第十一章

 

2-166:権力〔13歳:LEVEL17〕
夏。 色々あったけど、僕達はなんとか生きて「タケブ大陸」に到着できた。
そして今は、「シジャン王国」の王都…五錬邪が支配する城の城下町に来ている。
恐らくこれが、五錬邪との最後の戦いになるだろう。できる限りの準備をしなきゃ。
盗子「つ、ついに来たね敵の本拠地…。なのに仲間はたった三人だなんてさ…。」
勇者「頑張ろう姫ちゃん。僕ら二人で世界を守るんだ。」
盗子「せめて頭数ぐらいには入れてよ! 盗子にも人権を!人権をー!!」
勇者「シッ! 僕らが来たのは多分…もう気づかれてる。慎重に行かなきゃ。」

〜その頃、シジャン城では…〜
赤錬邪「よし!では今から各関門に全員を配置する!ガキどもの侵入に備えろ!」
兵士達「ハッ!」
赤錬邪「まず第一の門は…よし、お前に任せるぞ黄緑錬邪!」
黄緑「あ?気安く私に指図するなよ。まぁ仕方ねぇからヤッてやるけどさぁ。」
赤錬邪「くっ…!ま、まぁ威勢がいいのは良いことだ。 そして次、第二の門!」
傭兵「ケケッ!そこでこの俺達…「人獣奇兵団」の出番ってわけかよ?」
兵士A(じ、人獣奇兵団って、まさかあの…!?)
兵士B(ああ。魔獣を巧みに操り、金さえ貰えりゃ何でもやる…外道な傭兵団さ。)
赤錬邪「うむ。お前達には高い金を払ってるんだ、それなりの仕事を頼むぞ?」
傭兵「あん?なんだテメェ、信用できねぇっての?じゃあ今テメェをヤッたろか!?」
赤錬邪「くっ…!ま、まぁそのぐらいの方が心強いか。 そして最後、第三の門は…」

鉄仮面「俺に命令したら、殺す。」
赤錬邪「くっ…!」
アンタほんとにボスなのか。

 

2-167:依頼〔13歳:LEVEL17〕
三人で挑むのはさすがに厳しいので、僕達は城下町で仲間を探すことにした。
聞けば五錬邪を倒そうという勇士達が酒場に集っているらしい。見逃す手は無い。
そういえばマジーンは買出しに出たっきり戻らないけど…まぁそれは別にいいや。
ガラララン♪(開)
店主「ヘイいらっしゃ…」
勇者「僕の名は勇者!五錬邪を倒すため、仲間を探している!」
盗子「私は盗子!お願い!誰か力を貸して!」
姫「私は今日のランチ!」
盗子「って真面目にやれよ!!しかも酒場でランチて!」
店主「はいランチ一丁ね〜。」
盗子「なんであるんだよ!!」
客A「…オイ小僧。勇者ってお前…凱空さんの息子の勇者か?」
勇者「えっ、なんで父さんのことを知ってるの!?お前達は一体…!」
客B「俺達はあの人に言われて集まったんだ。「息子を頼む」ってな。」
勇者「と、父さん…。」
客C「俺達は凶死さんに頼まれた。「私のオモチャをヨロシク」とよぉ。」
盗子「オモチャて!アタシらってそういう位置づけだったの!?」
勇者「先生…。」

なんでお前らが来ないんだ。
勇者は人任せにされた。

 

2-168:再会〔13歳:LEVEL17〕
酒場で仲間を集め、パーティーは10人になった。実力は不明だけど多少は心強い。
彼らの話によると、城の中に入るには三つの門を越えなければならないらしい。
というわけで僕らは、早速「第一の門」の前までやってきた。テンポ良くいこう。
勇者「さぁ出てこい五錬邪!誰かいるのはわかってるんだぞ!」

シーン…

勇者「…待とうか。」
盗子「なんで待つの!?いなきゃいないで好都合じゃん!」
仲間B「ギャアアアアア!!
勇者「!? やっぱりいたんじゃないか! 出てこい!」
盗子「そ、そうだよ出てきなよ!隠れてるなんて卑怯だよ!」
勇者「出てきて僕に謝れ!」
盗子「そういう意味だったの!?仲間のカタキとかそういう線は!?」
黄緑「フフ…久しぶりだなぁ勇者。今日こそテメェを殺してやるよ。」
盗子「き、黄緑…アンタ巫菜子だよね!話は聞いてるよ!」
黄緑「あん?あぁ、テメェも久しぶりだなぁ…姫。」
盗子「アンタもアタシにはノータッチかよ!!」
仲間C「な、なんだよお前ら…コイツと知り合いなのか?」
勇者「うん…。奴とは色々と因縁があるような気がしながらも全く覚えてない。」
黄緑「結局は覚えてねーんじゃねぇか!相変わらずナメた野郎だ、ブッ殺す!」
黄緑錬邪は「岩の精霊」を呼んだ。
幾百の岩石が勇者を襲う。
勇者「くっ、数が多すぎる!避けきれな…!」
姫「大丈夫、私に任せて!みんなを守って「超防御」!そして敵を討って「爆裂」!」
姫は〔超防御〕を唱えた。
全ての攻撃を防いだ。
姫は〔爆裂〕を唱えた。
岩の精霊を撃破した。
黄緑「なっ!?こ、これがあの姫の動きなのか!?」
勇者「ひ、姫ちゃん…!?」

姫「悲しいけど、私が倒すよ巫菜子ちゃん。友達だけど…ううん、友達だから!」
姫は酔っている。

 

2-169:酒乱〔13歳:LEVEL17〕
なぜか急にシャキシャキしはじめた姫ちゃん。一体彼女に何があったのだろう?
勇者「ど、どうしたんだろ姫ちゃん…?でもとりあえず、こんな彼女も…いい!」
盗子「…あっ!きっとあの子お酒飲んじゃったんだよ酒場で! 姫って酒癖が…」
姫「大丈夫お仲間ちゃん!?傷は私が治すよ!むー、〔治療〕!」
盗子「悪い…のかむしろ良いのかわかんないけども。」
黄緑「チッ、姫が戦力になるなんて厄介だぜ…。 とりあえずお前達、行きな!!」
兵士達「おおおおおおっ!!」
勇者「大将は僕らが倒す!雑魚の相手は任せるよ!」
仲間達「おう!任せとけぇええええ!!」
ガキン!キィン!ズバシュッ! チュィン!
久々に戦いらしい戦いが始まった。
勇者「よし、じゃあ僕達もいくよジュリアス!黄緑錬邪を倒すんだ!」
盗子「ま、待って勇者!前の経験からすると多分もうじき姫のミラクルが切れるよ!」
姫「むー!〔死滅〕!!」
兵士A「うぎゃあああああ!!
盗子「ゴメン勇者!全然「多分」じゃなかったよ!」
仲間A「ぎょええええええ!!
姫「えっ、どうしたの!?誰がこんな酷い…。私が治すよ! むー!〔全滅〕!!」

一同「ぐわぁああああああああ!!
辺りは地獄絵図と化した。

 

2-170:本気〔13歳:LEVEL17〕
酔った姫ちゃんの暴走により、敵も味方も大半がブッ倒れてしまった。
でも酔いのせいかレベルのせいか、術が完璧じゃなかったのがせめてもの救いだ。
勇者「うぐっ!これが…絶命系呪文…!カスッただけでこの疲労度だなんて…!」
黄緑「ふ、フザけてんじゃねぇぞテメェら!悪役よりも非道な攻撃すんじゃねぇよ!」
盗子「ヤバいよ勇者!みんな倒れちゃったよ!まるでこのためだけに来たみたく!」
勇者「でも、それは敵も同じさ。三対一なぶんこっちに勝機があるはずだよ。」
黄緑「ケッ、甘く見られたもんだぜ…。だがコレを見てもまだ言えるかア゛ァン!?」
黄緑錬邪は力をためた。
とりまくオーラが数倍になった。
勇者「なにっ!?なんでいきなりこんなにパワーが…!?」
盗子「あっ、そういやコイツら裏技使ってんだよ!命と引き換えに!」
黄緑「さぁ来やがれ勇者。こっちは命削ってんだ、テメェも命懸けろやぁ!」
勇者「やっぱり一筋縄にはいかないか…。いつ神が復活するかというのに…!」
姫「勇者君、ここは私に任せてほしいよ。みんなのカタキは…私が討つよ!」
勇者「なっ、何言ってるのさ姫ちゃん!?一人でなんとかなるはずが…!」
盗子「そうだよ姫!違った意味でも何言ってんだよ!アンタがやったんじゃん!」
姫「悲しい事故を乗り越えて、私は強くなるよ。 行って!世界のピンチだよ!」
勇者「くっ…! …わかった。でも絶対死んじゃダメだからね姫ちゃん!」
盗子「ちょっ、姫に任せちゃう気!?てゆーかアンタは何もしない気!?」
黄緑「そうだ逃げんな勇者ぁ!私がテメェを恨んでんのはテメェも…」
勇者「記憶喪失をナメないでほしい。」
黄緑「ナメてんのはテメェだぁあああああ!!」
覚えてないのは前からのことだ。

 

2-171:不動〔13歳:LEVEL17〕
とても心配だけど、黄緑錬邪は姫ちゃんに任せることにした。全ては世界のためだ。
なんとか早めに攻略して助けに戻りたい。姫ちゃん、少しだけ待っててね…!
勇者「あ、見た感じアレが「第二の門」…かなぁ? じゃあ開けるよハリソン?」
盗子「ちょっ、待ってよ勇者!最後に巫菜子が言ってたこと忘れたの!?」
勇者「お前こそ忘れてもらっちゃ困るよビリー。僕は記憶喪失だよ?」
盗子「それは今さっきのことには適用されないよ!」
勇者「大丈夫、傭兵団なんか怖くないさ。たとえ何人いようと…僕は負けない!」
勇者は扉を押した。
だがピクリとも動かなかった。
勇者「なにっ!?ぐっ…ダメだ、ビクともしない! …押してもダメならぁ!」
盗子「むぎぃー! ふぅ…違うみたいだよ勇者。引いても全然ダメっぽい。」
勇者「じゃあフスマみたく横に…ズレないか。まるで鍵でもかかってるみたいだ。」
盗子「えー、でも鍵穴無いじゃん? あっ、もしかしたら「呪文」とか!?」
勇者「な、なるほど…よし! ふぅー… 「開け、ゴラ」!!」
盗子「「ゴマ」じゃないの!?それじゃただ喧嘩売ってるだけじゃん!」
勇者「ケラヒ・ヨラビト!!」
盗子「いや、なんとなくそれっぽいけど無理だから!逆に言ってるだけじゃん!」
勇者「僕を信じるんだ!さぁ、この胸に飛び込んでおいで!」
盗子「心を開かせてどうすんだよ!開いたら開いたでなんか怖くて入れないよ!」
勇者「くっ、ダメか!こうなったら爆弾でも仕掛け…ん?なんだろコレ…?」


『軽く触れてください』

二人「バカなっ!!」
不自然にハイテクだった。

 

2-172:場違〔13歳:LEVEL17〕
古くおもむきがあったのは外観だけで、なぜか自動ドアだった第二の門。
勇者「なんとなく気が抜けた感があるけど…気を取り直して行こう。 開けるよ!」
ウィーーーン…(開)
勇者は扉を開けた。

傭兵Aが現れた。
傭兵Bが現れた。
傭兵Cが現れた。
傭兵Dが現れた。
傭兵Eが現れた。

傭兵Aは剣を持っている。
傭兵Bは斧を持っている。
傭兵Cは槍を持っている。
傭兵Dは銃を持っている。
傭兵Eは太っている。
傭兵B「オイオイ勘弁しろよ。たった二人で来やがったぜコイツら?」
傭兵C「やれやれ、我ら「人獣奇兵団」もナメられたものだな。」
勇者「僕は無駄な殺生は好まない。お前達、ここで退くなら見逃してあげるよ?」
傭兵D「あ゛?立場わかってねぇのかテメェ!?今すぐ殺すぞゴルァ!?」
傭兵E「…お菓子、うまい。」
盗子「ねぇアンタだけなんかキャラ違くない!?どう見ても場違いだよね!?」
傭兵A「チッ…まぁいい。一応仕事だ、適当にヤッちまえやぁああああ!!」
傭兵Aは剣を構えた。
傭兵Bは斧を構えた。
傭兵Cは槍を構えた。
傭兵Dは銃を構えた。
傭兵Eはブサイクだ。

 

2-173:百人〔13歳:LEVEL17〕
傭兵団は予想よりは少なかったけど、それでも一人で五人と戦うのはかなりキツい。
勇者「ハァ、ハァ…!ダメだ、五人相手じゃ防御が精一杯…!」
傭兵A「ケッケッケ!ヤルじゃねぇかガキのくせに!だが息が上がってるなぁ?」
勇者「くっ…!一人で倒せる相手じゃない、お前も何かするんだポコポン!」
盗子「えぇっ!?な、なにさアンタ!か弱い乙女を危険に晒す気!?」
傭兵A「…オイ、先にコイツから消すか。」
傭兵達「おうよ!」
盗子「なんでアンタらがキレるわけ!?」
傭兵B「弱ぇ奴から殺すのが定石だろ?まずはテメェからヤッてやるぁ!」
盗子「わっ、やややヤだよぉー!!」
勇者「ヤメろ!コイツに構うなー!!」
盗子「あっ…ゆ、勇者…☆」
勇者「何かがうつるぞ!!」
盗子「何がだよ!敵を気遣う前にアタシを思いやれよ!」
傭兵C「安心しろよ小僧、テメェの相手はまだまだ奥に山ほどいるからよぉ!」
勇者「なっ!?や、やっぱり五人じゃなかったのか…!?」
傭兵A「ケケッ!総勢100人!それが俺ら人獣奇兵団だぁー!来いや野郎ども!」
傭兵Aは仲間を呼んだ。

だがその声は虚しく響いた。
傭兵A「…オイ!聞こえねぇのかテメェらぁ!?来いっつってんだろがぁ!!」
傭兵D「た、大変だ兄貴ぃ!みんなブッ倒れっ…!
傭兵A「なっ…!?ど、どうしたオイ!?何があった!?」
勇者「!! あの陰だ!柱の陰に、誰かいる!!」

声「ふぅ〜…、ったく…。」


暗殺美「雑魚のお守りは疲れるさ。」
暗殺美が偉そうに現れた。

 

2-174:意表〔13歳:LEVEL17〕
陰から現れた黒髪の少女。サルサが知ってるようなので、どうやら味方みたいだ。
盗子「あ、暗殺美!?なんでアンタがここにいんのさ!?いつの間に…!」
暗殺美「詳しい話は後さ。とりあえず雑魚を片付けるから黙って見てるがいいさ。」
傭兵A「ちょ、調子ん乗んなよテメェ!?俺らは他とは一味違うぜ!? ブッ殺す!」
暗殺美「「暗殺者」をナメんじゃないさ。私の秘奥義「風林火山」を見せてやるさ。」
勇者「ふ、風林火山!?」
暗殺美の姿が消えた。
暗殺美「疾(はや)きこと風の如く!」
傭兵B「なっ!? ぐぇっ!!
勇者「は、速い! 僕にも見えないなんて…!」

暗殺美「徐(しず)かなること林の如く!」
傭兵C「ぶばっ!!
傭兵A「そ、そんな!音もしねぇとは…!」

暗殺美「侵掠(しんりゃく)すること火の如く!」
傭兵E「お菓子っ!
盗子「お菓子!?どんな悲鳴だよそれ!」

暗殺美「動かざること…」
傭兵A「ん?おっ、バカが!止まりやがったぜ!」
盗子「ちょっ、暗殺美!危なっ…!」

暗殺美「カカト落としぃいいいい!!」

盗子「えぇーーっ!!?」
山はどこへいったのか。

 

2-175:名前〔13歳:LEVEL17〕
華麗な動きで傭兵達を始末した暗殺美。最後が変だったけど気にしたら負けだ。
傭兵A「ぐっ…!ち、チクショ…ウ…!(バタッ)」
勇者「…ふぅ〜、おかげで助かったよ。お前みたく強い仲間がいたなんてね。」
暗殺美「仲間扱いするんじゃないさ。アンタはむしろ私の筆頭ブラックリスターさ。」
盗子「それにしてもアンタ、一人であんなに…。なんかメッチャ強くなってない?」
暗殺美「はぁ?一人で100人なんてどんな化け物さ。軽く毒を盛っといただけさ。」
傭兵A「な、なにっ!?じゃあアイツらは生きてるってことかよ!?ホントか!?」
暗殺美「じきに目覚めるはずさ。仕方ないから今日だけは見逃してやるさ。」
傭兵A「くっ…!覚えてろよクソガキ!この恨みはいつか…!」
暗殺美「クソガキじゃないさ。私には暗殺美って素敵な名前があるのさ。」
傭兵B「今度はブッ殺してやるからな暗殺美!」
暗殺美「だからって気安く呼ぶなさ!」
傭兵C「あさみん!」
暗殺美「可愛く呼ぶなや!」
傭兵E「お菓子…。」
暗殺美「呼べやっ!!」
乙女心は複雑だった。

 

2-176:迂闊〔13歳:LEVEL17〕
傭兵団を撃破した僕達は、次の門へと向かうことにした。のんびりはしてられない。
盗子「で、でもいいの暗殺美?コイツらこのまま置いてって…。」
暗殺美「フン、気にすること無いさ。こんなハッタリ偽者軍団なんか敵じゃないさ。」
勇者「え?ニセモノ…?それはどういうことなんだあさみん?」
暗殺美「あさみん言うなや!」
傭兵A「て、テメェ…いつから気づいてやがった?」
暗殺美「本物の人奇団は「魔獣使い」と聞くさ。辺りに一匹もいないのは変さ。」
傭兵達「・・・・・・・・。」


傭兵達「Σ( ̄□ ̄;)!!」
盗子「アホかよアンタら!?100人もいて誰も考えなかったのかよ!」
傭兵C「な、なんて鋭い娘なんだ…!コイツらなんて疑いもしなかったのに!」
勇者「いや、僕らはたまたま本物の噂すら聞いたことがなかっただけで…。」
暗殺美「一時期賞金稼ぎで食べてた時期があるのさ。アンタらも確か賞金首さ。」
傭兵B「なっ!?じゃあ俺らが「詐欺師」の「大ボラ兄弟」だってことも!?」
傭兵A「そ、そうか…俺らってそんなに印象に残るほど有名だったのか〜♪」

暗殺美「名前がウケたさ。」
傭兵A「それでかよ!!」
傭兵達は傷ついた。

 

2-177:称号〔13歳:LEVEL17〕
実は偽者だったという傭兵達。そんなのに苦戦したなんて大きな声じゃ言えない。
勇者「それにしても、気づかずに偽者を雇うなんて…赤錬邪も底が見えたね。」
傭兵B「いや、ナメねぇ方がいいぜ。アイツは一見マヌケだが、何か裏がある。」
傭兵C「それに次の門にいる「鉄仮面」にも要注意だな。確か名前は…「覇者」だ。」
勇者「鉄仮面!?そいつもここにいるの!?どういう奴なのか教えてくれ!」
傭兵D「俺らもよくは知らねぇが、最近加入してすぐ幹部になったヤリ手らしいぜ。」
勇者「そっか…。何度か聞いた相手だけど、どうやら敵で決まりみたいだね。」
盗子「ん〜、まぁしょうがないね。 とりあえず用も済んだわけだし先に…」
傭兵達「ぐ…うぐぅ…。あ、兄貴ぃ…!」
傭兵達の毒が抜けたっぽい。
盗子「わっ、わー!ヤバいよ勇者!毒が切れ始めたよ!早くなんとかしないと…!」
傭兵A「…いや、悔しいが今回は俺らの負けだ。 何もしねぇからとっとと行けよ。」
勇者「ん?なんだかヤケに素直じゃない?」
傭兵C「「詐欺師」にとって引き際は命でな。…だが、次はブッ殺す!覚えてろよ?」
暗殺美「そういうことなら今すぐヤッとくさ。」
傭兵C「いや嘘ですスンマセン!つい詐欺師の癖で心にも無い嘘がっ!」
盗子「ま、まぁいいじゃん暗殺美。わざわざ無駄な血を流すことはないよ。」
傭兵B「おぉ…!あ、ありがとう妙ちくりん!」
盗子「誰が妙ちくりんだよ!アタシも「あさみん」みたくもっと可愛く呼べよ!」

傭兵達「ありがとう、「闘魂(とうこん)」!」
盗子「やっぱそうなんのかよ!!」
盗子は「萌えぬ闘魂」の称号を手に入れた。

 

2-178:手紙〔13歳:LEVEL17〕
大ボラ兄弟を残し、僕らは「第三の門」へと向かった。赤錬邪はもうすぐそこだ。
次の敵は鉄仮面の「覇者」…聞く限りではかなりの強敵だ。でも、僕は勝つ!
勇者「着いたね。 …よし、どうやらこの扉は普通みたいだ。 開けるよ?」
暗殺美「ちょっと待つさ。さっきから変だと思ってたことがあるのさ。」
勇者「ん?変って何が?」
暗殺美「アンタ、なんか様子が変さ。まぁ元々変な奴ではあったけどもさ。」
盗子「あ〜。実は勇者、わけあって記憶を無くしててさ〜。もう半年くらい経つよ。」
暗殺美「…ま、別にどうでもいいけどさ。」
勇者「ちなみに賢二は獣に食われたよ。」
暗殺美「うぇえええええっ!!?」
勇者「さ、そろそろ入ろう。きっと敵も待ちくたびれてるよ。」
暗殺美「賢二君が…。そんな…半ば予想通り賢二君は…。」
ギィィイイイ…(開)
勇者「さぁ、出て来い鉄仮面!お前はこの僕が…って、あれ?」
盗子「へ?いな…い? もしかして、今が抜けるチャンスだったり…?」
勇者「いや、安心するのはまだ早いよ。黄緑錬邪の時もそうだったしね。」
暗殺美「あ…。見るさ勇者、なんかメモみたいのが落ちてるさ。見てみるさ。」
勇者「ま、待って暗殺美!罠かもしれないから迂闊に近づ…」

メモ『飽きたから、帰る。』

一同「えぇーーーっ!!?」
ホントに待ちくたびれてた。

 

2-179:早速〔13歳:LEVEL17〕
緊張しつつ乗り込んだのに、鉄仮面の男はいなかった。「飽きた」ってなんなんだ。
父さんのこととか知りたかったけど…まぁいいや。楽して進めるなら文句は無い。
勇者「…というわけで、早くも「王の間」の前に着いたわけだけど…準備はいい?」
暗殺美「私は精神的にまだ立ち直れてないけど…こうなったら八つ当たっていくさ。」
盗子「こ、ここまで来たらもう退くわけにもいかないもんね!いいよ行こうよ!」
勇者「よし、じゃあ開けるよ!!」

ゴゴゴゴゴ…!(開)

影「…フッ、よく来たな。勇者と勇敢なる戦士達よ。」
勇者「その赤い衣装…どうやらお前がボスみたいだね。」
赤錬邪「いかにも。俺が二代目赤錬邪…この五錬邪の総帥だぶしっ!
暗殺美は容赦なく攻撃した。

 

2-180:一撃〔13歳:LEVEL17〕
せっかくの登場シーンだというのに、暗殺美に邪魔されてしまった赤錬邪。
ちょっと可哀想だとは思うけど、やっぱり戦いの場で気を抜く方が悪いと思う。
赤錬邪「ちょ、ちょっと待て!ラスボスの自己紹介っていったら、もっとこう…」
暗殺美「甘えてんじゃないさ!人生はいつだって時間との戦いなのさ!」
盗子「いいぞぉ暗殺美ー!やっちゃえー!!」
赤錬邪「くっ…! …フン、いい度胸だな小娘。 死して後悔するがいいわぁ!!」
暗殺美「えっ…?」

ズゴォオオオオン!!(打)
暗殺美「きゃうっ!!
赤錬邪の攻撃。
暗殺美は激しくフッ飛ばされた。

暗殺美はグッタリした。
盗子「えっ!暗殺美!?暗殺美ぃいい!! ねぇ!大丈夫!?しっかりしてー!!」
赤錬邪「フフッ。 すまんな、まだ加減ができんのだ。さすがは「神」の持ち物よ。」
勇者「なっ!?じゃ、じゃあその棍棒みたいなのも「神の装備」だっていうのか!?」
赤錬邪「そうだ。かつて様々な伝説を打ち立てた神、「サーハル」の愛用品だ。」
盗子「さ、サーハル…!?どんな恐ろしい奴なの!?「魔神」とか!?」

赤錬邪「「野球の神」だ。」
勇&盗「えぇっ!?」
ホームランとかたくさん打った。

 

第十二章