黒猫!?なんてしぶとい奴なの!?ウザすぎるよ!」
剛三「大人しくしていろ小娘。この体で顔面を殴れば、そんなものでは済まんぞ?」
盗子「まだ誰にも殴られてないもん!死ねバカッ!」
剛三「ほぉ…愚かにも死を望むか。まぁ体慣らしにはちょうど良いか。」
盗子「ふ、フンだ!誰がアンタなんかに…!やってやるよっ!」
勝ったためしは無い。

 

3-187:弱点〔13歳:LEVEL29〕
雑魚の分際で四天王に喧嘩を売りやがった盗子。
果たしてどのような最期を迎えるのだろうか。
剛三「フォフォフォ!動きは遅いがこの筋肉…良い体だ、存分に暴れてくれよう!」
盗子「わ、わー!やっぱ無理ぃー!お助けぇー!」
商南「って早っ!どんだけ意思弱いねん!アンタ絶対日記続かへんタイプやろ!?」
ガシィッ!(受)
宿敵「ふぅ、間一髪か…。大丈夫かい盗子くん?危ないからチョロチョロしないで。」
盗子「あ、ありがと宿敵!アンタがこんなに頼もしく見えるなんて意外も意外だよ!」
宿敵「助けるんじゃなかった…。」
華緒「オイ小僧、よそ見をするとは余裕すぎないか?俺もナメられたものだ!」
剛三「この豪腕の一撃、受け止めきれるかな!?」
宿敵「ハッ!しまっ…!」

華緒、黒猫のダブル攻撃!
宿敵は激しく吹き飛ばされた。

盗子「えっ、なんで!?アンタにはどんな攻撃も効かないんじゃなかったの!?」
宿敵「こ、「好敵手」は「1対1」の職…多角的な攻撃にはどうしても隙が…ね。」
暗殺美「じゃあ猫の方はこっちで引き受けるさ。私は暗殺美、覚えとけさ。」
宿敵「ッ!!?」
暗殺美「…な、何さ?状況的に一応仲間さ、ガンくれてんじゃないのさボケが!」
宿敵「美しい…。」
暗殺美「まったくこれだから勇者の連れは…って、ハァ!?なな何言ってるさ!?」
宿敵「下がっていてくれ暗殺美くん。僕は、誰にも負けない!」
見栄は身を滅ぼす。

 

3-188:限界〔13歳:LEVEL29〕
暗殺美にアピールすべく、宿敵は無理して奮闘した。
その結果どうなるかは、考えるまでもなく明白だった。
宿敵「ハァ、ハァ、ハァ…!マズい、ダメージを受けすぎた…!」
暗殺美「なに無理してるさアンタ?いいから片方こっちに任せるさボケが!」
宿敵「ハッ!いやいや、全然平気だよ!むしろ二人くらいいないと物足りぶふっ!
華緒「無敵と聞いた「好敵手」に、こんな弱点があったとはのぉ。もはや限界だな。」
宿敵「限界?まだ寝ぼけているのかな古き神よ?敵の力量も読み取れぬとは。」
剛三「ほざくな小僧!うなれ豪腕、鋼鉄パンチ!」
宿敵「こ、コンソメパンチ!」
華緒「食らえ魔道風!」
宿敵「ま、麻婆豆腐ー!」
宿敵の限界は近い。

 

3-189:無理〔13歳:LEVEL29〕
無理がたたって早々に限界が来たっぽい宿敵。
延び延びになっていた霊界への引っ越しは、すぐそこに迫っていた。
宿敵「痛いっ!…あ、いや、痛くない!むしろ気持ちいいから大丈夫!」
盗子「むしろ大丈夫じゃないよ!それは強がりを通り越してただの変態だよ!?」
暗殺美「なんなのさコイツは?ホントに放っといていいのかさ?」
宿敵「ああ、ここは僕に任せて休んでいてくれたまえ。キミは気にしないでいい。」
暗殺美「わかったさ。まったくもって相手にしないさ。」
宿敵「いや、意味によってはそれはちょっと…」
剛三「さぁフィナーレだ!女にうつつを抜かしている暇など無いことを知るがいい!」
宿敵「わっ、マズい…!」
剛三「食らえ、必殺…!」

勇者「一刀両断剣!!」

勇者の攻撃!
剛三の体は足に重傷を負った。

剛三「ぬ゛ぁっ…!き、貴様いつの間に…!?」
勇者「よぉノラ猫、今度の家は上等か?」

勇者が目を覚ました。

 

3-190:名案〔13歳:LEVEL29〕
実は少し前から起きていたのだが、宿敵の能力は知っていたので黙って見ていた。
結果、宿敵は現在グロッキー状態。これで頼れる奴がいなくなった。やれやれ…。
剛三「あ、足が…!死体ゆえ痛みは無いが、これではまともに動けん…!」
勇者「大人しくしてろよジジイ、じきにもっといい家を作ってやる。「神」の家をな。」
商南「勇者…!偉そうに出てきたっちゅーことは、何か策はできたんやろな!?」
勇者「ん?ああ、名案が浮かんだ。もはやこんな雑魚ども敵ではない。」
華緒「フン、大人しく寝ていれば良かったものを。たかが数分で何が変わる?」
勇者「ならば盗子を見ていろ。数分後には凄いモノに変わるぞ。」
盗子「アタシ何されちゃうの!?ねぇちょっと!?」
華緒「いいだろう。ならば先ほどと同じく…我が奥義を見舞ってくれよう!」
商南「さぁくるで勇者!その名案とやらを見してみぃ!」
勇者「ああ、もちろんだ!どんな技でも…気合いで耐えてやる!」
商南「ってハアァ!?それのどこが名案やねん!?あ、「迷案」言うてたん!?」
勇者「さっきまでは、気合いが足りなかったんだ。そう、勝負のカギは…気合いだ!」

盗子は嫌いだ。
勇者は韻を踏んだ。

 

3-191:我慢〔13歳:LEVEL29〕
俺が考えた風神の攻略法は、ズバリ耐えること。大事なのは気合いとド根性だ。
勇者「ぐはっ!ぐっ…ちくしょう、まだ気合いが足りなかっ…痛くない!全然なっ!」
華緒「ハッハッハ!愚かな小僧よ、学習という言葉を知らんとはのぉ。」
勇者「フッ…いや?そんなことはないぞ。これまでの戦いで、色々とわかったよ。」
華緒「…なにぃ?」
勇者「耐えても痛い。」
盗子「それは見てたアタシもわかったよ!」
勇者「あとは、そうだなぁ…やはり神とはいえ、大技の連発はキツいと見える。」
華緒「フン、何を見てほざいている?我が力はまだまだ…むっ!な…にぃ…!?」
盗子「あっ、なんか足にきてるっぽいよ!チャンスだよ勇者!」
華緒「き、貴様これを待っていたのか…!?この女の体に、限界がくるのを…!」
勇者「フッ、まぁ似たような境遇の俺としては、身に覚えがありまくるんでな。」
勇者は邪悪なオーラに包まれた。
勇者「この我慢比べ、俺の勝ちのようだな。もはや貴様を護る風は吹くまい。」
華緒「ぐっ、まずい…この状態で、そんな禍々しい一撃を食らっては…!」
勇者「さぁうなれ魔界の波動!思いつき我流必殺奥義、「魔神一刀両断剣」!!」
華緒「バカな…!この俺が…この風神が…!う…うがぁあああああああああ!!
 勇者の禍々しい会心の一撃!
華緒は靴だけ遺して消え去った。


 いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はレベル30になった。

勇者は「中級勇者」になった。

 

3-192:狩人〔13歳:LEVEL30〕
我が奥義により、風神と共に風になった華緒。今度こそ完全に始末できたはずだ。
だがもし風神が女でなく本来の姿だったら…いや、まぁ俺ならなんとかしただろう。
盗子「や…やったー!やったね勇者!いつもながら邪悪さ全開だったけども!」
勇者「さぁ、次は貴様の番だ!」
盗子「さっきのマジだったの!?てゆーかいつも途中でアタシに矛先向かない!?」
勇者「気にするな、ただの趣味だ。 ところで、今さらだがお前らはこれで全員か?」
暗殺美「ん?あ〜、弓絵と余一は下に残してきたさ。尊い犠牲だったさ。」
商南「いや、勝手に殺すのはどうやろ…?」
勇者「それだけか?妙だな…守りが薄すぎる。俺が来た時はもっと…誰だっ!?」
勇者はナイフを投げた。

盗子に命中した。

盗子「イッッターー!! な、なんでそう投げて隣にいるアタシに当たるわけ!?」
勇者「当たったんじゃない!当てたんだ!!」
盗子「なお悪いよー!うわーん痛いよぉー!」
冥符「ふ、ふぅ〜…危ない危ない、殺されるかと思っちゃったよ。やるねぇキミ。」
商南「うわわっ、もう起きよった!あのほぼ致死量の睡眠薬で…なんでや!?」
勇者「誰だ貴様は?こんな遅れて堂々と登場とは、会社の重役もビックリだぞ。」
冥符「あ、俺?俺は冥符。愛より生まれし愛の狩人…ねぇハニぶふっ!

狩人は一撃で狩られた。

 

3-193:味方〔13歳:LEVEL30〕
ひょっこり現れた謎の男、冥符。愛だなんだと、見るからに浮ついたナンパ野郎だ。
敵か?とも思ったが、弓絵と余一が脇に転がっていた。なので味方かもしれない。
盗子「この二人…アンタが拾ってきてくれたの?アンタって意外といい奴だったり?」
冥符「まあね。ただ彼女は単に気絶だけど、彼の方はもう…臓器が破壊されてる。」
勇者「いや、そういう仕様だ。」
商南「で?わざわざ何しに来てん?結局アンタは味方なんか?やっぱ敵なんか?」
冥符「え?イヤだなも〜、決まってるじゃんか。もちろんキミの味方さマイハニー!」
商南「だから誰がハニーや言うてんねん!今度は一生眠らしたろか!?」
冥符「えっ、毎晩子守唄を!?ウワォそんなプロポーズが飛び出すとは驚きだよ!」
商南「ウチの方が驚いたっちゅーねん!なんでそう無駄にポジティブやねん!?」
勇者「まぁよくわからんが味方のようだな。ならば俺は神の野郎を…むっ!?」
冥符「あ〜、勘違いしないでほしいな。俺はハニーの味方だって言っただけだぜ?」
勇者「貴様、いつの間に背後に…!そして今のはどういう意味だ?」
暗黒神「フッ、こういう意味だ。お前らの健闘も、もはやこれまでってやつだな。」
盗子「えぇっ!な、なんでアンタ起きてんの!? あっ、なにそれ回復符…!?」
冥符「あ、もう起きれるんだ。やっぱタフだね〜大将。」
暗黒神「随分と遅かったじゃないか「符術士」…いや、我が「四天王」、冥符よ。」
事態はまた悪い方に。

 

3-194:降臨〔13歳:LEVEL30〕
やっと華緒を倒したと思ったら、また次が現れた四天王。まったくフザけやがって。
今の状態でこの追加戦力…かなり厳しい感じだが、態度に出したらそこで負けだ。
勇者「やれやれ…まぁいい、数では勝ってるんだ。一人増えようが大差は無い。」
暗黒神「フッ、強がるな小僧。数は多いが戦力はお前だけ…終わりだよ。」
盗子「や、ヤバいよ絶体絶命じゃん!先生もなんか起きれそうにないし…!」
暗黒神「ん〜惜しかったなぁ凱空の息子。せめてあともう一人でもいりゃあな〜。」
勇者「!!! フ…フフフ…フハハハハハハ! そうだな、確かにその通りだ。」
暗黒神「ん?なんだ小僧、気でもふれたか?意外と気の小さい…」
勇者「いつだか戯れでな…仲間の装備に「盗聴器」を仕掛けたことがあったんだ。」
盗子「えっ!なにその衝撃の暴露!?もしかしてアタシにもそう!?」
勇者「結構いい品なんだが、さすがに感度にも限界があってなぁ。」
暗黒神「何をいきなり…一体何が言いたい?時間稼ぎのつもりか?」
剛三「さ、嗟嘆様!少々お耳に入れたいことが…!」
暗黒神「うるさいぞ黒猫!今いい所なんだ、水を差すんじゃねぇよ。」
剛三「お聞きください!新たな生体反応が、猛スピードで接近中なのです!」
暗黒神「あん?そんなはずあるかよ。ここまで上れる船がそういくつもあるはず…」
剛三「違うのです!下からではなく…」

剛三「“上”かズガァアアアアアアアアアアアアアアン!!(轟音)

凄まじい轟音と共に、天井に風穴が開いた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…(煙)
盗子「こ、この登場パターンって…ま、まさか…!」
勇者「フッ…やっと来やがったか、雑魚めが。」


Y窃「…へ?」
勇&盗「誰だっ!!」
変態が降臨した。

 

3-195:白銀〔13歳:LEVEL30〕
俺の予想を大幅に裏切り、天から降ってきたのはパンツを被ったオッサンだった。
じゃあなぜ俺の盗聴器の反応が…?いや、確かに持ってそうなキャラではあるが。
勇者「だ、誰だ貴様は!?なぜ空から…というかなんだその格好は!?」
Y窃「ムシャクシャしてやった。今は反省している。」
盗子「ダメだよ勇者!コイツ取り調べ慣れしてるよ!かなりの常習犯だよ何かの!」
暗黒神「なんだよただの変態か…脅かしやがって。やってしまえ冥符!」
剛三「お待ちください嗟嘆様、この黒猫めに今一度チャンスを! 立てしもべども!」

先ほど倒した死者達が再び立ち上がった。

勇者「チッ、修復しやがったのか…!?もっと粉微塵にしておくべきだったぜ!」
盗子「ひぃいいい!なんかさっきよりグロさ倍増で怖いんだけど!どどどーしよ!?」
勇者「仕方ない…無駄な力は使いたくないが、今度こそ完全に粉砕してくれる!」
暗殺美「無理すんなさ勇者!アンタには一番厄介な敵を倒す使命があるのにさ!」
剛三「フォフォフォ!安心するがいい、どう足掻いても死…」

声「…の大地も、母なる海も…」

勇者「!!?」
剛三「むっ、呪文詠唱だと…!?誰だ、この期に及んで無駄な足掻きを…」


声「…なる果て無き白銀の中で、全ての時よ止まれ…〔銀世界〕!!」


シャキィイイイィィィィィイン!!(凍)


剛三「な、な……に……ぃ…!?」

身も凍る風が吹き荒れた。
全てのゾンビは凍りついた。

?「ふぅ〜、間一髪だね…。 どうやら間に合っ」


賢二「ちゃった…。」
賢二が帰ってきちゃった。

 

外伝(伍)