雑談

 

怖い話
赤池「なぁ、怖い話しようぜ。」
植田「怖い話?なんだよ急に。」
赤池「だって夏だろ?夏といえば怖い話。それしか無いじゃん。」
植田「いや、他にも色々あるだろ。海とか山とか。」
赤池「そう。だから怖い話しようぜ。」
植田「人の話聞けよ。「そう」の意味を調べてから出直してこいよお前。」
赤池「んじゃ、俺から話すな。ビビるなよ?漏らすなよお前?」
植田「いい歳こいて誰が漏らすかよ。ったく…」
赤池「ため息とか。」
植田「それは保障できないわ。いやむしろ多分無理だわ。」
赤池「まぁ細かいことはいいじゃん。怖い話、しようぜ?」
植田「はぁ…まぁ好きにしてくれ。」
赤池「お前、結構大胆だな。」
植田「そういう意味じゃないから。決してお前に身を委ねるつもりはないから。」
赤池「そっか……んじゃ、いくぞ…。」
植田「ああ。なんで少し残念そうなのかが気になるが…いや気にしまい。」
赤池「これはな、俺の高校時代の先輩の彼女の妹の、姉の彼氏の後輩の俺が体験した話なんだけど…」
植田「普通にお前の体験談でいいじゃないか。なんだその無駄な前フリは。」
赤池「あれは去年の夏のこと…。俺は親友と二人で、夜の学校に迷い込んだんだ。」
植田「なんで通いなれた学校に迷い込むんだよ。忍び込んだって言え。」
赤池「誰が自分の学校って言ったよ?違うかもしんないじゃん。」
植田「だって一緒に行ったの、俺じゃん。」
赤池「まぁそうとも言える。」
植田「他の言い方があったら是非とも教えてくれ。」
赤池「んでな、忍び込もうと便所の窓を割ろうと思ったら、親友がこう言ったんだよ。」
植田「昼の間にカギ開けといたって話だろ?」
赤池「お前…エスパーか?」
植田「誰がエスパーだ。数秒前の会話を思い出せ。」
赤池「怖っ!超怖っ!まさに怖い話!」
植田「俺はお前の思考回路が怖いよ。」
赤池「ウチの学校にはさ、古くから『学園七不思議』ってゆーのがあってさ。」
植田「あー、そういやあったな。」
赤池「六つ。」
植田「そう六つ。残りの一つが一番謎だっつーのな。」
赤池「中でも一番有名だったのが、トイレの花子さんだったよな。」
植田「ああ、いろんな意味で花子さんだったよな。」
赤池「もう全国でも有名。トイレにいるといえばこの人」
植田「花子さん。」
赤池「誰もいないはずの音楽室…夜中にピアノをおもむろに弾きだす」
植田「花子さん。」
赤池「美術室の肖像画…夜中になると目がギョロギョロ動くその絵のモデルは」
植田「花子さん。」
赤池「理科準備室…人体模型と夜な夜な大騒ぎを繰り広げる」
植田「花子さん。」
赤池「元々12段だった非常階段を、深夜にこっそり1段増設した」
植田「花子さん。」
赤池「深夜の女子更衣室で、こっそり女生徒の荷物を漁る」
植田「教頭先生。」
赤池「最後のやつが…一番女には怖れられてたよな、ある意味。」
植田「ああ、違った意味でな。」
赤池「教頭…元気にしてるかな?」
植田「え、お前知らないのか?教頭…自殺したんだぜ。」
赤池「マジで!?あの女生徒はノーブラって校則作ろうとして失敗した教頭が!?」
植田「いや、それは全く根拠にはならないと思うが。むしろ死にたくなるだろ恥で?」
赤池「あの息子の名前に「エロス」と付けたほどエロかった教頭が!?」
植田「その息子さんは自殺してもうなづけるな。」
赤池「あの学生名簿使って端から女生徒に電話してハァハァ言ってた教頭が!?」
植田「そ、そんなことまでしてたのか…。」
赤池「アレはなかなか良かったよ。」
植田「共犯か。むしろお前が主犯っぽい気がしてならないぞ。」
赤池「先週は…あんなに楽しんでたのに…。」
植田「え…?」
赤池「ん?」

植田「教頭死んだの…先月…。」