第六章

 

3-91:異変〔13歳:LEVEL29〕
結局計十日ほど寝込み、なんとか帝都病院から退院できた俺。まだ少しダルい。
だがまぁ約束通り武術会でも優勝したし、もうこれでこの帝都にも用は無いだろう。
…いや、違う。そういえばここには、ユーザックの情報を仕入れに来たんだったっけ。
勇者「というわけで芋っ子、ユーザックについて何か知ってることがあったら話せ。」
芋子「あ〜、そういえばここ最近聞かない名ね。でも悪いけど知らないわダーリン。」
勇者「ちょっと待て何がダーリンだ!お前にそんな名で呼ばれる筋合いは無い!」
芋子「照れないでいいわ。ワタイを巡って争ったくせに。」
勇者「そこは大前提として否定しただろうが!」
芋子「まったく、もったいないわねぇ。芋食べ放題なのに…。 ま、いいけどね。」
勇者「じゃあもうこの街にも用は無いな。明日一番で発つから足を用意してくれ。」
芋子「何人前?」
勇者「だから芋じゃねーよ!」
芋子「暇なら「ローゲ王都」にでも行くといいわ。この時期はちょうど祭りの時期よ。」
勇者「ローゲか…猿魔らは行ったが俺は素通りしたしなぁ。たまには気晴らしも…」


ズッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!(大轟音)


勇者「なっ、何の音だ!?」
芋子「芋減ったわね…。」
勇者「腹の音!?バカなっ!」
洗馬巣「た、大変です芋子様!ローゲの…ローゲの方角をご覧ください!」
勇者「なっ、なんだあの巨大な火柱は…!?」

こ、これがローゲ祭り…!

どう見ても大惨事だった。

 

3-92:中継〔13歳:LEVEL29〕
突如聞こえた轟音。ローゲの方だが、祭りにしちゃ派手すぎる。一体何が…?
バンッ!(扉)
商南「ちょっ、ななななんなん今の音!?何がどうしてどうなってん!?」
姫「ちょっと加減を間違えたよ。」
商南「アンタの仕業!?って誰が信じるかアホ!」
姫「しかも塩加減。」
商南「塩で何が起こせんねん!?そんなんやったら全国の家庭は大騒ぎやわ!」
暗殺美「あっちの空に火柱が見えたさ。打ち上げ花火にしては大掛かりな感じさ。」
勇者「ローゲ王都で何かあったらしい。火山でも噴火したのかもな。まぁ俺には…」
声「あー、あー。本日は晴天だ晴天だ。」
勇者「むっ、なんだ今の声は?一体どこから…」
声「見たか地球人ども?ローゲをやったのは、この俺だ。」
勇者「なっ、ローゲをやった…だとぉ!?じゃあさっきのは人の業だってのか!?」
暗殺美「勇者、上を見るさ!変な立体映像で妙な男が偉そうにしてるさ!」
紳士「これは魔法、〔生中継〕ですね。ローゲからとなると大した魔法力…なっ!?」
洗馬巣「ば、バカな!あの男は死んだはずの…!!」

暗黒神「俺は「暗黒神:嗟嘆(サタン)」。この星は今日から…俺のもんだ。」

チッ、ライバルか…。
勇者も人類の敵だ。

 

3-93:心変〔13歳:LEVEL29〕
いきなり魔法放送を仕掛けてきたのは、伝説の三悪神の一人、「暗黒神」だという。
なにやら洗馬巣達は知ってるようだが、聞いても答えん。俺に秘密とは生意気な。
にしても、 まったく次から次へと…。面倒なので、できれば関わりたくないものだが。
暗黒神「さっきのは挨拶代わりだ。次はそうだなぁ、「シジャン王国」でも落とすか。」
暗殺美「シジャンて言ったら結構な大国さ。助けに行かなきゃ大勢死人が出るさ。」
勇者「フン、俺には関係無いな。別に国が一つや二つ壊されたところで…」
〜その頃〜
盗子「も、もうヤメようよー!アンタまだ全力出せないんだし、無茶な侵略は…!」
ソボー「うるせぇよ黙れ。「呪縛錠」外すにゃあリハビリが要るんだよ、たっぷりとな。」
盗子「リハビリってあの大戦争みたいのが!?錠が取れる前に死んじゃうってば!」
ソボー「オメェがな。」
盗子「否定できないのがとっても辛いよ!」
ソボー「おーし見えてきたぞクソジャリィ。次のターゲットはちっとばかし、デケェぜ?」
盗子「ちょっ、なんか見たことある景色なんだけど…ま、まさか次って…!」
ソボー「シジャン王国…今度は、国を落とすぜぇ。」

勇者「ッ!!!」
暗殺美「ん?どうしたさ勇者?急にビクンとするんじゃないさ。」
勇者「…シジャンへ向かう。」
商南「はぁ?急にどないしてんアンタ?さっきはどうでもええて…」
勇者「とにかく向かう。思い出したことがあるんでな。詳しい理由は国家機密だ。」
暗殺美「そんなこと言われても気になるさ。心変わりした理由を言えさ。」
勇者「黙れ!いいからさっさと準備しろ!」
姫「オヤツは?」
勇者「300銅まで!」
バナナはオヤツに入らない。

 

3-94:勝算〔13歳:LEVEL29〕
わけあって、やっぱりシジャンに向かうことにした俺。すこぶる面倒だが仕方ない。
勇者「さぁ、行くと決まればグズグズしてられん。オイ洗馬巣、足を用意するがいい。」
暗殺美「あ、ちょっと待つさ。まだ放送は続いてるから聞いてったほうが良さそうさ。」
暗黒神「…てなわけだ。二度は言わないぜ?」
暗殺美「思っきし聞き逃したさ。」
暗黒神「今から向かう。この要塞の速度なら十日でシジャンに着くぜ、覚悟しとけ。」
商南「と、十日!?移動時間考えたら全然準備してる暇無いやんか!」
勇者「古代神相手に無策…確かに勝算は無いが、ジッとしてるわけにもいかん。」
黒猫「お言葉ですが嗟嘆様、先の砲撃でエネルギーがもう…。無理は危険かと。」
暗黒神「あ゛ぁ!?水を差すな黒猫!墜落するわけでもあるまいしよぉ!」
黒猫「あります。」
暗黒神「だろ?だか…あるのっ!?」
黒猫「「暗黒波動砲」には膨大な魔力を要します。今は浮力の維持で手一杯です。」
暗黒神「う、うるさい黙れ!男に二言は無ぇ、行くと言ったら行くぞ! …一ヵ月後。」

一同「・・・・・・・・。」
なんだか勝てる気がしてきた。

 

3-95:対面〔13歳:LEVEL29〕
なんだか時間に余裕ができたので、シジャンに向かう前に作戦を立てることにした。
勇者「じゃあ作戦を発表するぞ。ダダッと乗り込みズバッと斬る!以上だ。」
商南「それ作戦ちゃう!ただの意気込みにしても適当すぎるわ!」
声「ちょいと待ちなよ。アタイに考えがあるんだ、聞いてきな。」
勇者「!!」
謎のお助け仮面「母さん」が現れた。
商南「あれ以来見ぃひん思ててんけど、まだおったんやな。謎のなんとか母さん。」
母「フン、悪いけどアタイはアンタを生んだ覚えはないよ。」
商南「こ、この前はみんなのオカン気取りやったクセに…!」
暗殺美「実の親子の感動の対面さ。涙腺から噴水のように涙流して泣くがいいさ。」
勇者「…俺は変人の父と、正体不明のカマハハに育てられた。母は死んだと聞く。」
商南「はぁ!?せっかく会うたっちゅーになに意固地になってんねん!?アホか!」
母「…いいんだ。」
商南「せやかて…!」
母「照れてるんだよ。」
商南「なんて前向きな…。やっぱ血筋やな…。」
勇者「で?貴様の考えってのは何なんだ?仕方ないから聞いてやる、言えよ女。」
母「神具…神より創られし装備を、探すんだ。」
「貧乏神」は対象外だ。

 

3-96:整理〔13歳:LEVEL29〕
謎のお助け仮面2号は、神の装備を探すべきだと言った。まぁ…悪くはない考えだ。
暗殺美「確か神は十二神…魔神、破壊神、鬼神、守護神の存在は知ってるさ。」
商南「邪神、暗黒神は生きとるわけやし自分で持ってるか…存在しないかやろな。」
姫「オクリオオ神…」
商南「それ神ちゃう!それはそれで違う意味で怖いけども!てか意味知っとるん?」
母「「死神」の持ち主は知っている。奴にも縁深き敵だ、きっと駆けつけるだろうさ。」
勇者「残るは5つか…だが戦力になるのか?鬼神なんか雑魚扱いだったろうが。」
母「勝敗とは必ずしも実力に応じて決まるもんじゃない。相性ってのもあるだろ?」
暗殺美「暗黒に対する神…「光の神」っぽいのでもいれば好都合なんだけどもさ。」
商南「で、どないすんの?物探しすんねやったらボヤボヤしてられへんで?」
勇者「まぁあって損は無いか…。 そこまで言うんだ、当然アテはあるんだよな女?」
母「フッ、もちろんさ。西と東…とりあえず二つの情報は持ってるよ。どっちがいい?」
姫「左だね。」
勇者「よーし左だー!左に行くぞー!!」
結局どっちだ。

 

3-97:東西〔13歳:LEVEL29〕
他に案も無いので、仕方なく一応アテがあるらしい謎仮面の話に乗ることにした。
勇者「というわけで、左へ行けばいいと思う。俺もそうじゃないかと思ってたんだ。」
商南「だから結局どっちやねん!?どこ基準や!」
母「西へはもう武闘家の小僧を派遣しといたよ。ギリで間に合う距離だね多分。」
暗殺美「じゃあ私は東に行くさ。距離的にはどんな感じさ?」
母「2ペロネン。」
暗殺美「まずはその単位の意味から教えてほしいさ。」
姫「あ〜…結構遠いね。」
暗殺美「とりあえず話の核心からかなり遠いのは確かさ。」
商南「ほなウチも東かな〜、西は戦仕で足りるやろし。アンタはどないすんの?」
勇者「よく考えたら俺にはもう二つもあるしな、先にシジャンに行ってることにする。」
暗殺美「まぁ確かに必要無さそうだけど先に行く意味も見出せないさ。」
商南「さっき「要塞」や言うてたやろ?動かれへんウチに乗り込むってなどうや?」
勇者「お前らを東西に派遣する意味をバッサリ否定する意見だが無くはないな。」
暗殺美「でも「浮力」とも言ってたさ。もし空に浮いてるとしたら…行く手段が無いさ。」
声1「おぉっとー!そーゆーことニャら問題ニャいニャー!」
勇者「!!?」

勇者「ん〜、まぁなんとかするさ。」
勇者は華麗に無視した。

 

3-98:会話〔13歳:LEVEL29〕
一応城だというのに堂々と乗り込んで来たのは、賢二の愉快な仲間達だった。
太郎、ライ、下端…そういや前に、ウチにしばらく泊めてやったことがあったっけ。
勇者「で?何しに来たんだよ雑魚ども?何も無いとか言ったらブッた斬るぞ。」
ライ「ふっふっふー!聞きたい?知りたい?じゃあ聞いて驚けニャ!アタチらの船…」
太郎「はうぁあああっ!き、キミは随分前に僕の仲間を亡き者にした…!」
姫「はじめまして姫だよ。」
ライ「蒼茫号ニャら、要塞どころか宇宙まで行けるニャ!てゆーか宇宙船ニャ!」
商南「コイツらなんやねん?アンタらほんま、けったいな仲間多いなぁ〜。」
下端「実はその要塞ってのには、この前偶然行っちゃったんスよ。ビビッたっす。」
太郎「おのれ亡き友のカタキ…!まぁもういいけど。よろしくね、僕は太郎でいいよ。」
暗殺美「あのさ商南、念のため言うけどその「仲間」の中に私も入れてたら殺すさ。」
姫「ヨロシクねボクワタロ。」
勇者「ん?そういや今日は三人なのか?メンバーが足りんじゃないか。」
芋子「芋食いたいわ。」
下端「ッ!!! …剣次さんは、暗黒神にやられて…う゛ぅっ…!」
暗殺美「えぇっ!?けけけけけ賢二君がっ!!?」
洗馬巣「芋子様、全国の芋屋に発注をかけました。もうしばしご辛抱を。」
勇者「あのカルロスがやられた…そうか、やはり一筋縄にはいかんようだな。」
母「お前ら自由すぎだよ。」
みんな協調性が足りない。

 

3-99:分担〔13歳:LEVEL29〕
猫娘の話によると、どうやら奴らの船ならどこへでも行けそうだ。乗っ取ってやる。
勇者「じゃあ分担はこうだ。俺と姫ちゃんは現地、西は戦仕、東は暗殺美と商南…」
芋子「そしてワタイは芋を食う。」
ライ「ちょっと待つニャ!アタチらも頭数に入れるニャ!剣次のカタキを討つのニャ!」
勇者「出発は…そうだな、準備もあるし明日にするか。失敗は許されんしな。」
商南「OKや任しとき。ま、ウチが取ったらごっつ高う売りつけるけどなアンタに。」
暗殺美「賢二君のカタキ賢二君のカタキ賢二君のカタキィイイイ…!」
勇者「若干一名勘違いしてるようだが…まぁいいか。」
姫は左に行く気だ。
〜その頃〜
黒猫「嗟嘆様、「雷神」「風神」の在り処がわかりました。いかがいたしましょう?」
暗黒神「そうか…よし、「金隠(きんかく)」、「銀隠(ぎんかく)」を呼べ。」
シュタッ(着地)
銀隠「呼ばれる前からいました…ゴメンなさい。生まれてゴメンなさい…。」
金隠「我輩らの力が必要なんじゃろ?ケッケッケ!しゃーねー行ったるかーオイ!」
暗黒神「おーし、よく来たなお前ら。アンパン買って来い。」
神具はどうした。

 

3-100:多勢〔13歳:LEVEL29〕
翌日。 いよいよ出発という時に、思いがけないメンツから声を掛けられた。
兄丸「よぉ勇者、俺っちも混ぜろよ。敵が神さんなら何人いても損はねーだろよ。」
勇者「む?お前は…兄丸じゃないか。それにお前ら…」
ジョニー「ユー達だけじゃ心もとないデース。ミーが力を貸してあげマース。」
勇者「へんてこ野郎…。」
女闘「あのキン太って筋肉バカは、戦仕ってのについてったみたいだよ。」
勇者「おとこ女まで…。」
ワルツ「ワルツと!」
ポルカ「ポルカも♪」
勇者「ピーーーバキューン…!」
双子「違いますーーー!!」
兄丸「頼むぜ勇者、みんな力になりてーんだ。あんなのに好き勝手させられねぇ。」
女闘「お前との戦い…負けて恥をかかされたままだ。これ以上恥をかかせるな。」
勇者「お前ら…。」
商南「戦って目覚める友情…か。ええやんか、なんかほんのりウルッときたわ。」
勇者「ああ。とても戦力外だとは言えない。」
一同「Σ( ̄□ ̄;)!!」
勇者「でもまぁ、捨てゴマくらいにはなるか。」
一同「Σ( ̄□ ̄;)!?」
みんな後悔した。

 

3-101:敏感〔13歳:LEVEL29〕
予定外だったが、兄丸ら武術会敗者陣も仕方なく仲間に加えてやることにした。
暗殺美と商南はさっき旅立った。俺達シジャン組も、ぼちぼち向かおうと思う。
勇者「というわけでもう行くぞ。まぁ霊魅、縁があったらまた会うこともあるだろう。」
霊魅「え…いいの勇者君…?最後にお母さんに甘えなくても…。」
勇者「大きなお世話だ。言ったろ?俺に母はいない。」
霊魅「人生の最期に…。」
勇者「って俺のかよオイ!今後の予定を考えたら普通は言えん冗談だぞ。」
霊魅「冗談じゃないもの…。」
勇者「なお悪いわ!!」
霊魅「でも…本当にいいの…?ママさんの胸にスカイダイブ…」
勇者「しつこいなお前も。仮に母だったとしても、生後以来会ってなきゃもう他人だ。」
霊魅「照れ屋さんなのね…ふふふ…。」
勇者「怒ると知ってて煽るあたり、お前もいい根性してるよな相変わらず。」
霊魅「怖がり屋さんじゃ…霊媒師は務まりませんもの…。」
勇者「…フン。 人おちょくってる暇があったら戻って寝るがいい。疲れてるだろ?」
霊魅「え…?」
勇者「俺をナメるな。 じゃあ…まぁ、またな。」
そして勇者は旅立った。
霊魅「ふふふ…勘のいい子ね…。どっちの遺伝子かしら…?」
母「まったく、素直じゃないのも誰に似たやら…。」
霊魅「「またな」って…。」
母「…ああ、また頼むよ。」
母さんは消えた。

 

3-102:不安〔13歳:LEVEL29〕
初めての空の旅は、なんとなく順調にスタートしたかに見えた。だがかなり不安だ。
勇者「大丈夫なんだろうなぁこの船?俺は乗り物にはとことん相性が悪いんだが。」
太郎「さあ?今のところは特に事故も無くきてるけどね。結構性能いいみたいよ。」
勇者「あ、ところで姫ちゃんはどこだ?どういうわけかどこにも見当たらなくてだな。」
女闘「姫?あの子なら朝に、山のようにオヤツ抱えて出てくのを見たが…。」
勇者「なにぃーっ!? し、しまった…!そういや彼女は「左」に行くと…!」
下端「あれ?そういえば太郎さん、運転は…?」
太郎「得意だよ。」
下端「いや、そういう意味じゃないッス!なんで運転手がここにいるんスか!?」
太郎「まぁ空には障害物も無いしさ、ちょっとくらい離れてもぶつかっドゴォオオン!
勇者「な、なんだ今の音は!?爆発音!?」
太郎「ク…クラクション…?」
勇者「無理あるだろ!どう考えても大問題な何かが起こってるだろ!?」
声1「キャー!キャー!やってしまいましたー!」
声2「キャー!またやってしまいましたー!」
勇者「むっ、今の声は双子か…!?奴らは昼食の準備中のはずだが…」
ボガァアアアン!(爆発)

双子「わー!マヨネーズがーー!!」
一体どんな儀式が。

 

3-103:到着〔13歳:LEVEL29〕
陸路とは違い直進できるため、なんと一日もしないうちにシジャンに着いてしまった。
勇者「なんだか拍子抜けだな。まさかこんなにアッサリ到着できるとは。」
兄丸「とりあえず何か食おうぜ。朝から何も食ってねーから腹減ったよ。」
ワルツ「わ、ワルツ達に罪は無いんですー!マヨネーズがー!」
ポルカ「マヨネーズがー!」
勇者「どう頑張ったらマヨネーズが爆発するのかをまず科学的に説明してくれ。」
太郎「じゃあとりあえず食事ってことでいいのかな?適当な広場に墜落する?」
勇者「「着陸」と言ってくれ。いちいち墜落してたら命が足りないぞ。」
女闘「でもさ、この国で待つのか?奴らが来るまで一ヶ月も…暇じゃねーか?」
勇者「うむ。前に商南も言ってた通り、ローゲまで乗り込むのもアリかもしれんな。」
太郎「ねぇ結局どうするのさ?墜落はするの?しないの?」
勇者「しないだろ!!」
そのままローゲへ向かった。

 

3-104:早速〔13歳:LEVEL29〕
シジャンには着いたが、待つのもダルいので勢いでローゲまで乗り込むことにした。
勇者「じきにローゲだが…それにしても腹が減ったな。誰かなんとかできんのか?」
ワルツ「じゃ、じゃあワルツと!」
ポルカ「ポルカの!」
勇者「責任だ。」
双子「うわーん!こっぴどいですよー!」
ライ「ニャー! み、見るニャ!あっちの空に巨大ニャ雲の塊が…!アレは…!」
太郎「ッ!! 「竜の巣」だぁ…!」
勇者「ちょっと待て!なぜかは知らんがそのネーミングはマズいと第六感が…!」
下端「間違い無いッス!アレが…あの中に暗黒神がいる、空の城があるッスよ!」
女闘「なっ!?ちょ、ちょっと待てよ!そのまま行くのか!?まだ心の準備が…!」
ジョ「腹が減っては戦はできまセーン。とりあえず降りてディナーを希望しマース。」
太郎「あー無理無理。なんか引き寄せられてるよ。そーいや前もそうだったっけ。」
兄丸「お、オイどーするよ?何の準備も無しに乗り込んで、勝ち目はあるのか…?」
勇者「安心しろ、準備しようがしまいが雑魚は死ぬ。部屋で遺書でも書いてこい。」
下端「じゃあ、このまま突っ込むってことでいいんスね…?」
勇者「ああ。 主砲があるならとりあえずブチ込め、それが開戦ののろしだ。」
太郎「オッケー!!」
ズガァアアアアン!(轟音)

双子「わー!マヨネーズがー!!」
お前らジッとしてろ。

 

3-105:士気〔13歳:LEVEL29〕
妙な引力に引き寄せられるまま、俺達は暗黒神の天空城に辿り着いてしまった。
勇者「これが天空城…空を飛ぶ城なんてものが、ホントに存在するとはな…。」
兄丸「すげー…船が空飛ぶだけでも驚きだったってのに、まさか城までとはよ…。」
勇者「ここからは敵のテリトリー…いつ何があってもいいよう、気をつけろ雑魚ども。」
ワルツ「だ、大丈夫です!」
ポルカ「いざとなったらマヨネーズが!」
勇者「持ってくるな!そんなもんで世界を救ってもどうにも誇れないぞ!」
女闘「なぁ勇者?勢いで乗り込んじまったが、作戦はあるのか?」
勇者「無い。視界に入った奴を片っ端から斬る、俺はいつもそうしてきた。」
兄丸「にしても、あんなデッカい船が着いたってのに誰も来ねぇな?どーなってる?」
ジョ「きっと歓迎セレモニーの準備デース。」
太郎「「血祭り」のね。」
下端「なにはともあれ頑張るッス!心の準備はもうできてるッスよ!」
ライ「剣次のカタキは絶対とるニャ!暗黒神ニャんてケチョンケチョンにするニャ!」
勇者「よーし、行くぞ雑魚ども!どうせ散るなら華やかに散れ!クソがっ!」
勇者は士気を下げた。

 

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