こちら相原総合病院

 

- 登場人物 -
・相原先生〔医師〕
 「死神」の異名を持つ医師。
・斉藤先生〔研修医〕
 相原先生を慕う研修医。基本的には真面目な性格。
・田中さん〔看護婦〕
 いわゆる普通の看護婦。
・国松さん〔看護婦〕
 おっちょこちょいを絵に描いたような看護婦。
・今岡さん〔看護婦〕
 ツッコミに鋭い切れ味を持つ看護婦。
・滝口さん〔看護婦〕
 いたって冷静に毒を吐くタイプの看護婦。
・患者さん〔患者〕
 犠牲者。
 

 

- 1 -
患者「先生…。俺…胃ガンなんだろ…?」
医師「違いますよ。胃潰瘍だって何度も言ってるじゃないですか。」
患者「嘘だ!きっと俺の胃はもうボロボロなんだ!だってさ、死ぬほど痛いんだよ!」
医師「そうですか。「胃潰瘍が痛いよう」というギャグですか。」
患者「違ぇーよ!!」
医師「大丈夫ですよ。潰瘍さえ治ればあなたの胃は健康そのものです。」
患者「気休めはよしてくれ!」
医師「気休めなんかじゃないですってば。」
患者「…本当か?本当なのか?ホントに俺の胃はガンじゃないんだな?」

医師「ええ。ガンなのは「肝臓」ですから。」
患者「…え゛。」
医師「「肝臓がイカンぞう!」みたいな。」
患者「・・・・・・・・。」
相原先生の告知は今日も「酷知」です。

 

- 2 -
医師「斉藤君、ちょっとこれを見たまえ。」
研修医「はい。なんですか相原先生?」
医師「このカルテだ。203号室の中澤さんのものなんだが…。」
研修医「せ、先生…これは…。」
医師「ああ、間違いない。」
研修医「そんな…まだ若いのに…。」
医師「かわいそうに。こりゃ間違いなく死…ガチャッ
患者「先生!俺が死ぬってどういうことですか!?」
研修医「な、中澤さん!聞いてたんですか!?」
患者「ハッキリ言ってください。俺…そんなにヤバイんですか?」
医師「・・・・・・・・。」
医師「…気を落とさない自信は…ありますか?」
研修医「先生!!」
患者「いいんです斉藤さん!俺…覚悟はできてますから!」
医師「そうですか…わかりました。話しましょう。」
患者「ありがとうございます!」

医師「その水虫、死ぬほど臭いよ。」
そう言って「ガスマスク」を装着する、非道な相原先生。

 

- 3 -
患者「うっ、うわああああああああっ!!」

バンッ!(扉を開ける音)
医師「ど、どうしたんですか!?」
患者「この女が!この看護婦がぁあああっ!!」
医師「国松君!一体何をしたんだね!?」
看護婦「す、すみません相原先生!いや、ちょっと…。」
医師「ちょっと…なんだね?」
看護婦「あ、ちょっと「消毒液」と「濃硫酸」を間違えちゃいまして…。」
患者「それチョットじゃねーよ!溶かす気か!」
医師「ププッ。とかす程も無いくせに…。」
患者「髪の話じゃねーよ!しかも失礼だし!」
医師「まったく…。またかね国松君、困るなぁ〜。」
看護婦「す、すみません!」
患者「オイ!「また」ってどういうことだよ!」
医師「い、いやいや。ちょっと「マタンゴ」と言いたかっただけです。」
患者「無理あるよ!」
医師「おいしいですよね、あのキノコ。」
患者「食ったのかよ!」
医師「あんなゲーム内のキャラ食べられるわけないじゃないですか。」
患者「普通に返すのかよ!」
看護婦「ほ、本当に申し訳ありませんでした飯島さん!ごめんなさい!」
患者「いーや!訴えてやる!これは立派な医療ミスだ!」
看護婦「そ、そんな…。」
医師「違いますよ!医療ミスなんかでは絶対にありません!」
患者「なっ、この期に及んで何を…!」
看護婦「せ、先生…。」

医師「人選ミスです。」
うまいぞ相原先生!でもちっともフォローになってないぞ!

 

- 4 -
患者「あの最後の葉が落ちたら、私は死ぬんだわ…。」
医師「何を言ってるんだ!そんなことあるわけないじゃないか!」
患者「ううん。私わかるの。あの葉と一緒に、私の一生は終わるのよ…。」

医師「いや!そんなにキミもたないから!」
患者「…え゛。」
とりあえず夜中にその葉はもいでおいた、優しい相原先生。

 

- 5 -
看護婦「せ、先生!心停止です!」
医師「斉藤君、心マを頼む!」
研修医「はい!!」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

看護婦「…ダメです!戻りません!」
研修医「くっそー!動けー!死んじゃダメだ高田さーん!」
医師「仕方ない!今岡君、クイズ・タ〜イムショックだ!」
看護婦「先生!それを言うなら「カウンター・ショック」です!」
医師「ナイスツッコミだ!この非常時に!」
看護婦「先生こそ!この非常識!」
医師「おっと、うまいこと言うねぇ。」
看護婦「てへへ☆」
研修医「いや、照れてる場合じゃないし!」

医師「よーし、離れて!!」

・・・・・・シーン・・・・・・

研修医「…って先生!早くやらないと!!」
医師「いや、「カウンター」なだけに…」
看護婦「攻撃待ちかよ!」
研修医「・・・・・・・・。」
高田さん、享年46歳。

 

- 続 -