第十四章

 

2-211:中身〔13歳:LEVEL25〕
古代語で「邪神」と書かれていたらしい棺を、ウッカリ開けてしまった俺。
だがまぁ、気にすまい。どうせどう頑張ってもこの手の輩は復活するのが世の常だ。
復活させちゃいけない奴を敢えて復活させ、倒す。そして伝説となるのが「勇者」だ。
ゴゴゴゴゴゴ…!(轟)
猿魔「な、なんてことを…!」
盗子「どどどどどうしよ!? ほ、本物…なのかなぁ?」
勇者「いや、わからんぞ!いつものパターンだと超高確率で中身は姫ちゃんだ!」
ズズズズズ…!(出)
巫菜子「うわっ、なんか手が出てきたぞ!姫の手にしちゃ青白すぎる!」
暗殺美「・・・・・・・・。」

ガコン。(閉)
暗殺美は棺を閉じた。

 

2-212:復活〔13歳:LEVEL25〕
棺を閉めたら、禍々しい気配も消えた。どうやら再封印は簡単にできたらしい。
だが、本当にこのままでいいのだろうか。半端な封印は、いずれ脅威になりかねん。
勇者「みんな聞け。やはり邪神は復活させよう。そして討つ!それがベストだ。」
盗子「バッ…何言ってんの!?なんでわざわざそんな危険なマネを…!」
猿魔「…いや、その通りかもしれん。奴が「完全体」となる前ならば、あるいは…。」
巫菜子「完全体…?どういうことだよ?じゃあ封印解いた直後はまだ不完全体?」
猿魔「封印術の多くは、完全復活には血が必要だ。穢れ無き…「処女の血」がな。」
盗子「や、ヤバいじゃん!アタシらみんなターゲットじゃん!穢れ無き乙女達だし!」
勇者「黙れ汚物。誰が貴様なんぞの血をすするか。」
盗子「アンタこそ黙れよバカー!アタシだって蚊にぐらい刺されるもん!」
暗殺美「蚊…。あまりの次元の低さに不覚にも泣けてきたさ。」
猿魔「だが早まるな勇者。援護を呼んだ後でも遅くは無いと思うぞ。」
勇者「…ま、確かにそうかもな。さっき感じたオーラ…このメンツじゃ苦戦は必至だ。」

ゴゴゴゴゴゴ…!(轟)

勇者「ッ!!? な、なんだこの邪悪なオーラは!?」
盗子「えっ!で、でもまだ棺は開けてないよね!?」
声「貴様か…?」

麗華「これは貴様の仕業か!?勇者ぁーー!!」
鬼の形相で麗華が現れた。

その額には「内」と書かれている。

 

2-213:誤解〔13歳:LEVEL25〕
思ったより早く、麗華は目を覚ました。そして、思ったより早くイタズラに気づかれた。
いつかやってみたいと思っていたのだが、予想以上の反応に戸惑いを隠せない。
勇者「よ、よぉ。やっと起きたか麗華よ。きょ、今日も相変わらずお美しいぞ。」
麗華「…その言葉で疑いは確信に変わった。貴様の死因はその「お茶目心」だ。」
盗子「う、内!?中の「人」が足りなくない!?中途半端だと逆に恥ずかしいよ!」
勇者「フッ、「人でなし」だけにな。」
盗子「うまいこと言ってる場合じゃなくない!?」
麗華「覚悟しろ。 顔は乙女の命…それを穢した者に、贖罪の機会は無い!」
勇者「も、門太!隠れてないで出てこい!そして門を開けろ!逃げるぞ!!」
門太〔物陰〕「お…お呼びになった門太は、現在使われておりやせん…。」
勇者「ブッ殺すぞ!? とりあえず出て来い!そして門を開きやがれ!」
門太「や、で、でも…。」
勇者「黙って開け!」
門太「そんな…。」
勇者「いいから開け!」
姫「いいの?」
勇者「いいよ!」
姫「開けたよ。」
勇者「開けたか!」
邪神「出てきたぞ。」
勇者「出てきたかーーーっ!!」
姫は棺を開けた。

邪神が復活した。

 

2-214:瞬殺〔13歳:LEVEL25〕
どこにいたのか、突然出てきた姫ちゃんが、勘違いして邪神の棺を開けてしまった。
復活した邪神は、なんと俺達と同じ…いや、むしろ小さいくらいの少女でビックリ。
こんな奴がホントに邪神なのだろうか。もしかしたら、何かの間違いかもしれない。
勇者「貴様…ホントに貴様が邪神か?どう見たってガキじゃないか。」
暗殺美「なんか強そうじゃなくて拍子抜けさ。それに女で「バキ」ってのも変さ。」
盗子「で、でもわかんないじゃん!もし本物だったらえらいことだよ!?」
門太「そうっすよ兄貴!とりあえず逃げやしょう!門を開くんで…」
邪神「・・・・・・・・。」

ピィッ!(光)
邪神の扇が激しく光った。

門太がいた場所が消し飛んだ。
勇者「なっ…? も、門太!?門太ぁーーー!!」
邪神「「門番」は邪魔じゃ。弱き者どもに無駄な機会を与えよる。」
勇者「き、貴様…よくも門太を!よくもあんな便利な能力を!」
盗子「そっちを嘆くの!?もうちょっと命を大事に考えようよ!」
邪神「これでわかったか小僧?わらわが本物か否か。」
勇者「わからん…わからんな!俺は認めんぞ貴様なんか!」
邪神「物分りの悪い小僧じゃな。もう一度見せねばわからんか?」
勇者「フン、望むところだ!!」
盗子「なんでアタシを指すの!?」
これで門太も寂しくない。

 

2-215:本領〔13歳:LEVEL25〕
邪神の一撃で、門太は灰と化した。門太…(使い勝手の)いい奴だったのに…。
勇者「ここは危ない。下がってろ姫ちゃん、暗殺美、巫菜子、猿魔、あと姫ちゃん!」
盗子「アタシは!?姫を二度言う余裕があるならアタシにも…!」
邪神「おなごはわらわの生け贄じゃ。その前に、邪魔な貴様を消し去ろうぞ。」
ピィーー!(閃光)
邪神の攻撃。
勇者は破壊神の盾で防いだ。
勇者「おっと、この盾にはそんな半端な攻撃は通じないぜ?」
邪神「その力…そうか、それは「破壊神:レーン」の力を宿す盾じゃな?こざかしい。」
勇者「こざかしいのは貴様だ! 食らいやがれ!刀神流操剣術…」
邪神「フ…そんな攻撃、我が「邪流演舞」の前には無力ぞ。 そびえよ「扇風壁」!」
邪神は扇を振るった。
邪神の前に風の防壁が現れた。
勇者「なっ、風の壁だと…!?」
邪神「この風は地獄の風、中は魔の領域。邪悪な者しか入ることはでき…」
勇者「ふむ。なかなか心地よい風だな。」
邪神「入っとるぅーーーー!!」
勇者は本領を発揮した。

 

2-216:食事〔13歳:LEVEL25〕
邪神の懐に入ることに成功した。どうやら思ってたほどの強敵ではなさそうだ。
邪神「き、貴様何者じゃ!?その盾や剣といい、どう考えても魔の…」
勇者「俺の名は「勇者」。世界で一番、好き勝手が許される男だ。」
盗子「そんな解釈で今まで生きてきたの!?」
邪神「勇者…覚えておこう。いずれ貴様はわらわが滅ぼしてくれるわ。」
勇者「「いずれ」なんぞ無い!刀神流操剣術、十の秘剣「十刀粉砕剣」!!」
勇者の攻撃。
邪神は扇で防御した。
だが防ぎきれなかった。
邪神「うはぁっ! チッ、やはりまだ、力が足りなすぎる…!」
盗子「ぃやっほー!やっちゃえ勇者ー!」
邪神「…しばし休戦じゃ。やはりわらわは食事を摂ることにしよう。」
勇者「あ?食事…? ハッ!ヤバい!逃げろ女ども!!」
女子「!!?」
邪神「逃がすかぁーー!!」
邪神は襲い掛かった。
勇者は間に合わない。
ボフゥ〜ン!(煙)
邪神「なっ!? え、煙幕だとぉ…!?」
声〔煙〕「フン、「暗殺者」をナメんじゃないさ。こういう芸当はお手のモンなのさ。」
勇者「おぉ、でかしたぞ暗殺美!みんなを連れてそのまま逃げろ!」

ゴンッ ガン ドテッ ゴン

声〔煙〕「…下手に動くと危ないさ。」
勇者「死ねっ!!」
暗殺美はタンコブができた。

 

2-217:痛恨〔13歳:LEVEL25〕
しばらく待つと、煙は晴れた。このままではまた邪神は姫ちゃんを襲いかねん。
勇者「女を襲う暇など与えん!とっとと闇へと還るがいい!!」
ガキン!ガガキン!チュィン!
巫菜子「す、スゲェ戦いだ…!勇者の奴、いつの間にあんなに強く…!」
暗殺美「でも邪神もさすがさ。あれで不完全体ってのが信じられないさ。」
ガィン!チュィン!ズバシュ!!
邪神「くぅ…!」
勇者「フッ。なんだ、伝説の邪神とやらも大したことないな。ガッカリだぞ。」
邪神「…どうやら今の状態で、さらに手を抜いて勝てる相手ではないようじゃな。」
勇者「あん?まるで本気を出せば勝てるような口ぶりだな。」
邪神「信じられぬか?ならば見るがいい。 邪流演舞…奥義、「大旋風葬」!!」
勇者「なっ…!? ぐぁああああああああああっ!!
ズゴォオオオオオオオン!!
痛恨の一撃。
勇者は激しく吹き飛び、壁に叩きつけられた。
勇者「ぐおっ…!な、なんだ今の技は…!? ぶはっ!!(吐血)」
邪神「ハァ、ハァ、ほぉ…今のを受けてまだ五体があるとは、頑丈な小僧じゃ。」
盗子「ゆ、勇者!どどどどうしよう!? ハッ、そういや麗華姐さんは!?」
麗華「スピー…。(姫と)」
盗子「二度寝!?こんな非常時に!」
邪神「復活のために力を抑えていたが、それもヤメじゃ。今は全力で貴様を討とう。」
勇者「くっ…ゴフッ!」
邪神「さぁトドメじゃ。いま一度食らうがいい…「大旋風葬」!!」
盗子「ゆ、勇者ぁーーー!!」
邪神、必殺の一撃。

だが何者かが勇者を救い出した。
盗子「えっ…?」
邪神「チッ、何者…!?」

審判「セーーーーーフ!!」
盗子「えーーーーっ!!?」
緊迫感が消え去った。

 

2-218:即死〔13歳:LEVEL25〕
危ないところを、謎の審判に救われた俺。一体コイツは何者なんだろう?
勇者「だ、誰だ…貴様は…?」
審判「…お前はまだ、死ぬべき男じゃねぇ。まだ生きてやるべきことがあんだろ?」
勇者「その声…どこかで…。」
邪神「何者じゃ貴様は?まぁわらわに逆らうとあらば、誰とて容赦はせんがな。」
審判「フン。不完全体な奴が、この俺に勝てるとでも思ってんの゛っ!かぁぁぁぁぁ…」
審判は大地の裂け目に落ちていった。
勇者「自分から穴に…一体どんな技だ!?新手の攻撃にしては斬新すぎるぞ!」
盗子「違うよ勇者!アイツの攻撃がモロに当たったんだよ!あっち見て!」
チョメ「チョ、チョプー!」
赤錬邪「よくもやってくれたなぁ珍獣め。人間様に逆らうとは生意気だよ、オラァ!」
チョメ「チュパプッ!
赤錬邪が現れた。
チョメ太郎は蹴り飛ばされた。
勇者「貴様…生きていたのか。しぶとい奴め。」
赤錬邪「フン、爆風で軽く飛んだだけだ。何度も言うが俺には魔法しか効かん。」
勇者「チッ、この忙しい時に…!」
チョメ「プー!!」
暗殺美「やめとくさチョメ太郎、アンタが暴れるとむしろウチらが危険さ。」
声「な、なんだコレはーー!?」
勇者「!?」

麗華「この落書き…貴様か勇者ぁーー!?」

チッ、この忙しい時に…。
そっちは自業自得だった。

 

2-219:濡衣〔13歳:LEVEL25〕
しぶとくも生きていた赤錬邪と、タイミング悪く起きてしまった麗華。こりゃピンチだ。
だが麗華は寝ぼけていて、さっきのことは忘れているようだ。 よし、それならば…。
麗華「さぁ勇者、説明してもらおうか。この笑えんイタズラの真意をなぁ!」
勇者「ち、違う俺じゃない!アイツがさっき書いてたぞ!とても楽しそうに!」
赤錬邪「えぇっ!?」
赤錬邪は「濡れ衣」を装備した。
赤錬邪「ま、待て!よく考えろ、どこの世界にそんなお茶目な悪党がいる!?」
麗華「言い訳は要らん。乙女を愚弄した罪は、死をもって償うがいい!!」
ザシュッ!(斬)
赤錬邪「くっ…!って、まぁどうせ俺にはそんな攻撃は…ぐわぁあああああ!?
赤錬邪は大ダメージを受けた。
赤錬邪「ぐっ!そ、そんな…!この「魔欠戦士」である俺に、剣の攻撃が…!?」
麗華「ただの斬撃ではない。炎を纏った真紅の秘剣…「魔法剣:火炎桜」。」
赤錬邪「ま、魔法剣!?バカな!それは本来、剣士と魔法士の協力技で…」
麗華「生まれは魔道の家系でな。どうだ器用なもんだろう?」
赤錬邪「な、ならばなぜ今まで使わなかったのだ…!?」
麗華「生家のことは思い出したくもない。だから封印していたわけだが…キレたわ。」
赤錬邪「はわ…はわわ…!」
麗華「ワシは生のトマトは好かんが、焼きトマトは嫌いじゃないぞ?赤の戦士よ!」
赤錬邪「ひ、ひぃいいいいい!!」

ザシュッ!(斬)
ババババシュッ!
(連撃)
ズゴォオオオオオオ!!(炎上)
赤錬邪は黒錬邪になった。

 

2-220:玉砕〔13歳:LEVEL25〕
麗華の容赦ない攻撃で、赤錬邪は人とは違った物質へと生まれ変わった。
だが、まだ最大の敵である邪神バキが残っている。 さて、どうしたものか…。
邪神「誰だか知らぬが、おかげで少し休めたわ。あの死者に感謝しよう。」
勇者「麗華はまだトランス状態だし、俺もまだダメージが…チッ、だがやるしか…!」
巫菜子「けどあの扇はハンパじゃねーぜ?まずアレをなんとかしねぇと…!」
姫「パンツがめくれちゃうよね。」
暗殺美「論点が違うさ姫!てゆーかパンツがめくれたらえらいことさ!スカートさ!」
盗子「…わかった、アタシがなんとかするよ。アレを奪えばいいんだよね?」
勇者「なっ…!?」
盗子は邪神に向かって飛び出した。
勇者「や、やめろ盗子!お前なんかが…」
盗子「わかってる!死ぬかもしんないけど…でも頑張るよ!」
勇者「目立つな!!」
盗子「えっ、そういう意味!?」
暗殺美「バッ…盗子!前を見るさ!!」
盗子「えっ…ヤバッ…!!」
邪神「遅いっ!死ねぇえええええええええ!!」

ブシュッ!!(貫)
邪神の攻撃。
邪神の腕が盗子の胸を貫いた。

 

2-221:活躍〔13歳:LEVEL25〕
調子に乗って飛び出していった盗子は、案の定邪神の一撃で儚く散った。バカが!
盗子「ぅぐっ…くはぁっ!!(吐血)」
勇者「と、盗子ぉーーーー!! 貴様ぁ…!!」
巫菜子「邪神が血を浴びちまった…。や、ヤベェぞ!」
邪神「フ…ハハ…アハハハ!! やったぞ!これで完全体に…!!」
勇者「くそっ、なんてことだ…!最悪の状況だ…!!」
邪神の体が怪しく光…らなかった。
邪神「…って、何も感じんぞ!?なぜじゃ!!」
勇者「!!?」
暗殺美「ま、まさかホントに穢れてたせいかさ!?顔が!」
巫菜子「いや、顔は関係ないような気が…。」
邪神「ど、どういうことじゃ…!?」
盗子「ぐふっ…フフ、やはり「雄猿」の血じゃ意味無かったか…?残念…だったな。」
邪神「き、貴様…もしや写念獣か!?じゃあ本物…あ゛っ…!」
勇者「なにっ…!?」
盗子B「とぅっ!!」
盗子は邪神の手から扇を盗んだ。

実に数年ぶりの活躍だった。

 

2-222:昇天〔13歳:LEVEL25〕
邪神に立ち向かったのは、盗子ではなく盗子に化けた猿魔だった。いつの間に…。
猿魔「ぐふっ…ハァ、ハァ…どうだ勇者?俺の一世一代の…大芝居は…?」
勇者「そうか、さっきの煙幕に乗じて…。」
盗子「偽勇者!しっかりして!目ぇつぶっちゃダメだよー!」
猿魔「俺は、もうダメだ…。 なぁに、どのみちもう寿命だった…悔いは無いさ…。」
暗殺美「死をいとわない決死の作戦…猿ながらアッパレな奴さ。」
盗子「ぐすん。アンタと過ごした半年間…えぐっ、わ、悪くなかったよ。偽勇者…。」
猿魔「ジャクソン…。」
盗子「盗子だからっ!!」
猿魔「勇者…任せたぞ。この世界…お前に…託した…。」
勇者「…ああ、安心しろ。いずれ世界は俺のモンだ。」
猿魔「な、なんだか不安になってきたな…。」
勇者「お前には礼を言っても言い切れんな。いつか天国で、酒でも奢ろう。」
猿魔「酒か…そりゃ…楽しみだな…。 だがお前はどう考えても地獄い゛っ!!
勇者は介錯を買って出た。

 

2-223:決着〔13歳:LEVEL25〕
全ての役目を終え、猿魔は逝った。門太に続きまたしても便利な能力が…残念だ。
勇者「さぁ邪神よ、滞納していた年貢を一気に納める時だ!観念するがいい!」
邪神「こ、この状況で丸腰…。さて、どうしたものか…。」
麗華「やるぞ勇者。二人でかかれば勝利は確実だ。」
勇者「いや、俺だけでいい。今なら使えそうな気がするんだ、「千の秘剣」がな。」
麗華「千の?調子に乗るな。アレは刀神流操剣術の奥義…お前にはまだ早い。」
勇者「ナメるな!俺だってやればできるさ! 「百の秘剣」ぐらい!」
麗華「下がってるじゃないか!さりげなく思いっきり妥協してるじゃないか!」
勇者「そんなこんなで貴様を倒す!覚悟はいいか、邪神バキ!!」
邪神「チッ…!」
勇者は剣を構えた。
邪神は逃げ出した。
勇者「頼む姫ちゃん、奴の動きを止める魔法を!」
邪神「甘いわ!そのような魔法に掛かるほど…」
姫「ダルマさんがコロリン!」
邪神「えっ…!? あ゛っ!」
勇者「止まっちまった貴様の負けだー!食らえ百の秘剣、「百刀霧散剣」!!」

ズバババババババシュッ!!(連撃)


邪神「う゛っ、うわぁああああああああああ!!
勇者、会心の一撃。
邪神に致命的なダメージ。

勇者は邪神を倒した。


いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はレベル26になった。

いぃぃよぉお〜!ポンポンッ!(効果音)

姫は何もしてないのにレベルが上がった。
姫はレベル40になった。

え゛っ、40!?

 

2-224:電影〔13歳:LEVEL26〕
激戦の末、なんとか邪神を倒した俺。色々あったがこれでもう一安心だ。
大地の裂け目に落ちたため、死体を見てないのが少し気掛かりだが…まぁいい。
仮にまだ生きていたとしても、あの状態じゃすぐに死ぬだろう。 俺達の勝ちだ!
などと考えながら一服ついていると、なにやら魔獣らしき鳥が何かを運んできた。
勇者「む?なんだこの珍妙な鳥は? 俺の肩で羽根休めとは生意気な。」
麗華「どれどれ? お、コヤツは教師殿の伝令獣ではないか?」
一同「Σ( ̄□ ̄;)!?」
一同は恐怖に震えた。
邪神を見た時よりもビビッている。
盗子「はわ…はわわ…!(震)」
魔獣「ピャウ。」
勇者「コレは…「電影玉」じゃないか。奴め、また何か企んでやがるのか…?」
〔電影玉(でんえいだま)〕
燃やすと煙が具現化する魔法の玉。
最大五分ほどの映像を録画できる。
勇者「チッ、仕方ない。見たくはないが、見なきゃ殺されそうだし…ったく。」
モクモクモクモク…(煙)
教師「やぁみなさん。コレを見ているということは、無事みたいでなによりですよ。」
盗子「フン、なにさ。肝心な時にいなかったクセして偉そうに。」
教師「ハイ盗子さん、今度会ったらお仕置き決定です。」
盗子「えぇっ!?なんで返事できんの!?これって再生専用だよね!?」
暗殺美「きっと違法な何かでどうにかしたのさ。まったく怖ろしい男さ。」
勇者「で、なんの用なんだ?わざわざこんなの寄こしたんだ、何かあるんだろう?」
教師「いや、ちょっとだけ言いたいことがありまして。 要は「まだ気を抜くな」とね。」
勇者「気を抜くな?五錬邪はもう全員倒した、不安な要素はもう無かろう?」
教師「彼らはリミッターを外せた…。狂人にしかできない荒業をほぼ全員が、です。」
勇者「だから何が言いたいんだ?要点をハッキリ言いやがれ。」
教師「何者かが彼らを操り、内側から無理矢理解放させたとしか思えません。」
勇者「なっ!?じゃあ、「洗脳」みたいな魔法が掛かってたってことか!?」
教師「フフフ、イヤですねぇ。そんな便利な魔法が」
勇者「あるかもしれんだろうが!貴様が知らないだけかも…」

教師「あって、私が放っておくとでも?」
これ以上に無い説得力が。

 

2-225:旅立〔13歳:LEVEL26〕
五錬邪を倒した俺達は、教会に身を潜めていたらしいシジャン王にもてなされた。
王「よくやってくれた勇者よ。好きなだけ褒美をとらそうぞ。」
勇者「あん?なんだ貴様、救ってもらった分際で上から目線とは生意気な!」
王「え、いや…その…すみません。えと、褒美はたんまり用意させていただきます。」
勇者「フッ、当然だ。とりあえずこの口座に有り金を全部振り込…ぐぇっ!
麗華「王の御前だ、お前こそ慎め勇者。それに「勇者」が褒美を求めるとは何事だ。」
王「お、おぉありがとう。喋りがババ臭い剣士よ。」
麗華「前言撤回だ勇者、身包みどころか皮まで剥いでやるがいい。」
王「ひ、ひぃいいいいい!!」
姫「なんかお祭りムードだね。」
盗子「アンタの頭ん中だけねっ!」
暗殺美「どうでもいいけど早くご飯にしてほしいさ。お腹が大合奏の準備中さ。」
メイド「あ、ハイ。それではご用意いたしますね。好き嫌いとかおありですか?」
盗子「ん〜、アタシは特に無いかなぁ?大丈夫っ☆」
メイド「じゃあ適当にそこらの草でも…。」
盗子「なんでっ!?」
勇者「よーし野郎ども!宴だ!声帯がブチ切れるまで騒ぐがいいっ!!」
国民「うぉおおおおおおお!!」
勇者はそのまましばらく居座った。
その間、国は大いに荒れた。
数日後…。 皆で散々食って飲んでしまくったせいか、国の食糧が尽きかけてきた。
心なしか、国民の俺達を見る目も濁ってきたように思える。 これは、マズい。
「勇者」の美学として、去り際は美しくなければならないと俺は思うのだ。
ホントはもう少しのんびりしたいところだが…平穏は剣を鈍らせるしな、仕方ない。
勇者「とまぁそういうわけで、ぼちぼち旅立とうと思う。お前ら準備はいいか?」
盗子「うん☆ でもどこ行く気なの勇者?もう五錬邪はいないわけだけど…。」
勇者「中央だな。「帝都:チュシン」…人が多く集う場所ほど、情報は集まりやすい。」
盗子「情報…?他の神でも探そうっての??」
勇者「力はついた。今度こそ奴を…「魔王:ユーザック」を討つ時だ!」
盗子「うげっ、魔王!?」
暗殺美「魔王…そういや最近、とんと噂を聞かないさ。なんか不気味さ。」
勇者「奴ほどの男だ、このままなんてことはありえない。きっと何かを仕掛けてくる。」
姫「落とし穴とかね。」
勇者「フッ、この俺を落とそうなんて百年早いぜ!」
盗子「スケールがちっちゃいよ!どうせならもっと凶悪な罠とか想定しようよ!」
姫「地球が爆発するよ。」
盗子「魔王も死んじゃうじゃん!」
勇者「にしてもアレだな。なんとなくだが、カクリ島を出た日のことを思い出すな。」
姫「ん〜。じゃあ今度のは…うん、「卒業旅行」だね☆」
暗殺美「いや、卒業旅行って言うには時間経ち過ぎちゃってる気がするさ。」
姫「「帰ってきた卒業旅行〜激烈地獄巡り〜」だね。」
盗子「だからそんな物騒なサブタイトルは要らないから!」
勇者「俺はお前が一番要らない。」
盗子「うわーん!相変わらず目がマジだよー!!」
麗華「オーイ勇者ぁー!船が来たぞ、早く乗り込めー!」
勇者「よし、行くか! 命の保証は今後も無い。わかった奴だけ、ついて来い!!」
一同「オォーーー!!」

こうして勇者達は、再び旅立った。



新たな力を身につけて

強大な敵を退けて

賢二のことはスッカリ忘れて




邪悪な魔王を倒すため









邪悪な勇者が行く。










〔キャスト〕

勇者
賢二
盗子


宿敵 奮虎
血子 マジーン
商南 メカ盗子
土男流 弓絵
相原 案奈
姫子 博打
栗子 召々
門太 チョメ太郎


暗殺美
麗華
スイカ割り魔人(秋臼)
無印





〜その頃、シジャン川のほとりでは…〜
審判「・・・・・・・・。」

ザッ、ザッ…(足音)

審判「ん? よぉ、遅かったじゃねーか。約束通りコイツは拾っといたぜ。」
女「…いつまでそんなマスクを付けている気ですか?ゴクロさん。」
マジーン「ハハハ。いや、何気に気に入っちまってな。 で、首尾はどうよ?」
女「計画通りです。全ては少年達と五錬邪、そしてアナタのおかげですよ。」
マジーン「俺は何もしてねぇぜ?それにアンタの味方ってわけでもねぇよ。」
女「わかってますよ。確か自称「終末の見届人」…でしたっけ?」
マジーン「フッ、ああ。俺はただの見物人、面白ぇ未来が見てぇだけさ。」
女「では今後も見ていてください。きっと楽しめるでしょう。 …博打。」
博打「わかってるさマスター。手当ては済んだ、声かければ起きるぜ。」
女「さぁ、起きなさい邪神。もう何百年も、十分に眠ったでしょう?」
邪神「ぐっ…だ、誰じゃ貴様らは?わらわに引導でも渡しにきたか…?」
女「逆ですよ、アナタには復活してもらいます。私の計画のために、ね。」
邪神「フン、お前の血でか?じゃが、仮に生娘でもその歳じゃ…」
女「ふふ…じゃあコレでは、どうですか?」


巫菜子「う゛、うぅ…。」



邪神「…話を聞こうか、女。」






赤錬邪 群青錬邪(夏草)
桃錬邪(秋花) 黒錬邪(冬樹)
黄錬邪(春菜) 黄緑錬邪(巫菜子)


ソボー
ユーザック・シャガ(魔王)

偽ゴクロ 山族長 ナンダ
貧乏神 洗馬巣 栗尾根
大ボラ兄弟    


皇子
教師
勇者父(凱空)





その他の適当な人々






勇者「う〜〜む…。」
盗子「ん?どしたの勇者? さっきから唸ってるけど、何か考え事?」
勇者「盗子か…。 いや、前の先公の話が少し気になってな。」
盗子「あぁ…洗脳の話? 大丈夫だって。きっと先生の気のせいだよ。」
勇者「…ま、そうだよな。なんでも操れるなんてそんな都合のいい…」

「…んでも…きるのです。」

勇者「ッ!!? な、なんだ今の記憶は…!?」
盗子「えっ、な、なにっ!?」
勇者「俺は…前にどこかで聞いたことがある。聞いたことがあるぞ!」

「熟練…ば…なんでも…できるのです。」

勇者「そ、そうだ「あの時」だ!確かに“奴”はそう言った!「なんでも」と!」
盗子「あの時って!?ちょっ、アタシにもわかるように説明してよ!」



「私の真の職業は「操縦士」。熟練すれば、なんでも操縦できるのです。」



勇者「…ハッ!そういや邪神の武器はっ!?お前持ってたよな盗子!?」
盗子「へ? あれ?どこやっちゃったろ…って、だからそれがなんなの!?」
勇者「チッ、マズいぞ! 黒錬邪が言ってた、“奴”ってのは…!!」








〔ナレーション〕

オチの人







〔キャラクターデザイン〕

画家











ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…(雷雲)










春菜「さぁ行きましょうか、邪神バキ。」











〔制作・著作〕

創造主












第二部:「五錬邪討伐編」












 

第三部