NEET再生計画

 

1
それは、唐突に立案され…そして唐突に実行に移された。
その計画の名は、『NEET再生計画』。何を意味するかは大体想像通りだろう。
対象者は、「労働者・失業者・主婦・学生」に該当しない、15〜34歳までの若者。
もちろん、病気や家庭の事情などのせいで『働きたくても働けない者』は除かれる。
要は、無職の理由が単なる『甘え』であり、『遊び』が主である生活をしている者だ。

つまりは、俺だ。
ダメ主人公がお送りします。

 

2
俺の名は『鬱村タメオ』。歳は22歳で、自慢じゃないが趣味は引きこもりだ。
大学は1年目で挫折し、その後は気ままなニート生活。それからもう3年が過ぎた。
今は部屋を出るのもトイレの時だけ。風呂は週1、食事は部屋の前に置かれる。
最初は口うるさく言ってきた親も、ここ最近は静か。やっと理解したのか雑魚どもめ。
俺が世間に適さないんじゃない、世間が俺に適さないんだ。俺はなんにも悪くない。

俺は誰にも縛られず、自由に生きるんだ。
ダメ主人公がお送りします。

 

3
そんなある日、俺がライフワークであるネット散策に勤しんでいた時のこと…。
突然扉が開き、黒服にサングラスといういかにもな服装の男達が入ってきたのだ。
タメオ「えっ!?ちょ、ちょちょ…えぇっ!?」
黒服A「鬱村…タメオだな?我々は『NRA』…『ニート再生協会』の者だ。」
タメオ「え…な、なに…?」
黒服B「おめでとう。選ばれたのだよ、被験者に。キミは生まれ変わるのだ。」
タメオ「えっと…間に合ってます…。」
黒服C「いや、間に合ってないから。若干間に合ってないから今こうなってる。」
タメオ「ちょ、離し…離してよ!イヤだ、絶対行かない!俺はこのままでいいんだ!」
黒服A「それは…本気で言っているのかね?本当に、このままずっといられると?」
タメオ「え…?」
黒服B「夢も無い力も無いヤル気も無い、収入も無く親に寄生するだけの人生…」
黒服C「どう考えてもこのままじゃマズいよね?てゆーかまず、そんな人生楽しい?」
タメオ「・・・・・・・・。」

…普通に楽しいが?
ダメ主人公がお送りします。